憂「今の攻撃が見えなかった人は閉じたほうがいい」

純「くっ……!」



高校1年 春

律「澪~! クラブ見学に行こうぜ!」

澪「見学?」

律「そうそう! 軽音部だよ軽音部!」

澪「でも私文芸部に入るつもりだし……ほら、入部届けも書いた――」

律「ビリー」

澪「あーーーーっ!?」

澪「何すんだよ律ーーーーっ!!」

律「ほら行くぞ早く早くー」

澪「……待てよ」

律「え?」

澪「このままですむと思うなよ?」

律「……やってみろよ」


澪「泣いても知らないからな!」

律「ヘイカモンカモン!」

澪「虎煌拳!!」

バシュウ!

律「ぐっ! ……また腕を上げたみたいだな」

澪「まあな」

律「私も春休み修行の成果を見せてやるよ……パワーウェイブ!!」

シュウウウ!

澪「くっ!」 シュッ

律「……避けたか」

澪(前より弾速が早い……遊んでばっかりじゃなかったんだな)

澪「でも……私は文芸部に入るからな!」

律「……」

澪「はあっ!」

律「サニーパンチッ!!」

ガッ

澪「へぶっ!?」

澪「今のは……」

律「思い出したか? この技はお前が名前をつけてくれたんだぞ」

澪「……うん」

律「それから……一緒に全日本異種格闘技戦に出ようねって……」

律「あの時の約束は嘘だったのか!?」

澪「律……」


澪「氷柱割り!!」

律「ぐえっ!?」

澪「捏造するなよ」

?「くすくす……」

律「ん?」

紬「あ、ごめんなさい」

紬「なんだか楽しそうだったから。あの、私も入部していいですか?」

律「ほんとっ!?」

律「やったー!!」



数日後

律「なんと! 残り一人だった部員が見つかりました!」

紬「よかった~」

澪「いつの間にか私も部員に……」

ガチャ

唯「あのー……」

律「おお! 噂をすれば!」

唯「実は……」

紬「軽音部へようこそ。お菓子をどうぞ」

唯「いえ、私……やっぱり軽音部辞めようと思って」

律「……え」

唯「ごめんなさい。そ、それじゃあ……」

律「……ちょっと待った」

唯「へ?」

律「ようやく見つけた部員をそう易々と逃してなるものか」

澪「おい律、まさか……」

律「力づくで入部させる!」

唯「ええっ!? こ、ここは穏便に……ね?」

律「問答無用! ライジングアッパー!」

シュ

唯「うわあっ!」

律「!」

澪「避けた……!」

律(確かに手加減してたけど……この子、テンポ悪くて使えないって訳じゃなさそうだ)


唯「あ、危ないよ!」

律「悪いけど軽音部の一員になってもらうぜ! パワーチャージ!」

ドカッ!

唯「ぐっ!」

澪「律の奴本気でやるつもりか?」

紬「今の技……りっちゃんはパワーがあるんですね」

澪「ああ、律の攻撃は直線的だけどその分威力やスピードがあるんだ」

紬「そうですか……」

澪「そしてあのタックルを食らった相手は」

澪「真上に吹っ飛ぶ」

紬「ついげきのチャンスですね!」

律「おうよっ! くらえっ、ついげきの――」

律「パワーチャージ!!」

ドカッ!

唯「うげっ」

澪「」

律「もういっちょ!!」

ドカッ!

唯「きゃあ!」

澪「うおおおおいっ!!」

律「なんだよ? 今忙しいんだから!」

澪「ビール瓶斬り!」

シュパ

律「えぷっ!?」

律「いてて……何すんだよ澪!?」

澪「お前こそ何やってるんだよ!? ……平沢さん、大丈夫?」

唯「……あ、うん。ありがと」

澪「律も謝れ!」

唯「いいよ、私が油断してたんだし」

澪「え?」

唯「こうなったら私も受けて立つよ!」

律「そうこなくっちゃ! 負けたら入部だからな!」

唯「おっけー!」

唯「さっそく行くよ!」

律「こい!」

唯「七拾! えっと、うーん……」

律「?」

唯「まあいいや、たぶん七拾五式・改!」

ガッ ガッ

律「ぐっ、ごっ」

澪「!! 2段の蹴り上げで律を浮かせた!?」

紬「今度は平沢さんがついげきのチャンスを……!」

唯「七拾五式・改! フッ! フッ!」

ガッ ガッ

澪「ん?」

紬「……」

唯「フッ! フッ!」

ガッ ガッ

唯「フッ! フッ!」

ガッ ガッ

澪「おい」


唯「いや~つい熱くなっちゃって」

律「はあはあ……やるじゃないか……」

律「今度はこっちの番だ! はあああ……」

紬「拳に気が集まってる……!」

律「バーンナックル!!」

ヒューン!

唯「あらがみ!」

カッ

律「!」

澪「受け流した!?」

紬「それだけじゃないわ!」

唯「ボディが!」

ドスッ!

律「ぐあっ!?」


唯「お留守だっ! よっ!」

ガッ! ドン!

澪「手……手から炎が出た!?」

紬「相手の攻撃を受け流しつつボディブロー、何か、肘鉄の3段攻撃……」

紬「そして炎を操る能力……間違いない」

澪「知っているのかムギ!?」

紬「あれは恐らく平沢流古武術」

澪「平沢流……はっ! 去年の全日本異種格闘技大会中学生の部の優勝者……」

紬「そう、優勝者の名前は確か平沢……」

律「ぐは……こいつ、できる」

唯「ふう」

律「くっそ~これでも食らえ! パワーダンク!!」


澪「あっ! 不用意にそんな技出すな!」

唯「百式・おにやき! ほぉりゃあ!」

ゴシュッ

律「ぐえあ」

YUI WON!

紬「炎を纏っての対空技……強い」

澪「最後はアレだったけど律は結構強いのに……それを倒すなんて」

唯「……ふう。そ、それじゃあ私はこれで」

紬「待って。私とも戦ってもらえないかしら?」

唯「へ?」

澪「ムギ!?」


紬「私、平沢流とやるのが夢だったの」

唯「ええ~……」

紬「ごめんなさい、まずは……」

紬「烈風拳!!」

シュバッ

唯「おわ!」

澪「地を這う飛び道具……!」

唯「なんの! 百……ひゃく……闇払い!!」

シュバッ

澪「相殺した!」

紬「ふふ……」

律「……う」

澪「あ、律、気付いたか」


律「あれ、ムギが戦ってる」

澪「うん、ムギが戦いたいって」

律「へぇ~以外だな……ていうかムギ強かったんだな」

澪「うん」

律「……欲しい」

澪「え?」

律「何としても平沢さんを軽音部に入れたい!」

澪「お前負けただろ」

律「……まだ方法はある」

澪「また戦うのか?」

律「違う」

律「澪、アレをやるぞ」


澪「アレって……? まさかアレか?」

律「そうだ」

澪「嫌だ」

律「平沢さんが入部してくれなかったら廃部だぞ!」

澪「それとこれとは別じゃあ……」

律「うるさい! ムカデぶつけるぞ!」

澪「わ、わかったよ……」

律「ようし……平沢さーん!!」

唯「ふえ?」

紬「?」

律「行くぜ澪!」

澪「……」

律「い・く・ぜ・み・お!!」

澪「お、おう! ////」

律澪「クロスチェンジャー!!」


律(決まった……!)

澪(は、はずかしいぃぃぃ////)


紬「……」

唯「か……」

唯「かっこいい!」

澪「嘘!?」

唯「私にも教えてよ!」

律「もちろんいいぞ! ただし……部員になってくれれば」

唯「うーん、わかったよ!」

澪「軽っ!」

律「オッケーイ!!」




次の日

律「んじゃ改めて自己紹介でもするか」

律「私はドラム担当の田井中律。趣味はビデオゲームで好きな食べ物はファーストフードだ」

澪「私はベースの秋山澪。……よろしく」

唯「え? 終わり?」

澪「う、うん」

律「あー、こいつの趣味は馬の手入れに日曜大工、得意スポーツはすも――」

澪「ビルドアッパー」

ゴシュッ

律「もぷっ」

紬「ふふふ、キーボード担当の琴吹紬です。大切なものは己自身、嫌いなものは邪魔者」

紬「特技は物事を強引に解決することです、よろしくね」

律「……」

澪「……」

唯「え、あ、うん」

唯「じゃあ私の番だね。私は平沢唯!」

唯「好きな食べ物は焼き魚、得意スポーツはアイスホッケー、嫌いなものは努力です!」

澪「ねえ平沢さん」

唯「唯でいいよ~」

澪「え、あ……ゆ、唯? ////」

唯「おおぅ……//// なに?」

澪「唯って去年の全日本異種格闘技大会中学生の部で優勝したんだよね?」

唯「へ? してないよ?」

紬「でも平沢って……」

唯「あぁ~あれは私の妹だよ」

律澪紬「妹!?」

律「……すごい妹がいるんだな」




2学期

律「……え?」

律「部として認められてない!?」

紬「え、ええ」

唯「そんなっ! それじゃあ学園祭はどうなるの!?」

澪「とにかく話を聞きに行こう」

律「そうだな」


2
最終更新:2010年04月01日 03:58