律「……」

唯「……」

紬「……」

唯「寒いねぇ」

紬「冬だもんね」

唯「私の手も冷たいや……」

紬「じゃあ暖めてあげる」

ギュッ

唯「うはぁ、ムギちゃんの手あったかーい」

紬「ありがとう。私体温高いから」

唯「いいなー……りっちゃんもあっためてもらえば?」

律「ん……私はいいよ」

紬「あはは……」

唯「むぅ」

律「……」

唯「……」

紬「……」

紬「……ケーキ!」

唯「え?」

紬「持ってきたから……食べましょう?」

唯「あ……うん!」

紬「チーズケーキとチョコケーキがあるから好きなの選んでね」

唯「じゃあ私はチョコ!」

紬「りっちゃんは?」


律「どっちでもいいや」

紬「どっちか、選んで」

律「……」

紬「ね?」

律「じゃあチーズケーキ」

紬「はーい、どうぞ」

律「ん、あんがと」


紬「じゃあ私はチョコにしようかな」

唯「いただきます!」

紬「いただきます」

律「……」

紬「りっちゃん?」

律「……いただきます」

唯「いい子いい子」

ナデナデ

律「やめい」


唯「んん!ムギちゃんの持ってる来るケーキは天下一品やで!」

紬「やで!」

唯「やで!」

律「……」

唯「だよねりっちゃん!」

律「ん、そだね」

唯「……」


紬「ねぇりっちゃんやっぱり」

律「そろそろ練習、しようぜ」

紬「……うん」

唯「やだ!」

律「!」

紬「ゆ、唯ちゃん」

唯「こんなんじゃ練習したって意味ないよ!」

律「でも……」


紬「……唯ちゃんの言うとおりだと思う」

律「ムギまで……」

唯「りっちゃん、澪ちゃんのお見舞い行こ?」

律「でも澪は練習に専念しろって……」

唯「でも本当は行きたいんでしょー」

律「いや……」

唯「んー?」

律「唯、顔近いし……」


紬「りっちゃん、行こう?」

律「……たい」

紬「ん?」

律「行き……たい」

紬「じゃあいこう!」

律「うん……」

唯「あ、今りっちゃんニヤけた」

律「なっ!?」


紬「澪ちゃんに会えるのがそんなに嬉しい?」

律「違う!バカ!バカバカ!」

紬「りっちゃんたら顔が真っ赤」

唯「ついでにおでこも!」

律「だぁぁぁぁ!早く行くぞ!」

紬「……いつものりっちゃんね」

唯「そうだね。へへへ」

紬「さ、私達も行こっか?」

唯「うん!」



……

澪「……」

澪「……けほっ」

「ばんごー!」

澪「!?」

ガチャ

律「いち!」

唯「に!」

紬「さん!」

律「三人揃って!澪のお見舞い来たんジャー!」

唯「いえーい!」

澪「皆……」

律「驚いた?」

澪「律……練習は?」

律「うっ」

澪「私、メールで練習に専念してって言ったよね」

律「えーと、そのー……」

紬「りっちゃんは悪くないの!」

澪「え?」

唯「ごめんね澪ちゃん、私達がお見舞い行こうって言ったんだ」

紬「りっちゃんは練習しようって言ったんだけど……」

律「ま……そういうこと」

澪「そう、なんだ」

唯「ぷくく」

律「どした?」

唯「だって澪ちゃんがいない時のりっちゃん思い出したら……ぷぷ」

律「わー!」


澪「え、なに?」

唯「えっとねー、ずっとうつむいて話しかけてもまともに反応してくれなくてねー」

紬「いつものりっちゃんとは正反対なの」

律「うううるせーやい!」

澪「はは……」

律「笑うなよぅ」

澪「ごめんね」


紬「それで、具合はどう?」

澪「だいぶ楽にはなったかな……まだダルいけど」

唯「熱は?」

澪「さっき測ったら三十七度四分だったよ」

唯「どれどれ」

澪「こら、あんまり近寄っちゃ駄目だぞ。風邪が移るからな」

律「はやく治してくれよー」

澪「大丈夫だよ。明日か明後日には学校にいけると思う」

律「そかそか」


紬「一応、ケーキ持ってきたけど、今はやめとく?」

澪「さすがにね。でもありがとう、ムギ」

紬「いえいえ。ここに置いておくね」

澪「うん」

唯「……ふぁぁ」

唯「んー、何か寝てる澪ちゃん見てたら私も眠くなってきちゃったぁ」

紬「長居してもアレだし、そろそろ帰るね」

澪「うん。来てくれてありがとう」


紬「それじゃあお大事に」

澪「うん。じゃあね」

律「私はもうちょっとだけいるよ」

紬「二人きりで話したいものね」

律「うぐ……」

唯「じゃあねー澪ちゃん、りっちゃーん」

紬「うふふ、ごゆっくりー」

ガチャ

バタン


律「ムギめ、からかいやがってぇ」

澪「律はからかいやすいからな」

律「澪までー」

澪「ごめんごめん」

律「……」

澪「……」

律「……もう二人ともいったかな」

澪「うん。いったよ」

律「……みおー」

澪「ん」

律「みおー、みおー」

ギュッ

澪「こ、こら抱きつくな。風邪が移るぞ」

律「澪の風邪なら、いいもん」

澪「だーめーだ。律まで風邪になったらそれこそ練習にならなくなるでしょ」

律「ふーん」

澪「だからほら、離れて」

律「やだ!」

澪「ワガママ言うなー」

律「やだったらやだ!」

澪「おいおい……」

律「みーおー」

澪「こらぁ」

律「んへへー」


澪「……本当は」

律「んー?」

澪「練習とか関係ないんだよ」

律「えっ?」

澪「あ、別に練習がどうでもいいとかじゃなくて……」

澪「そういうの無しで、律には風邪を引いて欲しく……ない」

律「……」

澪「だからその、さ。お願いだから離れて?」


律「……澪」

澪「ね?」

律「そんなこと言われたら、余計に離れたくなくなっちゃった」

澪「えぇ!?」

律「もう一生このままでいるー」

澪「離れないと……ぶ、ぶつぞ」

律「いいよー」

澪「すごく痛いぞ」

律「慣れてるもん」

澪「もぉ……」

律「みおー、みーおー」

澪「移っても知らないからな……」

律「うんー」

澪「はぁ……」

律「……」

澪「……」

律「……澪ってさ、すごくいい匂いがする」

澪「そう?」

律「うん。私が一番好きな匂い」

澪「あそ……」

律「いー匂い。へへへ」


澪「く、首はくすぐったいから止めろぉ」

律「……ねぇ、私はどう?」

澪「何が?」

律「私はどんな匂いがするかな?」

澪「んー……」

澪「律の匂いがする」

律「何それー」

澪「そのまんまだよ」

律「それじゃあくさいかいい匂いかわかんないだろー」


澪「律の匂いってことは……いい匂いってことだよ」

澪「世界で一番大好きで」

澪「どんな香水よりも、いい匂い」

澪「少なくとも、私にとっては……ね」

律「澪……」

律「……ぷっ」

澪「あ!笑ったな!?」

律「だってすごいくさいこと言うんだもん」

澪「こ、このバカ律!」


律「ごめんごめん」

澪「もう知らない!」

律「ごめんってばぁ。……それに」

澪「……何よ」

律「すっごくくさかったけど、すっごく嬉しかった!」

澪「そう……ですか」

律「許してよー、みおー」

澪「……許してあげる」


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最終更新:2010年04月10日 00:03