澪「あ、いや!なんでもないぞ!」ズズー

梓「……」

澪「梓カメラとか買わないのか?」

梓「え」

澪「いや、散歩好きならついでに写真でも撮ればいいのにって。面白いぞ」

梓「あ~」

澪「まぁ夜はあれかもだけど」

梓(なるほど、それも面白そう)

梓「先輩はやってるんですか?」

澪「うん。ほら」ゴソ

梓「うわー。見ていいですかー?」

澪「いいよ別に。あ、液晶触るなよ」

梓「これどうやって次送るんですか」

澪「ここ押せばいい」

梓「へー」カチカチ

梓「……」カチカチ

澪「どうだ。良い写真ばっかりだろー」

梓「そうですねー(景色とか物ばっかりだ。流石ぼっち)」カチ

梓「あっ、この猫…」

澪「んん、どれ?」ヒョイ

澪「あーこれな~、何かかわいかったから撮ったんだよ。いいだろー、気に入った?」

梓「私この猫知ってるんですよーへへへ、たまに餌あげてるんです」

澪「…あ、そー」

梓「そうなんです」

澪「…ふーん……で、何?勝ったつもり?」

梓「は?」

澪「えっ?」

梓(誰も勝負とかしてないし…)

梓「何かあれですね、食べ物屋さんの写真も多いですね」カチカチ

澪「うん、当たりだったら撮ってるんだ」

澪「ハズレでも店構えが雰囲気良かったら撮ってるけど」

梓「な、なんですか当たりとかハズレって」

澪「食べ歩きだよ。散歩しながら気になった店に入るんだ」

澪「ここだと思った自分のカンを信じて飛び込む!真剣勝負なんだよ」

梓「えっ、一人でですか?(ていうかご飯食べるぐらいで勝負とか…)」

澪「」

梓「……」

澪「な、なんだよ。文句あるか」

梓「別にいいですけど……」

梓「あっ、このお店いいですね」

澪「どれ。…あーだめだめ、ここはホント雰囲気詐欺だったよ」

梓「そうなんですか」

澪「ひどいもんだったね!ハンバーグ食べたけど給食かと思ったし」

梓「へー。もったいないですね見た目は良い感じの店なのに」

澪「そうなんだよなー。多分もう行かないね」

梓「……この中だとどれならおすすめなんですかぁ?」

澪「え?」

梓「いや良い所があるなら行ってみたいなって…」

澪「そ、そうか!?そうだなぁーっ、ちょっと貸してみ!」パシ

澪「えーっとえーっと…」カチカチ

梓(なんだ急に元気になったぞ)

澪「……これこれ!」

澪「こことか良かったぞー!」スッ

梓「どれです?…あ、これ見たことあります。へーここ良いんですかぁ」

梓「なんかいっつも暗いしドアの立てかけ悪いしやってないのかと思ってました」

澪「そうなんだよ。見た目にはもう潰れてんじゃないかって感じなんだよね。でも味は良い!」

澪「そして何よりボロ過ぎてオシャレ感のカケラも無いからカップル客とかが来ないんだ!」

梓「は、はぁそうですか」

澪「客層というのも大事な要素の一つだからなー!ははは」

梓(そういうぼっち基準のおすすめじゃなくて普通のを教えて欲しいな)

梓「他には無いんですか?」

澪「他でか…そうだなぁ~…」カチカチ

澪「こことかかなぁ~」

梓「んん…何屋さんですかこれ(てかまたきったない店だなぁ)」

澪「何かヘンな丼とか出してる店だよ」

梓「へー。この写真のはなんですか?丼じゃないですけど」

澪「バカでアホでフラメンキン」

梓「は?」

澪「そういうメニューなの」

梓「……え?(何言ってるんだ)」

澪「スペイン語か何からしいんだよ」

梓「ば、バカとアホがですか?」

澪「知らないけどね。でもおいしいよ」

梓「確かに見た目はおいしそうです」

澪「ここも夜中までやってる店だぞー」

梓「へぇー、いいですね。今度行ってみようっと」


律(…なんか楽しそうだな。もう今日はいいか……)

律(帰ろう)テクテク


澪「ぷぅ!ごちそうさまー」

梓「最後麺のびちゃいましたね」

澪「梓が写真見せろなんていうからだ」

梓(写真の話ふってきたの先輩なのに…)

澪「さーてお腹もいっぱいになったし行くかなぁーっ」

梓「…どこにですかぁ?」

澪「どこってお気n じゃなくて!違くて!家帰るんだよーははははは」

澪(ヤッベ、あぶね!)

梓「へーそうですかぁー。お気をつけてー」

澪「あ、あぁじゃあな~!梓もあんまり遅くまでぶらつくなよ~」

梓「はーい」

澪「さーて!帰ろうっとー!」タッタッ

梓(……)

澪(……)テクテク

澪「ケヘヘ…梓めまんまと騙されたな…さてお気に入りの場所に行こう」


梓(聞こえとるし)コソッ


澪「いやぁーっスガスガしい夜だなぁー!やったねー」テクテク

梓(ププ、バレちゃうとも知らずにノンキですね澪先輩)ヒタヒタ

澪「……」テクテク

梓(ん、これは公園の方向だなぁ)

澪「……」スッ

梓(公園に入った。えぇ~公園なの?何か拍子抜けだなぁ)

澪「よっと」ガサガサ

梓(あら。茂みの奥に……)

梓(……ってオイっ!あそこには私の家が置いてあるじゃん!!ちょっ…)

澪「あれ、なんだこりゃ」

梓(うわぁあぁああ)

澪「手作りの犬小屋かな。小学生が犬でも飼ってるのかー?」

梓(い、いいからさっさと行ってくださいよ触らないでくださいよぉおお)

澪「中何も居ないや。つまんないの」

澪「……ん、ここ何か書いてある」

梓「!!」

澪「あず…『あずさハウス』?」

梓「」

澪「……」

澪「何か面白いし写真撮っとこう」パシャ

梓「……」

澪「しかししょぼいねー。あ、こっちにまだダンボールあるぞ」

澪「よーし煙突ぐらい追加しといてやるかぁ」

梓(あわわわやめてくださいよぉおお勝手にいじらないでよぉお)

澪「よっ!ほっ」ボリッ

梓「ひぎっ」ガサ

澪「!?」バッ

梓(やばっ)

澪「だっ、誰!?」

梓(……)

澪(……まさかストーカー…!!)ガクガク

澪「ひぃっ!」ドタッ

グシャ

梓「」

澪「うわぁあああああお助けえええええ~!!!!」ダッダッダッ…

梓「……」

梓「……」ガサッ

梓「私の家…」

梓「……まぁいいや、練習で作っただけだもんね。はは」

梓「どうせ明日になったら小学生にいじられてただろうし」

ガサ

梓「ん」

猫「ニャーン」

梓「ありゃ。残念だったね、家潰れちゃったよ。もっと早く来ればよかったのに」

猫「……」ガサッ

梓「…帰ろ……」テクテク


梓「はぁ。まだ時間あるけど開くまで玄関に居よう。もう今日は疲れちゃったよ」

梓「ふぁ~ぁ…」

梓「……家作るのは諦めようかな…」


カチリ

梓「あっ、開いた」

梓(もうちょっとしてから入ろ)

梓「……」


梓「もういいかな」ガチャ

梓「ただいまぁ…」


梓「……」コソコソ

梓「おやすみなさーい」

―――

梓「あーあ、今日は何しよっかなぁ」

憂「おはよー梓ちゃん」

梓「おはよう」

憂「おうち出来た?」

梓「あー、あれはもういいや」

憂「えっやめちゃうの?」

梓「うん。何か思ったよりすっごい大変そうだし材料も集まらないから」

憂「そっかぁ」

梓「はぁでもやる事なくなっちゃったなー。憂何か面白いことない?」

憂「面白いこと?うーん……」

憂「梓ちゃんお料理とかはしないの?面白いよ」

梓「しない(っていうか外じゃ出来ないし)」

憂「んん……お掃除とか…」

梓「え。掃除が面白いの?」

憂「お姉ちゃんの部屋掃除してる時はすごく楽しいけど」

梓「うーーーんなんかそれ違うんじゃないかなぁああ」

憂「そうかなぁ」

梓「もっとこう、遊びっていうかさー。なるべく一人で出来るやつがいい」

梓「あ、外で出来るのね」

憂「んんん…外で一人で……散歩ぐらいしか思いつかないよー」

梓「それはいっつもやってるなぁ」

憂「に、人間観察とか……」

梓「人間観察ぅ~?憂そんなことするの?」

憂「ちっ違うよだって梓ちゃんが外で一人でって言うからぁ」

梓「まぁそうだけどー」

梓「ふーん」

憂「……」

梓(…あ、お姉ちゃん観察とかそういうことかな)


先生「授業始めるぞー」ガチャ

梓(人間観察とかは澪先輩のお株っぽいね)

―――


律「はぁ」ガチャ

紬「おはようりっちゃん」

唯「りっちゃんおはよー!」

律「おはよ」

唯「…あれ、なんか元気ないね」

律「あー。そ、そうか?そんなことないぞー」

唯「ん~…ちょっとおデコ見せてよ~」

律「いいけど…」

唯「よっ!」ペチペチ

律「こ、こら何すんだっ!」

唯「うーん…聞いた?ムギちゃん」

紬「うん。ちょっと響きが鈍いわよね」

律「はぁ?」

唯「音が澄んでない!りっちゃん何か悩み事?」

律「な、無いよ何も~。 …それより唯宿題やってきたのか?」

唯「えっ!?そんなのあったの!?うわぁあやってないよぉおお」

律「はははバーカんなもんないよ~ん!騙されてやんのwプッ」


律「ばーかばー… あれ」

唯「うぅ……」ジワッ

律「ちょっ、おい…な、なんだよ唯泣くなよちょっとからかっただけじゃん……」

紬(……)

唯「…ヒグッ……私のこと……ば グスッ、ばかってゆったぁ……」

律「わ、悪かったよ~泣くなってほら…泣くなってぇえ。先生来ちゃうだろぉ~」

唯「ブハッw」

紬「ぷっ」

律「え」

唯「…あはは嘘泣きだよ~ん!wぷぷっ、りっちゃんちょろいねw」

律「」

紬「いじわるしちゃダメじゃない唯ちゃんったら~、りっちゃん優しいんだから…」

律「む、ムギ嘘泣きって分かってたのかよ!教えてくれたっていいだろぉー!」

紬「ごめんねりっちゃん、これで許して~♪」ガバァ

律「うわっ!!」

唯「あっ!?ズルいよムギちゃん私だって!」ガバッ

律「ひぃいいぃいいーーー!!!」

ガチャ

先生「よーし授業始めるぞー、席つk」

律唯紬「あっ」


先生「……何してんだお前ら」


律「……」

唯紬「……」

律「ほら離れろよ…」グイ


先生「……」


キーンコーンカーンコーン…

先生「では今日はここまで」


ザワザワ…

澪「はぁ、やっと昼か。和ぁお昼食べよう」

和「ごめん澪、今日は昼休みに生徒会のミーティングが入ってるから向こうで食べるわ」

澪「えっ」

和「それじゃ」ガチャ

澪「……」ポツーン

澪「どうしよう、今日は弁当持ってきてるんだよな…」


ワイワイ…


澪「うぐ……既に教室内は楽しいランチタイムの空気で満たされつつある…」

澪「……」

澪「り、律達の教室行こうか」

澪「いやいや、梓は皆気にしてないとか言ってたけど流石に昨日の今日だぞ…」


―便所めし。


澪「だ、だめだだめだ!絶対にしないぞ、そんなもん!」ブルブル

澪「くそっ、とりあえずここを脱出だ!」


澪「はぁはぁ…くっそー!」ガチャガチャッ

澪「屋上の扉鍵がかかってるじゃないか…とんだ計算違いだ!」ドンッ

澪「外…は、今からじゃもう行ってる時間ないよなぁあ」

澪「……はぁ、もうこの階段で食べよう。屋上の扉前なんて誰も来ないし」

カパ

澪「いただきまーす」モグモグ

澪「はぁ。トイレより全然マシだねー」モグモグ

ギャハハ!マジデー!?ハハハハ

澪「」ピクッ

澪(誰か来る!!)

澪「あわわ、急いで片付けないと…」カチャカチャ


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最終更新:2010年01月24日 02:19