誰もいない教室
梓「……という事があって、それで告白されて…」
澪「………」
梓「私、唯先輩の気持ちにどう答えればいいのか分かんなくって」
澪「………」
梓「あの、澪先輩?聞いてますか?」
澪「………」
梓(どうしたんだろ澪先輩…さっきからずっと黙ってる)
梓(もしかして引かれちゃったのかな…どうしよう、やっぱ言わなきゃ良かったかも…)
不安になっておそるおそる澪の顔を覗き込む
澪はどこか青ざめたような顔をしていた
澪「……キス…?梓と、唯が…?」ブツブツ
梓「澪先輩?」
澪「しかも告白って…告白って…」ブツブツ
梓(澪先輩の様子が変だ…)
梓(そっとしておいたほうが良いのかな…でも私の相談に乗ってくれるって言ってたし)
梓「澪先ぱ」
澪「――梓っ!!」ガシッ
梓「きゃっ!?」
急に両肩を掴まれて梓は目を白黒させる
何事かと思った瞬間、眼前に澪の顔が近付いてるのが見えた
梓(えっ…?)
チュウ
梓「んっ…んむーーー!?」バタバタ
唇に押し当てられた柔らかい感触に驚いて梓は手足を暴れさせて澪から離れる
梓「ぷはっ…み、澪先輩…いきなりどうしたんですか!?」
梓(何で…?何で澪先輩がこんな事を…)
澪「……ご、ごめん梓。つい…」アタフタ
梓「私、真剣に相談してたのに!澪先輩どうしてそんな事するんですか!」
澪「え……」
梓「ふざけるなんて酷いです…」
澪「…!!ち、違う!私はふざけてやったんじゃない!」
梓「えっ、じゃあ…ど…どういう事ですか?」
澪「ど、ど、どういうって…だからつまりだな…」
澪は途端に顔を赤くしてキョロキョロしながら唸っていたが、意を決したように言った
澪「わ、私も梓の事が好きなんだ!!」
梓「ええっ!?」
澪「だから梓が唯にキスされたって聞いて、何か悲しいっていうか悔しいっていうか、それで…」
梓「………」
澪「……ごめん、いきなりキスなんかして。怒ったか…?」
梓「怒るっていうか……驚きました…」
梓(澪先輩が、私を好きだったなんて…)
まだキスの感触が残る口元を押さえて俯く梓に澪は真剣な眼差しを向ける
澪「でも私は本気なんだ。出来れば梓と…その、友達以上の関係になりたいんだ。女同士なのにって思うかもしれないけど、よかったら考えてみてくれないか」
一気に捲くし立てるように喋った澪は顔を真っ赤にさせていた
恥ずかしがり屋の澪にしてはよほど頑張ったのだろう
澪「自分から聞いといて相談に乗れなくて悪い」
澪「でも今言った事は嘘じゃないから!」
それだけ言い残して澪は教室を去っていった。
梓「……………」
梓(澪先輩…それに、唯先輩……)
梓(私一体どうしたらいいんだろう)
翌日放課後の部室前
梓(ああ…部活行きにくいなぁ)
梓(まさか二人から告白されるなんて思わなかったもん。キスもされちゃったし…)
梓(二人とキスするなんて…こういうの淫乱っていうんだっけ…??)
梓「うう……私は淫乱……」
タッタッタッ
唯「あずにゃーーん!!会いたかったよぅー」ギュッ
梓「わああっ!?ゆ、唯先輩っ」
唯「えへへぇ、あずにゃんぎゅうううううう」
梓「は、離してください///」
唯「えーでもでもぉ、あずにゃんあったかいんだもん」
梓「そんな事言っても駄目ですっ!」
梓(昨日の今日だからいつもの何倍も恥ずかしい…!)
唯「ふぃ~~っ。あたたかぁーいねぇー」
梓「唯先輩、いい加減に…」
ガチャ
澪「唯?部室の前で何騒いでr……」
梓「あっ……」
唯「うぅ?」
梓「澪先輩」
澪「………」
唯「お?どしたの澪ちゃーん」ヒラヒラ
澪「あ、はは……仲良いんだな、二人は…」
心なしか澪の顔は引き攣っているように見えた
そのまま澪はフラフラと歩いて部室へ戻っていった
唯「ありぃ?何か澪ちゃん元気ないみたいだぁ」
梓「……」
梓(今のは私が悪いのかなぁ…………)
唯「いや~、今日もお茶が美味しいねぇ」ズズッ
律「お前はジジババかよ…ま、でもむぎの淹れる茶は確かに美味いよなっ」
紬「うふふ有難う」
澪「さて…そろそろ一服できたし、練習始めないか?」ガタッ
梓「そうですね、始めましょう」カタン
唯「ええっちょっと待ってよぉ。まだこのマドレーヌが残ってるんだよー」
梓「もう…・それは部活が終わってからゆっくり食べればいいじゃないですか」
唯「駄目だよっ、鮮度が落ちちゃうってばぁ」
梓「鮮度って…(そんなに変わるのかなぁ?)」
澪「ほら唯、梓が困ってるだろ?早く練習始めよっ」
最終更新:2010年07月03日 04:48