唯「うーでもぉ。…あ、そうだあずにゃん半分こしようよー!そしたら早く食べられるしっ」

梓「えっ?わ、私はもう十分食べたからいいですよ」

唯「まぁまぁそう言わずに。はい、アーン!」

梓「ええっ!?///」

唯「あーーーん」

梓「あ……あーん」パクッ

唯「あはは食べた食べたぁ、半分こ美味しいねーあずにゃん」

梓(う、つい食べちゃった……///)

澪「……………」

練習を始めてからも唯は梓にちょっかいを出してくる
告白した事でテンションが上がっているのか、いつもよりスキンシップの数も増えていた

唯「あずにゃん」

唯「あーずにゃー」

唯「あっずにゃんっ」

唯「あ・ず・にゃ・ん!」


律「何か今日はやけに唯がはしゃいでるなー」
紬「うふふふふふふふふふふふふふ」
律「ほんっと唯と梓は仲がいいよな」

澪「……………」

部活が終わりに近付くにつれ、澪の表情はだんだんと曇っていった

澪(梓も唯も……凄く楽しそうだな…)

澪(梓はやっぱ唯と居るほうが良いのかなぁ)

澪(…………)

落ち込んだ気持ちのまま部活時間は終了し、皆で帰り支度を始める

律「なーなー今日どっか寄ってかねぇ?」

唯「いいねぇー!何食べに行こっかぁ」

律「食べるの前提かよ…まぁいいや。おーい、梓もいくだろー?」

梓「はい、特に用事も無いので私も行きます」

澪(梓も行くのか…今日あんまり話せなかったし一緒に話しながら行こうかな)

澪「なぁあz」

唯「あーずにゃん!手ぇ繋いでこーよぉ」タタタッ

澪(えっ)

梓「や…やです。そんな子供みたいな事したら恥ずかしいですっ」

唯「いいじゃんいいじゃん、減るモンじゃないし繋ごうよ」ギュウ

梓「あっ、ちょっと……唯先輩ってば強引過ぎます」

唯「えへへっ、あずにゃんの手あったかい」

澪「……………」プチ


手を繋ぐ二人の姿を見て何かが澪の中で切れた音がした
無言のままずんずん二人に歩み寄っていくと、梓から唯の手を振り払った

唯「ひゃあ!?」

梓「……!?」

紬「澪ちゃん!?」

律「どっ、どした澪――」

澪「いっ…………」プルプル


澪「いい加減にしてーーーーっ!!!」


全員『!!??』

澪「唯はいつもいつもいつも梓に触り過ぎなんだよっ!いくらなんでもスキンシップ過多だろ!」

澪「私だって、私だって…」

唯「みみみ、澪ちゃ」

澪「私だって梓に触りたいのにぃーーーーー!!!」


うわあああんと泣き出す澪に一同は唖然となった

紬「あらあらあらあらまぁまぁまぁまぁ!」キラーン

梓「澪先輩……」


その後とりあえず全員で泣きじゃくる澪を宥め、再びテーブルに着席する
この騒ぎで隠す必要も無くなり澪と唯と梓の話はひととおりの経過を話す事にした
全てを聞き終えた紬はゆっくりと三人を見渡して目を輝かせながら言った

紬「つまり……唯ちゃんも澪ちゃんも、梓ちゃんの事が大好きなのね?」

唯「うん!大好きぃ」

澪「………」グスッ コクリ

律「ほぉー、二人が梓をねぇ」


梓(私…凄くいたたまれない気持ちだ…)

紬「それで……どうなのかしら?梓ちゃんの気持ちは?」

紬に見つめられ、梓はカタリと緊張した
唯と澪の視線も感じてどうしていいか分からず小さくなってしまう

梓(私…私のきもち…)

梓(私は唯先輩の事をどう思ってるんだろ…澪先輩の事をどう思って…)

梓(分かんないよ。昨日告白されたばっかりなのに、自分の気持ちなんて…)

梓「……わかん、ないよぉ…」

澪「梓…」
唯「あずにゃん…」

ギュッと目を瞑って俯いてしまった梓に澪も唯も悲しそうな顔になる

そんな三人を見つめながら紬は穏やかな表情で微笑んだ

紬「きぃーみはだれーとーきーすーをーすーr」

律「むぎ、歌わなくていいぞ」

紬「あら?」

三人『…………』

気まずい表情のままの三人
紬は気を取り直すようにこほんっと一つ咳払いをして、改めて切り出す

紬「二人は梓ちゃんを好きだけど、梓ちゃんはまだ分からないのよね」

紬「分かるようにするには相手の事をもっと知るべきだと思うの」

紬「だからこういうのはどうかしら?唯ちゃんと澪ちゃんはそれぞれ期間限定で梓ちゃんの恋人になってみるの」

澪「え」
唯「え」
梓「え」
律「え」


四人『…………え?』

全員の頭に疑問符が浮かんだ
紬は気にせず言葉を続ける

紬「いわゆるお試し期間、っていうのかしら。恋人期間中に梓ちゃんのハートを射止めたほうが本物の恋人になれるの」

梓「そ、そんなのって…」

律「おいおいむぎぃ、いくら何でもそりゃねーだろぉ」

梓は慌てて反論しようとし、流石の律も苦笑いだ
…が、紬の言葉に火をつけられた人物もいた

澪「…私、いいよそれでも」

律「澪ぉ!?」





4
最終更新:2010年07月03日 04:48