澪「私は梓が好きだから…。でも唯の事も大切な仲間だから、正々堂々やりたいんだ」

唯「澪ちゃん…」

澪の言葉にだんだんと唯の表情も明るくなっていく

唯「うんっ!私も澪ちゃんと同じ気持ちだよっ。受けて立つよぉ!」

律「な、なんか二人ともすっかりやる気だな…で、どうなんだ梓は?」チラ

梓「!!わ、私は……」

梓(ていうかそんなの二人に対して失礼じゃないのかな。私なんてそんな大した人間じゃないのに…)

まるでゲームのような条件は二人に悪いような気がしてしまう

悩んで黙り込んでいると、唯と澪が不安そうに梓を見つめてきた

唯「あずにゃん…嫌、かなぁ?」
澪「梓が嫌ならしないから、ハッキリ言ってくれていいぞ…?」

梓「嫌…じゃないです。でも本当にそんなの良いんですか?」

唯「いいに決まってるよぉ!」
澪「いいに決まってるだろ!」

二人は声をハモらせてきた
梓はパチクリ瞬きをしてそんな二人を交互に見つめる


梓(私もまだ二人の知らないとこがいっぱいある…)

梓(二人を知るにはむぎ先輩の提案は良いのかもしれない)

紬「梓ちゃん、どうかしら?」

最後に紬のキラキラオーラを浴びせられ、とうとう梓は頷いた

梓「分かりました…先輩達がいいなら私も頑張ります」

唯・澪『!!!』パアッ

紬「うふふふふ、決まりね」

紬はどこか満足そうに頷き、頬を薔薇色に染める


律「んでさ、まずどっちが梓の恋人になるんだよ?」

素朴な疑問を投げる律の言葉に唯と澪はハッと息を飲んで互いを見やる
二人はしばらく無言で見つめあい、どちらからともなく身構えた

唯「最初は」
澪「グー」

唯・澪『……じゃん、けん……』


―――――――ぽんっ!!!



次の日朝

唯「あずにゃんおはよぉ!」タタタッ

梓「唯先輩。おは、おはようございます」

唯「今日から私達、恋人同士だねあずにゃんっ」

そう、じゃんけんの結果先攻は唯となっていた

梓「ちょっ、ちょっと唯先輩ってば声大きいです!」

唯「ふぇ?」

梓「誰かに聞こえちゃったらどうするんですか…」キョロキョロ

唯「…あずにゃんは嫌?私と恋人同士なの…」

梓「い、嫌じゃないって昨日言いました。何ていうか、その…」

唯「??」

梓「こ…こういうの初めてで……恥ずかしいです…」カァァ

唯「あはっ、あずにゃん照れてる~かぁわいいぃ」

梓「かっ可愛くないです!!」

唯「あはは。ねぇ、手ぇ繋いでいこっか」

梓「あ………」

返事もしないうちに唯は梓の手を取って歩き出した
唯の気持ちをしった後ではその行為に今までとは違う感覚が梓の中に生まれる


梓(唯先輩の手、あったかい)

梓(……ドキドキ)




教室

梓(期間限定だけど、恋人かぁ…)

梓(付き合うってどんな事するんだろ。遊びに行ったり、手を繋いだりとか?)

梓(あれ?でもそれだと今までとあんまり変わらないような…)

考え込んでるうちにふと昨日のキスを思い出してしまう

梓「はっ……そっか、恋人同士だとそういう…!」

梓(また、キスしたりするのかな)

梓(先輩と………)モヤモヤ

梓「は、恥ずかしい…///」

憂「おはよう梓ちゃん」タタッ

梓「わっ!?あ…憂、おはよう」

憂「どうかしたの?何だか独り言言ってたみたいだったけど」

梓「う、うんちょっと昨日色々あって」

憂「色々…ってもしかしてお姉ちゃんと恋人同士になった事?」ヒソッ

梓「!!憂知ってたの!?」ガタタッ

憂「うん、昨日お姉ちゃんが嬉しそうに話してくれたから。澪さんの事も」

梓「そうなんだ……唯先輩のおしゃべり」ポソ

梓「でも憂……私、恋人って何をすればいいのか全然分からないんだ」

憂「わからない?」

梓「誰かと付き合った事なんてないし…私がこんなんじゃ、唯先輩も澪先輩もがっかりさせちゃいそうだよ」

憂「梓ちゃん……」

憂(梓ちゃん、悩んでるんだ……)

憂「…大丈夫だよ、梓ちゃん!」

梓「え?」

憂「お姉ちゃんも澪さんも、そのままの梓ちゃんが大好きなんだよ」

憂「だから心配しなくてもきっと大丈夫。梓ちゃんは梓ちゃんのペースで頑張ればいいんだよ」

梓「憂……」

憂の言葉で少し気持ちが落ち着いたのか、梓はほっと微笑んだ

梓「そうだね、私は私なりにやってみる。有難う憂」

憂「ううん良いんだよ、私達友達だもん!ねっ」

梓「うんっ」


キーンコーンカーンコーン

憂「あ、授業始まっちゃうね。それじゃまたあとでね」

梓「うん、ありがと憂。また後で」


タタッ

憂(良かった、梓ちゃんちょっと元気出たみたい)

憂(でも……お姉ちゃんと澪さんが恋人…かぁ)

憂「………」


憂(私もほんとうは……ううん、)

憂(私は梓ちゃんを応援してるよ。頑張ってね、梓ちゃん…)


唯と梓の恋人期間が始まってから数日が過ぎた
この頃ではなんとなく、部活時間中のいちゃつきは禁止というのが暗黙の了解になっていた

唯「あずにゃん一緒に帰ろ!」

梓「はい、帰りましょう」

唯「ほぃ」ギュッ

梓「はい」キュ


梓(いつの間にか、唯先輩と自然に手を繋げるようになっちゃった)

梓(最近毎日だから流石に慣れてきたかも?)


唯「ぽぴぽぴぽっぴ♪」ルンルン

梓(へんな歌…唯先輩ご機嫌さんだな)

唯「そだ、あずにゃんさぁ今日うちにお泊りしてってよぉ」

梓「お泊りですか?」キョトン

唯「うん!おいでよっ」

梓「でもそんなの家の人にご迷惑なんじゃ…」

唯「お母さん達は旅行に行ってるし、私と憂だけだから大丈夫だよ~」

梓「そうなんですか?」



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最終更新:2010年07月03日 04:49