~1942年5月某日 ヴォルフスシャンツェ(狼の巣) 東プロイセン~

一同「ハイル・ヒトラー!!!」

ハインリヒ・ヒムラー「ハイル・ヒトラー!......クルーゲ元帥、中央軍集団の戦況はどうかな?」

クルーゲ「ま、まあ去年の冬のモスクワでの失態を挽回するために必死になっておるわ」

ヒムラー「そうかそうか、凍傷で死にかけた者も多いとか...だが今にその戦線から移動することになろうよ」

クルーゲ「!? どういうことかね?ヒムラー君」

?「総統はソビエトの南方に打って出る計画を立てておられます」カツカツカツ

ヒムラー「おいでになったな、国防軍の新米少将殿が...」


唯「今年から将官を拝命いたしました、ユーイッヒ・フローネン・ヒラー少将です!どうぞユイとお呼びください!」

ハインツ・グデーリアン「女みたいにひょろいな、そんなんじゃソ連の大地でヘタばるぞっ!ハハハ」

唯「だ、大丈夫ですっグッちゃん隊員!」

グデーリアン「何ぃ!?ワシはドイツ国防軍第4軍司令官、ハインツ・グデーリアン元帥だぞ!」

ヒムラー「まあまあ、そう怒らずに...バイエルンの田舎者らしいので、多少の粗野はお許しを、ねっ?」

グデーリアン「で、戦場で軍団の指揮は執れるのかね?」

唯「ごめんなさい、執れません!」

ゲルト・フォン・ルントシュテット「やれやれ、なんでこんな脳無しの若造を総統は送りたもうた...」


ヒムラー「お、私の副官のヘルマン・フェーゲラインだ。”ブラウ作戦”の作戦地図を持ってこさせた」

唯「ぶらじゃーさくせん?」

ヒムラー「”ブラウ”だ。日本語で”青”という意味だ」

唯「あはは、あたしギムナジウムでも士官学校でも最下位だったんで......てへ!」

一同「............」


フェーゲライン「こちらです、ウクライナ・カフカース・南ロシアの地図になります」

クルーゲ「ふうむ、改めてみても広大だな」

ヴィルヘルム・カイテル「だいたいどのくらいの兵数が必要かね、諸君」

フェードア・ボック「130万かそれ以上」

カイテル「補給は大丈夫なのかね?」

ヘルマン・ゲーリング「我が空軍の輸送機を見くびられるのか?1年分のザワークラウトを送るわっ!ハハハ」

唯「わぁーそんなにたくさんのザワークラウト、食べきれないよぉー」

?「フフフ、相変わらず唯は可愛いなあ...諸君、作戦決行は6月28日だ、同盟国にも連絡せよ」



一同「ハイル・ヒトラー!!!」

アドルフ・ヒトラー「第三帝国の生存圏拡大は我らの目標!スターリンの亡骸をベルリンに持って帰るのだ!」

ヒトラー「唯、君は新たに結成させた武装親衛隊師団を率いて、ヴィルヘルム・リストやフリードリヒ・パウルスと進撃せよ」

唯「あいあいさー!」

ヒトラー「とりあえずスターリングラードは落とせ。冬までに。必ず。奴の名を冠した工業都市など廃墟にしてしまえ!!!」

一同「了解しました!命に代えましても!ドイツへの変わらぬ忠誠と名誉!ハイル・ヒトラー!!!ジーク・ハイル!!!」



~1942年6月上旬 ハンブルク~

少女たちは今日も勤労奉仕活動のために造船所へ赴くのであった......
ヒトラーユーゲントの少年たちの隊列を横目に小走りで......


?「ま、まってくれよー、フライデぇー、ハンナぁー!ドラキュラとか魔女とか怖い話はイヤなんだよぉ......リッツ?」グスン

律「立てよ~ミヒャエンデ、ミオちゅわん」

澪「律?馬鹿にするなよっ」ゴツン

律「痛いな~ 心配してやってるのにぃ」

澪「ほ、本当ぅ......?ありがと......な...律」

ミヒャエンデ・ハンナ・ライスナー...彼女は生まれも育ちもハンブルク、父は教師で母は家政婦をしている、ごくごく普通の中流家庭の娘だ。
かわいい髪飾りをつけながら路地裏を歩く姿は、ユリの花にもたとえられていた。

アイネリッツ・シュルツ・シュレディンガー...ハンブルクの下町生まれのやんちゃ娘、近所の悪童どもとつるんで大人を困らせている。
ただ、幼馴染の澪にはとってもやさしい、心の綺麗な女の子。



~しごとば!~


「貴女もSSに志願しよう!女性隊員求む ~ 武装親衛隊 第39SS装甲師団クリームヘルト ~」


澪「武装親衛隊かぁ、かっこいいな」

律「SSでございますわよ、さすが制服フェチのみおちゅわんお目が高い!」

澪「私みたいな臆病なアーリア人でもドイツに貢献できるのかなぁ」

律「澪?」

澪「私......入隊する!」

律「ば、ばか、女の子はおしとやかにしてろっつの!淑女なんだから淑女!」

律「戦争行ったら血がドバーッと首がスパーーーッと! あ......」

澪「......律、覚えてる?お兄ちゃんのこと」

律「澪......そういえばお兄さん......」

澪の兄は1年前、クリミア半島のセヴァストポリ要塞を列車砲”ドーラ”で破壊する作戦に従事していたが、敵狙撃兵の凶弾に倒れた。


澪「なにが社会主義だ...なにが共産主義だ...ソ連なんて潰してやる、スターリンなんて殺してやるぅ!」

律「難しいことはよくわかんないけど......あたしも澪と一緒に入隊するよ、戦おう一緒にな」

澪「うっ......律......ありがとうなっ」グスン

愛国心に燃える美少女たち...その姿をありとあらゆるプロパガンダで宣伝してきた
ナチスでさえも、澪の私怨と彼女たちの友情にはかなうまい。

しばらくして師団編成命令が下ると、上官からはただこう告げられて、2人はドイツを
去った。

「行先は東部戦線のどこかだ、今年中には必ず帰れる」と。




~1942年9月13日 スターリングラード~

ヒュウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ..............ズドギュワァァァァァンンン!!!!!!

ガガッガッガッガッガガガッガガガッガガガガガガガッガガッガガガ!!!!!!

キュィイイイイーーーーーンンキキキキン!!!!!!

グモッチュイーーーーン!!!!!!

兵士A「澪ー!!!弾持ってこーーい!!!」

澪「いやだいやだいやだいやだいやだ死にたくない死にたくない死にたくないんだぁっぁぁあああ!!!」

兵士B「おい、MG42の銃身から煙だっ、水ぶっかけてくれ澪!!!はや キュィーン! ......くぅっ」バタッ ドバドバ

澪「ぎややっやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

兵士C「ママっパパぁあああああっうぐぅあああ!!!脚が!!!脚がああああんっつ!!!血があ血がっがっぁああ!!!」

兵士D「ババッバババッババババン!!! これで楽になれたかっ! どうせ救護所へ運んでもダメだったろうな」

澪「ひ....ひと.........人殺しぃぃぃぃいいいいいいい!!!あああっつああつうううっつ血があ血がななんあんんん.........うぐぇえあぶふっ」


兵士D「み、澪おおおお!!!手榴弾だっ投げ返せ!!!」

澪「ひぇ...あっあああ」ポイ


ドガーン!!!!!!


兵士A&D「やったね澪!」

澪「ハアハアハアハアハアハアハアハハハハハハハハ...............ウエッ」

兵士A「見ろよ、ソ連のケダモノ共、四肢が吹き飛んでるぜっ」

兵士D「こいつらに小一時間も悩まされるとはな...クソッ!」



澪「な、なあ兵士D、さっきはありが」パシュ

兵士D「?」ズババッババッビチョチャジョジュ ピューーーーー



澪「」

兵士A「...どうする?」

無線「<ピー ガガッガ ピー......Das auf ongen ist meine kanchen! Est inh sien reschtmongen 22 A , waffen SS und links ohne dich...」

兵士A「どうやら中央駅とヴォルガ湖畔のフェリー乗り場は我が軍が制圧したようだ」

澪「律...どこいったんだよぉ...」


キエフの駐屯地から移送されたのは2か月前だった。澪と律は昼間だというのに黒煙に覆われた地獄へと放り込まれた。
味方のスツーカが蚊か蝿のような音を響かせながら急降下爆撃を繰り返す。ヴォルガ川には油と死体しか浮いていない。
信じられるだろうか、この廃墟と化した街に200万人を遥かに超えた兵士が昼夜を問わず戦っているということを。

澪は”ニーベルンゲンの指輪”の登場人物、クリームヒルトにちなんでつけられた新設のSS武装親衛隊に配属された。
カフカース地方を進撃しているあいだに88mm高射砲(通称アハトアハト)の新しい使い方を習得した。敵戦車に向けて撃つのだ。

律はどういうわけか、忽然と失踪した。誰も行方を知らない。



~スターリングラード ドイツ軍司令部~

パウルス「唯君、もしやソ連は冬までこの瓦礫を死守して大軍を擁して我々を包囲し、ハメるつもりなのでは?」

唯「ちょっと待って、あと一個師団で1ダースなんだ」

パウルス「模擬戦闘模型で遊ぶなっ!」

唯「ちょっとエニグマ暗号機貸してっ」

通信兵「はい?」

唯「・・・---・-・・---・---よし、sdfhsfahwsdnfosdoofsdfhadfpvnsくぁwせdrftgyふじこlp」



~ミュンヘンのヒラー家地下室~

妹のウイーネ・ディートリッヒ・ヒラーが家事を切り盛りしている。

憂「おねえちゃんからだ」

憂「なになに...暗号を置換して...”憂~アイス食べたいから送って~”」ウフフ

憂「お姉ちゃんったら///」


パウルス「はい?何に使ってるんだおまえは!」

唯「でへへ///で、パウルスさん、もう一つ話ってぇ?」

パウルス「君に新しい副官を用意した、ノディカ・エンメル君だ」

和「よろしくお願いしますね」

唯「わ~い専属の部下だぁ」


和「少将、最近ドイツ軍の規律がたるんでいます!南ロシア全域で民間人虐殺75件、放火1263軒、強姦1873件、経済損失...」

唯「んーべつにいいよー、そんなことよりね、もうすぐ”そうとう”から”きんかしわば・けん・だいあもんどつき・きしてつじゅうじしょう”貰うんだ」

和「金柏葉・剣・ダイアモンド付騎士鉄十字章ですよ......っていったいどんな功績を!?」

パウルス「これまでにハンス・ウルリッヒ・ルーデルしか受勲していない伝説の...」

唯「そうとうが、せっかく12個用意したのに将校が役立たずばっかりだからあげる機会がなくって、一番かわいい私にくれるって!!!」

和「そうなんだ、じゃあ私前線に行くね」

唯「バイバーイ」



~1943年1月1日明朝 スターリングラード製鉄工場前~

同志A「同志アズーニャ、寒くないか?」

梓「こ、この程度の気温なんて寒くないです」ギュ

同志B「強がらなくてもいいのよ、さあウオッカよ」

梓「スパスィーバです」ゴクゴックン

同志C「それにしても今年は特に雪が降るね...」

梓「街が死んだようです」

同志A「歌でも歌うか!いきます!カチューシャの唄♪」ラララー

一同「♪」ヒュルルルルルルルルル.............

ドギュビュブウワワワワグユギュオドクグウウウヅオオオオンンン!!!!!!


ゲホフェホゲホゲホゲホ.....

同志A「生き...てる...か」

梓「同志A!私を助けるために...体を張って...」

同志A「...グフッ...ももし....戦争が終わっ....て、平和になったら.....エカテリンブルクのおっかあに....よろ...し...k」

梓「同志A!うっうううううう.... あっ!同志Bまで!な、なんて酷い.........」

同志B「ウラジーミル、おおウラジーミル......いとしい人.....あなたの....かた.....き....」



梓「同志Cっ」

同志C「こうなったら火炎瓶片手に強行突撃しかない」

梓「うん」

2人「いっくぞーーーーー!!!!」

キュキュキュキュキュキュルキュルガッガガガ


梓「あの....音は?まさかパンツァー?」

同志C「うん、クソッここにT34があれば」

梓「あっ、ハッチが空いてます」

同志C「よし、おれがあのアパートに上って上から火炎瓶を投げ込むから、梓は小銃でひきつけてくれ」

梓「う、うん.......」


キュキュキュキュキュキュルキュル.................

パン!パン!パーァン!カチャガチャ....

梓「チッ.....ジャムった.....これだからソ連製は.....」

梓「いや、よく見たら鹵獲したワルサーP38だった....」

梓「オワタ」

同志C「うまーくキューポラ内に入ってくれよ」ヒョイ



ドグヮン!!!!!!!!!!


梓「キャーーーーーーーッ」


ブヮッボボボドギュビュボグドバーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!

梓「やった」

梓「やったぁ///」

梓「あっちへいってみましょう」

同志C「う...うん/」

梓「なんか...さっきのすごい共同作業でしたね」

同志C「あ、ああ...あのさ、あの、梓ちゃんっていいなずけとかいる?」

梓「え?田舎じゃないんだからいませんよ!私、こう見えてもモスクワっ子なんですよ」プン

同志C「はははごめんごめん...はぁ......ん?あれは?」

?「人民の意志の為に!すべては革命を守るために!ファシストを殺せ!」

梓「拡声器使ってるくせに棒読みです」

同志C「あれはチェカ(政治将校)だ、煽るための口と筆は達者だが、銃も撃てない連中さ」

梓「あ、名札の名前がみえます、”ヒメーニャ・イロコロフ”党中央委員会青年指導員、だそうです」

姫子「戦いなさい!祖国の為に!同志スターリンのためにも!」

姫子「戦える男は早く第二地区へ!縦列で前進!早く、所属なんてどうでもいいから100人単位で固まれっ!」

梓「すごい剣幕...ってねえ、同志C!?どこいったの?」

姫子「さあ、あなたもこっちへ来なさい!革命的闘志は何処へ行ったのか!?さあ突撃するのよ!」


ザクザクザクザクザクザクザクザクザク


梓「いっちゃだめぇぇー!!!」

同志C「また会おう」


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最終更新:2010年04月27日 23:58