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唯「なんで!?」

紬「お父さんがね、昨日、死んじゃったの…。」グスン

唯「あわわ、泣かないでムギちゃん!」

澪「死んじゃったって…どうして…?」

律「おい澪!!」

澪「あ、ごめんムギ…。」

紬「良いの…あのね、クモ膜下出血だったの…。」

梓「それはどうしようも出来ないですね…。」

紬「母が、あの人のいない家なんていらないっていって…」

唯「おうちを売っちゃったの?」

紬「うん…」

梓「でも貯金とかあるんじゃないですか?」

紬「いいえ…私には、無いわ。」

律「私には?」

紬「ええ、母は父から受け継いだ遺産がある…」

紬「でも母は、私を捨てた。あっけなく捨てたの。」

澪「捨てたって?」

紬「家がない間、ホテルにいたの。」

紬「朝起きてね、母を探したけどどこにもいなかった。」

梓「寝ている間にお母さんは、ホテルを出て行ったんですか?」

紬「分からないけど…朝には母はいなかったわ。」

唯「お母さん、どこに行っちゃったんだろうね?」

紬「分からない。生まれてから一番近くにいた人なのに、何も知らないの。」

紬「(母はいつも笑っていた…。人と話す時も、私を見ている時も。)」

紬「(笑っているから怖かった。母は、本当に私を見て笑っているのか?)」

紬「(もしかして、私に対しての笑みは偽物だったのではないか?)」

唯「お母さん、どんな人だったの?」

紬「…いつも、笑ってる人だったわ。」

律「ムギみたいな人だったんだな!」

紬「私…みたいな?」

律「そうだよ!ムギ、いつも笑ってるじゃん!」

紬「そうかしら…?」

澪「(あ、少しいつものムギっぽくなった…。)」

唯「お母さんがいなくなっちゃって、これからどうするの?」

紬「分からない…。今はお財布の中のお金しか無いの…。」

律「誰かの家に泊まれば良いんだよ!」

紬「でも、迷惑になるし…。」

唯「じゃあ、私の家に来なよ!」

紬「でも、憂ちゃんもいるし、迷惑じゃないかしら…」

唯「大丈夫だよ~!憂もきっと喜ぶよ!」



ぶかつご!

唯「憂ーただいまー!」

憂「お帰りお姉ちゃん!」

紬「こんばんわー…」

憂「あれ、紬さん!?」

唯「詳しい話は家の中でするから!ムギちゃん、上がってー」

紬「おじゃましまーす…。」

憂「どうぞ♪」

紬「(やっぱりしっかりした子だな…。)」

憂「…それで、紬さんは家が無くなっちゃった、て事?」

紬「はい…。」

唯「憂~ムギちゃんをしばらくウチんちに泊めてあげて良いよね?」

憂「もちろんだよ!紬さん、しばらくの間よろしくお願いします」

紬「こっ、こちらこそ…!」

憂「それじゃあご飯にしよう!」

唯「わーい!今日は何?」

憂「ごはんと肉じゃがだよ♪」

紬「お手伝いします。」

憂「良いんですか?紬さんすみませんねぇ。」

唯「あうー、なんだか疎外感…」

憂「お姉ちゃーん!お箸並べて!」

唯「らじゃー!」

紬「これが…肉じゃが?」

唯「あれ、ムギちゃん食べたことないの?」

紬「ええ…初めてだわ」パク

憂「…どうですか?」

紬「美味しい…。」

唯「良かったね憂!」

憂「お口に合ったみたいで良かった!」

紬「暖かい…。」じわ

唯「ム、ムギちゃん!泣かないで!?」

紬「ごめんね…。」シクシク

唯「ムギちゃん、どうして泣いちゃったの!?」おろおろ

紬「とっても暖かいなって…。」

唯「作りたてだもんね!」

紬「違うの…唯ちゃん達が、とっても暖かくて…。」

憂「紬さん…。」

紬「こんなに暖かい晩御飯は初めてで…。」

憂「(紬さん泣きやんで良かった)」

唯「(ムギちゃん笑った!)」

紬「私の家はね、晩御飯すごく静かだったの。だから、嬉しくて…。」

唯「ムギちゃん…。」



しょくご!

唯「美味しかったぁー」

憂「紬さん、お風呂どうぞ」

紬「ええ、ありがとう♪」

唯「(良かった、ムギちゃんいつも通りだ)」



おふろば!

紬「(…温かいわ)」

紬「(お風呂もだけど、唯ちゃんちはなんて暖かいのかしら…)」

紬「(憂ちゃんも唯ちゃんも、私を泊めてくれて…。)」

紬「(あまり長くいても迷惑よね。ここは私の家じゃ無いんだから…。)」

紬「…お母さん」

紬「良いお湯でした~」ほかほか

唯「じゃあ次は私ー!」

憂「のぼせないようにねー!」

紬「(本当に仲良しな姉妹ね)」

憂「…紬さん」

紬「はい?」

憂「私は紬さんにいつまでもここにいて欲しいですけど…」

憂「…でも、紬さん自身に色々な問題があるんですよね…?」

紬「…ええ、いつまでも憂ちゃん達にお世話になる訳にはいかないし…。」

憂「他に、親戚の方とかは?」

紬「…無理よ。母がどこかへ行ってしまった以上、親戚には頼れない」

紬「自分で働いて、どこかで暮らす事になると思うの」

憂「…それじゃあ、紬さん、高校は…。」

紬「…仕事がみつかったら退学するわ。」

憂「…そうですか…。」

紬「唯ちゃん達と同じ学校へ行けなくなるのは悲しいけど…。」

憂「…紬さん、この事はまだ誰にも言ってませんよね?」

紬「ええ…」

憂「お願いです、お姉ちゃんにはこの事は言わないでください!」

紬「…うん、最初からそのつもりだったわ」

憂「そうですか…」

唯「憂ー出たよー!」

憂「お、お姉ちゃん!」

唯「?ムギちゃんと何話してたの~?」

紬「ゆ、唯ちゃんのお話よ!」

憂「そ、そう!学校でのお姉ちゃんの話とか!」

唯「えー!?ムギちゃん、変なこと話してない?」

紬「話してないわよ…うふふ」

唯「憂ーもう寝るよー」

憂「うん、おやすみお姉ちゃん」

唯「ムギちゃん、寝よっ!」

紬「ええ♪」



ゆいのへや!

唯「えへへーお泊まり会みたいだねー♪」

紬「うん、私もそう思った♪」

唯「明日も学校だし、早く寝よっか!」

紬「ええ」

紬「(学校、か…あと何回いけるかしら…)」

唯「ムギちゃん?」

紬「え!?あ、ごめんなさい、何だか眠くて…。」

唯「…そっか、じゃあおやすみ!」

紬「…おやすみなさい」


紬「(…唯ちゃん、もう寝たかしら?)」ちら

唯「えへへ、ムギちゃんも起きてた!」

紬「あら、唯ちゃんまだ起きてたの!」

唯「なんだか寝れなくって…」

紬「…私も」

唯「ねぇムギちゃん」

紬「何?」

唯「寂しい?」

紬「唯ちゃんがいるから、寂しくはないわ」

唯「悲しい?」

紬「時間はたったから、悲しくはないわ」

唯「泣きたい?」

紬「そうね…ちょっと、泣きたいかな?」

唯「ムギちゃん」

紬「…なぁに?」

唯「泣いてるよね?」

紬「…どう、かしら」

唯「ムギちゃん、泣かないで…。」

紬「…止まらないの」

唯「泣いてるムギちゃんなんて、見たくないよ」

紬「…毛布、かぶってるから、見えないわ」

唯「やだやだ!」ガバッ

紬「ゆ、唯、ちゃん…」

唯「泣かないで、な、泣かないで、ムギちゃぁぁん!」シクシク

紬「唯ちゃん…。」

唯「にこにこしてないムギちゃんなんてやだよお!」

紬「…唯ちゃん…泣かないで…ごめんね…」

唯「ム、ムギちゃんのせいじゃ…う、うわぁぁん!」ビー

紬「唯ちゃん…ごめん…ごめんなさい…」

唯「ムギちゃん!!」ガバッ

紬「唯ちゃん…ごめんね…」

唯「…ムギちゃん、泣きやんだ?」

紬「唯ちゃんこそ」

唯「私より、ムギちゃんの方が辛いのに…ごめんねムギちゃん…。」

紬「良いの…。私こそ、ごめんね」

唯「…ムギちゃん」

紬「ん?」

唯「暖かいね」

紬「…私も」

紬「唯ちゃん…聞いてくれる?」

唯「うん」

紬「私ね、中学校まで、ずっと一人だったの」

唯「ムギちゃんが?」

紬「…うん」

紬「いじめられはしなかったんだけどね、いつも、いつも一人だったの」

唯「寂しくなかったの?」

紬「ううん。とても寂しかった。お友達が欲しかったの。」

紬「でもね。誰も私と一緒にいてくれない。そばに来てくれない。」

紬「みんなが私を怯えたような、変な視線を向けてくるの」

紬「でもね。今は唯ちゃん達がいる。」

唯「うん!」

紬「みんながそばにいてくれる。優しい視線で私を見てくれる。」

唯「だってみんなムギちゃん大好きだもん!」

紬「とっても嬉しい。とっても幸せなの。」

唯「みんなムギちゃんの味方だよ!」

紬「ありがとう…。唯ちゃん」

唯「えへへ、ムギちゃん笑った!」

紬「うんっ」

唯「泣いたら眠くなっちゃったね…。」

紬「そうね…。」

唯「おやすみ、ムギちゃん」

紬「おやすみ」

唯「明日は一緒に学校に行けるね♪」

紬「そうね…」うと

唯「…あれ、ムギちゃん寝ちゃった」

唯「やっぱりムギちゃんは笑顔じゃなくっちゃね」



つぎのひ!

紬「唯ちゃん、唯ちゃん起きて」

唯「…憂?」

紬「紬よ、起きて唯ちゃん」

唯「…ふぁあ、ムギちゃんおはよう」

紬「おはよう♪」

唯「…はっ!学校!!」

紬「急げ急げ♪」


なんやかんやでほうかご!

唯「うへー…。」

律「また疲れた顔してんな…」

唯「朝も遅刻しそうで走って体育でも走ったら疲れるよ…。」

紬「…」しゅん

澪「?ムギ、どうしたの?」

紬「あ、あのね、お菓子持ってこれなくてごめんね…。」

一同「…。」おろおろ

梓「…良いんです!!」

紬「…梓ちゃん?」

梓「…お菓子がない分、たくさん練習するんです!!」

梓「なくても全然問題ないです!むしろ唯先輩に練習させるのにもってこいです!」

紬「梓ちゃん…。」

唯「あずにゃん…。」

律「よし、練習すっか!」

澪「そうだな!」

紬「みんな…。」

唯「ほら、ムギちゃんも早く!」

梓「ムギ先輩!」

紬「みんな…ありがとう…。」

唯「ほらっ、早く始めよーよムギちゃん!」

紬「(みんなで演奏してるととっても楽しい…。)」

紬「(私は、あとどれくらいみんなと一緒にいれるのかしら…)」

紬「(…早く、仕事見つけなきゃ…。)」

澪「?ムギ、キーボード!」

紬「あっ、ご、ごめんなさい!」

律「珍しいなームギがミスるなんて」

紬「うん…ごめんね…。」

唯「…?」


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最終更新:2010年05月15日 01:21