唯「あ~ずにゃ~ん」
梓「ちょっ、ベタベタとくっつかないでくださいよっ」
律「そのわりには嫌そうな顔してないよなぁ、梓」
紬「ふふ、梓ちゃんは素直じゃないものね」
梓「な、何なんですか! それ!」
唯「ほーれ、すりすりー」スリスリ
梓「…ほえ~……」
律「うお、唯の頬擦りの威力は強力だな…なぁ、澪」
澪「……」
澪(あずにゃん、かぁ…)
律「澪?」
澪「…へ!? あ、どうした?」
律「ん、いや…てか、さっきから何ぼーっとしてんの」
澪「え、そんなつもりなかったんだけど…」
律「ふーん?」
唯「あずにゃーん」
梓「ほえ~…って、いつまで頬擦りしてる気ですか!」バッ
唯「あーん、いけずぅ」
澪(…やっぱり、あずにゃんってあだ名可愛い…)
澪(わ、私もあずにゃんって梓に言ってみたいなぁ)ソワソワ
澪(でも私がそんなこと言ったら…)
律「えwww澪、今何て?www」
唯「澪ちゃんもっぺん言ってみ、もっぺん! ワンモア!」
紬「あらぁ、顔が真っ赤よ~? ふふふっ」
梓「澪先輩まで…幻滅しました」
幻滅しました…幻滅しました…しました…ました…した…
澪(あわわわ…む、無理だ! 無理!)
澪(それになんか…口に出すのが恥ずかしいし…にゃんって…にゃんってなんだよ///)
澪「っ…///」
紬(澪ちゃん、なんで顔真っ赤になってるのかしら?)
梓「十分休憩とりましたし、そろそろ練習しましょうよ」
唯・律「……」ブー
梓「そんな顔してもダメですよ」
律「けちっ、鬼っ」
唯「あずにゃんは空気が読める子! ねっ!」
梓「ダメって言ったらダメ!」
梓「澪先輩とムギ先輩からも何か言ってあげてくださいよ…」
紬「私はどっちでもいいんだけどなぁ」
梓「…み、澪せんぱぁい」
澪(あずにゃん…あずにゃん…)
梓「…先輩?」
澪「…あ、ああ! そ、そうだぞ、みんな! あずにゃ…げふんっ、げふん!!」
澪「ああああ梓の言うとおりだ!! れ、練習をしようっ!!」
律「?」
ジャジャ、ジャジャ、ジャーン
唯「むー…」
律「…うむむ」
梓「ほら、やっぱり練習して正解だったでしょう?」
紬「ひ、久しぶりにあわせたから。…ちょ、ちょっぴりアレだったかな…」
澪「そうだぞ。まったく情けない」
梓「…あの、澪先輩」
澪「え?」
梓「澪先輩のベースも…なんだか音が前に出すぎている感じがしました。じ、自己主張が大きいのは悪くはないですけど、ほどほどに…」
澪「 」
律「澪も人のこと言えないじゃーん」ニヤニヤ
澪「ううっ…」
澪(べ、べつに私は練習量が足りなかったとかじゃなくて…練習中、梓にどうやってあずにゃんって呼びかけようかなーって考えていたから集中できなくて上手く演奏できなかっただけであって…えっと…えっと…)
澪「……はぁ」
唯「…ん~!」
唯「ンまいっ!! やっぱり練習の後のアイスの美味しさは格別だねぇ~」
律「言えてる。もう体の節々まで糖分が染み渡るというか」
紬「と、糖分…」
梓「毎日練習すればこの美味しさがいくらでも味わえますよ?」
律「おっと!」
唯「私たちをエサで釣ろうとしても無駄だよ!」
梓「ちっ」
律「生意気な後輩だ! こうしてくれるわぁ~!!」ギュウウ…
梓「にゃ!? し、しまってますっ」
澪(ああいうところ見てると、律と唯の性格って得だよなぁ…)
澪(私も明るいキャラを目指してみようかな)
澪「…よ、よし!」
梓「ううっ…」グッタリ
律「先輩に逆らうからそういう目にあうのだ!」
唯「おぉ、おそろしや…おそろしや…」
紬「ふふっ、本当に仲がいいわねぇ」
唯「えへへ~」
梓「ムギ先輩も私と同じ立場になったらそう言ってられなくなりますよ…」
紬「そうかしら?」
澪(こ、ここだ!)
澪「ここっ、こんなに可愛い後輩だしなっ!!かわいがいたくもなるよっ!!」
澪「え、えへへ~っ!!」ギュゥゥ…ギリギリ…
梓「うぐっ!?」
唯・律・紬「!?」
澪(や、やったぁ! いい感じに入り込めた!)ギリギリギリ…
梓「ぐっ…ぐえ…ぐっ…ぐるじっ…ぐ、ぐるっ…あ゛…」
澪(よし! このまま勢いに任せて)
澪「ああああずにゃ―――」
グイッ
律「み、澪! ストップ! 梓が!!」
澪「!」
梓「 」ピクッ…ピクッ
唯「み、澪ちゃんっ、ぎゅーするときは力一杯しちゃダメだよ! やさーしく、やさーしくしなきゃ!」
紬「大丈夫? 梓ちゃん」
梓「うーん…ううっ…」
澪「あ…あ…そ、その…その…ち、ちがうんだ…これは…」
澪(うわああああ…ここここっ、こんなつもりじゃなかったのにいいいいい)
澪「ごめんね梓…本当に、本当に」
梓「き、気にしないでください。ほ、ほら、もう何ともありませんし!」
澪「うう…」
紬「澪ちゃん、いきなりどうしたのかしら」ヒソヒソ
律「唐突だったよなぁ…」ヒソヒソ
唯「澪ちゃんもそういうお年頃ってことだよ」ヒソヒソ
律「どんなだよ…」ヒソヒソ
澪「…私そろそろ帰る」
唯「えー、もう帰っちゃうの?」
梓「み、澪先輩」
澪「ちょっと…疲れてるみたいだから、家に帰って休ませてもらうよ」
律「んー、じゃあ早いけど今日はお開きということにしますか」
澪「わ、私に気を遣わなくても」
律「いいから、いいから。ね?」
澪「うん…」
紬「それじゃあ」
唯「ばいば~い」
梓「それでは」
律「うん、また明日~!」
澪「……」
律「澪ー、表情暗いぞー」
澪「…そう?」
律「…はぁ」
律「今度はどうしたの? 悩み事ならこの律先生にどーんと任せちゃいなよ!」
澪「律ぅ…」
澪「絶対…ぜーったいに笑わないでよ?」
律「笑わないって」
澪「…じ、じつは」
澪「……」
律「……ん……ぷっ…くくくっ」
律「あははははははwwwww」
律「うひゃひゃひゃwwwおっ、お腹いたいっ! ひゃひゃひゃwww」
澪「り、律の嘘つきぃ!! 笑わないっていったじゃない!!」
律「だ、だってwwwいや、えっ、あははははwwww」
律「あきらかにそれっ、真剣に、はー…はー…、悩むことじゃっ」
律「wwwwww」
澪「り、律に相談した私がバカだった!! …もう帰るっ!!」
律「ま、まてって…っく、ぷぷぷwww」グイッ
澪「ばかっ、ばかっ、もう知らないもんっ!!」ブンブンッ
律「わ、笑わない! もう笑わないから! ちゃんと協力してあげるから!」
澪「……」
澪「…本当?」
澪宅!
澪「……」
澪「あ」
澪「あず…にゃん///」
澪「っ…///」
澪「や、やっぱり恥ずかしい!」
澪「だいたい唯はなんでこんな恥ずかしいあだ名をばんばんと…」
澪(…恥ずかしいけど…や、やっぱり可愛い…)
澪「あずにゃ…ん」
澪「くぅぅ…」
律「いいか、澪」
律「あだ名言う程度のことで恥ずかしがっててどうする!」
澪「…で、でも」
律「だからテンパってあんなことになっちゃったりするんだって」
澪「あう…」
律「そこで澪に課題を出そうと思う」
澪「か、課題?」
律「゛あずにゃん゛と気兼ねなく言えるようになるまで、あずにゃんって言う練習をしてこい」
律「そうだな…鏡に向かって練習してみるといいんじゃないかなぁ。鏡に映る自分を梓と思ってさ」
澪「えー…」
律「はい、文句は受け付けません。とりあえずやるだけやってみろよ!」
律「あずにゃんって呼ぶ機会は私がなんとか作ってやるからさ」
澪「…う、うん。恥ずかしいけど…頑張るよ」
澪「あず…あず…あずにゃんっ」
澪「ふぅ…だいぶ自然な感じになってきたな」
澪「あ、そうだ」
澪「こうやって…髪を…ツインテールに…っと」
澪(これでより梓を意識しやすく……!)
澪「あ…あんまり似合ってない……」
澪「すっごく無理しちゃった感が…ううっ」
澪「…わ、私はめげないぞっ。よし!」
次の日!
律「お、お前…その隈どうしたんだよっ」
澪「え…えへへ……寝るのを惜しんでずーっと練習してたんだよ」
律(こいつ…)
律「澪」
澪「…へ、へ?」
律「やりすぎ」ポン
律「でもそれだけ練習したんだったらもう大丈夫だよな」
澪「ああ…!」
律「よし、私を梓だと思って言ってみろ!」
澪「お安い御用だっ」
澪「あずにゃんっ!!」
律「!?」ビクッ
澪「あずにゃんっ! あずにゃんっ! あずにゃんっ!」
澪「あずにゃんっっ!!!」
律「…あ…あ……」
澪「ふふん! どうだ律!」ドヤ
律「い、いいんじゃないかな…」
律(い、いや、言えてるけど…何か、何かが違うぞ、澪…)
律「おいーっす」
唯「あ、りっちゃんと澪ちゃん。おはよー」
紬「あら、澪ちゃん…目元に」
澪「ああ、わかってる。これは私の努力の証だよ」
紬「遅くまで勉強してたの?」
唯「あ、もしかしてベースの練習じゃない? ほら、昨日調子悪かったし」
紬「ああ! そういうこと!」
唯「澪ちゃん努力家だねー!」
紬「さすがは澪ちゃん! 感心しちゃうわぁ」
澪「……あ、あははは…いやぁ…まいったな」
律(すっげぇいたたまれない顔してる…)
最終更新:2010年05月15日 22:36