律「ど、どうしたんだよ梓……」
梓「え?あ、すみません。声に出しちゃってたみたいですね」
律「いや、別に謝らなくていいけど……」
梓「そうですか」
律「……」
梓「……」
律「……憂ちゃんと何かあったの?」
梓「聞いてくれますか!」ガタッ
律「いやまあ、気になるし……とりあえず落ち着け」
梓「あ、すみません」
律「で、何かあったの?」
梓「それがですねー、今朝のことなんですが……」
~回想~
梓「憂、おはよ~」
憂「あ、梓ちゃん!おはよ~♪」
梓「最近暖かくなってきたね~。朝とか夜はまだ寒いけど」
憂「そうだね~、えへへへへ~♪」ニコニコ
梓「……?憂、どうかしたの?」
憂「え~、何が~?うふふふ……♪」ニコニコ
梓「何かすごく機嫌良さそうじゃん。何か良いことでもあったの?」
憂「まあね~♪昨日の夜、ちょっとね~。えへへ……」ニコニコ
純「止めときなって梓。延々と惚気話聞かされるよ?」
梓「あ、純。……惚気話?」
純「そ、惚気話。何でも昨日の夜は唯先輩が甘えてきて、一緒にお風呂に入ったり抱き合って寝たりしたらしいよ」
梓「なっ!?」ガタッ
純「うわっ!突然大きな声出さないでよ、びっくりするじゃん」
梓「ゴメンゴメン。……それより憂、今の話って本当?」
憂「え~、何が~?」ニコニコ
梓「だからその……唯先輩とお風呂に入ったり、寝たり、とか……」
憂「うん、本当だよ~♪」ニコニコ
梓「っ!へ、へえ~そうなんだ……」
憂「もう甘えてくるお姉ちゃんがすっごく可愛くて!最高だったよ~」ニコニコ
梓「ふ、ふ~ん」
憂「ご飯食べた後ね、お姉ちゃんが『うい~、久しぶりに一緒にお風呂入らない?』って言ってきて……。背中洗いっことかしちゃった♪」ニコニコ
梓「……」
憂「そして寝ようとした時!お姉ちゃんがドアを控えめにノックして、『うい~、今日は一緒に寝ない……?』って上目遣いで頼んできて!びっくりして黙ってたら、
断られると勘違いしたみたいで涙目になって『だ、ダメ……かな……?』って!もう何ていうか、お姉ちゃんやべええええええ!って感じで!」ハアハア
純「憂落ち着け」
梓「……」プルプル
憂「お姉ちゃんに抱き締められるとね、あまりの多幸感で意識がトリップしちゃうんだよ~」ニヘラ
純「それ結構ヤバいから」
梓「ま、まあそうだよね~。私もいっつも唯先輩には抱きつかれてるけど、あったかくて気持ちいいし……」
純「同意するな梓」
憂「えへへ~、いつも抱きつかれてるなんて言ってるけど、梓ちゃんはお姉ちゃんと二人っきりでお風呂に入ったり一緒に寝たりしたことないでしょ~?」ニマニマ
梓「ぐう……そ、それは……」
憂「それは?」
梓「な、ない……けど……」
純「普通はないけどね」
憂「やっぱりそうだよね~!これは私だけの特権だね!」ニコニコ
梓「……」ブルブル
憂「梓ちゃんってば、あんな至福な時間を味わったことがないんだ~。最高だよ~?」ニコニコ
梓「う、うわ~ん!」ダッ
純「あっ、梓どこ行くの!?授業始まるよ!?」
憂「えへへ~……WIN!」
~回想終わり~
梓「……ということがあったわけです」
律「……」
梓「律先輩?どうしたんですか?」
律「……」
梓「お~い、聞こえてます~?」
律「……」
梓「聞けやデコ」
律「誰がデコだ!聞こえてるよ!」
梓「聞こえてるならちゃんと返事して下さいよ」
律「いや、返事しなかったのは悪かったけどさ。何というか……コメントしづらい出来事だな」
梓「そうですか?」
律「そうだろ。大体何で梓は最後に泣いて逃げたんだ?」
梓「え~、そんなことから説明しないと分からないんですか?」
律「いや、おおよその見当はつくけど……。要するに、憂ちゃんに負けた気がして悔しかったんだろ?」
梓「ええ、まあその通りです」
律「何で泣いて逃げるの?」
梓「相変わらず乙女心が分かりませんね、律先輩は。……悔しくて悔しくて、居ても立ってもいられなくなって……恋する乙女はそんなものなんです」
律「へ~……で、梓は私にそんなことを話してどうしたいんだ?」
梓「別にどうもしませんよ。律先輩でも愚痴る相手くらいにはなるかな、と思っただけです」
律「何この子、部長を舐めすぎじゃね?」
梓「それにしても、憂め……私の唯先輩に手を出しただけでなく、自慢までしてくるとは……」ギリギリ
律「落ち着け」
梓「屈辱だ!こんな屈辱は生まれて初めてだ……!憂ェ……!」
律「ネタが混ざって意味分からんことになってるぞ」
梓「さっきから何で淡々と突っ込み続けてるんですか!デコの分際で!」ガタッ
律「口悪すぎだろこの後輩……って馬鹿やめろ!」
ギャーギャー
…
梓「すみません、取り乱しました……」
律「ま、まあいいけど……。ところでさ」
梓「はい?」
律「何で梓はそんなに悔しがってんの?相手は憂ちゃん……唯の妹なんだぞ?」
梓「私からすれば憂だからこそ、って感じですね。憂はすでにシスコンという枠を軽く凌駕して唯先輩を愛しちゃってますよ……」
律「そうなのか?」
梓「そうですよ。そして妹という立場をフル活用して、私の唯先輩にちょっかいを出してます」
律「お前のじゃないけどな」
梓「いいえ、私のです」
律「いや、」
梓「いいえ、私のです」
律「……」
梓「とにかくまずは憂をどうにかしないと……」ブツブツ
律「は~……頼むから喧嘩とかはやめてくれよ?というか、憂ちゃんが羨ましいなら梓も唯に頼めばいいじゃないか」
梓「何をです?」
律「いや、だから一緒にお風呂に入りませんか~?って唯に頼めばいいじゃん。唯なら間違いなくOKしてくれるだろ」
梓「な、なるほど……!その手がありましたか!」
律「いや、思いつかなかったのかよ……」
梓「憂をどうにかしないと、って考えてばかりでした」テヘッ
律「梓って意外と頭弱いのな」
梓「律先輩に言われると普通にショックです」
律「ほっとけ」
梓「じゃあさっそく、唯先輩をホテルに誘ってきますね!」ダッ
律「ああ、頑張れよ~……ってちょっと待て!」ガシッ
梓「何ですか、人がせっかくやる気を出してるのに」
律「何故ホテルに誘う必要があるんだ」
梓「え?一緒にお風呂に入って一夜を共にするなら、やはりしかるべき場所に行くべきでしょう?」
律「いやいやいやいや、一夜を共にって何をする気なんだよ」
梓「だからナニを、」
律「アウトーッ!自重しろ変態!」
梓「ピュアな乙女に何てことを言うんですか!」
律「どこがピュアだ!お前の心は真っ黒に汚れてるよ!」
梓「じゃあどうしろって言うんですか!?」
律「普通に唯の家にお泊りさせてもらえばいいじゃん。もちろん憂ちゃんとも仲良くしろ」
梓「え~」ブー
律「不満そうにするな」
梓「ちぇっ、分かりましたよ。律先輩って意外と真面目なんですね」
律「梓は意外と変態だな」
梓「うっさいです、唯先輩を愛してるだけです」
ガチャッ
唯「やっほー!」
澪「遅れてゴメンな、二人とも」
紬「すぐお茶にするわね」
律「お~、やっと来たか」
梓「先輩たち、遅いですよ!」
唯「あずにゃん、ゴメンね~。淋しかった~?」ダキッ
梓「べ、別に淋しくなんか……離れて下さい!///」
唯「あずにゃんにゃん♪」ギュー
梓「あっ、あっ、あ……///」ビクビク
律(梓の奴、完全にトリップしてやがる……。というか、私と話してた時と変わりすぎじゃね?)
澪「ほら、唯!遊んでないで練習始めるぞ!ムギもお茶の準備はいいから!」
唯「え~、ティータイムしないの?」
澪「今からティータイムしてたら練習出来なくなるだろ?ほらほら、準備準備」
唯「ちぇ~……」スルッ
梓「あ……」シュン
澪「ほら、律も」
律「へいへい、分かってますよ~」
練習!
終了!
澪「何だかあっという間に終わったな」
紬「そうね、まるで練習風景を描写するのが面倒臭くてスルーしたみたいね」
澪「えっ」
律「何それ怖い」
唯「よし、それじゃ帰ろ~!」
律「帰りにどっか寄ってく?」
唯「それならアイスがいい!」
律「ま~たアイスかあ?唯は本当に好きだな~」
唯「アイス美味しいもん!あずにゃんはどこか行きたいとこある?」
梓「それはもちろんホテ……唯先輩が行きたいとこでいいですよ」
唯「おお~、ありがとうあずにゃ~ん♪」ダキッ
梓「あふう……///」
律(今梓は何を口走ろうとしたんだ……)
澪(ホテ……?)
唯「それじゃアイス屋へゴーッ!」
アイス屋!
唯「アイス美味しい~♪」ペロペロ
梓「最近は気温が上がってきたから、一層アイスを美味しく食べれますね」ペロペロ
紬「うふふ、そうね」
澪「おい唯、零れそうになってるぞ」
唯「えっ?うわ、本当だ!」アタフタ
律「……」
律「……おい梓」ヒソヒソ
梓「……何ですか律先輩。私は今、垂れそうになったアイスを必死に舐める唯先輩を視姦するのに忙しいので話し掛けないで下さい」ヒソヒソ
律「いや、お前さあ……唯の家に泊まりに行く計画はどうするんだ?何も行動を起こさないけど」
梓「うう……。分かっているんですが、なかなか私からは話を切り出しにくいんです」
律「何だそりゃ」
梓「私は恥ずかしがり屋で内気な乙女なんです。察して下さい」
律「嘘つけ」
梓「うっさいです」
律「はあ……まあいいや。乗り掛かった船だ、協力してやるよ」
梓「協力?」
律「お~い、唯~!」
唯「ん?どうしたのりっちゃん」
律「突然だけど、今日唯の家でお泊まり会をしないか?」
唯「お泊まり会?」
律「そ、皆で集まってな。実は今日、梓は親がいなくて一人っきりらしいんだ。淋しくて泣いちゃうから、誰かと一緒にいたいよ~って梓が」
梓「ちょっ、何言ってんですか!」
唯「そうなの!?可哀想なあずにゃん……もちろんオーケーだよ!」ダキッ
梓「にゃっ!?ゆ、唯先輩……///」
紬「あの~……盛り上がっているところに水を差すようで申し訳ないんだけど、今日は家の用事でお泊まりは無理なの……」
澪「私もちょっと……」
唯「え~、そうなの?残念……りっちゃんは来れるよね?」
律「ああ、私は大丈夫だよ。ムギと澪には悪いけど今日は3人で、ってことだな」
唯「そうだね~」
梓「……ちょっと律先輩」ヒソヒソ
律「どうした?」ヒソヒソ
梓「何で律先輩まで来るんですか。ここで流れに乗って律先輩も用事があることにすれば、私と唯先輩の二人だけのDream Timeになるのに……」
律「私から言いだしたのに、それは不自然だろ……。それに憂ちゃんがいるから、どちらにしろ二人っきりじゃないぞ」
梓「……忘れてました」
律「本当に梓って唯のことになると頭弱くなるよな……」
梓「しょうがないので律先輩には憂を引き付ける役を与えましょう。律先輩程度でも囮くらいにはなりますよね?」
律「もうヤダこいつ」
澪「じゃあ、私とムギは先に帰るよ」
紬「また今度誘ってね?」
唯「もっちろん!澪ちゃんムギちゃん、またね~」
唯「じゃあ二人とも、さっそく私の家に行こう!」
律「あ~、ちょっと待て唯。私たち着替え持ってないから、一先ず家に寄らせてくれ」
唯「そうなの?じゃあ私も付き合うよ~」
梓「唯先輩は先に帰っていてもいいですよ?」
唯「あずにゃんと少しでも長く一緒にいたいんだよ~♪」ギュー
梓「にゃあ……///」
唯の家!
唯「あずにゃ~ん……♪」ナデナデ
梓「ふにぃ……///」
律「お~い唯、着いたぞ~。いつまで梓に抱きついてるんだ~」
唯「よ~しよしよしよし……」
梓「ふにゃ~///」
律「聞いちゃいね~……もう先に入るか。お邪魔しま~す」
ガチャッ
憂「お帰りお姉ちゃん!ご飯もお風呂も準備出来てるけど、今日はまず私にする?それとも私にする?あるいはわ・た・し?」
律「……」
憂「あ……」
バタンッ
律「……」
律(私の目が狂っていなければ、裸エプロンの憂ちゃんが玄関先にいたような……)
唯「どうしたのりっちゃん、早く入ろうよ~」
梓「何ボーッとしてるんですか?」
律「あ、ああ。入るか……」
ガチャッ
憂「お帰りお姉ちゃん♪あ、律先輩と梓ちゃんも……」
唯「うい~、ただいま~。今日りっちゃんとあずにゃんが泊まっていくよ~」
律(なかったことにした、だと……!?しかも僅か十数秒足らずで衣服をしっかり着込んでる……)
憂「えっ、そうなの!?も~お姉ちゃん、事前に教えておいてくれないと……」
唯「えへへ~、ゴメンゴメン」
律「あ、あはは……ゴメンね憂ちゃん、急に押し掛けちゃって……」
憂「あっ、気にしないで下さい!今日はちょうどカレーをいっぱい作ったので、律先輩と梓ちゃんもどうぞ♪」
唯「さっすが憂!」ダキッ
憂「もう、お姉ちゃんってば……///」ギュウ
律(出来た子だ……)
梓(憂……)ギリッ
夕食後!
唯「ご馳走様~」
梓「甘かったけど……美味しかったです」
律「憂ちゃんは相変わらず料理が上手いなあ」
憂「えへへ、御粗末さまです」
唯「よ~し、じゃああずにゃん!一緒にお風呂入ろう!」
憂「っ!?」
梓(キターーーーーッ!!!)
律(まあ唯ならそう言ってくると思ってたけど、見事に予想どおりだな)
唯「いいよね、あずにゃん?」
梓「や、やってやるです!」フンス!
憂「お、お姉ちゃん……。二人で一緒にお風呂に入るには……その、家のお風呂じゃ狭いんじゃないかな~?」
唯「大丈夫だよ~、憂とも一緒に入れたし」
梓「そうだよ憂、一緒に入ったって話してたじゃん」ププッ
憂「……!」ギリッ
律(梓ー!憂ちゃんをあまり刺激するなー!)
律「じ、じゃあ私は後でいいから……唯と梓が先に入れよ」
唯「分かった!」
律「う、憂ちゃんもそれでいいかな?」
憂「あの糞猫が……」ボソッ
律「!?」ビクッ
憂「はっ!……私は最後でいいですよ。お風呂掃除もありますし」
律「そ、そっか」
律(怖え~~~!)
最終更新:2010年05月16日 23:37