梓「暑い……」テクテク
梓(はぁ、汗で服がびしょびしょだよ。夏はこれが嫌なんだよね)
梓(ちょっとそこの本屋で涼んでこうかな……)
梓「何か新刊でてるかな……あれ?」
紬「……」ジーッ
梓「あの漫画雑誌のところにいるのって……ムギセンパーイ」
紬「!?あ、梓ちゃん」
梓「ムギ先輩も漫画読むんですね!なんか意外です」
紬「う、うん。ちょっと立ち読みしてたの」サッ
梓「何で隠すんですか?」ヒョコッ
紬「あっ……」
梓「コミック、百合姫……?聞いたことない本です」
紬「こ、これは頼まれた本で……わ、私行くね?ごめんね!」
梓「あっムギ先輩?……行っちゃった」
梓(少女漫画っぽかったけど、どんな本なんだろう?)キョロキョロ
梓(ムギ先輩が持ってったのがラストだったみたい……もうないや)
梓(うーん、ないとわかったら気になってきちゃった。後で調べてみよっと)
梓の家
梓(えっと、たしか……コミック、百合姫。だよね)カタカタ
梓(公式HPを見てみたけど、いまいち内容がわからないなあ)
梓(まあいいや。また明日にでも他の本屋に行って立ち読みしてみよっと)
翌日
梓「ここにも売ってない……」
梓(もうここで3件目なのに……。そんなにマイナーな雑誌なのかな)
梓(どうしよう。もうネットで注文しちゃおうかな?)
梓(立ち読みでよかったんだけどなあ……まあムギ先輩がはまっちゃう漫画なら買っても損はしないよね)
梓(帰ったら注文しておこう。Amazonにあるかな?)
翌日
梓「ただいまー」
梓母「おかえり。梓に何か届いてたわよ」
梓「あっありがとう。いくらだった?」ゴソゴソ
梓母「1000円でいいわよ」
梓「えっそんなに?」
梓(漫画雑誌1冊なのに……。どんな本なんだろう……)」
梓の部屋
梓「さてと、早速読んでみよっと」ペラッ
梓「……」ペラッ
梓(あ、やっぱり少女漫画なんだ)
梓「……」ペラッ
梓「……へぇ」
梓(仲のいい女の子達のちょっといいお話って感じかな)
梓(友達の女の子への嫉妬や独占欲を題材にしたりしてるんだ)
梓(うん、こういうのって確かにあるよね。でも、珍しいタイプの漫画かも)
梓「あっ……」
梓(女の子同士でキスしてる……)ペラッ
梓「!」
梓(えっ、嘘)ペラッ
梓(そんな事まで!?)ペラペラペラ
梓「わ、わ」
梓(なんなのこの漫画~///)
翌日
唯「ん~。おいひぃ~」モグモグ
紬「……」ニコニコ
梓(ムギ先輩があんな本を読んでるなんて)
梓(やっぱり、あ、あいうことに興味があるのかな……?)
梓「あの、ムギ先輩」
紬「なあに?」
梓「この前ムギ先輩が見てた本なんですけど……
紬「!?あ、梓ちゃんっ」
唯「なになに~?何の話?」
紬「な、なんでもないの!」
律「んん~?怪しい!さてはムギ、エッチな本を~」
澪「ムギがそんなの見るわけないだろ!」ゴツン
紬「み、皆!そろそろ練習しましょう?」ガタン
澪「ああそうだな。皆やるぞー」
唯「ぶー!きになるー!」
部活後
紬「あの、梓ちゃんちょっといいかしら?」
梓「あ、はい」
紬「この前の本……見たの?」
梓「は、はい。ちらっと持ってるのが見えて……気になったので読みました」
紬「……」ジワッ
梓「ムギ先輩!?」
紬「気持ち悪いでしょ……?」ジワッ
梓「そ、そんなことありませんよ!おもしろかったと思いますよ!?」
紬「嘘よ……」グスッ
梓「ほんとですよ!」
紬「じゃあ、どんなところがよかったの……?」グスッ
梓「えっと……」
紬「……」
梓「女の子がたくさん出てきて可愛いかったです」
紬「うっ……」ジワッ
梓「な、泣かないでください!」
梓(考えろ私!ムギ先輩が喜びそうな感想を!)
梓「えっと」
梓「女の子同士という禁断の恋という背徳感、女の子に告白することで今までの関係が崩れてしまうことを恐れたりとか」
梓「あと思春期の女の子特有の同性への憧れとか、色んな要素が詰まっていて……」
梓「その……」
紬「……」
梓「……ちょっとドキドキしました」
紬「!」パァァァ
紬「そうなんだぁ」パァァァ
梓(よかった、元気になったみたい)
紬「私もね、百合が大好きなの!」
梓「百合?あの、気になってたんですけど百合ってなんなんですか?」
紬「!気になる?気になるのね?」
梓「は、はぁ」
紬「そうね、女の子同士の恋愛って思ってもらえばいいわ」
梓「それが百合……ですか」
紬「ただ、百合って言っても人によって定義が違ったりするから一概には言えないのだけど」
梓「へぇ……」
紬「恋愛感情がなくても、女の子同士が仲良くしてれば百合って言う人もいるの」
梓「恋愛してたら百合、仲がいいだけのも百合。なるほど」
梓「あの、えと」
紬「なあに?」
梓「レ、レズ……とは何が違うんですか///」
紬「レズじゃなくて、レズビアンね」
梓「あ、はい」
紬「うーん……難しいところだけど、肉体関係があればレズビアン、それがなかったり、精神的な繋がりを重視したものを百合と言う人が多い……かな」
梓「そうなんですか……。じゃあ百合っていうのはちょっと控えめな表現。なんですね」
紬「そうね。百合……いい響きよね~♪」ウットリ
梓「……」
紬「あっごめんなさいね。えっと、梓ちゃんも百合の良さがわかってくれたってことでいいのよね?」キラキラ
梓「えっ……。新鮮でしたし、おもしろいと思った漫画もあったんですけど……」
梓「え、えっちしてたりとか、そういうのはちょっとまだついていけないかなって思いました」
紬「そうなんだ……。たしかにあの本はストレートな恋愛物ものってるし……。百合初心者には早いかも……」ブツブツ
梓「ムギ先輩?」
紬「わかった!明日梓ちゃんも抵抗なく読めるような、ライトな本を持ってくる!」ガシッ
梓「えっ!?い、いいですよ!」
紬「ううんいいの気にしないで!私が勝手に持ってくるだけだから!」
紬「そうと決まったら早く帰ってオススメの本を選ばなくちゃ!ごめんなさい梓ちゃん、私先に帰るわね!」
梓「ちょ、ちょっとムギ先輩!……行っちゃった」
翌日
紬「梓ちゃん♪」ニコニコ
梓「は、はい」
紬「はい、とりあえずコレね♪」ドサッ
梓「ありがとうございます(多い……)」
梓「あれ?これも、これも……。全部同じ雑誌の漫画なんですか?」
紬「ええ。まあ厳密には違うのだけれど、『きらら』っていう四コマ雑誌なの」
梓「へぇー」
梓「ふんふん……」ペラペラ
梓「この雑誌には『百合漫画』しか載ってないんですか?」
紬「あ……。それはガチ百合漫画じゃないのよ」
梓「ガチ?ガチって何ですか?」
紬「私は女の子同士の恋愛をメインテーマにしてたり、明確な恋愛感情が描写されてる漫画をそう呼んでるの~」
梓「そ、そうですか。色々あるんですね」
紬「きららは女の子ばかり出てくる漫画が多いんだけど、基本的には仲がいいって描写だけで恋愛要素は含んでないのよ」
梓「へぇ……」
紬「あと、百合漫画雑誌ってわけじゃないから、女の子と男の子のラブコメもちゃんと載ってるわ」
梓「じゃあこの本は百合漫画!っていうわけじゃないんですね」
紬「女の子同士が仲良くしている本、かな。でも読んでいると和むの~」
梓「これなら私も気軽に読めそうです」
紬(本当は色々と妄想しながら読むともっとおもしろいんだけど)
紬「今日はきららの中でもメジャーで、かつ百合的においしい漫画だけ持ってきたの」
梓「えーと、ひ○まりス○ッチ、か○めも、落○流水、け○おん!かぁ」
紬「まだ他にもオススメの本があるんだけど……残念だわ」
梓「い、いえ。とりあえずこれくらいで!家に帰ったら読んでみますね」
紬「うん!感想きかせてね~♪」
梓「はい」
……
唯「もう、ムギちゃんたら!あずにゃんを独り占めしてずるいよ!あずにゃん分が足りなくなっちゃうよ!」
唯「悔しいから今日はアイスをやけ食いしちゃうんだから!」プンプン
唯「ただいまー!」プンプン
シーン
唯「あれ?うーいー?」
唯「うーいー?部屋ー?」
唯「うーいー?いるの?」コンコン
憂『!?』
憂『お、お姉ちゃん!?ちょっとまって!?』
唯「何やってるの?」
憂『き、着替えてるから!ご飯もうできてるから先に行ってて!?』
唯「ほーい」
唯「ねえ憂、ゆりって知ってる?」
憂「ぶっ!ゆ、百合!?」ゴホゴホ
唯「あのね、あずにゃんとムギちゃんが内緒話してて」
憂(紬さんと梓ちゃんが!?百合!?)
唯「こっそり聞き耳立てたんだけど、ゆりがどうとかこうとか……本のことらしいんだけど」
憂「たぶんだけど、お花の百合じゃないかな?誰かに贈ったりするんだよきっと」
唯「そうなのかなあ……」
憂(紬さんと梓ちゃんも百合好きだったんだ……。私も語りたいよぉ!)
梓の家
梓「ふぅ、宿題終わりっと。借りた漫画でも読もうかな」ガサガサ
梓「あれ?本が増えてる……」
梓「ゆ○式、天然あ○みにゅ○む、プ○プアLI○S……いつの間に」
梓(こっそり自分のオススメ漫画を紛れ込ませてるのが嫌らしい……)
梓「今日中にどこまで読めるかなあ……」ペラッ
放課後
梓「こんにちはー」
唯「あっ!あずny」
紬「梓ちゃん!待ってたわ!」ガタッ
梓「ムギ先輩。もう、昨日はアレのお陰で寝不足です……。授業中に寝ちゃいました」
澪(アレ?)
紬「ごめんなさいね?あっ、あっちで話しましょ!うふふ」グイグイ
梓「わっ、もうムギ先輩ってば」
紬「で、どうだった?」キラキラ
梓「はい、結構おもしろいです。特にけい○ん!はなんだか他人事とは思えませんでした。特に後輩のツインテールの子が」
紬「あ、梓ちゃんもそう思う!?私もあの漫画はとても感情移入できると思ってたの!」
梓「でもツインテールのキャラって黒髪ロングの先輩に憧れつつ、天然ギタリストの先輩が気になっちゃったり」
梓「さらには金髪ロングのおっとりした先輩のことキレイだなってみとれちゃったり」
梓「さらには天然ギタリストの妹とも仲が良かったりして」
梓「あんまりですよね。優柔不断すぎます!」
紬「うんうん、そうよね!私もそれは気になってたの!どの子が本命なのかしっかりしてほしいわ!」
紬「他には?他の漫画ではどんなカプがよかったの!?」ワクワク
梓「カプ?」
紬「あっ、ごめんなさい!えっと、どの女の子同士の組み合わせがいいと思ったかしら!?」
梓「組み合わせ?うーん……」
梓「ひ○まりスケッチの、ボーイッシュな先輩とおっとりした先輩はすごく仲がいいと思いました」
紬「ヒロと沙英ね!あのカプは鉄板よね!梓ちゃん偉い!わかってる!」
梓「え、そうですか?えへへ……。あとは」
紬「うんうん!」
梓「か○めもの、主人公の子とツンツンした子ですかね。ツンツンした子は明らかに主人公の女の子が好きに見えます」
紬「ああ、かなみかね。それも鉄板ね」
梓(反応が薄い……)
梓「ごめんなさい、昨日はここまでしか読めませんでした」
紬「ううん、いいのよ!読み終わったらまた感想をきかせてね!」
梓の家
梓「ふぅ……。終わりっと」ポスッ
梓「やっと最初に借りた本を読み終わった……けど、また今日ムギ先輩に持たされたのが」
梓「えっと、今日のは……らき○すた?」ペラッ
梓「……」ペラッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~
梓「だめ、ネタの意味がよくわからないよ」
梓「これはちょっと私には理解できないかなあ」ペラッ
梓「百合的には、みなみとゆたかがよさそうなだけど……」
梓「明日ムギ先輩に聞いてみよう」」
翌日
梓「というわけです」
紬「あらっ!あらぁ~……!」
梓「?」
紬「ごめんなさい!らき○すたはアニメ版が一押しだったのよ~」
梓「アニメ版?アニメにもなったんですか?」
紬「そうなの。らき○すたは漫画版だと百合妄想が難しいのよ」
梓「じゃあアニメ版は百合ってことなんですか?」
紬「うーん、百合アニメとは言い難いのよね……。梓ちゃんには無理かもしれないわ」スッ
梓「あっ……」
紬「あらあら?どうしたの?」
梓「いえ……その」
梓「一応……見るだけ見てみようかな」
紬「あらそう!?じゃあはい!これ!」ドン
梓「こ、こんなにあるんですか……」
紬「まあアニメは他の作業しながら流し見でもいいから♪」
梓「いえ、借りるからにはしっかり見ます!」
最終更新:2010年05月23日 01:23