ライブハウスの外にて…
律母「あ、秋山ん奥さん!」
澪ママ「あら、田井中さん、お早いわね。旦那さんは?」
律母「うちん人ばすでに中でお酒ば飲んどるっちゃよ」
澪ママ「あらあら」
唯母「あの……、もしかして桜高の……」
澪ママ「はい、そうですが……」
唯母「はじめまして、唯の母です」
律母「ああ~、律からば聞いちょりますけん。唯ちゃんのお母さん」
澪ママ「よろしくお願いします。すいませんね平沢さん
なんだかうちの澪がクリスマスやら大晦日やらお世話になったみたいで」
唯母「いえいえ、私も家にいることが少ないので……
こちらこそ唯がご迷惑をかけていないか……」
律母「これうちん地元の明太子ですけん。良かったらどうぞ」
唯母「そんな……」
律母「よかとですよ。うちの律もお世話になりっぱなしですけん」
唯母「そうですか? それじゃあ遠慮なく。あなた、これ田井中さんから頂いた明太子」
唯父「これは、りっぱな明太子をありがとうございます」
律母「お口に合えばよかばってんがね」
唯父(博多弁……だよな)
唯母(生で初めて聞いたわ……)
澪パパ「これはみなさんお揃いで……」
澪ママ「あら、あなた」
澪パパ「田井中さん、どうも」
律母「あいかわらず、背ば高くてよか男ね。奥さんがうらやましか~」
澪パパ「ははは……(ちょっと苦手なんだよな~……)」
唯父「あ、どうも」
澪パパ「……えっと、こちらは?」
澪ママ「平沢さん。ほら澪と一緒にやってる同学年のギターの」
澪パパ「ああ~、よく澪から話は聞いていますよ。よろしくお願いします」
唯父「いえいえ、こちらこそ」
聡「はぁ……。なんで親同士っていっつもああなんだろ……」
憂「もしかして、聡君?」
聡「え? はい、そうですけど……」
憂「律さんから話はきいてるよ。唯の妹の憂です。よろしくね」
聡「は、はいっ!(か、かわいいなぁ////)」
律父「かーちゃん、もう小遣いあらへんわ」
律母「あんた、さっき渡したと全部使ってしもうたんね!」
律父「娘の晴れ舞台やからの~。酒も進むっちゅ~もんやで!」
律父「秋山さんも一緒にどうでっか?」
澪パパ「え、遠慮します……」
律父「そないなこと言わんと」
澪ママ「田井中さん相変わらずね」
律父「秋山の奥さんも相変わらず綺麗でっせ~」
澪ママ「あらあら」
唯父「なんか凄いな……」
唯母「そうね……」
聡(俺が恥ずかしいよ、とーちゃん……)
憂「どうしたの聡君?」
律父「ところで、噂の琴吹さんはまだ来とらんのかいな?」
澪ママ「澪から聞いた話ではお忙しい方らしいですからねぇ」
律母「あんたのごたぁに休みん日ば家でゴロゴロしとるだけん人じゃなかっちゃ」
律父「ホンマ、うるさいやっちゃの~……」
唯母「もうそろそろ開演時間ですね」
唯父「それじゃあ中に入りましょうか」
憂(お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん////)
聡(あ、なんか憂さんの今の表情すごくいいなぁ////)
ライブ開演
唯「みなさん、ようこそ!」
唯「私たちは桜ケ丘高校の軽音部でバンドを組んでいる放課後ティータイムっていいます」
律父「律ー! 太鼓がんばれやー!」
律「ちょ!? だからドラムだって言ってるだろー!」
律母「あんた! 黙っとらんね!!」
\ どっ!! / \ ワハハ! /
聡(は、恥ずい……)
律「とーちゃん早速酔っ払ってやがる……」
澪「律のおじさんおばさんは相変わらずだな」
律「澪のとこは……お、一緒の辺りにいるな」
唯(お父さん、お母さん、憂、見ててね!)
唯「それじゃあ、いい夜にしたい! ヨロシク!」
\ イエ~イ!! / \ がんばれよ~! /
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唯「つ~い~に~最~後~の~曲~に~な~り~ま~し~た~」
唯父「なんで唯のやつ、わざとゆっくりしゃべってるんだ?」
唯母「さぁ?」
紬「……」
律「まだムギのとーちゃん来てないのか?」
澪「そうみたい……」
梓(お父さん)チラッ
梓父(悪いが、もう時間は押し気味だ)カンペ
紬「……りっちゃん、始めましょう」
律「あ、ああ……」
律「ワン・ツー・スリー……」
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ジャジャ、ジャジャ、ジャ~ン♪
唯「ありがとうございました!」
唯「この後も素敵なバンドが沢山出てきます、楽しんでいって下さい」
\ パチパチパチパチパチ!! / \ 良かったぞ~!! /
\ 大阪名物パチパチパンチや!! /\ あんた!なんばしよっと!! /
澪「ムギ……」
紬「ごめんね、ちょっとミスしちゃった……」
律「気にするなよ、それより……」
紬「ちょっと、外に出てくるわ」
唯「あ、ムギちゃん」
梓「唯先輩……、今は一人にさせてあげましょう」
…
紬「ヒッグ……ヒッグ……」
紬「お父様の嘘つき……」
紬「……お仕事も大事だって私もわかってる」
紬「……我慢しなきゃいけないって、わかってる」
紬「でも、悲しい……」
紬「……」
紬「みんなが待ってる……」
紬「いつまでも泣いてなんていられないわ」
\ ・・・・・・!! /
紬「……今、微かにお父様の声が……?」
紬「いいえ、きっと幻聴ね……」
\ オーイ ツムギー!! /
紬「!? 間違いない! どこからかお父様の声が!?」
\ 紬!! 今行くぞ~!! /
紬「お父様!? いったいどこから?」
紬父「上だ~!! 紬~!!」
紬「上?」
紬「!?」
紬父「お~い!」
紬「そ、そんな!?」
紬「お父様が……」
紬「お父様が空を飛んでいる!!」
紬父「すまん、紬」
紬「お父様! いったいそれは?」
紬父「ああ、これはこの度うちの会社が開発に成功した、スーパーマンなりきりセットだ」
紬「スーパーマンなりきりセット?」
紬父「これをつけると誰でもスーパーマンのように空を飛べるという優れものだ」
紬「そうだったの……、だからあのように空を」
紬父「ああ、だが私は時間に遅れてしまった……」
紬父「どうやら紬のスーパーマンにはなれなかったようだ……」
紬父「どのような言い訳もできん!」
紬「いいえ、お父様。私はお父様がそのような危険も顧みず駆けつけてくださったことが嬉しい」
紬「たとえ、時間に遅れても……、お父様は来てくださった」
紬「紛れもなく、お父様は私のスーパーマンです!」
紬父「紬っ!!」ダキッ
紬「お父様!!」ダキッ
紬父「いつか娘に『父はスーパーマンだ』と言われるのが夢だったのだ! 紬よ!」
唯「ムギちゃ~ん……大丈夫……うわっ!?」
梓「ムギ先輩……そろそろ中に入った方が……げっ!?」
律「なんだ!? いったいどうしたんだ!?」
澪「ひっ!? ムギが変な格好のおじさんと抱き合ってる!」
梓「お、落ち着いて下さい! あれよく見たらムギ先輩のお父さんですよ!」
唯「スーパーマンだっ!!」
律「割烹着姿からあんな格好まで……」
澪「なぁ、本当に大きな会社の社長なのか?」
律「私に聞くなよ……」
… … …
紬父「どうもみなさん、遅れて申し訳ない」
紬「ご紹介します。私の父です」
紬父「紬の父です」
唯父(これが世界のトップ10に入る企業の社長……! 変な格好だけど……)
唯母(さすが、威厳があるわね 変な格好だけど……)
憂(お姉ちゃんが、紬さんのお父さんをキラキラした目で見てる!
やっぱり、変な格好に憧れてるの!?)
澪パパ(やっぱりどことなく娘さんに似ているなぁ 変な格好だけど……)
澪ママ(澪ちゃんったらライブで昂ぶって顔が紅潮してて可愛い
それにしても、この人変な格好ね……)
律父(くいだおれ太郎かいな……。 けったいな格好しよってからに……)
律母(こん人もけっこうよか体しよるばい ばってん変な格好しようね……)
聡(か、カッコイイ!!)
梓父(ワンダホー……、ビューティホー……、ファンタスティック!!)
梓母(ダーリンもこんな格好がきっと似あうわ!)
唯「でも、せっかく来てくれたのにもう私たちの出番は終わっちゃったし……」
梓父「どうだろう? 琴吹さんのためにも君達、もう一度ステージに上がってみないかい?」
紬「いいんですか!?」
梓父「ああ、このライブハウスを経営している人とは旧知の仲でね
このイベントが終わった後で少しだけっていう条件だけどね」
澪「はい! お願いします!」
唯「良かったね! ムギちゃん!」
律「よっしゃ! ムギのとーちゃんのためにも最高のパフォーマンスを見せるぜ!」
梓「ありがとう! お父さん!」
梓父「梓、違うだろ?」
梓「だ、ダディ……////」
梓父「イエ~~~ッス!!」
唯「あずにゃん 欧米か!」
律「もう、いいっての……」
唯父「それにしても唯もいつの間にか成長したんだな」
唯「えへへ……、もっと褒めていいよ!」
唯母「あのライブにかける情熱をもう少し日常生活に活かせてもらえればねぇ……」
唯「そこまで言われるとさすがに照れるよ……////」
唯母「どう聞いたら褒め言葉に聞こえるのかしら……」
唯「へっ?」
憂「お、お姉ちゃんカッコ良かったよ!」
唯「うん! ありがとう憂」
唯父「あまり見ない間にこんなに立派になって……」
唯父「お父さん嬉しいぞ!」
唯「ち、ちょっと、お父さんこんなとこで泣かないでよ」
唯父「唯~!!」
憂「やめて! お父さん! お姉ちゃんに抱きつかないで、臭い移っちゃう!!」
唯父「……はい」
唯母「……」
最終更新:2010年05月24日 22:02