梓「お、お嫁さん……!?」ドキドキ
憂「……!!」ピクッ
―ザクッ
憂「い、痛っ……!!」
唯「う、憂、大丈夫? めずらしいね、憂が包丁で指切るなんて……」
憂「あたた……」
唯「ほら、見せてみて」
―ちゅぱっ(憂のケガした指を舐めだす唯)
憂「……!!」
梓「……な、な」
憂「……」ドキドキドキ
―ちゅぱっ
憂「お、お姉ちゃ……」ドキドキ
憂「……」ドクンドクンドクン
唯「うーん、なかなか血、止まらないね」
―ちゅぱっ
憂(も、もう死んでもいい……///)
唯「ば、絆創膏とってくる」
憂「……」ポー
―タタタ
憂「……」ドキドキドクンドクン
梓「う、憂、大丈夫、どんどん血が溢れてくるけど……」
憂「……」ポー
梓「ほ、ほら、たれてくるよ、拭かないと……」
―ぐい
憂のケガした指を拭こうとする梓
梓「……あ」
梓(ゆ、唯先輩が舐めた指……唯先輩が舐めた……)ドキドキ
梓(い、いや、ダメよ、変なこと考えちゃ、早く血を拭かないと……)
―フキフキ
梓「もー、こんなに血たらして……」
憂「……はっ!」
憂「……あ、梓ちゃん、ありがと」
梓「……」キョロキョロ
憂「あ、ゴミ箱そこにあるよ」
梓「わ、分かった……」
梓「……ん?」
拭き終わったティッシュを捨てる直前になって、
何かに気が付いた梓
梓(ゆ、唯先輩が舐めた指を拭いたティッシュ……唯先輩の舐めた……)ドキドキ
―タタタ
唯「憂、お待たせー!絆創膏持ってきたよ」
憂「あ、ありがと、お姉ちゃん///」
梓「……!!」ササッ
梓(わ、私ったら、何でティッシュをとっさにポケットに……)ドキドキ
梓(い、いや、これは家に持って帰って捨てるのよ)
梓(そうよ、ここで捨てたら迷惑かなって思って持ち帰るだけよ)
梓(け、決して変な意味じゃ……)ドキドキ
憂「……よし、じゃあ料理の続きするね」
唯(憂、大丈夫かな……?)
唯「よし、ここは憂に代わって、私が料理を……」
憂「い、いいよ、大丈夫だから、お姉ちゃんは遊んでて!」
唯「そ、そぉ……?」
憂「う、うん、大丈夫大丈夫!」
唯「……よし、じゃああずにゃん、遊んでよっか?」
梓「……い、いいですけど……その……」モジモジ
唯「……?」
憂「―♪」(前よりも上機嫌で食材を運び出す)
梓「……ほ、本当にやるんですか?///」
唯「……ん、何を?」
梓「だ、だから……その……」モジモジ
唯「……?」
梓「……お、お嫁さんゴッコ///」
憂「……」ピクッ
―ガッシャーン
唯「憂、憂、大丈夫?」
憂「だ、大丈夫だよ、ちょっとお盆落としちゃっただけだから……」
唯「そ、そう、良かった」ホッ
唯「で、あずにゃん、何だっけ?」
梓「だ、だだだから……あの……///」
唯「……?」
梓「お、おおお、おお嫁さん……お嫁さん……」ドキドキバクバク
唯「ああ、そうそう、こないだ、公園でお嫁さんゴッコしてる子共がいてね
懐かしいなーって思ってたらやりたくなっちゃって……」
憂「……」ドキドキ
梓(そ、そっか……そういうことだったのか)
梓(べ、別に先輩は変な意味で言ったんじゃないのに、私ったら……)
梓「い、いいいですよ、先輩がやりたいなら……///」
唯「おー、あずにゃん、意外とノリがいいね」
梓「な、なんですか///」
唯「てっきり、『そんな幼稚なこと……』みたいに言うのかと……」
梓「わ、わわ私だって、やるときはやりま……」
梓(い、いや、何考えてるのよ、私!)
梓(先輩は純粋に私と遊ぼうとしてるだけなのに……)
梓(わ、私ったら、何考えて……)ドキドキ
唯「……?」
梓「……」ドキドキ
唯「よーし、じゃあまず配役を決めよっか!」
梓(は、配役……)ドキドキ
唯「じゃあね、お嫁さんは……」
憂(……お、お嫁さん!?)
憂(い、嫌だ……例え遊びでも、
お姉ちゃんに他の人のお嫁さんなんかになって欲しくない)ドキドキ
憂「あ、あのさ、お姉ちゃん……」
唯「よし、憂がお嫁さん!」
憂「……え、私?」ドキッ
梓「……う、憂も入れるんですか?」
唯「うん、だって料理してるからお嫁さんっぽいでしょ?」
梓「ま、まあ確かに……」
唯「それで……あずにゃんがダンナさん」
梓「わ、私が相手?……じゃあ先輩は誰をやるんですか?」
唯「うーん……じゃあね……」
唯「二人の娘で、全く働く気のない家事手伝いの役!」
憂・梓(……ぴ、ぴったりすぎる)
梓「そうなると、二人はある程度の熟年夫婦ってことになりますよね……」
梓「……ある程度、冷めた感じにした方が面白みが……」
唯「ちょ、ちょっとあずにゃん、細かすぎるよ」
憂「そ、そうそう、そこまで考えなくても……」
憂(……って、頭の中でお姉ちゃんとのお嫁さんゴッコを何十回もシュミレートした
私が言うのもなんだけど……)
―パン
唯「はい、スタート!」
梓「……え、え?」
唯「ご飯まだー?」
憂「はいはい、後で部屋に持ってきますよ」
梓(あ、あれ、この二人、あまり変わってないような……)
憂「ちょっとお父さん、テレビばっか見てないで、たまには唯のこと叱ってやって下さいよ」
梓(あ、あれ、憂、意外と乗り気だ……)
梓「……よし、唯、ちょっと来なさい」
唯「ほい」
唯「なーに?」ダラダラ
梓「ふざけないで、ちゃんとこっちを見なさい!」
唯「はーい」
梓「う……」ドキッ
唯「なーに、お父さん?」
梓(じ、直に見つめられると……///)
梓「ゆ、ゆゆゆ、唯、あ、ああのな、その……///」
唯「……?」
憂「はい、ご飯できたよ!」
梓「わ、遊びながらなのに、早っ!」
唯「憂はこういうのすっごい手際いいからねー」
憂「えへへ♪」
―カチャカチャ
唯「よし、いただきまーす」
梓「い、いただきます」
―ぱくぱく
唯「お母さんの料理、やっぱり美味しいよ」
梓「……あれ、まだ続いてたんですか?」
憂「ありがとぉ、唯!」ナデナデ
唯「わーい、ママ大好き♪」
憂「……!!」ドキッ
憂(こ、こういうのも悪くない……かも)ドキドキ
梓(……普通に美味しい)
唯「ほら、お父さんも何か言ってあげなよ!」
梓「……うん、おいしいよ」
憂「えへへ、ありがと」
梓(……何か悔しいな)
―ぱくぱく
梓(……それにしても)
梓(唯先輩とこうやって同じ食卓を囲える日が来るなんて……)
梓(それに、遊びとはいえ、こんな家族みたくして……)
梓(こ、このまま、本当の家族になれたら……)ドキドキ
唯「ごちそうさま!」
梓「あれ、もうこんな時間……帰らないと!」
唯「えー、お父さん、帰っちゃうの?」
梓「い、いつまでやってるんですか、もう八時ですよ!」
唯「じゃあ、今日は泊まっていったら?」
梓「……え?」ドキッ
梓(ゆ、唯先輩の家にお泊り……唯先輩の家に……)ドキドキ
梓(い、いや、冷静になるのよ、私、そんなのダメよ!)
梓「ご、ごめんなさい、せっかくですけど、私はこれで……」
唯「えー、あずにゃん冷たいよー!今日は家、誰も居ないから大丈夫だよ!」
梓(だ、誰も……?い、いや、やっぱり……)ドキドキ
梓「い、いや、でもやっぱり……」
唯「えー、さみしいよぉ」
憂「よ、よーし、唯、寂しいなら、今日はママと一緒に寝よっか?」ドキドキ
梓「……!!」
梓(憂のやつ……どさくさにまぎれてなんてことを……)
憂(い、言えた……しかもふざけながら自然に……)ドキドキ
唯「わーい」
憂「……」ドキドキ
梓(……ほ、本当に一緒に寝る気なの?)ドキドキ
梓「……」
梓(ダ、ダメ、気になって帰れない、唯先輩が汚れてしまったら……)
梓「あ、あの、その……」ドキドキ
唯「……ん?」
梓「や、やっぱり泊まっていっていいですか?」
……
唯「じゃあ、パジャマとかは私の貸してあげるね」
梓「は、はい、ありがとうございます……」ドキドキ
梓(ゆ、唯先輩のパジャマが着れる……)ドキドキ
梓(ち、違っ……好意で貸してくれるんだから、変なこと考えたら失礼に……)ドキドキ
唯「よし、じゃあ時間もあるし、さっきの続きやろっか」
憂「……う、うん」ドキドキ
梓(つ、続き……?)
唯「じゃあ、これからお父さんとお母さんのラブシーンを……」
憂「ラ、ラブシーン……?」
梓(ラ、ラブ……)ドキドキ
梓「あ、あの、その……」ドキドキ
唯「……ん、どしたの、あずにゃん?」
梓「……は、配役を代えてみませんか?」ドキドキ
憂「……!!」
唯「配役かぁ……このままでもいいと思うけど……」
梓「ゆ、唯先輩がお嫁さんやったらどうですか?」ドキドキ
憂「……!!」
梓「憂と先輩の役を代えて……」
憂「わ、私お父さんがいい、あ、あいては私、私!」
梓「……!!」
唯「う、憂、どうしたの、落ち着いてよ」
憂「あ、いや、その……ごめん」
唯「じゃ、じゃあそれでいっか、私がお嫁さんで、憂がその相手役、で、あずにゃんが……」
梓「……全く働く気のない家事手伝いの役」
唯「よし、じゃあそれでやってみよう!」
憂(や、やった……)ドキドキ
梓(……う、憂のやつ……くそっ……)
唯「はい、スタート!」
―パン
憂「ただいま、唯♪」
梓(う、憂のやつ、あんなに楽しそうに……)
憂「ほら、ただいまの……」ドキドキ
唇を前に突き出す憂
梓「……!!」
憂「あ、あれ……?」
唯「……もう食事は済んじゃったから、これから吉野家でも行ってくださいね」
憂「お、お姉ちゃん……何で……」
唯「い、いや、さっきあずにゃんが冷めた感じのが面白いって言ってたから……」
梓「……」ホッ
憂(う……せっかくのチャンスなのに……)
唯「はい、今月のお小遣い」
憂「……おいおい、たったの5000円かよ?」
憂「勘弁してよ……こっちは毎日汗水垂らして働いて……」
唯「そういうのは、もっとまともな金額稼いでから言って下さいよ」
憂「……だったら、お前も働きに出たらどうなんだ?」
唯「私は……ほら、子育てとか……色々と忙しいから」
憂「色々とってなんだよ、色々とって!大体、梓はもう大きいんだから、家にいる必要ないだろ!」
唯「うるさいわね、あんたがそうやって梓を放っておくから、あんな風になっちゃって……うぅ……」
憂「そ、それは……その……」
―ガチャ
梓「ご飯まだー?」
唯「はいはい、もう少し待っててね」
梓(こ、ここまでしなくても……)
憂(ぜ、全然楽しくない……せっかく……せっかくお姉ちゃんの相手役なのに……)
憂(……ええい!)
―ガバッ
憂「……唯、愛してるよ」ドキドキ
唯「……お父さん、いきなり何を!?」
憂「いままでは悪かった、これからは、もっとお前にふさわしい……ハァハァ」
唯「……ちょ、憂、近い、本当に近いよ」
憂(お、お姉ちゃん……)ドキドキ
憂「唯……んー」ドキドキ
強引にキスを迫る憂
梓(ちょ、ちょっと憂、何を……)
憂「ハァハァ……唯……唯……」ドキドキ
唯「ちょ、憂、目が本気……」
憂「……唯、愛してるよ」ドキドキ
唯「……お父さん、いきなり何を!?」
憂「いままでは悪かった、これからは、もっとお前にふさわしい……ハァハァ」
唯「……ちょ、憂、近い、本当に近いよ」
憂(お、お姉ちゃん……)ドキドキ
憂「唯……んー」ドキドキ
強引にキスを迫る憂
梓(ちょ、ちょっと憂、何を……)
憂「ハァハァ……唯……唯……」ドキドキ
唯「ちょ、憂、目が本気……」
梓「だめー!!!ストップストップー!!」
憂(な、何よ、いいところなのに……)
唯「ちょ、ちょっと、憂、本気になりすぎだよ」
憂「あ、あはは、ちょっと本気でやりすぎちゃった……かな///」
唯「し、芝居なんだから、そこまで熱入れなくても……」」
憂「て、てへへ……」
梓(な、何がてへへよ。絶対あれ、芝居じゃなかったじゃない!)
梓(や、やっぱり、私帰らないで良かった……)
梓(先輩は私が守らないと……)
憂「で、でもほら、ある程度、ラブシーンとかやったほうが面白く……///」
唯「そ、そうかな……」
梓「いえ、私は最初の流れでよかったと思います」
憂「で、でもさっきお姉ちゃんもラブシーンやりたいって言ってたし……」
梓「それは別の話ですよね!配役が代わったんだから、流れが変わるのは当然で……」
唯「ちょ、ちょっとケンカしないでよ、二人とも」
―ぎゅっ(憂に抱きつく唯)
憂「べ、別にケンカじゃ……///」
梓「……」ムスッ
唯(そ、それにしても、二人がおままごとにここまで本気になってくれるとは思わなかった……)
憂「……///」ドキドキ
梓(憂のやつ、いくらなんでもくっつきすぎじゃ……)イライラ
唯「ほ、ほら、続きやろ、続き、ケンカしないで!」
憂「う、うん……///」
梓「あ、あの私、やっぱり配役に不満が……」
憂「わ、私はこのままでいいと思うけど///」
梓「わ、私が嫌なんです、こんなニートみたいな役……」
梓(っていうか、先輩の相手役がやりたい……)
唯「もー、しょうがないなぁ、あずにゃんは……」
唯「じゃあ憂と交代で……」
憂「じゃ、じゃあ、あずさちゃんはもっと幼い子供の役ね、それだったらいいでしょ!」
梓「……え?」
憂「そ、それで、私たちも新婚さんってことにして……///」
梓(う、憂のやつ……ずるい……)
梓「い、いや、私は……」
最終更新:2010年01月03日 01:19