!つしぶ


……

…ゆ…


……

…ゆい


…ゆい!ゆい!…


澪『唯!起きろー、唯!』


唯「ふぇ」


唯「…」ボケーッ

澪『お、起きたか?』

唯「あれ、私…」

唯(確か部室の鏡が急に光って…それで…)

澪『んー、随分抜けた顔だな…寝ぼけてるのかぁ?』

唯「ん…」(…澪…ちゃん…?)

澪『怖い怖い言うから…早めに切り上げてきたのに…』

澪『たっく…床で寝てると風邪引くぞ』

唯(!!)

唯「澪ちゃん!」

澪『うわっ!!いきなりなんだ!?』

唯「なんて格好してるの!風邪引くよ!」

澪『は?』

ぼいーん

澪『ん…? 格好?』 キョロキョロ ユッサユッサ

澪『何か変か?』 ボヨーン

唯「変!」

澪『むっ、何が変なんだよ!』

唯「なんと言うか…」

澪『?』 ボインボイン

唯「胸が…はだけてて…

  大胆な…と言うかなんかエッチだよ…」 テレテレ

澪『へ?』   

唯(よく見るとキラキラしてる…お化粧してるのかな)

  (足もスラッとしてて…本当に私と同じ制服なのかな…?)

  (胸は強調されてるのに姿勢はピシッとしてて)

唯「なんだかとてもエロカッコイイよ!」

澪『え、あ、どうも』 ボヨン


澪『しかしなんだ、そんな事か』

澪『いきなり変なんて言うから、びっくりするじゃないか』

澪『まったく…今更だよな!』

唯「え?」

澪『確かに私の胸に見惚れてしまうのも仕方ない!』 ボインッ

澪『スタイルはきっと誰もが羨む事間違いなし!』 ボン キュ ボン

澪『おまけにこの美貌』 キラキラ

澪『この世に振り向かぬ異性、いや!同性だって振り向くに決まってる!』 シュタッ

唯「あの」

澪『エロカッコイイ?今更言われなくとも知っているさ!』

澪『さては唯』

唯「は、はい?」

澪『私に惚れ直したな?』

澪『ははぁん…さてはさっきのは告白のつもりか?

  ふふ、遠まわしな言い方だから気付かなかったよ』

澪『でも残念だけど

  私は誰か1人の澪ちゃんじゃなくて、皆の澪ちゃんなんだ!

  よりたくさんの憧憬、羨望の眼差しを一身に向けられることで私は一層輝くんだ!!』

唯「澪ちゃん」

澪『だからごめんな、唯。

  唯の告白は嬉しいけどそれに答えることはできな

唯「なに言ってるの?」

澪『えっ』

唯「ど、どうしたの?澪ちゃん!何か悪いものでも食べちゃったの!?」

澪《あれ?なんか心配されてる…》

鏡 キラッ


唯(あの恥ずかしがり屋の澪ちゃんが…おかしくなっちゃった!)

唯「澪ちゃんに一体何が…」

澪『おーい、まだ寝ぼけてるのかー』

唯(…あれ?)

唯「澪ちゃん、ココは何処?」

澪『よし、寝ぼけてるんだな!

  良かった、てっきり私が何か間違えたのかと…』

澪『ココって…そりゃ部室だろ、軽音部室!』

唯「部室…」

唯(でも違和感が…)

澪『大丈夫かー唯、熱でもあるのかー?』

澪『さっきから言ってることもおかしいし…』

唯「!」

唯「違うよ!おかしいのは澪ちゃんだよ!」

澪『…』

澪『…はぁ、わかったわかった』

唯「わかってくれた!?」

澪『寝てれば直るだろ…』

唯「わかってくれてない!!」

澪『私は先にお菓子食べてるから、そこで寝てなよ』 ヒラヒラ

唯(めんどくさそうにあしらわれた!)ガーン

ガチャ

律『こんにち

唯「りっちゃん!!」 グイッ

律『ひっ!』

律『え、えっと、何かな…唯ちゃん』 オソルオソル

唯「澪ちゃんがおかしっくなっちゃったの!」

律『え?澪が?』

澪『いや、別に私は何もしてないぞ

  おかしくないはず、いつも通りだ!』 ボリボリッ

律『うーん…』

律《何かおかしいのかなぁ?私にはわからないけど…

  でも唯ちゃんの言い分も聞いてみないと…》

律『えっと…唯ちゃん』

唯 ジーッ

律『ひっ!』

唯 ジーッ

律『え え?あ、あの…ゆ、唯ちゃん、どどうしたの…かな?』 アセアセ

唯 ジーッ

律《うぅ…なんでずっとこっち見てるの…?》 アセアセ

唯「りっちゃん…なんで前髪おろしてるの?」

律『え? なんでって…私はいつもこう』

唯「いつもはカチューシャ付けてるよね? こんな感じに…」ソーッ

律『ま、前髪は触らないで!』サッ

唯「えっ」

律『ご、ごめんね…でも私はこうじゃないと…やっぱり恥ずかしいし…』

律《それに前髪下ろしてれば人の目を見ないで済むし…》ボソッ

唯(あ、あの元気一杯だったりっちゃんがなんだかしおらしく…!)

鏡 キラッ


唯「え、えっとごめんね。りっちゃん」

律『ううん…いいよ…唯ちゃん、気にしないで』 ソソクサ

トテトテ



唯(今…りっちゃん、私のこと”唯ちゃん”って言ったよね…)

唯(やっぱり澪ちゃんもりっちゃんも何か変だ…)

唯(…)

唯(あ、もしかしてドッキリとか!?) ピコーン!

唯(でもそんな事で澪ちゃんがあんな格好するかなぁ…)

唯「うーん…」


律『澪、澪』 トテトテ

澪『おっす、律 先生との話って何だったんだ?』 ムシャムシャ

律《大した事じゃないよ、それより唯ちゃん…どうしたのかな?》 ヒソヒソ

澪『なんか私が来てからあの調子なんだよなー』 ボリボリ

律《急に”りっちゃん”なんて呼ばれるからびっくりしたよ》 ヒソヒソ

澪『寝ぼけてるんじゃないの?来た時、なんか床で寝てたし』 ムシャムシャ

律『床で!?』

澪『床で』

律《それはおかしいね…何かあったのかな》 ヒソヒソ

澪『さぁな』 ボリボリ

律『もう…真面目に考えてよ…お菓子ばかり食べてないで』

澪『あぁ…もう、わかったわかった』

澪『つか本人に聞けよ』

律『そ、それは…ちょっと…』 モジモジ

澪『唯!』

律『わわ、澪!』 アセアセ

唯「…」

澪『…唯?』

律『…考え事かな?』

唯「…」

澪『…いや』

律『…』

唯「…ZZZ…デヘヘ…」

澪『寝てる』

律『…』


澪『唯、起きろ!唯!』 ユサユサ

唯「はっ!考え込みすぎて寝ちゃってた!」

澪『…やっぱり寝ぼけてたんじゃないのか』

律『…一応聞いてみようよ』

律『えっと、唯ちゃん 何を考えてたの』

唯「澪ちゃんとりっちゃんがおかしくなった原因を…」

澪『私達からしたら唯の方がおかしいんだけどな』

律『どちらにしても原因は探ったほうがいいよ』

澪『原因って言っても…』

律『唯ちゃん、唯ちゃんはどうして床で寝てたの?』

唯「えっと…」

唯(確かあずにゃんに逃げられて、部室に来て…)

唯(その後…はっ!!)

唯「鏡!!」

澪『鏡?』

律『鏡ってこの部屋の?』

唯「うん!そうだよ!部室で1人でいたら

  鏡がガタッって動いて、声が聞こえてきたんだよ…」

律『あれ…こ、怖い系の話?』

澪『じゃないか?それで唯、どうなったんだ』 ワクワク

唯「そしたら鏡がピカッって光って!」

澪『光って?』 ワクワク

唯「何時の間にか寝てた」

律澪 ガクッ


澪『なんだよそれ、怪談話ならもっと上手く話せよな』

唯「えー、だって本当の事だもん、しょうがないよー」

律『お昼の澪の話凄かったもんね…うぅ、思い出すだけで寒気が…』ブルブル

澪『ふふん、まだまだ 私の本気はあんなもんじゃないぞ』 ニヤニヤ

律『ひっ もう、やめてよ…』

唯「澪ちゃんが怪談?」

律『そうだよ、私が鏡の怪談のお話してたら澪が被せてきて…もっと凄い怪談を…』ブルッ

澪『あの時の皆の悲鳴は忘れられないな!』 グッ

唯「…えっと澪ちゃんが悲鳴あげたんじゃなかった?」

澪律『え?』

唯「え?」

澪律『…』

唯「…」

澪『やっぱり何か変だよな』

唯「うん、なんて言うか…」

律『お互いに話が食い違ってる…のかな?』

澪『さっきの続き! えっと…そこの鏡が光ったんだよな』

唯「うん…って、あれ?鏡ってそっちだったっけ?」

澪『ん…なんだ、今度は知らない間に位置の変わる鏡の話でもするのか?』

唯(位置……? はっ!) ピコン!

唯(わかった!部室の違和感!物の位置が逆なんだ!)

唯(派手で怖いもの好きな澪ちゃん、しおらしいりっちゃん)

唯(そして鏡! これらが示す事はつまり…!)

ガチャ

梓『こんにちは!』

唯「あ、あずにゃ」


梓『皆さん!あずにゃんですよー!ニャンニャン☆』


唯「えっ」

澪『うわぁ…めんどくさいのが来た…』 ゾッ

梓『むむっ!聞き捨てなら無い言葉!めんどくさいだなんて酷いですよぅ!><』

唯「あずにゃん…?」

梓『唯先輩!!こんにちはですぅ!』

梓『あ、さっきは置いていってごめんなさい!…ごめんねですにゃん!☆』 キャピッ

梓『でもでも梓も頼まれた用事があったので仕方無かったのですです…全ては純の奴が悪いのです!』

梓『決して唯先輩のお説教がめんどくさかったとかじゃないんだから!勘違いしないでよね!!』


唯(わ、私のあずにゃんが…ハイテンションだぁ…!)

鏡 キラッ


澪『毎度ながらその演技は一体、何に媚びてるんだ…』

梓『演技じゃないです!天然なんです><』

澪『そんなストレートに自称する天然がいるか!?』

梓『それに媚びてる訳じゃないですよぅ、

  と言うかそんな見っとも無い格好してる人には媚びてるなんて言われたくないですぅ』

澪『わ、私が見っとも無いだと!』

梓『あ、怒っちゃ駄目ですよぅ>< あずにゃんこわーい!☆』

澪『…なっ』イラッ

梓『あうあう…眉間に皺よっちゃってますよぅ

  あんまり怒るとお肌にも良くないですよ?それに眉間の皺は年を取ると消えにくく…』

澪《うざい…》イライラ

律《どうしよ…どうしよ…》オロオロ

唯(な、なんか険悪な雰囲気…と、止めないと…)


唯「えっと…そ、そう言えばムギちゃんは?!」

澪律梓『…』

唯「…あれ?」

律『ム、ムギちゃん…えっと確か掃除当番だったよね…澪』

澪『掃除当番に指示だししてるから少し遅くなるってさ』

梓『そ、そうなんですかぁ 大変ですねぇ 掃除当番…』

澪『あぁ全く』

律『同情します』

唯「えっ…」

ガチャ

紬『私がどうかしたか?』

澪律梓 !!!

唯「ムギちゃん!」

紬『待たせたな、凡人ども』

唯「えっ」

紬『まったく、ほうきもまともに扱えない無能達の指導は骨が折れる

  奴等の頭の中には脳みその代わりにプリンが入ってるんじゃないのか

  この私の手をここまで煩わせてくれるとは…これだから下等階級は…』

梓『そ、そうですかぁ…それは大変だったのです、にゃん』

唯「ム、ムギちゃん?」

紬『む? どうした、唯?阿呆みたいな面して…』

唯「あ…あほ…」

紬『? 何も無いなら練習するぞ、いくら琴吹家の優秀な血の流れるこの私が所属してるとは言え

  未だにこのバンドの音楽は聞くに堪えぬ雑音のような物だからな』

唯(あの優しかったムギちゃんが……ムギちゃんが…)

鏡 キラッ

唯「……はははは」

澪《あ、なんか壊れた…》

澪『…なあ、ムギ』

紬『どうした、澪 あまりお喋りしてる暇は無いぞ

  これからはお楽しみ、地獄の練習時間が

澪『唯の様子がおかしいんだよ』

紬『…おかしい?』


唯「はははは…」

律『唯ちゃん、大丈夫?』


紬『…確かに何時もに比べると…酷いアホ面だが…』

澪『…だ、だろ?』


澪『そう言う訳だからさ、心配だし、今日の練習は無しにしないか?』

紬『…それはお前が練習をサボりたいだけじゃないのか?』 ギロッ

澪『い、嫌だなぁ ハハハ! そんな分けないでしょ ハハハハハ!』

紬『図星か… これだから凡人は… …まあいいだろう

  様子が変だと言うのは本当みたいだからな』

澪《よし!きた!ラッキー!!なんだか知らないけどありがとう、唯!》


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最終更新:2010年05月25日 23:17