唯(あずにゃんもムギちゃんも様子が変だった…)
唯(いや、たぶん…ココだと変なのは皆の方じゃなくて私のほうなんだ…)
唯(やっぱりココは…)
紬『おい、唯』
唯「は、はい!?」
紬『一体今日はどうした?やる気が無いのか?』
梓『そう言えばぁ、さっきから何だか様子が変なのです、です♪』
澪『確か、鏡がどうのこうの言ってたよな』
律『唯ちゃん、何があったか…教えてくれる?』
唯「…」
唯「皆笑わないで聞いてね…」
一同『?』
唯「実は、私…」
唯「鏡の世界に来ちゃったみたい!」
澪『…』
律『…』
梓『…』
紬『…』
唯(あれ?笑わない?)
唯(良かったー、皆いい人だよ!!) パァア
律『ど、どうしよ…寝てるときに頭強く打っちゃったのかも…』 アワアワ
澪『いや、もしかすると唯なりのドッキリのつもりかもしれないぞ…』
梓『わ、わーゆいせんぱいすごいですねぇ(棒)』 パチパチパチ
紬『はぁ…これだから凡人は…』
唯(笑われた方がマシだった!) ガーン!
かくかくしかじか
唯「と言うわけなんだよ!」
梓『つまり唯先輩は鏡の向こうのメルヘンワールドから来られたんですかぁ?』
紬『頭が痛くなるな…それは真面目に言っているのか?』
律『じゃ、じゃあ あの怪談本当だったってこと…?』
澪『にわかには信じがたいな…』
唯「本当だよ!部室の形が逆なのも鏡の世界だから!
皆の性格が逆になってるのも鏡の世界だから!
その証拠にホラ!鏡の向こうはいつも通りの部室なんだよ!」 ビシッ
律『えっと…私たちにはこっちがいつも通りなんだけど……』
梓『でもでもそれなら唯先輩の様子がおかしかったのも説明ついちゃいますよぅ?』
澪『いや、だとしたらいつもの唯は何処に言ったんだよ』
唯「え?いつもの?」
律『えっと今の唯ちゃんから見たら、こっちの…今居るこの世界の唯ちゃんだね』
唯「あ、そっか!こっちには私もいるんだよね!」
梓『そうですねぇ、何処行っちゃったんでしょうねぇ』
澪『だいたい常識的に考えれば、鏡の世界なんて有り得ないだろ
まだ唯が寝ぼけてる、あるいは頭打ったって考えるほうが現実的だ』
律《……あれだけノリノリで怪談話してたのに》
唯「え…でも…」
紬『いや…どうやらあながち嘘ではないらしい』
梓『あれれ? 紬先輩信じちゃうんですかー?』
紬『ギター』
律『ギター?』 コテッ
紬『唯の持ってるギターだ、よく見せてみろ』
唯「うん、いいよー」
ヨイショっと
ジーッ ゴソゴソ
唯「ほい」
澪『!!!!!!』
律『…嘘』
梓『これは…』
律梓『右利き!』
唯「え?ど、どういうこと?」 アセアセ
律『唯ちゃんは…左利きなの…』
唯「なんと!」
紬『考えられる可能性としては 鏡写しだから、利き腕も逆になると言う事だろうな』
紬『こっちの唯が左利きなら、向こうの唯は右利きだ』
紬『まさか25万もする…いやライティはもう少し高いか』
唯(ライティて…)
紬『まぁそんなギターをもう一本買ってきた、なんて訳じゃないんだろう』
紬『従ってそれが鏡の向こうから来た証拠と言うわけだ』
梓『本当ですねぇ 右利き用になってる以外はギー太そのままですしぃ』
律『凄い!本当だったんだ…』
唯「エヘン!」 フンスッ
澪『ゆ、唯!!それ触らせて!!』
唯「え、うん ほい」 サッ
澪『ああ…』 ドキドキ
サッ ジャーン
澪『…あはっ』
澪『やっぱりギターでもライティはいいな…』 ジーン
ジャンジャンジャカジャーン
澪『イェーイ!ヤッホー!』 ギュイーン
唯「澪ちゃん…」
律『…なんかごめんね』
梓『病気の人は放っておいて話を進めませんかぁ
唯先輩の言ってる事も本当だってわかったんですしぃ』
律『病気は…ちょっと言いすぎ…だと…思う…たぶん…』
紬『ああ、アレは病気ではなく馬鹿なだけだ
もっとも病気なら治るからいいが、馬鹿は死んでも治らん』
律『紬ちゃんまで…うぅ…』
澪『俺の歌を聞けぇええ!!』ギュインギュイン
唯「あぁ、私のギー太がぁ」 ウルウル
律《でも私には庇いきれない…澪、ごめんね…》 シクシク
紬『さて、問題は大きく2つ』
唯「えっと…問題?」
紬『1つ、こっちの世界の唯は何処に行ったのか』
律『うん…唯ちゃん大丈夫なのかな…』
紬『2つ、どうやってこの状況を打開するか、だ』
梓『流石にこのままは不味いのですよぅ、にゃん』
唯「なるほど…」
唯「そうだよね!私帰らなきゃまずいよね!」
唯「…あれ?でもどうやって…???」 ハテナ
律『…うーん』
紬『1つ1つ解決していくぞ』
澪『いっくぜぇい!』 ジャーン
紬『まず1つ目だが』
唯「こっちの私だよね!」
律『うん、そう。私たちの世界の唯ちゃん』
唯「わぁあ!ねぇねぇ! 一体どんな感じなのかなぁ!?」
律『えっとね…うーん 普段はクールな感じなんだけど凄い努力家かな』
唯「おぉ…なんだかカッコイイね!!」
唯(あれ?…でもそれって普段私が努力してないって事じゃ…?)
梓『クールって言うかあの人は単純に冷たいですよう><
私に対して向けるあの 興味ないね って感じの冷めた目は最早凶器ですっ!』 プンプン
紬『凡人とは言え、あの直向さだけは見るべきものがあるな
あくまで直向さだけだが』
澪『シャランラシャランラァ』 ジャカジャカ
紬『話が逸れたな、唯の居場所だが概ね予想は付く』
唯「え!どこどこ?」
律『あ…それってもしかして…入れ替わった…とか?』
紬『おそらくはな』
唯「入れ替わった…それって!向こうにいるって事!?」
紬『ああ、先ほど唯は鏡が光る直前に声が聞こえたと言ってただろう
おそらくそれはこっちの唯の声だ』
唯「なんと」
梓『でもでもそれはおかしいですよぅ、怪談だと”引きずりこまれる”じゃないですかぁ~
”入れ替わる”のはちょっと違うんじゃないですかぁ?』
唯「あ、そっか」
澪『じゃかじゃかじゃんじゃんじゃかじゃん じゃかじゃん!』 クルッ
紬『お互いがお互いに”引きずり込まれた”と考えれば、一応の筋は通る』
律『つまり…こっちの唯ちゃんも鏡を見たって事?』
紬『ああ、話を聞く限りでは性格は違ってもこっち側の唯と向こう側の唯で行動にはあまり違いが無いらしい
”昼間に私たちと怪談話をした” ”1人で軽音部に向かった” この2点で2人の行動は共通している
私たちに関してもそれぞれの用事が同一だった事を考えれば…おそらくは唯の場合と一緒なのだろう
とは言え、幾つかの誤差はあるようだがな』
梓『シンクロニティですねぇ 鏡だから当然っちゃ当然ですよぅ♪』
唯「…???」プスプス
律『えっと…つまり…唯ちゃんがギターを弾いたらもう一人の唯ちゃんもギターを弾くって事かなぁ』
唯「ああ!なるほど!」
澪『ここで必殺技!回転弾き!!』 グルグル ジャンジャン
唯「じゃあこっちの世界の私は、今は私の世界の皆とお話してるのかな!」
紬『そうなるな』
梓『それなら2つ目の問題もスパッと解決ですねぇ』
唯「え?」
律『あ、そっか 2人の行動が一緒ならもう一度怪談の条件をみたせばいいんだよね
入れ替わった状態が、また入れ替わるから…』
梓『元通り万事解決です!ニャンニャン♥』
唯「そっか、そうだよね!あずにゃん頭いい!!」
梓『ニャハ☆ このくらいは朝飯前ですよぉ~♪』
紬『確証は無いがな、試してみる価値は…
澪『いつもより多めに回って…っと、おっとぉ!!』 グラッ
バンッ
鏡 パリンッ
唯律梓『「あ」』
澪『いけねっ』
唯「鏡が…」
梓『割れて…』
律『澪…』
澪『いやーごめんごめん、ちょっとテンション上げすぎちゃった』
紬『…』
澪『えっと…ムギ?』
紬『…』プルプルプル
澪『紬さん?』
紬『こんのっ!!
大馬鹿物がああああああああああっ!!!!!!!!!』
澪『ひぃっ!助けて律!』
律《ごめん澪、庇いきれない!》
澪『アーッ!』
!かうろ
唯「ギー太は無事でよかったけど…」 ジャカジャン
唯「…ムギちゃんしばらく入ってくるなって…?」
律『…』
ドア チョウシノリスギマシタ!! オユルシクダサイ!!
ドア エッ イヤ ソレダケハカンベン
ドア ギャァアアアアアアアアアアアアア!!
律『…澪…ごめんね澪』 シクシク
唯「…澪ちゃんに一体何が…」 ゾッ
梓『キツイキツイ御仕置き中なんですよ……ププッ…ババァザマァw』ボソッ
唯「え?…あずにゃん?」
梓『なんですか?☆ ニャン♪』 ニコニコ
唯「…ううん、なんでもない」
ガチャ
唯「!」律梓『!』
紬『入っていいぞ』
唯律梓「『イ、イエッサー!!』」
!つしぶ
澪『前が見えねぇ』
唯「み、澪ちゃん!」
律『澪…うっ…ごめんね』 ウルッ
澪『大丈夫だよ…気にするな、私も調子乗りすぎたし、ごめんな唯』
唯「はっ、ううん!わ、私は平気だよ!全然!」
梓『…大丈ぶふっ…ですか…ぷぷっ、澪先pぷはっ ぷはははっ』 プギャー
澪『梓お前ちょっと後で体育館裏来いな』
紬『で、どうだった?』
律『あ…えっと、3人で校内の条件を満たせる鏡を探して見たんだけど…』
唯「はい!学校中、歩いて探し回りました!ぐるぐる~!」
澪『私が地獄を見ている間にそんな事を』
梓『幾つか見つかりましたが、どれもダメダメだったのです><』
唯「いやぁ、面目ない」
紬『同じ鏡からじゃないと帰れないのか… まだ別の条件があるのか…
いずれにしても余計な手間を… これだから馬鹿はっ!』
澪『も、もういいだろ』
唯「そうだよ、可愛そうだよ あまり澪ちゃんを責めないであげて」
澪『唯…』 ジーン
澪『さては私に惚れたな!』 キラリンッ
梓『うわっこいつ反省してねー…じゃなかった…してないですニャン!』
キーンコーンカーンコーン
唯「あ、チャイムが…」
律『もうこんな時間か…どうしよう?』
紬『部活動と言う事で申請すれば まだ居残る事もできるが…
最終下校時刻を過ぎれば、もう放課後と言う時間でもないしな
今日は打ち切るしかないだろう…すまないな、唯 私がいながら申し訳ない…』
唯「ムギちゃん…」
紬『この部屋のこの位置にある事に意味があるのかもしれない、
割れた鏡は家の者に頼んで明日新しい鏡を持ってこさせよう』
澪『なら私は情報収集だな、ネットとかで例の怪談詳しく調べてみるよ』
律『うーん…じゃあ私は校内の噂を調べてみようかなぁ』
梓『私もクラスメイトに聞いてみますのにゃん☆』
唯「みんな…!ありがとう!」 パァア
!ちみりえか
唯(とりあえず今日はこっちの私の家に帰ることになりました!)
スタスタ
澪『? おい、唯 そっちじゃないだろ』
唯「はっ! うぅ…道が反対だと帰り道がわからないよ…」
律『全部が全部鏡写しだと不便そうだね…』
紬『前後が逆か… 鏡の特性を考えるなら 帰るには位置だけじゃなくて向きも重要なのか…?』
唯「ところで澪ちゃん」
澪『ん、なんだ?』
唯「そんな格好で外歩いてて恥ずかしくないの?」
澪『いや全然? むしろ誇らしい!』 ボインボイン
律『少しは羞恥心持とうよ…』
澪『そっちの私は、胸を露出したりしないのか 随分恥ずかしがり屋さんみたいだな』
梓『澪先輩からすれば 常識的な頭した女の子は皆恥ずかしがり屋さんなのです☆』
唯「うん、澪ちゃんはね とっても恥ずかしがり屋さんなんだよ
人前に出たりするのも恥ずかしいみたい、後痛い話とか怖い話が駄目なんだ」
澪『まるで真逆だな』
律『澪…目立ちたがりだし、怖い話大好きだもんね…』
唯「でも澪ちゃんがちゃんと練習しようって言ってくれるから、私達も練習しなきゃって思えるんだよ
それに学園祭も新歓ライブも私が失敗しちゃった時、助けてくれたのは澪ちゃんなんだ」
紬『こっちの面倒くさがりに見習わせてやりたい どうにか爪の垢を煎じて飲ませてやれないだろうか』
澪『うっ、まるで私が駄目人間みたいに…私だってボーカルしてるじゃないか』
律『でも澪の場合はただ目立ちたいだけだよね…』
唯「あ、でも学園祭で転んじゃってパンツが見えちゃったのがトラウマに…」
澪『よし、勝った! 私はその時、最初から下着姿だった!』
梓『もしもし警察ですかぁ ここに変態がいますぅ』
最終更新:2010年05月25日 23:18