かくかくしかじか

憂『はぁ?鏡の世界ぃ?』

唯「うん、そうだよ~」 モグモグ

憂『そんなの信じられる訳…』

憂『でも それならお姉ちゃんがなんか変だったのも スプーン逆に持ってたのも説明付くし…』

唯「あ、ギー太も逆なんだって!」

憂『!』

憂《じゃ、じゃあ私 鏡の向こうのお姉ちゃんとは言え

  関係ない人に当たり散らしてたって事!?ああぁ、恥ずかしいよ…》 カーッ

憂『……か、鏡のお姉さん…』

唯「ん、何?」 モグモグ

憂『…さっきはごめんなさい』

唯「うん?別にいいよ~」 ニヘラ

唯「ごちそうさま!」
憂『ごちそうさま…』

カチャカチャ

唯「…でも良かった!」

憂『ん…何がですか?』

唯「憂、態度冷たかったから」

憂『う…それはごめんなさい…』

唯「ううん、そうじゃなくて

  冷たいのは こっちの私の事嫌いだからなのかなって…」

憂『…』

唯「でも、私が困ってたらちゃんと助けてくれたし…

  嫌いな訳じゃないんだよね!」 フンスッ

憂『嫌いですよ』

唯「えっ」


憂『鏡のお姉さんには悪いですけど…』


『私は私のお姉ちゃんの事嫌いです』

唯「…」

憂『…すみません』

唯「…なんで…かな?」

憂『それは…』

唯「…」

憂『言えません…』

唯「ひどい!」

憂『えっ』

唯「そうやって…私の事わけも無く嫌うのね!」 プンスカ

憂『えっと、そうじゃなくって…
  お姉ちゃんが嫌いだと言うのは鏡のお姉さんが嫌いって事じゃ…』


唯「憂…」

唯「私も…お姉ちゃんなんだよ!」

憂『…へ?』

唯「だから憂は私の事も嫌いなんだねっ…!酷いよっ!」ウルウル

憂『うっ だ、だから…その…』

憂『うぅ…わかりました、話しますよ…はぁ』

唯「えへへー」 ニヘラ

憂『っ』

憂《うぅ…お姉ちゃんの顔でこんなに怒ったり泣いたり笑ったりされると…》

憂『調子狂うなぁ…もう!』


憂『えっと…私達の両親は旅行好きで…家にいない時が多いんですよ』

唯「うん、私達の所も一緒だよー」

憂『…だったらわかると思うんですけど…

  そうすると小さい頃から2人きりでいること多かったじゃないですか』

唯「うん、そうだねぇ

  私2人でいる時はずっと憂に頼りきりだったよ~」 テヘヘ

憂『フフッ…なんとなく想像できます』

唯「でへへ、いやあ面目ない」

憂『…』

憂『こっちでは逆だったんです…』

唯「えっ?」

憂『私の方がお姉ちゃんに頼りきりだったんです』

唯「そうなんだ……」(想像できない!)

憂『…お姉ちゃん要領悪くて不器用なくせに 妹の面倒は姉が見るものだって聞かなくて…

  最初の頃は得意の料理も酷かったんですよ、丁度今日みたいに…』

唯「料理が得意…」 ゴクリ


憂『でもどんどん料理も掃除も洗濯も上達していって…』

唯(凄い、凄いよ!私!)フンスッ

憂『私は私でそれに甘えちゃってたんですよね…

  結局 家事は全部お姉ちゃんがやることになったんです』

唯「えへへ」 ニヘラー

憂『? どうかしましたか?』

唯「いやー、なんか私が褒められてるみたいでー」

憂『…もしかして鏡のお姉さん、掃除も洗濯もできなかったり?』

唯「うっ!鋭い!」

憂『フフッ 駄目ですよ 妹さんばかりにやらせちゃ』

唯「ブー 自分だってお姉ちゃんばかりにやらせてるくせに」 

憂『グサッ!痛いところを…』


憂『でもまぁ そんな感じで

  なんでもやる姉と ぐうたらな妹って構図が完成したんですが…』

唯「私のところと逆だ…」

憂『ある時から 関係がちょっとおかしくなっちゃったんです』

唯「ある時?」

憂『お姉ちゃんが軽音部に入った』

唯「!」

憂『えっと…軽音部の皆さんの事は知ってます?』

唯「うん!目立ちたがりの澪ちゃんに控えめなりっちゃん!

  怖いムギちゃんに変なあずにゃん!」

憂『そんな感じです』 フフッ


憂『軽音部の皆さんは個性的ですけど…とってもいい人達で…

  お姉ちゃんもいい仲間を持ったなって思ってたんです、最初は』

唯「…」

憂『でもその時からですね、万年帰宅部員のお姉ちゃんが帰ってくる時間が遅くなっちゃったんですよ

  そうするとどうなると思います? 家は散々ですよ、ぐうたらな妹には家事なんてできなかったんですから…』

唯(そこまで…!)

憂『お姉ちゃんが軽音部の皆さんと合宿に行ったときは危なかったですね

  あと一日長く宿泊してたら、きっと私病院に運ばれてましたよ』

唯(…どんな状況?)


憂『そんな状況を見かねたのか、それからお姉ちゃん今度は早く帰ってくるようになったんですよ』

憂『そこからです、私達の大喧嘩は』

憂『私が帰ってくんなって言っても聞く耳持たなくて』

憂『全く本当に人の事馬鹿にしてますよね』

憂『だって あんな楽しみにしてた部活も早々に切り上げて帰ってくるんですよ?』

憂『妹の私が家の事何も出来ないから…』 ポロ

憂『私の事ちっとも…ちっとも…信頼してくれないんですよ…』 ポロ ポロ

憂『だから 私…言ってやったんです お姉ちゃんの事もう知らないって嫌いだって』 ポロ ポロ

唯「うい…」

憂『だから…私お姉ちゃんの事…嫌いなんです』

唯「…憂…本当は…」

憂『…』

唯「お姉ちゃんのこと…嫌いじゃないよね…」

憂『嫌いですよ』

唯「憂…」

唯「無理しないで…」

憂『無理だなんて…そんな』

唯「だって泣いてた…」ポロ

憂『なんで…鏡のお姉さんが泣くんですか…』 ポロ

唯「…ご、ごめんね」 ポロ ポロ

憂『謝らないでください…っ!

  お姉さんに謝られるとお姉ちゃんが謝ってるみたいで…』グスッ

憂『本当に…悪いのは私なのに…』

唯「……うん、ごめん」 グスッ

憂『だから謝らないで!』

憂『私…私…』

唯憂『「うわ~ん!!」』


憂『…』ゴシゴシ

憂『えへへ、見苦しい所見せちゃいました…』

唯「ううん、お互い様だよー」ゴシゴシ

憂『…』

唯「…」

憂『ごめんなさい』

唯「え?」

憂『お姉ちゃんの事が嫌いって言うのは嘘です』

憂『だから、ごめんなさい』

唯「うん!」パァア

憂『…』

唯「…お姉ちゃんと仲直りできる?」

憂『したいです…』

唯「じゃあ!」

憂『…でも無理ですよ』

憂『だって…私あんな酷い事言っちゃったんですよ?』

唯「…」

憂『それに…』

憂『お姉ちゃん、少しも怒らないんです』

唯「えっ?」

憂『酷い事言われて、家事までさせられて』

憂『それで文句の1つも言わないんですよ…信じられますか?』

憂『まるでなんでもない事みたいに……振舞うんです』

唯「…」

憂『たぶんお姉ちゃん…私の事なんて何とも思ってないんです…』

憂『ほら、嫌いな人に嫌いだなんて言われても傷ついたりしないでしょ?』

憂『それですよ』

憂『お姉ちゃんも私に何言われたって怒らないんです 泣きもしないんです』

憂『だから…お姉ちゃんも…私の事嫌いなんですよ……きっと』 ポロ ポロ

憂『当然ですよね  ぐうたらで家の事なんて何もしなくて…

  かと言って放って置いたらのたれ死にそうで… そうやって…自分の大切な時間を奪っていく妹なんて…

  そんな迷惑な妹なんて…  嫌いになって…  当然ですよ…』 グスッ


ギュッ

憂『…えっ』

唯「大丈夫だよ…憂」

唯「お姉ちゃん、きっと憂の事嫌いになんてなってないよ」

憂『鏡のお姉さんに何でわかるんですか…?』

憂『嫌いになってないなら!なんで何も言ってくれないんですか!』

憂『何も言わないくらいなら、文句の1つでも言って欲しかった!』

憂『そしたら私も…』


唯「…わかるよ」

憂『…えっ』

唯「だって私もお姉ちゃんだもん」 ニコッ


唯「私だったら大切な妹の事嫌いになったりしないよ」

憂『…それは…鏡の世界だから』

憂『反対なんです…それも…』

唯「ううん、鏡の中だって変わらないよ!」

唯「好きだって気持ちは!」

憂『…』

唯「澪ちゃんとりっちゃんは…こっちでも仲良しだった」

唯「ムギちゃんは優しいか怖いかの違いはあったけど、やっぱり皆の事を一生懸命考えてくれてた」

唯「あずにゃんだってきっと皆の事が好きだから軽音部にいる」


唯「それに…こっちの憂も私の事が好きだったから!」

憂『!』


唯「だから一緒だよ、こっちの私も憂の事が好き!」

憂『…』

唯「憂のお姉ちゃんは不器用なんだね」

憂『…』

唯「怒ったり 文句言ったりしないのは」

唯「きっとお姉ちゃん 憂にどう接していいかわからなくなちゃったんだよ」

憂『…私が…酷い事言ったから…』

唯「ううん、そうじゃないよ…

  憂は確かに酷い事を言ったけどそれはお姉ちゃんを思ってたからでしょ

  お姉ちゃんに迷惑かけたくなかった…頑張って部活やってる時間を奪いたくなかった」

憂『…』 コクリ

唯「だったら大丈夫…今回のはボタンの掛け間違いみたいなものだよ」


唯「憂が間違ってるとしたらね」

憂『…』

唯「それは”お姉ちゃんが憂の事迷惑に思ってる”だなんて思ってることだよ!!」

憂『…だって…私』

唯「お姉ちゃん何で憂の事放って置かないと思う?」

憂『それは…私が何もできないから…』

唯「ううん、違うよ」

唯「憂の事が大切だからだよ!」

憂『えっ…』

唯「お姉ちゃんにとって部活は大切な時間だけど…」

唯「同じくらい憂と一緒にいる時間も大切なんだよ!」

憂『!』

唯「だから大丈夫…!」

唯「きっと仲直りできるよ!」

憂『…』

憂『…』

憂『ウッ…ウッ…』 ウルウル

憂『お姉ちゃん!!』 グスッ

唯「よーしよしよし、いい子いい子」 ナデナデ


唯「まぁ 私も憂には迷惑かけっぱなしなんだけどね」 テヘヘ…

憂『とか言って なんだかんだしっかりお姉ちゃんじゃないですか』

唯「そうかな!」 パァア

憂『ふふっ きっと向こうの憂も鏡のお姉さんの事大好きですよ』

唯「うん!」

憂『私…お姉ちゃんに謝ろうと思います』

憂『許してもらえるかはわかりませんけど…』

憂『そしたら仲直り…できたらいいな…』

唯「きっと許してもらえるよ~」

憂『お姉さんに言ってもらえると心強いです』

唯「えへへ~」

憂『…お姉ちゃん…ありがとう』




!さあくよ



梓『なんか綺麗に( ;∀;)イイハナシダナーみたいに片付けてるけど全然だから

  まだ鏡の世界とか 根本的な話解決してねぇから 帰るまでが遠足だから

  つか憂の奴急に出てきて調子乗りやがって ツンデレかよ 舐めやがって

  私の出番取りやがって つか>>157とか私の話だけ適当じゃね、とって付けたようじゃね ふざけやがって


  でもでも!ココからは皆さんお待ちかね!あずにゃんタイムですよー!!ニャンニャン♪♪

  憂とかwwwもうお前の出番ねぇからwwwwwwざまぁwwwww

  ま、面目躍如と言う事で散々活躍してやりますから!!別に期待してて欲しいわけじゃないんだからね!!』


※>>157
唯「私だったら大切な妹の事嫌いになったりしないよ」

憂『…それは…鏡の世界だから』


唯「それに…こっちの憂も私の事が好きだったから!」

憂『!』




澪『何やってんだ、お前…』

梓『なんでもないですよぅ><ニャンニャン!』


鏡 ピンピカリン!!

唯「おぉ…」

律『たった一日こんなに綺麗に治せるんだ…凄い…』


紬『…はい……いえ、助かりました……本当に有難うございます…それでは、失礼いたします』

ピッ カチャ

紬『ふぅ…』

唯「あ、ムギちゃん 誰に電話してたの~?」

紬『あぁ、琴吹家 執事の斉藤だ いつも何かと私の面倒を見てもらっててな…

  今回の件にしても鏡を新調する訳でなく、割れた鏡を治せるよう手配してくれたのは斉藤でね、全く彼には頭が上がらないよ』

唯「そうなんだ 凄いね!」

澪《いつもこれくらい腰が低かったらいいのに…》

梓『でも~位置と向きが重要ってなら、他の鏡をここに持ってきたって良かったんじゃないですかぁ?』

律『それが…そうでもなくて…』

澪『鏡は異世界への扉』

澪『でも全ての鏡が異世界に繋がる訳じゃない、繋がってもそれは別の世界に繋がっている』

澪『だから 元の世界に帰るには来た時と同じ鏡を使わなくちゃ行けないんだ』

澪『これがネットの噂、校内に流れる怪談 両方から導いた結論って所かな』

唯「ほえ~」


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最終更新:2010年05月25日 23:20