律「どれ?」

唯「あれあれ。なんか後ろがすっごい改造されてるやつ」

紬「あらデロリアンじゃない。今時珍しいわね。あれ車検通るのかしら」

唯「でろーりあん?」

律「怪しいな……つけてみようぜ」

澪「おい律! そういうのはだめだろ!」
梓「そうです!」

唯「探偵みたいだね!」

紬「いくわよ!」

澪・梓「……」

澪「まったく……」

律唯紬「」

澪「おいどうした? そっち人気少ないぞ」

律「ちょ、澪、梓……あれみてみろって」

澪「なんだよ」


ゴォォォォォォォォォォォ


澪「と、飛んでる……」


梓「そんなばかな……」

唯「ゆ、UFO!?」

律「いや! あれはきっと未来から来た未来人の車だ!!!」


律「ちょ、とんでくぞ!」

唯「おいかけろー!!」

唯「あれー見失ったよ?」

律「おかしいな……たしかにこっちに来たと思ったのに」

澪「おい…もう帰ろうよ……なんか怖いよ……」

律「澪びびってんのか~?」

澪「び、びびってはない!」

梓「んーでも飛べるんだからもうどこかn」

バシュン!バシュン!

律「うお」

唯「あいたたた」

律「おとと…なんで私達こんなとこまで飛ばされてんだ?」

澪「うーん……」

梓「あ、さっきの車……」


デロリアン「」


紬「凍ってるわね…」

澪「あ、ちょっとムギ、近づいて大丈夫なのか?」

唯「ちべたっ!」

律「あれ、誰も乗ってねーな…?」


唯「うわ~なかもすごい機械っぽい」

梓「かなり改造されてますね…怪しいです」


律「乗ってた人はどこいったのかな?」

紬「宇宙人だったら姿が見えないかも知れないわね」

澪「ひぃ!やめろよムギ…」


唯「みてみてりっちゃん! 乗ってみた」

澪「ちょっと唯!」

唯「ゴツゴツして座りにくいよ… あ」

澪「?」

唯「ピックが落ちてる」

唯「これあずにゃんが使ってたやつじゃない?」


梓「え? そんなはずは……」

グッグッグ

唯「んーー! いて!」

律「だいじょうぶかー?」

唯「隙間の奥の方にあるからとれないーみてみて」

梓「どこですか?」

唯「あれだよ~あれ」

梓「ほんとだ、同じやつですね」

梓「でも私なくしてませんし、きっと同じものってだけです」

唯「そーかなー。でもこのピックからあずにゃんパワーが感じられるんだけどなー」

梓「なんですかそれ……」

ガシャン!

二人「!」
唯「うわ!びっくりした……」

梓「だいじょうぶです。ガルウィングが勝手に降りてきただけですよ」

唯「せまいからもうでよー」

梓「はい、よいしょっと」

ウィィィン

梓「あれ?」


唯「どうしたの?」

梓「みんないません」

唯「へ? みんなって軽音部の?」

梓「はい……律先輩もムギ先輩も澪先輩もいません」

唯「むむむ……ほんとだ」

梓「帰っちゃったんでしょうか…」

唯「りっちゃんのことだからきっと隠れて脅かそうとしてるんだよ!」

梓「…ですよね。律先輩ですもん」

唯「おーい! りっちゃーん!! でーておいでー!!」



二人「……」


梓「でてきませんね……」

唯「これは、りっちゃん手強いな…!」

梓「というか、隠れる場所なんてなくないですか?」


唯「言われてみればー……」

梓「やっぱり帰っちゃったんでしょうか……」

唯「うーん、いくらりっちゃんでもさすがにそれはないと思うけどなー…」

梓「私もそう思いますけど……とりあえずさっき来た道に戻ってみましょう」




唯「いないねー」

梓「もしかして用事があったのかもしれませんね…まあ明日聞いてみればいいと思います」

唯「そうだね…今日はもうかえろっか」

梓「はい」

唯「じゃあねーあずにゃんまた明日ー」




憂「お姉ちゃんおかえりー 今日は遅かったね」

唯「ただいまー」

憂「もうご飯できるからね」


唯「それよりきいてよ憂ー 
りっちゃんったら私が目を話してる隙に勝手に帰っちゃったんだよ」

憂「?」

唯「憂?」

憂「りっちゃん? あ、お友達? 私三年生の人よくわかんないから……」

唯「えっ?」

唯「なにいってるの憂? りっちゃんだよ、何度もあったでしょ?」

憂「えぇ…記憶にないなあ」

唯「同じ軽音部の五人! ムギちゃんと、澪ちゃん、あずにゃんにりっちゃんのりっちゃんだよ!」

憂「軽音部? おねえちゃん部活入ってたの!?」

唯「えっ?」

憂「それにあずにゃんってもしかして梓ちゃんのこと? そんなに仲良かったっけ」

唯「ええーー!?」

憂「おねえちゃんよくわかんないよ……熱でもあるの?」

唯「憂こそだいじょうぶ? 軽音部だよ? けいおん!」

憂「うーん、ごめんね」

唯「うぅ……ちょっと本当に熱あるのかなぁ、今日はもう寝るね…」

憂「え、晩ご飯は?」

唯「あとで持ってきて~」

憂「もー」



次の日

唯「ふぁあ……昨日はよくわかんなかったな……今日りっちゃんに聞かないと…」

ガラッ

唯「あ、りっちゃん。おはよー」

律「え?あ、あぁ……? お、おはよう平沢さん」

唯「ん?」

律「平沢さんそれギター? どうしたの?」

唯「えっ!? りっちゃんだいじょうぶ!? ギー太だよ?」

律「ギー太……? ああ、平沢さんらしいね」

唯「……」


キーンコーンカーンコーン

唯「澪ちゃーん」

澪「あ、え?ええ? 平沢さん?」

唯「……」


唯「ムギちゃーん」

紬「……? あ、なにかしら平沢さん」

唯「……」


唯「さわちゃーん」

さわ子「こら、先生のことをそんな呼び方しちゃいけません。次は許しませんからね」

唯「……」



唯「なんか、おかしいよ……」


「礼、ありがとーございましたー」

ざわざわ
律「澪今日どっかいく?」
澪「私文芸部あるから」



唯(へんだよ…みんなへんだよ……! 部室…!部室に行けば…!)

ガラッ

紬「あら」

唯「! ムギちゃん!!」

紬「どうしたの? 合唱部になにか用かしら」

唯「……え……合唱部……?」

紬「……? だいじょうぶ平沢さん? 保健室ついていきましょうか?」

唯「……」

ガラッ

紬「あっ…」

唯「どうして……ウゥ……」

唯「どうしてみんな軽音部のこと忘れてるの……」

唯「どうして…ウッ…どうして……」


梓「先輩」

唯「!」


唯「あずにゃ……あずさちゃん……」

梓「あずにゃん、でいいです」

唯「えっ」

梓「大丈夫です。私は大丈夫です」

唯「えっ、えっ」

梓「昨日から何かおかしいです。唯先輩と私以外、みんな軽音部のこと忘れちゃってます」

唯「あ、あず……」

唯「あずにゃあああああああああああああん」

ガシッ

梓「わっ」

唯「ヒック……ウッ……」


梓「……やっぱり昨日の車が怪しいと思うんです」

唯「……車? あ、あのUFO…?」

梓「はい、きっとあれが原因です」

唯「じゃあ、じゃあ」

梓「もう一度いってみましょう、昨日の場所に」


唯「……うん!」


梓「ここ……ですね」

唯「この路地だよ。確かに」

梓「まだちゃんと車がありますっ デロリアンでしたっけ?」

唯「ふら~」

梓「あっ、」

ウィィィン

梓「近づいて大丈夫なんですか……?」

唯「あ、これ……」

梓「え?」

唯「昨日は気付かなかったけど、ダッシュボードの上に手紙みたいなのがあるよ」

唯「あけていい?」

梓「ど、どうぞ……」

唯「……かわいい便箋に書いてあるよ」

梓「…・」

唯「えーっと……」

唯「ん?」

梓「?」

唯「これあずにゃんの字じゃない?」

梓「ええ!?」

唯「ほらほら」

梓「たしかに私の字に見えますけど……そんな確証は……ていうかなんでわかるんですか」


唯『車の後ろの白い機械にゴミを入れ、時速140km』

梓「手紙というよりメモですね……」

唯「白い機械ってこれ?」

パカッ

梓「これ……ですね、たぶん。ほかに白いのは見当たりませんし」

唯「ゴミを入れるって書いてあるけど、なんでもいいのかなぁ…」

梓「とりあえずポケットに入ってたレシートとかいれてみますね」

唯「あ、じゃあわたしこの飴の袋ー」

シュポンッシュポンッ

梓「これで……いいんですかね? ていうか実行しちゃって大丈夫なんですかね?」

唯「時速140kmってどれくらい?」

梓「かなりはやいです」


梓「え、まさかこれ乗るんですか?」

唯「だってそうかいてあるよー」

梓「まだ17歳ですよね!? 大丈夫なんですか!?」

唯「なんとかなるよー、たぶん」

梓「たぶんて……」


梓「て、いうか。やっぱり危ないですよ! やめましょうよ!」

唯「でも、これに従うしか元の世界に戻す方法はないんだよ、きっと」

梓「なんでそんなことが……」

唯「勘だよ!」

梓「勘って……」


唯「ちゃんと乗ったー?」

梓「でも、140kmとか出せないですよ…? そもそも事故したら……こんなところだし、道もないじゃないですか」

唯「道? そんなもの…必要ないのだよ!」

梓「え?」

唯「……へへ、いってみただけー」


梓「もー先輩! いい加減にしてくだs…」

ガコッ

ゴォォォォォォォォォォ

梓「え!?」

唯「うわ! 浮いた!」


梓「なにしたんですか先輩!!」

唯「なんか、ここをぐいってやったら浮いた……」

梓「この車、なんなんですか……」

唯「よーし! あずにゃんシートベルトしめた!? いっくよーー!!」

梓「ノリノリですね……」

唯「一度やってみたかったんだよ! レッツゴー!!!!」



シーン

二人「……」

梓「先輩…?」

唯「あれ? どっちが進むほうだっけ?」

梓「……」

唯「こっちかな」

グイッ
ゴォン!

梓「うわ!」


グオオオオオオ

唯「わ、わ、わ、」

梓「ちょ、壁にぶつからないでくださいよ! 上いってください上!」

唯「がってん!」 グィ

ブオオオ


唯「このままずっとスピードだしてればいいの?」

梓「140kmもだすの大変ですよ、ていうか140kmいったら何が起こるんですかね? このメモ」

唯「きっとすごいことが起こるんだよ! あずにゃんでも想像できないような!」

梓「浮いてるだけでも十分すごいですけど…」

唯「そう、たとえば……うーん、タイム……タイムスリップとか!」

バシュッバシュッ

梓「そんなわけが……」

バン!

唯「うわ!!」
梓「!!」


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最終更新:2010年05月26日 23:01