―体育―

教師「……では、二人組みになって、ストレッチをしましょう」

憂(二人組み、どうしようかな……)キョロキョロ

梓(ど、どうしよう、誰と……)キョロキョロ

憂・梓「あ……」

目が合ってしまう二人

憂・梓「……」

憂「や、やろっか……」ドキドキ

梓「う、うん」ドキドキ


梓「じゃ、じゃあ、こっちの手持ってひっぱって!」ドキドキ

憂「う、うん」ドキドキ


憂「いちに、いちに……」ドキドキ

憂(あ、あずさちゃんの体、柔らかいな……)

憂(思いっきり引っ張ると、すごく近くまで……)ドキドキ

―ぎゅうぅぅ

梓(お、思ったより憂、力つよい……いたたた)

梓「う、憂、もうちょっと優しく……」

憂「……」ドキドキ

―ぎゅうぅぅ

梓「憂、痛い痛い……」

憂「……はっ!」

憂「ご、ごめん、あずさちゃん……」

梓「う、ううん、大丈夫……」

憂(やだ、私ったら、何夢中になって……)ドキドキ

憂「……」ドキドキ


憂「……」ドキドキ

梓「よし、憂、交代しよ!」

憂「……」ポー

梓「……憂、交代……」

―ぎゅぅぅぅ

梓「ちょ、ちょっと憂、いつまで手握って……」ドキドキ

憂「……え、あ」ドキッ

憂「そ、そうだよね、ごめんごめん」ドキドキ

梓「……」ジー

憂「え、な、何?」ドキドキ

梓「いや、だから交代……」

憂「そ、そっか、そうだよね、うん、よし、交代しよ!」

梓「……うん」

梓(憂のやつ、どうしたんだろ……)

―キーンコーンカーンコーン

梓(やっと昼休みか……何だか今日は、すごく長く感じたな……)

梓「……」ゴソゴソ

梓(あ、あれ、お弁当……)

梓「あ……」

梓(そうだ、昨日は憂の家に泊まったから、お弁当持ってきてないんだった)

梓(ど、どうしよ……)

―さっ

憂「はい、これあずさちゃんの分!」

梓「……え?」ドキッ

憂「あ、あれ、もしかして、もうお昼用意しちゃってた?」

梓「う、ううん」

憂「そっか、よかった」

梓「……」ソワソワ

梓「あ、あのさ、このお弁当……」

憂「……ん?」

梓「う、憂が作ってくれたの?」ドキドキ

憂「うん、昨日は家に泊まったから、お弁当とかないだろなーって思って……」

梓「そ、そっか……ありがと、憂」ドキドキ

憂「……」ドキッ

憂「う、ううん、一人分増えたからって、手間はそこまで変わらないし……」ドキドキ

憂(な、なんでこんなにテレてるのよ、私……)ドキドキ

梓(憂……本当に優しいな……)ドキドキ

梓(唯先輩では、こうはいかないもんな……)

梓(……って、あれ?)

梓(い、いや、おかしいわ、私、好きな人と憂を比べるなんて……)

梓(憂のことは何とも思ってない……はずなのに……)ドキドキ

―ぱかっ

梓「……わ、すごい美味しそう」ボソッ

憂「……」ドキッ

梓「ね、ねえ、食べていいかな?」

憂「……」コクッ

梓「……ほ、ほら、せっかくだから、憂も一緒に食べよ」

憂「う、うん……///」

―もぐもぐ

梓「……美味しい///」

憂(あずさちゃん、本当に喜んでくれてる……)

憂(こんなに喜んでもらえたんだったら、私も作ったかいが……)

憂(……い、いや、おかしいわよ)ドキッ

憂(わ、私はお姉ちゃんのために作ってるのよ、あずさちゃんの分は本当にただのついでで……)ドキドキ

――かちゃ

梓「……ふぅ、ごちそうさま」

憂(わ、あずさちゃん、食べるの早いな)

梓(おいしかったから、つい夢中になって食べちゃったな……)

梓「う、憂、ごちそうさま、おいしかったよ」ドキドキ

憂「そ、そう、ありがと……///」ドキドキ

梓「……」ジー

憂「……」モグモグ

梓「……」ドキドキ

憂「……」ドキドキ

梓(あ、あれ、何よ、この間は……)ドキドキ

憂(な、なにか話さないと……何か……)ドキドキ

憂「……」ドキドキ

梓「……」ドキドキ

梓・憂「あ、あのさ……」ドキドキ

梓・憂「あ……」

憂「……」ドキドキ

梓「……」ドキドキ

憂「……な、何?」ドキドキ

梓「い、いや、憂からいいよ、私は別に大した話じゃ……」ドキドキ

憂「わ、私も別に……」ドキドキ

憂「……」ドキドキ

梓「……」ドキドキ

梓(ダメだ……もう耐えられない……)

梓「ちょ、ちょっとトイレ行ってくるね」

憂「う、うん」

―がたた

梓「じゃあ、このお弁当箱は洗って返すから……」

憂「……あ、私が持って帰るから大丈夫だよ」

梓「いや、ここは私が……」

憂「……」ジー

梓「……!!」ドキッ

梓「あ、いや、じゃあ……お願い……///」

憂「う、うん……///」

―たたたっ

梓(な、何で……憂の顔が直視できない……)ドキドキ

憂(あずさちゃん、何であんなにテレて……)

憂(……これじゃ、私まで……)ドキドキ

憂「……」ドキドキ

憂(あ、あれ、何で私までこんなにドキドキして……)

憂(ま、全く、あずさちゃんがあんなにテレるから、私までつられて……)ドキドキ

憂(そ、そうよね、これはつられてなってしまってる訳だから、別に深い意味は……)

憂(……ん、つられて?)

憂(……え、もしかしてあずさちゃん……)

憂「……」

憂(そ、そういえば、昨日も寝てるとき、あずさちゃんに唇を奪われて……)ドキドキ

憂(い、いや、まさかね、そんなはずは……)

憂「……」ドキドキ

憂(そ、そんなはずは……)ドキドキ

憂「そうだ、お弁当箱、片付けないと……」

―かちゃかちゃ

憂「……あ」

憂(あずさちゃんの使ったお箸……)ドキドキ

憂「……」ドキドキ

憂「……」キョロキョロ

憂(……誰も見てないよね)ドキドキ

憂(って何をしようとしてるのよ、私は……)

憂(お姉ちゃんが使ったわけじゃないのよ、あずさちゃんの使ったお箸なんて別に……)

憂「……」ドキドキ

憂(あ、あずさちゃんの使ったお箸なんて別に……)ドキドキ

憂「……」キョロキョロ

憂(あずさちゃんの使ったお箸なんて……)ドキドキ

―がらら

梓(ふぅ、まいったな、何であんなにトイレが混んでたんだろう……)

憂「……」キョロキョロ

梓(あれ、憂、一体何をして……)

憂「……」レロレロ

梓「……!!」

憂(お、お箸のこんなところにご飯粒が……)

憂(ちゃ、ちゃんと食べないともったいないから……)ドキドキ

梓「ちょ、ちょっと憂、何をやって……」

憂「……!!」

憂「あ、あずさちゃん、いつの間に……」

梓「そ、それ、もしかして私が使ってた……」

憂「いや、これは、その……」

―がらら

教師「はい、席について下さい」

憂「……ほ、ほら、先生が」

梓「……もうこんな時間なのね」

―がたた

教師「では、授業をはじめましょう」

梓「……」

梓(憂のやつ、何やってんのよ……)

梓(……私のお箸なんて、舐めたって何の得も……)

梓(って、ここは怒るところよね、よし後で憂を問い詰めてみよう)

梓("何であんなことしたのよ"みたいな感じで……)

梓(……)

梓(あ、あれ、憂のやつ、本当になんであんなことを……)

梓(私の使った後のお箸を……)ドキドキ

梓(あ、あれ、憂のやつ、もしかして……)ドキドキ

梓(いや、まさかね、そんなはずは……)

梓(……)

梓(そ、そんなはずは……)ドキドキ

憂(私ったら、何であんなことを……)ドキドキ

憂(お姉ちゃんのなら分かるけど、何であずさちゃんのお箸を……)ドキドキ

教師「はい、ではこれまで」

―がたた

梓「ねえ、憂、あのさ」

憂「な、何?」ドキッ

梓「あ、いや……///」

すぐに目をそらしてしまう梓

梓「な、何でもない……///」

憂「……」

憂(……そんなにショックだったのかな、目もあわせてくれないなんて……)

梓(だ、だめだ、やっぱり直視できない……)ドキドキ

憂(もしかして、あずさちゃんが私のこと……好きなのかなって思ったけど)

憂(やっぱり、私の勘違いみたいね、何だか怒ってるみたいだし……)

憂「……そう」ツーン

梓「……!!」

梓(憂のやつ、なんでこんなに不機嫌なんだろう……)

梓(もしかして、憂は私のこと……好きなのかなって思ったけど)

憂(その気がないなら、思わせぶりな態度取らなきゃいいのに……)イライラ

梓(やっぱり、私の思い違いだったみたいね……)

梓(何だか、すごく殺気を感じるし……)

キーンコーンカーンコーン

憂「……」

梓「……」

梓(何だか、憂とちょっと気まずいな……)

梓「ねえ、憂!」

憂「……何?」

梓「さっきはごめん、何か私に悪いところがあったなら、謝るよ」

憂「……?」

憂(……え、私、何かされたっけ、むしろ私がいけないことをしたような)

梓(とにかく謝っておこう、憂と気まずいままなんて、私には耐えられな……)

梓(い、いや、唯先輩の心象が悪くなったら嫌だしって意味だけど……)ドキドキ

憂「え、えっと……」

憂「私の方こそ……ごめん」

憂(もしかして、脈アリだったのかな……)ドキドキ

憂(あれ、脈アリって何よ、私は別にあずさちゃんのことは……)ドキドキ

憂「……じゃあ、一緒に帰ろうっか」

梓「あ、いや、私はこれから部活が……」

憂「そっか……」

憂「……」

憂「じゃ、じゃあ、私は先帰るね」

梓「う、うん」

―すたすた

梓(憂が行っちゃう……)

梓「……」ソワソワ

―たたたっ

梓「憂!」

憂「あ、あずさちゃん、どうしたの?」ドキッ

梓「しょ、昇降口まで一緒に……」ドキドキ

梓(……もう着いちゃった)

憂「……」ドキドキ

梓(こ、校門までついて行っちゃおっかな……)ドキドキ

―ガチャ

憂「あずさちゃん、今日は部活じゃないの、何で履き替えようとして……」

梓「そ、そうだった、あはは、そのまま帰っちゃうとこだった」

憂「あ、あはは」ドキドキ

梓(……あれ、もうこんな時間、急がないと)

梓「ごめん、私部活に行くから、その靴下駄箱に戻しといて!」

憂「う、うん」

―たたたっ

憂「……」

憂(あずさちゃんがいつも履いてる靴……)ドキドキ

憂「……」ドキドキ

憂(い、いや、何考えてるのよ、早く下駄箱に戻さないと……)

―ガチャ

憂(よし、戻すわよ、何もせずただ戻すわよ)

憂「……」

憂「……」スンスン


―がらら

梓「お、遅くなりました」

唯「おー、あずにゃん、昨日は楽しかったねー」

澪「昨日って……梓と何かしたのか?」

唯「うん、あずにゃんがうちに泊まりにきたんだよ!」

紬(いいなあ……)ドキドキ

唯「それでね、みんなでパジャマパーティーを……」

梓「……先輩、真っ先に寝ちゃいましたけどね」

律「何だよー、お前らばっかり楽しそうに」

唯「えへへ……」

律「ふむ……」

律「……よし、明日は休みだし、今日みんなで唯の家泊まりに行こうぜー!」

一同「……!!」

澪「い、いや、でもさすがにいきなり押しかけたら迷惑だろう」

唯「ううん、今日も家誰もいないし、大丈夫だよ!」

律「だってさ、よし、みんなで行こうぜー!」

澪「いきなり言ったって、泊まりだったら準備とか……その……」

梓(ま、またお泊り……)

梓(もう月曜日まで憂に合えないと思ってたけど……)ドキドキ

律「行きたい人ー?」

澪「律が仕切るな!」

梓「わ、私、行きたいです、ぜひ、ぜひ!」ドキドキ

唯「おー、あずにゃんはノリがいいねー」

梓(あれ、何で私こんなに必死になって……)

梓「……」ドキドキ

梓(今まで、自分の中で誤魔化してきたけど……)

梓(わ、私は、本当は憂のことが……)ドキドキ


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最終更新:2010年01月03日 01:49