梓「!? う、憂? ど、どうしたの!?」

憂「? どうもしないよー?」スリスリ

梓「ちょっ…や、やめて…やめてったら、もうっ」キッ

憂「睨まれた!?」ヒィ

梓「どうしたのよ急に、唯先輩の真似なんかして。…熱でもあるんじゃない?」

憂「え? う、うん。ちょっと具合が悪くってさー」

梓「大丈夫? 保健室、行ってあげようか?」

憂「んーん、平気平気。お薬飲んでるしもうよくなっちゃった」

梓「なら、いいんだけど」

憂(そっか憂は抱きついたりしないんだぁ。あぶないあぶない)

梓(なんか変だなぁ)

純「おはよ憂、あーずさっ」ダキッ

梓「お、おはよう。もう…純までなんなの」

純「なんか入ったら憂が抱きついてるのみたから、気持ちいいのかと思って」モミモミ

梓「にゃ、にゃぁっ!? どどどどこさわって…ちょっ…やっ…」

憂「ねえあずにゃん」ジーッ

梓「う、憂黙ってみてないで止めっ…あ、あずにゃん?」

憂「この人は抱きついてもいいの?」

純「?」

梓「こ、この人って…純のこと?」

憂「あずにゃん…知らなかったよ。私の他にも身体を許してるだなんて…ひどいよこの浮気もの!」

純「なっ!? ちょ、ちょっと憂!? そんな誤解されるよう事を」アセアセ

梓「…誤解されるような事をやってるのは純の方じゃな…う、憂?」

憂「…ぅっ…ぐすっ…」

梓「な、泣いてるの?」

純「うわっ…ガチ泣きって…わたしのせい? ていうか…憂、大丈夫なの? その、頭とか」

梓「わかんない。具合が悪いから薬飲んだって言ってたけど…なんか私の呼び方も変…!?」

純「梓?」

梓「…もしかして…」

憂「ぅっ…ぇぅっ…」グスグス

梓「…ほら、唯先輩。大丈夫ですって。純はただふざけてるだけですし、私は唯先輩の事を嫌いになったりなんかしませんから」

憂「ほ、ほんと?」パァァァ

梓「ええ。だから泣かないで下さい唯・先・輩」ニッコリ

憂「う、うん! あずにゃんむっ」ガシッ

梓「はいそこまでです。…やっぱり唯先輩でしたか」

憂「んぇ…!? な、なんのことやらさ、さっぱり」アセアセ

梓「じゃあ私のあだな言ってみて。憂なら唯先輩と呼び方が違うはず」

憂「えっ!? ええええと…あ、あずさ2号?」

梓「やっぱり偽物じゃないですか」

憂「あう…」

梓「もう。なんだってこんなことするんですか」

憂「うう…ごめん。あずにゃんと一緒に授業うけたりとかしたら楽しいかなぁって…つい」

梓「! そ、そんなことで入れ替わらないで下さい! まぎらわしいんだから…もうっ」

純「?梓顔赤いよ。ていうか何がどうなってるのかさっぱりわからないんだけど…」

梓「知らない!」プイ

純「きりーつ、れーい、ちゃくせきー」ガタガタ

梓「はぁ…あの後ホームルームも授業も連続しちゃうから結局このままとか。…憂相当苦労してるんじゃないのかなぁ」

憂「うーん、うーん」

純「何唸ってるのよ憂。…まだ頭が痛いとか?」

憂「あ、純ちゃん。さっきの先生の授業、すごくわかりにくくって」

梓「…」ハァ

純「だよねー。わたしもわかんなかったから憂に聞こうかと思ったんだけど…でもいつもの憂なら…
 まあ具合悪いんならしかたないよね。
 ちょっと頼りないけどノートは梓に見せてもらうからさ、憂は保健室行ってみたら?」

梓「唯先ぱ…憂、ちょっといい?」

憂「あずにゃん? どうしたの手なんかつないで」ドキドキ

梓「一緒に来てもらいます」グイッ

憂い「ちょっ…ひ、ひっぱらないでって」

梓「休み時間の間に元通り入れ替わってもらいます!」グイグイ

憂「ひぇぇぇ」

純「お大事にー」


梓「失礼します」

律「おー梓じゃん」

澪「どうしたんだ?」

紬「あら憂ちゃん」

和「憂? ああ、唯ったらまたお弁当忘れたのね。でも梓ちゃんも一緒になんて、珍しいわね」

唯「憂? どうしたの? あっ♪」

梓「ええ、ちょっ…にゃぁっ!?」

唯「あーずにゃんっ!」ダキッ

憂「あ、ず、ずるい! 私もっ」ダキッ

梓「ちょっ…や、やめて下さい唯先輩、憂まで…!?」

紬「あらあらまあまあ」ツヤツヤ

澪「唯はともかく…憂ちゃんまで…どうかしたのか?」

和「? ……!」

律「…脳にくる怪しい病気とか」ニヤリ

澪「ひっ」キコエナイキコエナイ

和「…ちょっと、止めなさい唯。梓ちゃんが困ってるわよ」

唯憂「ちぇー」

和「…やっぱり。把握したわ梓ちゃん。まったくとんでもないことを考えるわね唯は」

唯「? なんのこと?」

憂「な、なんのことだか」

梓「憂、唯先輩の真似はもういいのよ。バレちゃってるんだから。大変だったでしょ?」

唯「あずにゃん? 憂はこっちだよ?」ガシッ

憂「う、憂?」

梓「憂? だから、もういいんだって。ほら、リボンと上履き換えて、教室帰ろ?」

唯「? どうしたのあずにゃん? 変だよ? も…もしかして…熱でもあるんじゃ!?」アセアセ

和「憂? いや…唯?」

唯「? 和ちゃんまでどうしたの? きょとんとして…変な顔」

きーんこーんかーんこーん

和「…梓ちゃん、予鈴鳴ってるし…また後にしたらどうかしら」

梓「え? え、ええ」


和「それと…ちょっと、いいかしら。耳を」ボソッ

梓「なんですか?」

和「憂が入れ替わった唯というか…私には唯そのものに見えてたし、実際いまもそう見えるの。それに…」

梓「?」

和「こっちではだれひとり気付かなかったのよ。…授業の後にわからない部分を聞いて来る箇所まで同じだし…」

梓「それって…どういう…」

唯「あずにゃん、授業…遅れちゃうよ?」

梓「は、はい。…えっ!?」

唯「?」

梓「…も、戻ります。憂、戻るよ」グイッ

憂「わっ…ちょっ…まってよぉ」ドタドタ

唯「どうしたんだろ。憂にあずにゃん」

澪「さあな。憂ちゃんどうかしたのか?」

唯「えっ? うーん、…そういえば、今朝憂となにかあった気がする…ような」

紬「あったって…なにかしら?」

唯「わすれちゃった。えへへっ」

律「まったく。これだから唯は」ヤレヤレ

和「…」

澪「和?」

和「なんでもないわ。先生が来たみたいね。席につきましょう」メガネクイッ

純「憂大丈夫だったの?」

憂「うん。へーきへーき」

梓「…」ハァ

その次の休み時間も、その次も、お昼休みも、その次もその次も…唯先輩に扮した憂は相変わらず唯先輩だった。
正直言って私にも唯先輩そのものにしか見えなかったし、
和さんもとても嘘を言っているようには見えないと戸惑っているようだった。
でも、一番困惑しているのは…。

憂「あ、あずにゃーん…。憂…どうしちゃったのかなぁ? やっぱり…怒ってるとか?」オロオロ

梓「…わかりません。さっきの休みも和さんが言ってましたが、
 唯先輩が怒ってるとどんなに隠しててもすぐにわかるらしいんです。もちろん憂のこともある程度は。
 それに嘘をついても唯先輩ならすぐにわかるということですし」ツカツカ

憂「?」

梓「…つまり、憂は怒ってないんじゃないかってことです。隠し事もしてないように見えるみたいです。それと…」

憂「それと? あ、あずにゃん歩くの速いよ」テクテク

梓「す、すみません。…ひょっとしたら強烈な自己暗示にかかってるんじゃないかって…」

憂「きょーれつな…じこあんこ? なにそれおいしい?」キラキラ

梓「…えっとですね…」

律「よー梓。今日は遅いじゃん。憂ちゃんも…あー、唯…だっけ?」

憂「そうだよー。まちがっちゃやだよーりっちゃん」プンプン

梓「は、はい。ホームルームが長引いちゃって。澪先輩たちはもう?」

律「日直があってさ。澪とムギは先にいってるはずだし、今頃お茶でも…んー、良い匂い。ここまで来るな」クンカクンカ

憂「ほんとだー」フンスフンス

梓「ってことは、唯先輩も」

唯「あっ♪」

梓「!」ピクゥ

唯「あーずにゃんっ!!」ダキッ

梓「ひゃぁっ!?」

律「うーん、それにしてもこうしてみるとほんとに唯と憂ちゃんそのものにしか見えないな。
 さわちゃんじゃないけど胸の大きさもそれっぽいし、身長も唯の方が大きくみえる…。
 何かいれてんのかな?」

唯「むふーん。あーずーにゃん」スリスリ

梓「や、やめてください唯先輩っ…ろっ廊下でなんて…」

憂「あうぅぅ…わたしのあずにゃん…」オロオロ

律「憂ちゃん…じゃなかった、唯? …紛らわしいなー」

憂「…りっちゃん…辛いよ。わたしがあずにゃんとあんなに幸せで仲良さそうにしてるのに…わたしは…憂は一人…」ポロポロ

律「…(ま、まあいつもの光景なんだけど…どっちかというと唯に弄られてる梓に嫉妬する憂ちゃんてのがしっくりくるような…)」

梓「み、見てないで止めて下さいよ律先輩!」

律「あ、ああ。おい唯、いい加減にしとけよ。梓も困ってるし」

唯「ちぇー」ブスブス

憂「…あずにゃん、りっちゃん、私、帰るね」

梓「えっ?」

憂「よく考えたら…ごはんも作らなきゃいけないし、洗濯物も取り込まなきゃいけないし、お風呂の用意もあるし…。
 憂…あずにゃんと…あずにゃんとお幸せにっ」ダッ

梓「憂!? じゃない、唯先輩!?」

律「お、おい憂ちゃ…唯!?」

唯「? どうしたのりっちゃん、あずにゃん?」キョトン

ドア「がちゃ」

澪「表が騒がしいと思ったらこれだ。お茶の用意できてるみたいだぞ」

唯「わぁお♪」

律「ムギー、今日のお菓子は?」

紬「今日はたいやきにしてみたの」

梓「にゃっ!? た、たいやきですか!?」ジュルリ

きゃいきゃい

澪「ふう。そろそろ練習だな」モグモグ

唯「えーこれもう一個食べてからー」

梓「あっ…ず、ずるいです唯先輩。わたしまだ3つしか」

唯「割り切れないから余りは早いもの勝ちだよー」

紬「まあまあ梓ちゃん。ほら、わたしの分を半分あげるから」


最終更新:2010年05月29日 22:24