――浴室――
和「唯の、カレー」
和「ゆいの、カレー」
和「唯ちゃんの、カレー」
和「唯にゃんの、カレー」
和「真鍋唯さんの、カレー」
和「ゆいっぺの、カレー」
和「ゆいっちの、カレー」
和「ゆいゆいの、カレー」
和「ゆいとらとぷすの、カレー」
和「……よし。100通りの唯のカレーを唱えたところであがろうかな」
和「今日は、唯は来ないのね。ちょっと残念」
和「カレー食べて、ケーキ食べよう。うん」
――居間――
唯憂和「いただきます!」
和「……あむっ」
唯「どきどき」
憂「わくわく」
和「!?」
唯「どう?」
和「これ、もしかして……」
唯「うん。イチゴ入れたんだぁ。お菓子にしようかと思ったんだけど、いいの
が売ってなくてさ」
憂「イチゴ……」
和「お、美味しいかも。甘酸っぱさと辛みがアンバランスで美味?」
唯「やった! たくさん作ったからどんどん食べてね!」
憂「よかったね! お姉ちゃん!」
唯「やっぱり3人で食べるご飯は美味しいね!」
唯「ケーキうまー」
憂「美味しいねー」
和「あら、ホント。買ってきてよかったわ」
憂「純ちゃんにも教えてあげよーっと」
唯「純ちゃんって、今なにしてるの?」
憂「うーん。なんか旅してるみたい」
和「旅?」
憂「うん。本当に自分を見つけるって言って出ていったんだよ」
唯「前から思ってたけど、純ちゃんって結構飛んでるよね」
和「律に似たテンションだと思ってたけど、まさかそこまでなんてね」
憂「この間来た手紙によると、今はイギリスのブラックリーにいるんだって」
唯「どこ!?」
和「なんてわかりにくいところに……」
――浴室――
唯「和ちゃんが浸かったお湯」こくん
唯「えへへ。ちょっと甘いかも」
唯「……和ちゃん」
唯「ごめんね……」
唯「ひっく……うう……」
唯「私、本当に馬鹿だよ」
唯「和ちゃんは、私のこと真剣に愛してくれているのに」
唯「私なんかで、和ちゃんのお嫁さんが務まるのかな……」
唯「でも、私は和ちゃんが好き。誰よりも大好きなの」
唯「――よし」
唯「決めた」
――夫婦の寝室――
和「……明日、お休みなんだけど。どこか行く?」
唯「……」
和「いきなり訊かれても困るわよね。明日にでも言ってくれれば――」
唯「和ちゃん」
和「なに? 動物園? それとも水族館?」
唯「私、和ちゃんに話しておかなきゃいけないことがあるの」
和「?」
唯「聞いて、くれる?」
和「……ええ。話してみなさい」
唯「今日、あずにゃんに会ったの」
和「梓ちゃん。久しぶりね。よかったじゃない」
唯「うん。会ったときまではよかったんだけど――」
唯「一緒に喫茶店入って、今、あずにゃんがなにしてるのかって話してね」
和「うん」
唯「そのあと、コーヒー一杯で粘るのも何だからってことであずにゃんの
おうちにお邪魔したの」
唯「……」
和「落ち着いて。ゆっくりでいいからね」
唯「……それで、あずにゃんとお話してると、あずにゃんが私のこと――」
和「……」
唯「好きって言ってくれて。和先輩に渡したくないって――」
和「……」
唯「駄目だよ。その一言が言えなくって……」
和「うん……」
唯「あずにゃんと……えっち、しました……」
和「……そっか」
唯「……ひっぐ。ぐっ、あ……はぁ……和、ちゃん……ごめんなさい、ごめん
なさい……………」
和「――唯!」
唯「和、ちゃぁん……!」
ベッド「ぎしっ」
和「唯は、なんにも悪くない」
唯「違うよ。私が、嫌って言わなかったからだよ」
和「それこそ違う。梓ちゃんを受け入れたのは、唯、アンタの優しさなのよ」
唯「でも、そのために私は和ちゃんを裏切った! もう、汚れちゃったんだ
よ。私」
和「裏切ったのなら! 裏切って汚れたのなら、私が綺麗にしてあげる」
唯「ん……! あっ。駄目ぇ……」
和「唯……」
唯「和ちゃんに、和に触ってもらえる資格なんて、ないもぉん……!」
和「資格なんて必要ない。理由も動機も、全部後付け。今は、唯を綺麗に
してあげるために、するの」
唯「……のど、かぁ!」
和「呼び捨て。できるようになったのね」
唯「だって……いつまでも子供みたいで、厭なんだもん! 子供だったか
ら! あずにゃんを、受け入れちゃった」
和「関係、ないわよ」
唯「だって、こんなに気持ちいいんだもん。したくなんて、ないのに――」
和「それが真鍋唯の身体なんだから、仕方ないでしょう?」
唯「真鍋……そうだ。私は、和ちゃんのお嫁さんになったんだ……」
和「呼び方、戻ってる。そうよ。アンタは私のお嫁さんなの。幼稚園のころの
約束を、きちんと守ったのよ。私たち」
和「だから――私たちの絆は、絶対に切れないの」
唯「和ちゃんって、男の子みたい」
和「ここをこんなにしてるアンタに比べたら、ね。でも、私だって色々あるの
よ?」
唯「うっさい。いつもは和ちゃんが私の下にいるくせに」
和「少し機嫌治ってきた? いや、これは悪くなっているのかな?」
唯「むー」
和「唯ちゃーん」
唯「可愛く言っても、手、動いてる……」
和「気持ちいい?」
唯「……うん」
和「どこが?」
唯「やー」
和「可愛い。――今日は、全部私が綺麗にしてあげるからね」
唯「おぼえてろー」
和「覚えてるわよ。びしょびしょわんこさん」
唯「わんこさんじゃないもん」
和「今の唯、犬にしか見えないわ」
唯「うう……」
和「あのさ。もう一回、呼び捨てしてくれない?」
唯「……和」
和「……唯」
省 略
憂「隣から変な音がする……」
憂「これは行くべきか」
憂「行かざるべきか」
憂「なにかが軋む音が、ずっとする」
憂「行くべきか」
憂「行かざるべきか」
――翌朝――
スズメ「チュンチュン」
唯「ん……。朝か」
和「すー」
唯「えへへ。今日は私のほうが先だもんね」
唯「じー」
和「んん……」
唯「可愛い。和ちゃん」ちゅっ
和「むにゃ……」
唯「そんな可愛い寝顔してたら、朝から襲っちゃうよ」
唯「……こんな私を、許してくれてありがとうね」
唯「和……」
唯「……まだ、照れくさいや」
ドア「ニコ」
憂「お姉ちゃん。朝ごはん一緒に作ろー」
唯「ふぇ! う、憂!」
憂「ういだよー」
唯「夫婦の寝室にノックもしないで入るとはなにごとかー!」
憂「はいはい」
唯「むー」
憂「ほら、朝ごはん作って和ちゃん驚かせようよ」
唯「そうだね! 目玉焼き作る!」
憂「いいね。じゃあ、私はお味噌汁!」
唯「それじゃあ、キッチンに急ごう!」
憂「あ、お姉ちゃん。あんまり騒ぐと和ちゃん起きちゃうよ」
唯「あっと。いけね」
和「すー」
憂(和ちゃん、かわかっこいい!)
――キッチン――
唯「フライパンに油ひいてー」
憂「うんうん」
唯「あっためてー」
憂「そうそう」
唯「玉子割ってー」
憂「いいねいいね」
唯「じゅー」
フライパン「ジュワー」
憂「頑張ってね。お姉ちゃん」
唯「うん! 憂も美味しいお味噌汁作ってね!」
憂「オーケー!」
和「……いい匂い」
唯「和ちゃ~ん!!!」がば!
和「ふぇ?」
憂「目玉焼きお皿に移して、火を消して――」
憂「和ちゃ~ん!!」がば!
和「ええー」
唯「和ちゃんの朝おっぱい!」
和「や・め・な・さ・い!」
憂「めがねー」
和「よ・し・な・さ・い!」
唯憂「ぶー」
和「憂まで朝からなにやってるのよ」
憂「な、なんとなく?」
和「ホントに、いきなり小さい妹を二人も持った気分よ」
唯「お嫁さんだもーん」
和「あ。目玉焼き」
唯「私が作りました!」フンス
憂「お姉ちゃん、手際がよくなったよね」
唯「憂には負けるよ~」
憂「まあね!」フンス
和(気取らない憂はやっぱり可愛いわよね。この子ったら、人前だといい子
でい続けようとするから)
唯「和ちゃん。食べよ?」
和「ええ。いただきます」
和「はむっ」
唯「ドキドキ。昨日と同じ」
和「おいしい。このお味噌汁」
唯「ずこー」
憂「ありがとう! 和ちゃん!」
和「あ。唯は目玉焼き担当?」
唯「うん」
和「美味しいわよ。普通に」
唯「やっぱりこうだ! アレンジが必要なんだ! 私に料理は!」
憂「落ち着いて。美味しいんだからいいじゃない」
唯「うわああああああああん!!!」
和「……」
唯「ちらっ」
和「……」もぐもぐ
唯「ちらちらっ」
和「様子見ても何も言わないわよ」
唯「うわあああああああああん!!!」
憂「お姉ちゃん。早く食べて」
唯「はーい」
和「ところで唯」
唯「ん?」
和「どこか行きたいところある?」
唯「うーん」
憂「お出かけするの?」
和「折角の休みだから、家族サービスよ。憂はどこかある?」
憂「――」
憂(これは……そうだね)
憂「私はいいよ。二人で行ってきて」
和「いいの?」
憂「うん」
唯「それじゃあ、水族館行きたい。和ちゃんと初めて恋人としてデートした
ところ」
和「あそこね。いいわよ。それじゃあ、準備出来たら出発よ」
唯「それじゃあ、いってくるね」
憂「うん。いってらっしゃい」
和「唯。忘れ物はない?」
唯「大丈夫! クルマのカギ。お財布。なにもかもがある!」
和「それは重畳。憂、家のことはお願いね」
憂「和ちゃんたちも楽しんできてね」
唯「運転は任せて!」
和「やめて。ていうか、なんでアンタがキー持ってるのよ」
唯「あうー」
和「アンタの運転。殆どミハエル・シューマッハじゃない」
唯「駄目?」
和「駄目よ。ドライブも込みでデートなんだから。環七攻めてどうするのよ」
唯「ちぇー」
ドア「ニコ」
和「じゃあ、行くわよ」
和「なあに?」
唯「運転してる時の和ちゃん見てると、なんだかきゅんきゅんする」
和「それは嬉しいこと?」
唯「わりと。だって、和ちゃんのカッコいい姿を、一番近くで見られる瞬間だもん」
和「じゃあ、ありがとう」
唯「うん。缶コーヒー開けてあげる」
唯「……はい」
和「……唯」
唯「ふぇ?」
和「憂がいるときは言えなかったこと。言うわね」
唯「なぁに?」
和「目玉焼き。今まで食べたどんな目玉焼きよりもおいしかったわ」
唯「……えへへ。私も、和のお嫁さんっぽくなれたかな」
和「呼び捨てが似合ってないうちは、大人の女性じゃないけど。今の唯は立派なお嫁さんよ」
――PA――
和「ちょっとお腹減ったわね」
唯「パーキングのラーメン食べたいね」
和「そうね。安っぽさがなんともいえないわ」
唯「そのまえに……おしっこ!」
和「25にもなって……まったく」
唯「でへへー。すいやせんねー」
和「まあ、私も行くんだけどね」
唯「つれしょん!!」
和「二期のタイトルみたいに言わないの。一期があるみたいじゃない」
唯「和ちゃん、今日は大丈夫?」
和「問題ないわよ。昨日、見たじゃない」
唯「あ。そっか」
最終更新:2010年06月02日 22:22