憂「よしっ!準備完了!」
今日は修学旅行です。
憂「お姉ちゃんの。」
憂「お姉ちゃ~ん、起きて~!朝だよ~!」
唯「ふうんむにゃむにゃ」
憂「お姉ちゃん!」
唯「ハッ!いまなんじ!!」
憂「7時だよーご飯食べて早く支度しなきゃね」
唯「もうちょっと~」
憂「お姉ちゃん二度寝だめー!」
……
さわ子「それでは出席をとります。みんないるわよね?」
律「せんせー平沢さんがいませーん」
さわ子「ええ!?」
澪「まったく、唯の奴、まさか寝坊したんじゃないだろうな…」
紬「大丈夫よ、憂ちゃんがいるし…」
律「そーそー」
唯「ごめんなさーい!」
律「なーにやってたんだよ~唯~って、なんだそりゃ!」
唯「えへへ、ごめんごめん」
澪「なんでギター持ってきたんだよ…」
唯「憂がギー太持って行っちゃダメって言うからなんとか説得してたんだよー」
一同「・・・(憂ちゃんも大変だなぁ…)」
さわ子「しょうがないわねぇ、今更置いてこいなんて言えないし、特別に許可するわ」
唯「えへへーありがとうさわちゃん」
さわこ「それじゃあみんな、バスに乗って~」
唯「ガサゴソ…ガサゴソ…」
律「なにやってんだ?唯」
唯「じゃじゃーん!お菓子たくさん持って来たよ~みんなで食べよ!」
律「おお!さすが唯!」
紬「それじゃあお茶淹れましょう!」
唯「ほーい、おすそわけだよ~」
瀧「ありがと~」
紬「はい、どーぞ」
紬はお茶を澪に渡した。
澪「あ!ありがとう。」
律「あ!みんなで写真撮ろうぜ!」
唯「可愛く撮ってもーらおー」
さわ子「ほら~そこ!席を立たない!危ないでしょ!」
唯「さわちゃんも一緒に撮ろうよ~」
さわ子「もう!」
律「何時に着くんだっけ?」
澪「たしか、あと1時間くらいで…」
唯「次はこれたーべよっと、」
澪「いい加減にしろ」
今どのへんを走ってるかわからないが、首都高を走っているようだった。
しばらくするとトンネルに差し掛かった。
律「あれ?急に眠くなって…」
隣をふとみると、紬も眠っていた。
律「(やけに静かだな…)」
律「おい、澪ー」
後ろの席の澪に話しかけるが、律も唯も眠っていた。
あ、あれ?
その澪の後ろを見ると、みんな眠っていた。
律「あれ?おかしいぞ…!なんでみんな眠ってるんだ?」
律「そうか、みんな昨日緊張して眠れなかったのか…仕方がないか…
って、小学生か。なんで…こん…な……」
律は知らぬ間に眠ってしまっていた。
目が覚めると、そこは見知らぬ教室だった。しかも外は暗く、もう夜のようだった。
いつもの教室と違う。そう気付いたのは一番最初に目が覚めた唯だった。
普段寝起きが悪いくせに、こういうときは早く目が覚めるらしい。
唯「…あれ?ここどこ?」
みんな椅子に座らされていた。唯の隣には紬が眠っていた。いつもの席順とは違うようだった。
紬を起こそうと紬の肩に手をかけようとしたその時!
唯に電流走る・・・っ!!!
唯「…え?」
紬の首に首輪のようなものがついている。
その瞬間、自分の首に金属感のあるひやりとした感触が走る。
唯「え…あれ?…なにこれ??」
人の気配がし、唯が後ろを振り返ると他の生徒たちが目を覚まし出していた。
唯も紬を起こす。
唯「むぎちゃん起きて!なんか変だよ!」
一人起き出すともう数珠繋ぎ!次々に生徒たちが目を覚ましていく。
教室はざわめきで埋め尽くされた。
ざわ・・・ざわ・・・
唯の斜め後ろに律が座っていた。その後ろには和が座っていた。
唯「りっちゃん!!和ちゃん!!」
律「唯…」
和「…これって」
不幸にも澪の席だけ4人と離れていた。
律「澪…澪は?」
澪は律よりはるか斜め前に座っていた。これではここから話しかけることもできない。
律は席を立とうとした。しかしその時!
ゴーーーーーーーーーーーーン
「!?」
時計の鐘らしき音が鳴る。
一同はびっくりして、ざわめきが治まる。
次の瞬間、廊下から足音が聞こえる。
1人じゃない…複数人いる…しかも結構な数。
教室の前で足音がとまり、立っている者は静かに座り、座っていた者は扉に目をやる。
少し間が空いてから、勢いよく人が入ってきた。律からは誰だか確認できない。
一同は勢いよく開いた扉の音にビクッとした。
入ってきたのは3人。うちの最後に入ってきた男が電気をつける。
暗いのに慣れていた一同は眩しそうな表情を見せる。
律「(自衛隊…??3人だけ…?もっといたような気がしたのに…)」
最後に、一人の男が入ってきた。年齢は50歳くらいだろうか。
男は教壇に立つと、黙って黒板に何か書き始めた。
[坂持 銀発]
坂持「は~い、皆さんこんばんは。はじめまして。私は坂持銀発(さかもち ぎんぱつ)といいます。」
なに?変な名前だ。
坂持「ほらあ、こんばんは。」
一同「こんばんは」
坂持「今日皆さんに集まってもらったのは他でもありません。」
みんな修学旅行の途中だということをすっかり忘れていた。
坂持「ちょっとっ、今日は皆さんにっ、最後の1人になるまでっ、殺し合いをっ、してもらいまーす!」
一同「!?」
みんな言葉が出なかった。ただ、青ざめた表情で坂持を見つめるだけだった。
なんだと…そんな…殺し合い?
パンパンパン
坂持は手をたたきみんなの注目を集めてこう言った。
坂持「ほらほら、びっくりしない。これは光栄なことなんだよ~」
立花「おじさん、誰?」
一番後ろの席に座っていた
立花姫子が立って坂持に言う。
坂持「っふふ、さっき言っただろお、坂持ぎんp」
立花「じゃなくて、何者なの?それに、これって…一体」
坂持「あ~そっかそっか、言ってなかったね。ごめんごめんご。
私はあなたたちの担任のセンセイです。今日からこの2組を受け持つことになりましたあ。よろしくね」
律「担任…って…山中先生は!?」
坂持「・・・」
坂持「この国はもうすっかり駄目になってしまいました。完全失業率は15パーセントを突破、完全失業者数は1000万人に達し、あらゆる価値観の崩壊は「家庭崩壊」や「学級崩壊」のさらに促す結果となりました。
全国の不登校児童・生徒数80万人。校内暴力による教職員殉職者数1200人!!
もはや自信をなくした大人達は答える術もなく、子供はそんな大人たちを憎み、大人は子供達を恐れ、やがてある法案が可決されましたあ。」
ここまで早口で淡々としゃべると、一呼吸おいてこう言った。
坂持「バトル・ロワイアル」
律「しっ、質問に答えてください!山中先生は!!」
立花「この首輪なんなんですか?苦しいんだけど」
坂持「山中先生なあ、…ああ、その話はちょっと待ってなぁ、順を追って話すからなっ」
首に指をあてながらこう言った。
坂持「山中先生なあ、センセイ、ちゃんと説得したんだけどなあ…」
一同「??」
坂持「う~ん、結局わかってもらえなかったんだぁ…」
坂持は教室の入り口の扉に一番近い自衛隊らしき男に目で合図する。
すると、教室にビニールシートがかかった担架が運ばれてきた。中になにか入っている。
ほぼ全員が予測できた。
この中に・・・・っ
律「ちょっと!!ちょっとまtt」
律が叫んだがもう遅かった。坂持はビニールシートに手をかけ勢いよく取った。
一同「!!」
澪「きゃああああああああああああああああああああああああああああ」
叫んだのは澪だけじゃなかった。
教室の中に複数の悲鳴が走る。
そこにあったのはさわ子先生の変わり果てた姿だった。
パンパンパン!
坂持「ほらほらあ、騒がない騒がないっ!みんなもっ、こうならないようになっ!」
これを見て騒ぐなというほうが無理だ。
坂持はまた扉に一番近い男に向かって目で合図すると、男は担架を教室の外に退場させた。
あまりの衝撃に嘔吐する生徒もいた。無理もない。変わり果てた姿だったのだから。
坂持「ほらぁ、言ったろお、今日はみんなに殺し合いをしてもらうんだぞぉっ!
こんなことで騒いでたら生き残れないぞっ!」
坂持「それではルールをっ、説明しまーっす」
坂持「さっきも言いましたが、ルールは簡単、みんなに最後の一人になるまで殺し合いをしてもらいまーす。
期限は3日間!基本的に反則はありませーん。
そして皆さんは今、こんな島に来ていまーす!」
そう言うと坂持は黒板に地図を貼った。周囲は5,6kmくらいだろうか
坂持「あ、さっきこの首輪についての質問があったから、先に答えちゃうなぁ
この首輪はソロモン13号といいまあす。まあそんなことはどうでもいいんですが、
みんなが付けているこの首輪には発信機が付いており、皆さんの現在位置や生体反応をこちらでモニタしていまーす
防水も完璧なんだぞぉ!すごいだろ~。無理に外そうとしたりすると・・・」
坂持「ボンっ!って爆発しちゃうから絶対にそんなことしないようにな~」
生徒たちは今一度首輪を確認する。
坂持「次は禁止エリアの説明なっ!
島はこうやってエリアごとに分かれていて、1日4回、午前と午後の0時と6時に放送で報告するからチェックしていくように!
時間になっても禁止エリアに残っている者にはこちらから電波を送って首輪を強制的に爆発させまーす。ちなみにこの校舎の半径100m以内は全員が出てから30分後に禁止エリアになりますっ
あと、この島から出ようと思っても無駄だぞー。この島からは絶対に逃げられません!あと、ゲームが始まって24時間以内に誰も死なない場合も全員の首輪を爆発させまーす
皆さんは殺し合いをするしかっ、ありませーん!お父さんお母さんにも言ってあるから心おきなく戦ってくださ~いっ」
ざわ・・・っ!
坂持「オラそこぉっ!!私語をするなっ!!!」
ひゅんと何かが飛んだのが律には見えた。
律「あ…え…?」
勢いよく机に倒れこんだのは、律の右隣に座っていた中島信代だった。
みんなの注目が中島に集まる。中島は律の方を向いていた。その額にはナイフが綺麗に刺さっていた。
律「…っ!!!」
また生徒たちが騒ぎだす!
坂持「あっはは♪駄目だなぁ、駄目だよなぁ……センセイが殺しちゃ、反則だよなぁ~
センセイの話はきちんと聞きましょう。ねっ!」
【26番 中島 信代 死亡 残り37人】
そう言うと坂持はまた黙って男に合図した。
教室には鼻をすする音しか聞こえない。
坂持「次はっ、持ち物についての説明だなぁ~」
そう言うと、坂持は男にひとつのデイパックを持たせてきた。
それを教壇の上に乗せてこう言った。
坂持「皆さんにはっ、1人1つずつこのバックを持って行ってもらいまーすっ。私物の鞄と一緒にな。
ハイ、このバックの中身ですがっ、」
出されたのは、1㍑ペットボトルに入った水2本、パン3個、地図、方位磁針、時計、懐中電灯、
坂持「そして最後にっ、武器でーすっ。1人1つずつな。バックにはそれぞれ違う武器が入ってます。
当たりもあればハズレもありますっ。拳銃からナイフまでさまざまな武器が入ってますっ!
完全ランダムで支給するから文句を言わないよーにっ!これは皆に少しでも優勝の可能性を与える為ですっ」
坂持「他になにか質問はっ?んっ?」
立花「1ついいですか…」
坂持「おっ、んっ!いいぞぉ~なんだ?」
立花「生き残ったら家に帰れるんですか?」
一瞬ざわめき、全員視線が坂持に行く。
坂持「帰れますよぉ~、ただし、最後の一人だけなっ!」
立花はそれを聞くと黙って席に着いた。
坂持「もう質問ないか~?それじゃあ、みんなの私物を返すからなっ」
そう言うと、4人目の男がカートを持ってきた。中にはみんなの私物が入っていた。
1つだけ目立つ私物がある。ギターだ。
唯「ギー太っっ!!!」
坂持「ん~?これ平沢のかぁ?こんなもの本当は修学旅行に持ってきちゃだめだぞぉ~
まあ、もっとも修学旅行じゃなくなったけどなっ!
でも平沢は有利だなぁ、支給される武器の他にギターがあるんだからっ、これはハズレ武器より優秀な武器になるぞぉ
これで殴れば死んじゃうかもだぞっ!」
唯「(キッ・・・!)」
唯は今までにない表情で坂持を睨む。
坂持「おおっと、ごめんなぁ、大事なものだったかぁ~修学旅行に持ってくるくらいだもんなぁ、そんなことしないよなぁ~」
和「唯…」
坂持「それでは1分置きに出席番号順に外へ出て行ってもらいますっ、その時に自分の私物を持って行くようにっ!」
澪「ハヒィッ!」
坂持「っはは、緊張しなくていいぞぉ~、ホラホラ、荷物取ってさっさと出なさいっ」
澪は泣いていた。無理もない。こんな意味のわからないものに
坂持「ほらっ泣くな泣くなっ」
ポンポン
律「澪…澪!」
律は叫んだ。澪は律の方を見た。
律「澪…」
坂持「ほら~あとがつっかえるからっ行きなさいっ」
坂持「2番、飯田慶子さんっ・・・3番、遠藤未知子さんっ・・・4番、大田潮さんっ」
次々と出て行く、みんな泣きながら、坂持に催促されながら、何も言わずに・・・
唯「むぎちゃん…」
紬「唯ちゃん…後で電話するわっ」
紬はぼそっと唯にこう言うと、黙って教室を出て行った。
律「(今、むぎ唯に何か言って出て行ったな…)」
2分がものすごく長く感じられた。
律はそおっと立ち上がり、和にこう言った。
律「校舎の裏で待ってるっ」
教壇に向かって歩いて行く途中、唯に目でなにか合図を送り、静かに教室を出た。
和「(律…)」
坂持「え~22番、瀧エリさんっ、タキエリ~」
坂持「次っ23番、立花姫子さんっ」
立花は静かに立ち上がり、淡々と教室を出て行く。
坂持「おっ、やる気マンマンかぁ~?」
呼ばれるとすぐに唯はカートにあったギターを取り抱きしめる。
唯「ギー太っ!」
坂持「そんなに大事なんだなぁ~。うんうん。」
唯はそのままデイパックをもらい教室を出た。
坂持「36番~、
真鍋和さん!君は生徒会長だったらしいじゃないか。期待してるよ~」
和は何も答えず教室を出た。
坂持「最後だなっ、38番、矢吹紫音さんっ」
坂持「頑張ってな~」
これで全員が教室を出た。1人、中島信代だけを除いて。
坂持は1つ余ったデイパックの中身を確認した。
中にはダンベルが入っていた。
坂持「ハズレ武器残しちゃったかぁ~まあしょうがないかっ」
最終更新:2010年06月06日 02:14