立花は左手から、まるでマジックのように銃を出し、和に向かって発砲した。
和「ぐうううっ」
立花の放った弾丸は和の胸に命中した。
和はその場に崩れ落ちた。
唯「え…?」
律「和っ!!」
澪「和ぁっ!!」
紬「和ちゃんっ!!」
唯「え?和ちゃん…?」
唯「なんで…なんで…」
立花「唯ちゃん…私は―」
唯「来ないでっ!!!」
唯「なんでっ!なんで撃ったの!!!」
立花「だからっ、唯ちゃんを守ろうと…悪い敵から」
唯「和ちゃんは悪くない!!!敵なんかじゃないっ!!」
パンッ!
立花「え…」
律の放った弾丸は立花の右肩をかすめた。
律「唯!!逃げろっ」
唯「ふえええええええええええ和ちゃあああああん」
唯「起きてよ!ねえってばあ!!!」
澪「唯っ!!早くっ!!」
立花「……いっっ」
律「動くなっ!!」
立花「……ろす…」
律「?」
立花「殺す…みんな…全員…」
立花「せっかく唯ちゃんと二人で…」
律「動くなっていってんだろおおお!!」
立花「殺おおおおおおおおす!!!!」
澪「ひっ!!」
銃口は律ではなく澪に向けられた。
律「澪ッ!!」
紬「澪ちゃんっっ」
パァンッぱらららららら―
紬「ううううううううううううううううううう」
澪「むぎっ!!」
立花「があああっ!!」
律「この野郎っ!」
律が撃った弾は立花の右下腹部へ
立花が撃った弾は約10発近く、紬の体に突き刺さった。
澪「むぎ!!!大丈夫かむぎっっ!!」
紬はそのまま膝を付き仰向けに倒れた。
律「この野郎!!!殺すっ!!!」
立花はうつぶせに倒れこんでいた。律はそれを確認してから紬に駆け寄った。
律「大丈夫かむぎ!」
唯「……むぎちゃんっ!」
紬「…もうダメみたい…」
澪「むぎ…なんで…っ」
紬「澪ちゃんごめんね…。昨日、校舎を出たとき…ふぅっ…
澪ちゃんを置いて逃げたり…ううっ…して…」
澪「まだ言ってるのかよむぎ!!!そのことはもういいって!!!」
紬「その……ぅっ…お詫び」
律「むぎ…」
澪「なんでだよ!!!むぎっ!死ぬな!!!むぎっ!!!」
紬「ありがとう……みんな…みんなに会えて…楽しかったわ…」
そう最後にはっきり言うと紬は息を引き取った。
澪「おい!!むぎ!!しっかりしろむぎっっ!!!」
唯「うううううう……うわあああああああああああああああああああん」
唯「なんで!!!!なんでみんな!!!うわああああああああてwsrdychぐvjkbln」
律「唯っ!こっちに来い!!」
唯「和ちゃん…和ちゃん置いて行けないよ!!!和ちゃん!!!起きて!!ねえってば!!!」
澪「ううっ……ううううううううう…むぎぃ…」
律「くそっ!むぎっ・・・っ!!!」
澪「うわあああああああああああああああああああああん」
律「落ち着け澪!」
澪「私のせい・・・私のせいでむぎが!!ひっぐうっ・・・むぎぃ・・・・」
律「澪落ち着け!お前のせいじゃない!」
澪「やだ!!やだああああ!!!もうこんなのやだあああああああああああうわあああああああああああああん」
バァン―。
律「……え?」
澪「ぐううううううううううううう…」
律「!?」
後ろを振り返るとそこにはS&Wを持った
立花姫子がいた。
そこから放たれた38口径の弾丸は澪の後頭部やや下を直撃。
律「澪っっ!!」
澪はもう動かなかった。
立花「・・・」
バァン!!
律「ひっ!!があっ!!!」
またしても38口径の弾は律の鎖骨の上をかすめた。
律「ぎゃあっ!!熱っ!!うあああっ!!」
バン!!バン!!バァン!!
律「いやっ!!!」
唯「りっちゃんっっ!!!」
弾丸は3発中1発が律の手のひら、1発が右下腹部を貫通した。
律「ぐいっっああぁっ!!」
唯「もうやめて!!!もうやめでええええええええ」
律「唯……っ!逃げろっ!!」
唯「やだあ!!みんなおいて行けないよおおおおおお」
律「(クソ…っやばい…)」
律は右にいた紬と澪を見る…。
律「澪…っ!ううっ!!」
ここでこのゲーム始まって初めて律が涙を流した。
律「澪…なんでだよ…」
律「もう…終わりだ…」
律「え?」
それはまるでキックボクシングのKOシーンを見ているようだった。
ふらっと立花は倒れた。
律「…なに?撃たれてないぞ…?唯が撃ったのか?いや、銃声が…えっ?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
律(なんだそりゃ?)
唯(えへへ、ごめんごめん)
澪(なんでギター持ってきたんだよ・・)
唯(憂がギー太持って行っちゃダメって言うからなんとか説得してたんだよー)
坂持(でも平沢は有利だなぁ、支給される武器の他にギターがあるんだからっ、これはハズレ武器より優秀な武器になるぞぉ
これで殴れば死んじゃうかもだぞっ!)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
律「!!」
唯「・・・っ!!」
律「ゆ・・・い・・・?」
唯「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あっっっ!!!」
ごんっ!
それは鈍い音。
倒れこんだ立花に追い打ちをかける。
ぼんっ!ぼんっ!
まるでベッドでも叩いているような音。
唯「あああああああああああああああああああああああ」
唯の顔を見るともうその顔には涙はなかった。
まるで鬼のような形相でただ殴り続けていた。
律は今までに見たことなかった唯の表情に言葉を失った。
どのくらい殴ったろうか・・・律は出血と激痛のせいで貧血の中、声を振り絞った。
律「ゆい…!」
唯「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ!」
律「唯っ!!」
唯「うっっぐっ…っ!」
律「唯ッッ!!!!」
バキィッッ!!!
激しい音とともにギターケースの中のレスポールは大破した。
唯「……っ」
律「やめろ…もう…死んでるよ…」
唯「………」
律「唯…ありがとな…」
律はまた、このゲームが始まってから初めての笑顔を見せた。
唯「りっちゃああああああああああああああああああああああああああん」
唯は泣きながら律に飛びついた。
律「唯…」
唯「りっちゃん…ひっぐ…大丈夫…?」
律「いてえ…だめだ、くらくらする…」
唯「りっちゃん!だめだよ!!」
律「ゆい…」
唯「え……」
律「ぎーた…こわれちゃったな…」
唯「……りっちゃんっ!」
律「ぎぎぎぎーた…ふうっ…すててまでまもっっっってくれて…ありがとな…」
唯「だめだめだめ!!!りっちゃん!!!!!!!だめっっ!!」
律「それなのに…っもうあたし、むり…しにそうなときって…こんなかんじなんだな…」
唯「だめっ!!しんじゃダメりっちゃん!」
律「っはは…ふううっ…無茶言うなよ…」
律「ごめんな…」
唯の目からは大量の涙がこぼれていた。
こぼれ続ける涙。
唯「だめ…ふぇ…りっちゃんやだ!!」
律「ゆい…こ…い…」
唯は律に顔を近づけた。
律「おおおおおまえは…いきろ……あっああたしたちのぶんまでっ…」
律「おまえならできるって…武道館」
唯「うっ…ひぐっ」
律「なくな…ゆい…」
唯「うっ…」
唯はもうわかっていた。律はもうすぐ死んでしまう…
涙をこらえて…律の声に全神経を集中させた…
律「みみみみんなとっっ…えんそうできて…たのしかった」
唯「…うん…私もだよ…っ」
律「梓とかっ…に……よろしくたのむな…これはみおとむぎからでもっあるから…」
唯「うん……うんっ」
律「あっ…ささささとしにも……おねえちゃんかっこよかったよって…いっといて…」
これが律の最後の冗談だった。
律「おっけ…じゃあな、ゆい……もうしゃべんのむり…」
唯「うんっ…」
律「やっ……やくそく…」
唯「えっ…?」
律「武道館…やくそくだぞ…っ」
律はこういうと左手を唯の前に差し出し小指を突き出した。
少し折れ曲がっていて力がなかった。
唯はその力のない小指に小指を絡ませる。
律「じゃあな。」
最後にハッキリと言った。その手からはもう力が抜けていた。唯は律の手をぎゅっと握りしめ
―全てを出しきるかのように、涙を流して、獣のように咆哮した。
唯は泣いた。ただひたすら泣いた。声に出して泣いた。
みんな…唯以外みんな、死んでしまったのだ。
どのくらい泣いていたかわからない。
坂持の放送があり、学校に戻ってくるように言われた。
唯は立ち上がり、左後方にある
真鍋和の遺体を担いで、グラウンドのちょうどホームベースのあたりに寝かせた。
続いて、
琴吹紬、
秋山澪と同じ所に担いで運ぶ。
そして、
田井中律。
同じようにそこに寝かせると、唯はまた先ほど最後の決闘をした所に戻る。
立花姫子―。
唯の隣の席の女子。
最悪にもゲームに半ば乗ってしまった彼女を殺してしまうことになってしまった。
唯は立花もグラウンドに運び、皆と同じところに寝かせた。
唯は、律、澪、紬、和、立花のそれぞれの手を胸の上で組み合わせ―。
唯が一番大事にしていたギターを、その場に置いて、黙祷した。
唯「(みんな…ごめんなさい…でも、私、みんなの分…そして他のみんなの分、背負って生きて行くっ!)」
唯「(みんなと会えて…本当によかったよ…短い間だったけど。楽しかったっ)」
唯「(ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう―)」
……唯が目を開けたのは黙祷を開始してから10分後のことだった。
唯は声に出して泣きながら、みんなに別れを告げた。
唯「みんな…ばいばい」
―END―
最終更新:2010年06月06日 02:29