唯と梓と猫の話


唯「最近あずにゃんが相手をしてくれない」

唯「そのせいか私は今とってもあずにゃん分が足りないんです!」

唯「というわけで、今日はあずにゃん分を補給するために、あずにゃんに頼んで!」

唯「あずにゃんの家に遊びに行かせてもらうことにしました!」

唯「さあ、抱き着くぞ~」

唯「あずにゃん分を補給するぞ~」

唯「レッツゴー!」



あずにゃんの家!

唯「おじゃましまーす」

唯「おーいあずにゃーん」

梓「そんなに大きな声ださなくても聞こえてますよ」

唯「あ、あずにゃん……って手に持ってるのはなに?」

梓「ジャーキーです」

唯「ジャーキーってなに?ていうか美味しそうだね」

梓「ええ、猫のえさです。美味しいですよ」

唯「へえ」

唯「……ってなんであずにゃんが猫のえさなんて持ってるの?」

梓「最近、猫を飼いはじめたんです」

唯「猫?」

梓「猫です」

唯「わあ、あずにゃん、見せて見せて!」

梓「いいですけど……唯先輩」

唯「なあに?」

梓「静かにしてくださいね。
あの子、臆病ですから唯先輩みたいな人が来たらビックリしちゃいますから」

唯「はい!気をつけます!」

梓「ここがうちの猫の部屋です」

唯「へ?」

梓「ですから猫の部屋ですって」

唯「すごーい猫の部屋があるなんてビックリだね」

梓「いえ、ただ、部屋が一つあったから猫にあてただけですよ」

唯「でもフツーにすごいよ」


唯「でもなんで猫の部屋なんているの?」

梓「たとえば、夏になったりすると抜け毛がひどくなるでしょう?」

唯「ああ、すごいよね」

梓「だから、お掃除が大変になるわけです。
でも、猫を部屋に入れておけば、少なくとも掃除の時とかはジャマにならないし」

梓「猫のおトイレとかは結構臭うんで、猫の部屋とかがないと、困りますしね」

唯「へえ。あずにゃんすごいね!」

梓「そんなことないです。飼い主として当然です」エッヘン

唯「でも猫さん、お部屋に入れたまんまにしたらかわいそうだよ?」

梓「もちろん基本的には部屋に入れたままの状態ではありませんよ」

梓「ただ、まだ小さいから勝手に階段を下りたりして、怪我したらいやなんで」

唯「へえー、ていうかあずにゃん、早く私は猫を見たいよー」

梓「見たいですか?」

唯「うん!見たい見たい」

梓「どうしてもですか?」

唯「どーしても!」

梓「そこまで言われたら仕方ありませんね。特別に見せてあげます」

唯「ありがとーあずにゃん」ダキッ

梓「はいはい」

梓「これが我が家の新しい家族の猫です」

唯「うんまあ~」

唯「すっごいかわいいね!」

梓「でしょう?かわいいで寝顔ですよね?」

唯「あずにゃんあずにゃん、撫でていい?」

梓「そーっとだったらいいですよ」

唯「はーい」

唯「なでなでなでなで」

梓「ストップ」

唯「え~、なにあずにゃん?」

梓「今、唯先輩はこの子のお尻を撫でましたよね?」

唯「うん」

梓「猫は上半身を撫でられるよりも、下半身を撫でられるほうが嫌がるんです」

唯「そうなの?」

梓「そうなんです」

唯「じゃあどこを撫でればいいの?」

梓「首の下とか、耳の周辺は比較的気持ちいいらしいですよ」

唯「ここだね」

梓「そうです」

唯「ねえねえ、あずにゃん、ゴロゴロ音がするけど、これはなに?」

梓「猫が喜んでいる証拠ですよ」

唯「じゃあこの猫ちゃん、喜んでるの?」

梓「ええ」

唯「かーわいーい」ナデナデ

梓「あ、逃げた」

唯「あー、なんで逃げるの?」

梓「ベタベタべたべた」

唯「うわあ、あずにゃん、なにすんの?」

梓「さっき唯先輩がうちの猫にやったことの真似です」

梓「ナデナデナデナデ」

唯「うっ!?ひゃう……あずにゃん、ん?」

梓「とまあ、人間だってずっとこうやってベタベタされたらやでしょう?」

唯「え?うん……まあ」

梓「なんですか、その上目遣いは?」

唯「いや~ちょっとあずにゃんの激しいスキンシップが嬉しくて」

梓「はい、猫はどこ行ったかな?」

唯「今、あずにゃん照れたでしょう?」

梓「照れてません」

唯「照れたよー」

梓「照れてません!」

唯「やっぱ照れてるう」

唯「ところで、あずにゃんあずにゃん」

梓「なんですか?」

唯「その手に持ってるのさ……美味しいの?」

梓「ジャーキーですか?食べます?」

唯「え?それって猫のえさだよね?」

梓「猫のえさは基本食べても害はありませんよ」

唯「ゴクリ」

梓「ほらほら」

唯「ホントに大丈夫なんだよね?」

梓「はい」


唯「じゃあ……あずにゃん」

唯「あーんして」

梓「……」

唯「ほら、あーん」

梓「あーん」

唯「あーんんんんんんんんんんんっっ!!??」

梓「あ、すみません。間違えて鼻の穴にツッコんじゃいました」

唯「ひほいよあふやん」

梓「じゃあもう一回、お詫びとして。あーん」

唯「あぁーんんんんんんんんんんんんんんんんっっ!!??」

梓「あ、もう片方の鼻の穴にまでジャーキーツッコんじゃいました」

唯「ひほひほはふひゃん」

梓「なに言ってるかわかりませーん」

唯「ううぅーひどいよ、あずにゃん」プンスカ

梓「失礼しました。最近ねこじゃらしを振り回しすぎて、手が痙攣するようになってしまって」

梓「お詫びにそのジャーキー一本まるまま食べてもいいですよ」

唯「え?いいの?」

梓「はい」

唯「じゃあお言葉に甘えて」

唯「いただきまーす」


唯「パクっ」

唯「モグモグ」

唯「……うーん、なんかビミョー」

梓「ダメですか?」

唯「うん。だって味もないし、油ぎってるわけじゃないし」

梓「まあ、しょせん猫のですよ」

唯「そうだね」

梓「他にも様々なえさがありますけど、試食しますか?」

唯「おいしくないし、猫さんに悪いから遠慮するよ」

梓「そうですか」

唯「ところで、猫のえさって色んな種類があるよね?」

梓「まあ、探せばいくらでもありますね」

唯「でも、猫だって人間でしょ?」

梓「それを言うなら動物です」

唯「そうだね」

梓「それで?」

唯「うん、猫さんにも嫌いな食べ物とかってないのかなーって思って」

梓「嫌いというよりは、食べてはいけない、っていうものならありますよ」

唯「たとえば?」

梓「クイズです。さあなんでしょう?」

唯「えーと……」

唯「ええと……にんにくとか?」

梓「……」

唯「ほらヴァンパイアはニンニクが苦手って言うし」

梓「理由はともかく正解ですよ」

唯「え?ホントに?」

梓「はい」

唯「やったー」

梓「他にも、ネギとかも身体の構造上、ダメらしいです」

唯「食べるとどうなるの?」

梓「死んでしまうらしいです」

唯「ほえー」

唯「そういえば、猫といえば前から気になってたことがあるんだけど」

梓「なんですか?」

唯「猫ってすごくジャンプが高いって聞いたことがあるけど、どれくらいとぶの?」

梓「種類によって差はありますけど……そうですね」

梓「うちの猫で実験してみましょうか?」

唯「どうやって?」

梓「唯先輩、後ろ向いてもらっていいですか」

唯「こうでいいかな?」

梓「はい」

梓「じゃあそのままの状態でいてくださいね」」

唯「うん」

唯「うん?」

唯「え?私の背中であずにゃんなにしてるの?」

梓「ただたんに猫じゃらしを唯先輩の背中の前でうろちょろさせてるだけです」

唯「うう、こしょぐったいよ~」

梓「我慢です……あ、来ました」

唯「へ?」

唯「うわあああ、猫が私の背中に飛びついてきたんだけど!」

梓「違いますよ。唯先輩の背中の周りで動いていたねこじゃらしを追ってきただけです」

唯「どっちにしよう、すごいジャンプするんだね」

梓「すごいでしょう?」


唯「にしても、あずにゃんと違ってこの猫さんはやんちゃだね」

梓「そうですか?猫なら普通ですよ」

唯「いーや、絶対この子はやんちゃだよ」

梓「じゃあ試しに抱いてみたらどうですか?」

唯「いいの?」

梓「はい」

唯「よーし」

唯「よいしょ」

唯「かる~い。やっぱまだまだ子猫だから軽いね。あずにゃんみたい」

梓「変なこと言わないでください」

唯「さて、猫さん!さっき猫さんは私の背中に勝手に飛び乗りましたね」

唯「めっだよ!」

梓「……」


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最終更新:2010年06月07日 18:21