澪「う……」グスッ
唯「澪ちゃん……」ギュッ
澪「うっ、ううっ……ゆい~っ……」メソメソ
唯「よしよし……泣かないで、澪ちゃん」
唯(よし……)
唯「りっちゃんはひどいよ……。澪ちゃんをこんなに泣かせるなんて」
澪「でも、私が勝手に好きになっただけだから……」グスッ
唯「それでも、私は許せないよ!小さい頃からずっと側にいたのに、澪ちゃんの気持ちに気づいてくれなかったんだから!」
澪「……」
唯「ねぇ澪ちゃん。もう忘れちゃいなよ……」
澪「えっ……?」
唯「りっちゃんは、澪ちゃんを幸せにしてくれないよ……」
澪「でも……」
唯「それでも好きなの?」
澪「……」コクリ
唯(澪ちゃん一途すぎるよぉ!りっちゃん羨ましい……。でも、ここでもう一押し!)
唯「私が澪ちゃんの側にいるよ」
澪「え……?」
唯「私なら澪ちゃんの事だけ見てるよ。澪ちゃんのことだけを考えるよ」
唯「だから、私と付き合ってほしい」
澪「!」
澪「……でも、やっぱり私」
唯(うぅ、これでもダメなの?)
唯「わかった。じゃあ私はお試しでいいよ」
澪「お試し……?」
唯「試しに私と付き合ってみて、もし嫌だったらすぐに振ってもらってもいいよ」
澪「そ、そんなのダメだよ!」
唯「私はそれでもいいよ。私は澪ちゃんに少しでも元気になってほしいんだよ……」
唯「私なんかでも、一緒に居れば澪ちゃんの事楽しませてあげられるかもしれないし」
唯「私頑張るから。澪ちゃんがりっちゃんの事忘れられるように……」
澪「でも……。まだ律が好きなのに、唯と付き合うなんて……」
唯「そんなに深く考える必要ないよ。付き合うっていっても、形だけのものだから」
唯「もちろん付き合ってる間も、りっちゃんの事を見ててもらってもいいよ」
澪「……」
唯「それに、女の子同士で付き合うっていうのがどんな物か知っておくのもいいんじゃないかな?」
澪「そう……かな?」
唯「うん!私には気を使わないで?私が勝手に澪ちゃんにお願いしてるだけなんだからさっ!」
澪「じゃ、じゃあ……」
唯「やったあ!ありがとう澪ちゃんっ!」ギューッ
澪「わっ」
唯「えへへ、澪ちゃんの彼女になっちゃった!嬉しいっ!」
澪「……」
澪(唯と付き合うことになっちゃった……。本当によかったのかな)
澪(でも唯だって深く考えるなって言ったし……友達の延長線上みたいな物だと思えばいいよね?)
唯(ひとまず付き合うのには成功したよ!このまま私の物にしてみせるよ!)
放課後
律「よし!今日はこのくらいにするか!」
唯「ふえぇー疲れたよぉ」
梓「もう、そんなに練習してないのに」
律「澪、帰ろうぜー」
澪「あ……」
律「ん?」
澪「いや、今日はちょっと用事が……」
律「用事?何?」
澪(そんなのない……。けど今は律と一緒にいたら泣いちゃいそう)
澪「私急いでるから。それじゃ」
紬「唯ちゃん一緒に帰りましょ?」
梓「ゆ、唯先輩!私ちょっと寄りたい所があるんですけどっ」
唯「ごめん、私も先に行くね!ばいばい!」
紬「あっ……」
梓「……」
唯(もう澪ちゃんてば!付き合い始めた初日なのに一人で帰っちゃうなんて!)プンプン
唯(それだけショックだったってことかなぁー)
唯(まあいいや!こういう時こそ押しまくらないとね!)
澪「……」トボトボ
澪「あ……唯」
唯「酷いよぉー。普通初日から彼女を置いて帰る?」
澪「ご、ごめん。気づかなかった」
唯「もう!そんなんじゃすぐ振られちゃうよ!」
澪「う……」
唯「えへへ、冗談だよ!私はそんなことじゃ嫌いになりません!」
澪「あ……。手っ///」
唯「あれ?握っちゃだめだった?」
澪「う、ううん。いいよ」
唯「よかった!私彼女だもんね。このくらいはさせてね?」
澪「わっ。そんなにブンブン振らないで」
唯「嬉しくて落ち着いちゃいられないんだよー」
澪「……ふふっ」
唯(あ……笑ってくれた。可愛いよぉ)
澪(唯嬉しそうだな……。こんな事で喜んでくれるんだ……)
澪(唯は素直で女の私から見ても可愛い……。私とは全然違うな)
唯「よぉし!じゃあ今日は2人で遊びにいこう!」
澪「えっ今から?」
唯「いいじゃんいいじゃん!今日は記念すべき日なんだよぉ!カラオケでもいってパーッと騒ごうよ!」
澪「……うん、そうだね。行こう」
唯「2人でボーカルの練習だー!」
―――――――――――――――
1ヶ月後
ブブブブブ
澪「あ、きた」カチカチ
澪「……今度の日曜日か」
澪(唯と付き合い始めて1ヶ月。メールのやり取りが一気に増えて、学校でも唯と行動することが多くなった)
澪(最初は付き合うのもあまり乗り気じゃなかったんだけど、唯といるのが段々楽しくなってきた)
澪(そんな事思っちゃいけないんだけど……好意を寄せられるのは、片思いと比べればずっと気分がいい)
澪(それに唯が私の事を本当に大事にしてくれてるのも伝わってくる)
澪「……」カチカチ
唯の家
ブブブブ
唯「……」パカッ
唯「……やったぁ!」
唯(苦節1ヶ月、ついに初デートが決まったよ!)
唯(澪ちゃん奥手だからなぁ。まだ手を繋ぐまでしかいってないんだよね)
唯(でも次のデートでは……もう少し先まで……)
唯「……」ムラムラ
唯(はっ!ここで性欲に負けて澪ちゃんに手を出したらおしまいだよ!清らかな心でデートに向かわないとね!)
唯(そうと決まれば、前日の土曜日は……)カチカチ
唯「あ、ムギちゃん?今度の土曜日、暇だったら家に来ない?できればお泊りで!」
―――――――――――――――
土曜日深夜
唯「あっ……イクっ」ドピュッ
紬「ん……」
唯「ふぁ……きもちいいよー……」カクカク
唯「やっぱりムギちゃんは最高だよぉ。もうムギちゃんしか考えられないよ」
紬「ほんと……?嬉しいな……」
唯「も、もう一回いいでしょ?」カクカク
紬「えっ、もう何回も……あんっ」
唯「できるだけヌイてお……ムギちゃんが可愛すぎるからいけないんだよぉ」パンパン
紬「唯ちゃん……///あっ」ギシギシ
―――――――――――――――
日曜日朝
唯(ん……朝?)
紬「んん……」モゾッ
唯(そうだ、昨日は一晩中……。ムギちゃんとえっちしてたんだった)
紬「唯……ちゃん」ムニャ
唯「あ、ムギちゃんおはよう。私シャワー浴びてくるね」
紬「あ……もう少し一緒に寝ていたいな……」
唯「いや、今日は用事があるんだよ。だから私が浴びたらムギちゃんも早めに支度お願いね!」
紬「う、うん……」
唯(一晩中してたお陰でムギちゃんの裸を見ても全くムラムラしなかった!これで今日は大丈夫だね!)
唯「やるぞー!」フンス
駅前
澪(よし、ちょうど待ち合わせ10分前……あれ?)
唯「……」
澪(もう着てたんだ。なんか下向いちゃってるし……待たせちゃったかな)
澪「唯ごめん!待った?」
唯「あ、澪ちゃん!全然待ってないよ!」
澪(すごい笑顔だな。楽しみにしてくれてたのかな)
唯「あ……澪ちゃん。その服可愛いね!」
澪「あっ。ありがとう」
澪(ちゃんと気づいてくれてる……。言っちゃ悪いけど、律だったら何も言ってくれないだろうな)
唯「じゃあ行こっ」ギュッ
澪「うん(手握るんだ。ちょっと恥ずかしいな)」
某店
澪(あ、これ可愛い)
唯「あ、それ可愛いね。澪ちゃんに似合いそう」
澪「そうかな?じゃあちょっと着てみようかな」
澪「……どうかな?」
唯「わぁ、すっごく可愛いよ!買っちゃいなよ!」
澪「そうだね。買おうかな……」
唯「澪ちゃんはスタイルいいから何でも似合っていいなー。私は全然ダメだよぉ」
澪「そんなことないよ。私は唯は可愛いと思う……」
唯「えっ……」
澪(あっ……///ちょっと言い方変だったかな)
唯「……ありがとう///」
澪「う、うん(うわぁー!そんな照れられるとこっちまで恥ずかしくなっちゃうよ)」
唯「ね、ねぇ澪ちゃん。今度はあっちのお店に行こうよ」
澪「そ、そうだね」
澪(ダメだ。唯の顔をまともに見れないよ……。繋いだ手がすごく熱い……)
唯「……」
澪(私の手を引いて歩く唯の耳が少し赤くなってる気がする……)
澪(あーもう落ち着け私!)ブンブン
唯(澪ちゃんの手が汗ばんでる……。きっと顔を真っ赤にしてるね)
唯(むふふ)
―――――――――――――――
帰り道
澪(あ……あそこで今日はお別れか)
唯「……」
澪(なんだかデートっていうか2人で買い物に行っただけって感じだった)
澪(デートっていうから何か特別な物だと思ってたけど……。なんだか拍子抜けしたな)
唯「澪ちゃん、家まで送ってくよ」
澪「えっ?いいよ、唯だって女の子なんだから、帰りが遅くなると危ないよ。気を使わないでよ」
唯「うん……」
澪「それじゃここで……。また明日」
唯「澪ちゃん」
澪「何……んっ」
唯「ん……」
澪「あ……唯」
唯「楽しかったよ、ありがと!また明日ね!」
澪「あっ……」
澪(キスしちゃった……。初めてのキス……唯と……)
澪「……」
―――――――――――――――
澪の部屋
澪「……」
澪(唯、別れ際にあんなこと……)
澪(帰り道、口数が少ないと思ってたら突然……)
澪(そんな素振りみせなかったのに、いきなりしてきて、微笑んで走っていっちゃった)
澪「……///」
澪(うわぁー!なんだよあれ!ほんとにドラマみたいだ!)バンバン
澪(頭が真っ白になったけど……。すごくロマンチックだったな……)
澪(思い出したらドキドキしてきちゃった)
澪「はぁ……」
―――――――――――――――
翌日
澪「あ……」
唯「澪ちゃん、おはよう!」
澪「おはよう……///」サッ
唯「……」
唯(よかった、昨日のは成功したんだ。私の事意識してくれるようになったね)
律(?)
律「おい。どうしたんだ澪?」
澪「あっ……。なんでもない」
唯(もう図々しいなありっちゃんは。今更のこのことでてきて……。もうりっちゃんの出る幕は無いよ)
放課後
律(やっぱり澪の様子がおかしい)
律(最近あまり話さなくなったし……避けられてる気すらする)
律(でも怒ってるとかそんな感じではない……どうしてだ?)
唯「りっちゃんどうしたの?なんだか難しい顔してるね!」
律「ん?ああ、ちょっとな」
律(もしかして、唯が何か知ってるかな?)
律「あのさ……」
唯「なーに?」
律「……やっぱいいわ」
唯「えー!?教えてよぉ!」
律(この私がわからないくらいなんだ。唯なんかにわかるはずないな)
唯「りっちゃん私の事馬鹿にしてるでしょー!」
律「別にしてないよん!」
唯「……ねえりっちゃん」
律「ん?」
唯「本当に大切な物ってね、失ってから初めて気づくものなんだよぉ」
律「はぁ?何、突然。なんのネタ?」
唯「えへへ……。なんでもないよ!」
唯(りっちゃん、結局気づけなかったね。でも自分が悪いんだからね?えへへ)
―――――――――――――――
唯の部屋
唯「ふー」
唯(澪ちゃんとのキスから1ヶ月……。私達の仲もかなり深まった)
唯(澪ちゃんは学校でも私といる時間が増えて……むしろほとんど私と一緒にいるような状態)
唯(それでもまだりっちゃんの事は気にしてるみたい。時々りっちゃんの方を見つめてる)
唯(もしりっちゃんが澪ちゃんの気持ちに答えてあげたら……。あっというまにとられちゃうだろうなあ)
唯(でもりっちゃんにはその資格は無いよ。もう2ヶ月も経つのに何の行動も起こさないんだから)
唯『澪ちゃん、来週の土曜日私の家にお泊まりにこない?一晩中遊ぼうよ』カチカチ
唯(これが最後のチャンスだよ、りっちゃん。今ならまだ間に合うよー)
唯(もし来週までにりっちゃんが行動を起こしたら……待ってあげる。それでも何もしなかったら……)
唯(澪ちゃんは、私が貰うからね)
―――――――――――――――
1週間後
澪「……」
澪(お泊り……明後日か)
澪(お泊りって、何するのかな?やっぱり、ああいうことも……)
澪(でもまだ付き合い始めて2ヶ月だぞ?最低1年は経ってからじゃないと……)
澪(って何考えてるんだ私は!唯がそんなことするわけないじゃないか!)
澪(でも、もし……もしそういうことになったとしたら)
澪(どうしよう……)チラッ
律「ははは!マジかよ!」
紬「うふふ」
澪(律……)
唯「……」
澪(唯と付き合って2ヶ月。律との関係も全く変化が無い)
澪(唯は私を大切にしてくれるし……ずっと私の側に居て、私の事を見てくれてる)
澪(きっと私は唯と居たほうが幸せなんだ)
澪(それに、このままじゃ私に気持ちをぶつけてくれている唯にも失礼だ)
澪(唯の気持ちに答えないと)
唯「……」
最終更新:2010年06月10日 01:00