病院

律「はあはあ……先生!」

山中「あ……あなた達!」

澪「今日だけは許してもらえませんか?」

山中「まあ来ると思ってたわよ。どうせ」

紬「様態は…?」

山中「まだ……わからないの…」


憂「み、みなさん!」

梓「憂!……大丈夫?」

憂「………」

憂「………っ」

憂「私が学校に行こうとしたら道路に人がたくさん集まってて………ヒグッ」

憂「ボロボロになったギターがあっ……………て………」ポロポロ

憂「まさかとは思ったけど近づいてみたら……………」


律「憂ちゃん……」

憂「みなさんにこんな心配かけて…」

澪「憂ちゃん…これは唯のせいじゃ…」
憂「みなさんごめんなさい…」

澪「………」



ガラガラガラ

山中「先生……様態は…?」
医者「一命はとりとめたました」

律「よかった…」

医者「……しかし…未だに意識はありません」

医者「意識が戻っても後遺症が残る可能性もあります」

憂「お姉ちゃん…」ポロポロ

医者「今はこの子を信じてあげてください」

山中「はい…」
梓(先輩…)


和「唯!」

澪「和……唯はまだ目を覚まさないんだ…」
和「………そう」

和(唯のばか…)

律「憂ちゃんはずっとここにいるのか?」

憂「はい…私いもうとですから」

律「………」

澪「憂ちゃんだけじゃ可哀想だな」

澪「私達も今晩ここにいるよ!」



ガラガラガラ

憂「そんな…悪いです!」

紬「私達だって唯ちゃんの家族みたいなもんですもの」

律「唯だってみんながいた方が安心してるかもしれないしな!」

憂「みなさん…」

憂「本当にありがとうございます!」



チチ…

律「じゃ私らはそろそろ学校行くね?」
憂「意識戻ったら連絡します!」

澪「わかった」

律「唯、行ってきます」

澪「早く学校来いよ!」

紬「美味しいケーキ用意しとくわね!」
梓「先輩…待ってますよ」

和「頑張って…唯……」


律「早く5人でバンドしたいなー」

梓「そうですね…」
紬「まさかこんなことになるなんて…」
和「…」

澪「…」

律「で、でもさ!大丈夫だよ唯なら!『憂~アイス~!』とか言ってそのうち起きるんじゃないか?」

澪「…」

律「んまあ大丈夫だってぇ!今日中には起きるよ、きっと!」
紬「唯ちゃんなら平気よ、きっと」



教室

律「まったく…明日から夏休みだってのに全然嬉しくないや…」

澪「本当だな…」

ガラガラガラ

山中「起立!」

「おはようございます」

律(やっぱりさわちゃんも元気ないや…)

紬(先生…)


……

純「あーずーさー」
梓「なに?」

純「いや顔が死んでたからさ…どうしたのかなあって」

梓「なんでもないよ!」

純「隠しごとしてるの見え見えなんだよ!この~」グリグリ
梓「ちょっと…やめてよ…」

純「また軽音部のこと?」

梓「……そう」

純「ふーん……」

梓(純にまで頼るわけにはいかないよ)
純(…………)



……

律「はぁー」グテー

律「あ、メール来てる」ガサゴソ

律「唯……」

澪「どうした?」

律「意識………取り戻したってさ!」

紬「本当!?」

律「とりあえず病院行こう!」

「おー!」



病院

ガラガラガラ

律「失礼しまーす!」

和「あ、みんな!」
澪「和!」

和「いてもたってもいられなくなって先来ちゃった」


憂「みなさん!」

律「憂ちゃんこんにちわ!」

律「…それで様態は?」

憂「頭を強く打っただけで異常は特には無いそうです!」

澪「良かったな!」
憂「ただ…今また寝ちゃってて…」

唯「…………スピー」

紬「大丈夫そうね…」

澪「まったく心配かけさせやがって……」


唯「…………………………っ……」

憂「ごめん起こしちゃった?」

唯「…………」ゴシゴシ

憂「お姉ちゃん!みんな来てくれたんだよ?」

律「まったく心配したんだぞ、このこの~!」

唯「…………」







唯「だれ?」


律「あはっ………………あははは!こんな状況でよくそんなギャグ言えるな!」

憂「…お姉……ちゃん?」

和「そんな……」

澪「ゆ、唯?お前……」

唯「だれですか?」

紬「わ、私は?」

唯「………………………ごめんなさい……」

梓(記憶喪失……………?でもなんで二人は……)

梓「あ、あの!私は?」

唯「ごめんなさい、本当に思い出せないんだ………」

憂「お姉ちゃん………」
和(こんなことって………)



憂「今日はありがとうございました!」
律「おー!また来るよ!」

律「にしてもなんで憂ちゃんと和はわかったんだ?」

和「さあ?ただ…記憶が無いのは高校のことよね?」

澪「そうか…だから憂ちゃんと和はわかったのか………」

紬「で、でも!………意識が戻ったんだから良かったじゃない!」

梓「そうですよ!もし全部忘れてたとしてもまた一からやり直せば………」

律「一から……ねえ……」

律(文化祭まで2ヶ月しか無いんだけどな……)



音楽室
律「部活に来てみたものの……」

ミーンミンミン

紬「……」
澪「こんなことやっててもしょうがないし、練習しようよ!」

律「うし…やるかぁ……」

ジャカジャカジャーン

梓(なんだろ……この感じ…)

澪「………」

紬(全然楽しくない……)

律「こんな感じで終わるのかな………あたし達の部活……」
澪「………っ…」

律「これじゃあもとから四人でやってきたみたいじゃんか…」

紬「………」
梓「………」

澪「そういえば……」
律「ん?」


澪「そういえば、去年の文化祭もこうだったよな…」

律「……」

澪「唯は絶対来る」
律「澪……」

澪「唯が見たらさ、笑われちゃうよ?『みんな暗いよ~!』ってさ」


律「そうだな…やるか!」

紬「はい!」


澪(みんな待ってる)


澪(だから早く戻ってこい……唯………)


唯「憂~アイス~!」

憂「あるわけないでしょ!ここ病院!」
唯「うぅ~」

憂「お姉ちゃん本当に覚えてないの?」
唯「何を?」

憂「軽音部のこと…」


憂「お姉ちゃんその軽音部に入ってたんだよ!」

唯「私が?」

憂「そう!」

唯「そのけいおん部で何をしてたの?」
憂「ギター弾いて歌ってた!」

唯「ないない!そんなのできるわけないよー!」


憂「それで昨日の人達はその軽音部の人達だったんだよ!一緒に『放課後ティータイム』ってバンドしてたんだよ?」

唯「ほうかごティータイム?」

唯「……………」

憂「ま、まーそんな気にすることないよ!」

憂(お医者さんに無理に思い出させちゃダメだって言われてるもんね……)

唯(私………)

ミーンミンミン

唯(何やってたんだろ……)




病院

律「こんちわー!」
憂「みなさん!」

律「唯!元気してるか~?」

唯「………」

澪「やっぱりまだダメか……」

唯「あ、あの!」

律「ん?」

唯「私……けいおん部で何してたの?」
律「………」

律「ほとんど毎日放課後はお茶会だったけど、唯はやるときにはちゃんとギターの練習してたよ」

唯「ギター………」


梓「ギター……そういえば憂、ギターってどうしたの?」

憂「ギター?ギターなら家に持って帰ったけど…」

澪「どうした?」

梓「あのギター見せたら思い出すかもしれません!」

律「確かに……よし!じゃあ憂ちゃんお願いできるか?」

憂「ま、待ってください!あのギターすごい壊れてて修理にださないと…」

澪「そうなのか………?」

憂「じゃあこれから皆で行きましょうか!」

唯「…………」

憂「お姉ちゃん、ちょっとでかけてくるね?」

唯「うん」

ガラガラガラ

唯「…………」


紬「修理できない!?」

店員「さすがにこの壊れようだと…」

店員「新しいものをお買い上げになったほうがよろしいかと…」

律「本当に無理なんですか?」

店員「はい…」

憂「お…お願いします!」

店員「……」

憂「それはとっても大事なギターなんです!」

憂「本当にお願いします!」

梓(憂……)

梓「あの…私からもお願いします!」

「お願いします!」
店員「……」

店員「そこまで言うのでしたらやってみますが、決して期待はしないでくださいね」

店員「また連絡します」




それから二週間後

店員「一応出来るだけのことはやりました……でもこれなら満足していただけるかと!」

律「すげー!ありがとうございます!」
澪「これで唯も……!」

病院

律「きたよー!」

憂「ギター…ギター直ったんですね!?」
澪「ああ!」

憂「これね!お姉ちゃんが使ってたギターなんだよ?」

唯「………」

唯(なんだろ…この感じ…)

澪「なんか思い出したか?」

唯「むー………」

唯「ダメだ」ガクッ


澪「そっか……」

律「まー、焦ることないさ!んじゃ私達はこの辺で!」

憂「さようならー」
ガラガラガラ

憂「そのギターね、お姉ちゃんがすっごく欲しがってたんだよ?」

唯「私が?」

憂「そう!一緒に寝てたりもしてたんだから!」

唯「………」

唯(でも懐かしいこの感じ……)

憂「私ちょっとトイレ行ってくるね!」
ガラガラガラ

唯「………」

ジャララン

唯「なんも…思い出せないや……」ポロポロ


ガラガラガラ

憂「戻ったよ……ってお姉ちゃん!?どうしたの?」

唯「わかんない!…………だけど涙が……ひっぐ……ぅ…………」

憂「泣かないでよ………お姉ちゃんのせいじゃないんだから」

唯「私…どうしたらいいかわかんなくて………」

憂「お姉ちゃん……」


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最終更新:2010年06月11日 02:38