部室

律「……ギター見せたのになんもなかったな」

澪「………」

梓「だ、大丈夫ですよ!唯先輩バカだから反応が鈍いんですよ!…………多分」
紬「梓ちゃん…」

澪「唯の前で演奏しよう……!」

梓「ナイスアイデアです!」

律「そうだ!まだその手があったか!」
紬「でももしこれで無理だったら…」

澪「…………」

梓「………」

律「そん時はまた始めからやり直そ?」
律「また唯ならギターを好きになってくれるよ!きっと」

澪「そうだな…」

澪「そうと決まればやることは1つだ!」
律「おっしゃー!いくぜー!1・2・3・4!」

唯「スピー……」

憂「もう9時か………ふあぁ……私も家に帰って寝よう………」

唯「ギー…………………………」

憂「へ………?」

唯「スピー……」

憂「気のせいか…」
憂「ねえお姉ちゃん覚えてる?あの話」
唯「スピー……」



唯『憂はどうしてけいおん部入らないの?』

憂『いや…私はいいかなって気がするから…』

唯『そうなんだ…やればいいのに!』

憂『考えておくね!』


憂「もし私が入ったら意味ないもんね」



梓『憂は…入らないの?軽音部』

憂『私はいいんだ…』

梓『どうして?楽しいよ?』

憂『別に嫌なわけじゃないよ…』

梓『じゃあどうして…』

憂『…………』



憂「私が入ったら、お姉ちゃん私を頼るでしょ?」


憂「私ね…お姉ちゃんから軽音部入るって聞いた時スゴい嬉しかったんだ!」

憂「お姉ちゃんが自分の道を歩き始めたって思った」

憂「私がそこにいたらお姉ちゃんのその気持ちを踏みにじっちゃうもん……」


憂「でもね……」

憂「私お姉ちゃん見てて思ったんだ」

憂「自分はこれで満足なのかって」

憂「お姉ちゃんを後ろで見守ってるだけでいいのかって」

憂「だから決めたの!」


憂「私も――――――――――――――」



梓「唯先輩大丈夫かなあ……」

梓「メールだ…」
梓「純からか」

[元気?]

梓「はあ?」

梓「………やっぱり純は何か気付いて私に……」
カチカチ

梓「純に言ってもなあ…」
ヴー

梓「はやっ!」

[明日この間行った喫茶店でちょっと話さない?]
梓(メールでいいじゃん…)

梓「でも明日は部活もないし…いっか」
カチカチ

梓「はー」ゴロン

梓「…………」

梓「なんかつまんないや…」




喫茶店

梓「ごめん!遅れちゃったあ!」

純「大丈夫大丈夫!私もさっき来たとこだし」

梓「で、話って?」

純「………」


純「それよりさ、ここの新しいパフェ食べた?なんかもうすっごく美味しいらしいよ!」

梓「………」


純「………もーそんな顔しないでよ」


梓「話があるから呼んだんでしょ?パフェ食べにきたんじゃな――――、」
店員「パフェご注文のお客様は」
純「あ、私です!」
コトッ
店員「ごゆっくりどうぞ」ニコッ

純「絶対美味しいよ!」
梓「………」ジーッ
純「食べたい?」
梓「いい」
純「本当は?」
梓「もう!食べたくないって言ってるでしょ?」

純「あっそ、わかった」

パクッ
純「おいしい……………!」
梓「ゴクリ………」

純「一口くださいってちゃんと言ったら食べさせてあげる」梓「は……?」

純「さあいるの、いらないの?」

梓「…………」
梓「ひ……///」
純「ん?」
梓「一口…私にくだ……って言うか!ばか!」
純「ノリツッコミ!どこで!?」

梓「で、話って?」パクッ

純「結局注文してんじゃん…」

純「………」
純「憂から聞いた」

梓「…………」


純「どうして何も話してくれなかったの?」

梓「純にまで迷惑かけるわけにはいかないよ」

純「全然迷惑なんかじゃないよ!」
梓「………」
純「逆に何にも話してくれないで、一人辛い顔される方がもっと嫌だよ!」
梓「ごめん…」
純「私達これでも友達なんだからさ、困った時はお互い様だよ!」

梓「純のくせに…グス」

梓「カッコ良すぎるんだよぉ……」ポロポロ
純「梓………」


純「一口もらっていい?」
梓「さっき食べたでしょ!?」




部室

澪「本当によかったのか?梓呼ばないで」

律「いいのいいの」
律「三人じゃなきゃ話せないことだから」


紬「話しって?」

律「"これから"のことだよ」

澪「"これから"って…もし唯があのままだったらどうするかって話か?」

律「ちがう、梓のことだ」

律「私達がやめたら…梓1人になっちゃうだろ?」

律「1人じゃ部活も続かないし…」

紬「でもそんなこと…」

澪「たしかに…もう来年の1年にかけるしか方法は…」

澪「それに梓も別にいいって…」


律「本当にそう思ってると思ったのか?」

澪「………」

律「最後に先輩らしいことしてあげたいじゃん」

紬「りっちゃん…」
律「ほらあ!私部長だしぃ?最後くらい部長らしいことしたいなあーって!」

澪「まったく…」

紬「でも懐かしいわよね…この教室」

律「どうしたんだよ急に」

紬「ここで色んなことやってきたんだよね…」

澪「本当あっという間だよな…」

律「こら!まだ終わってないぞ!」

紬「最初は不安だったけど、今は本当良かったって思ってるわ」

澪「私も…スゴい最初不安だった。でも…私も入って良かったなって思ってる。」

律「おいおい…そういうことはだなぁ…」


澪「あの時文芸部に入ろうとしていた私を止めてくれてなかったら…」

紬「合唱部に入ろうとしていた私を止めてくれなかったら……」

律「ふ、二人してそんなこと言っても………別に……嬉しくなんかぁ……グス」

澪「本当に…ありがとうな……!」

紬「これからもよろしくね!」

律「……………」

律「うぁああああああん!!!」


澪「こういうやりとり文化祭で加えれば盛り上がるんじゃないか?」

紬「みんな泣いちゃって大変なことに…………あれ?」


律「………」

律「私の涙を返せェ!!」


……

梓「そろそろ帰ろっか」
純「だね」

梓「あ、メール…律先輩からだ…」
[絶対軽音部潰させないからな!]
梓「……?」
梓「あ、澪先輩とむぎ先輩からもきてる…」
[梓は1人なんかじゃないからな!]
[寂しくなったらいつでも言ってねー!]

梓「……クスッ」

純「良かったね!いい先輩がいて」

梓「うん!」


梓「行こっ!」
純「ちょっと、どこに!?」
梓「どっか!」
純「待って!早いぃ!」

純(いいなあ……軽音部)

純(………)

純(私も…)

純(私も…あんな風になれたのかな…)




ミーンミンミン


律「暑いよ…」

律「大学受験とかめんどくさいよー」ジタバタ

聡「姉ちゃん!」

律「あ?」

聡「アイス買いにいくけどなにがいい?」

律(できた弟!)

律「じゃ私カップのバニラ!」

聡「わかった!」

律「いやあ!こんなにいい弟がいると嬉しいなあ!あはは…………ん?何その手は」

聡「お金!」

律「なんでやねん!」ガクッ



紬「ふーんふーんふーん♪」

執事「紬様そろそろ休憩なさっては…?」

紬「いいのよ、楽しいから!」

執事「もうかれこれ10時間は勉強をしていらっしゃいます…」

紬「そ、そんなに!?」バタッ

執事「つ、紬様ぁ!!」



梓「ふー…やっと夏休みの宿題終わった…」

梓「でも早く終わってもすることないんだよなあ…」

梓「皆さん今頃受験勉強してるのかな…」

梓「私も来年受験か…」

梓「…………」

梓「ずっとこのままがいいなあ…」

梓「ずっと……ずっ…………zzz」



澪「歌詞が浮かばない……」

澪「んー、やっぱり曲名から考えよう!」

澪「んー……」


澪「にしてもいい天気だなあ…」

澪「………」

澪「唯……今頃なにやってんのかな…」

澪「……」

唯『澪ちゃーん!』
澪『どうした?』
唯『お願いだから勉強教えてくださいー!』
澪『和は?』
唯『いつまでも和ちゃんに頼る訳にはいかないよぉ…』

澪『頼むことに問題があるんじゃ…』

澪『でもいいよ。私でいいならな』

唯『本当ーっ!?』

澪家

唯『ふぃ~疲れた~』

澪『ただ家来ただけだろ…』
唯『………はあ…』澪『どうしたんだよ、ため息なんてついて』

唯『澪ちゃんはいいよねー頭良くて…』

澪『……?』

唯『このままじゃダメだなって思っても何したらいいかわかんなくてさ…』

澪『唯…』

澪『唯でも悩みあるんだな…』

澪『まあただ一つ言えるのは、夢を持つことだと思う』

澪『だからその過程の一つと見れば勉強も楽しくなるんじゃないかな…』

澪『私だって唯が羨ましいと思うことあるよ?』

澪『いつもいつもぐ~たらだけど、やる時はやってくれるっていうか…とりあえず私は唯が…』

唯『………グー』

澪『寝てるし!!』

澪『でも…かわいい………………って』
澪『勉強しに来たんだろ!!!』ペチン

唯『すいませんでしたっ!』

澪『まったく…』


1時
澪『あー眠い!』
唯『もうこんな時間かあ…』
澪『はあ』ドサッ
澪『………』

唯『ねえ…澪ちゃん?』
澪『ん?』
唯『澪ちゃんの夢ってなに?』

澪『えーっと…』
唯『なになに?』キラキラ

澪『秘密に決まってんだろ!』
唯『ちぇー…ブツブツ』
澪『ほらもう寝るぞ!』
唯『澪ちゃんお風呂はー!?』
澪『ああ忘れてたな…唯先入っていいぞ』
唯『二人だし一緒に入ろうよ~』
澪『な……良いから入れバカ!』
唯『あーい』


澪「そういや色々あったな…」

澪「まあ楽しいことばっかりではなかったけど…今思い返すと笑い話なんだよな」

澪「唯もきっと感じてるんじゃないか……?」
澪「この寂しさをさ…」



……

唯「ねえ憂?」

憂「?」

唯「私こんなとこにいていいのかな」

憂「どうしたのお姉ちゃん?」

唯「なんか…」

唯「なんか行かなきゃいけないところがあるような気がするんだよねー」

憂「そうだ!もう外出許可貰えるって聞いたから、明日にでも軽音部の部室行ってみようか!」

唯「うん!」


憂(あそこに行けば何か思い出してくれるかも……!)




翌日

律「お!早いなあ」

梓「今日でもしかしたら唯先輩の記憶が戻るかもしれないって思ったらいてもたってもいられなくて…」

澪「まったく…唯はいい後輩を持ったな」

紬「本当ね」

律「よっしゃー!唯が来る前に準備しとこーぜ!」

「おー!」



ガラガラガラ

律「唯!?」

山中「私です!」

澪「このパターンはお決まりだな…」

ガラガラガラ

憂「失礼しまーす」
唯「………!」


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最終更新:2010年06月11日 02:41