憂『私もお姉ちゃんの料理食べたいな』
唯「……死んだらご飯食べれないの?」
憂『うん、私食べたいよお姉ちゃんの料理食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい』
唯「ど、どうしたの!?」
憂『食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい』
唯「憂!憂ってばぁ!!!」
憂『お姉ちゃんごめんね…』
唯「いいよ!でも、どうしたの?」
憂『頭が急に痛くなって手が勝手に動き出したんだよ』
唯「大丈夫!?」
憂『うん、もう大丈夫だよ』
唯「うん…よかった!」
唯「……本当に大丈夫なの?」
憂『うん、大丈夫だよ』
唯「そういえば…私が風邪で学校休んでる時、憂が看病してくれたね」
憂『学祭の時の?』
唯「うん…もう一回だけ憂に看病してもらいたいなぁ……」
唯「憂が作ってくれたお粥美味しかったなぁ…憂が私のマネして部室に来た時もあったよね」
憂『うん』
唯「憂の顔見たいなぁ…声も聞きたいなぁ…やっぱり文字だけじゃ物足りないよ…」
憂『お姉ちゃん…』
唯「ごめんね贅沢だよね今はこうして文字で話せる事だけでも嬉しいよ!」
憂『死ねば私に会えるよ』
唯「…………え?」
憂『ごめん、本当に頭が痛いよお姉ちゃん』
唯「………大丈夫?」
憂『うん、お化けも頭痛くなるんだね今日は休ませて』
唯「うん…わかった」
憂『お姉ちゃん、さっき私が書いた言葉、本気で思って書いたわけじゃ無いからね』
唯「うん……私お風呂入って来るね」
憂『うん』
お姉ちゃんと一緒に居たいって気持ちが日に日に強くなって来ている。
憂「お姉ちゃん……」
私の声はお姉ちゃんに届かないし姿だって見えない。
お姉ちゃんの肩に手を置いても通り抜けるだけでお姉ちゃんに触れない。
ギュッと抱きしめたい。
お姉ちゃんをギュッと力強く抱きしめたい。
それに、私はおかしくなって来てる。
頭や体がおかしくなって来てる。
お姉ちゃんが死ねば私はお姉ちゃんに会える。
多分、抱きしめる事も出来るし声で話す事も出来る。
一緒に笑って泣いて励まして。
お姉ちゃんが死ねば私の願いは叶う。
そんな事思っちゃダメだ…でもこのままじゃ私…お姉ちゃんを殺してしまいそうだよ。
私のお姉ちゃんへの愛情が歪んだ形となって殺してしまいそうだよ。
嫌だよ…そんなの。
唯「憂お風呂から上がったよ」
憂『うん』
唯「じゃあ私…寝るよ」
憂『うん、おやすみお姉ちゃん』
唯「うん!」
憂『いい夢見るといいね』
憂「お姉ちゃんの寝顔可愛いなぁ…」
本当に可愛い…でも一緒に寝れる事も無いんだよね。
今は私がお姉ちゃんに出来る事を精一杯やらないと。
お姉ちゃんには早く一人で何でも出来るようになって貰いたいから…。
憂「終わった……」
これでお姉ちゃんがコンビニのお弁当を食べる事は無いよね。
お姉ちゃんは料理は下手じゃないから大丈夫だよね。
もう…私がいなくても大丈夫だよね。
ちゃんと学校に行く約束もした、ご飯も私のレシピがあるし大丈夫だよね。
憂「一人で大丈夫だよね…お姉ちゃん」
私が死んでから心配だった。
お姉ちゃんの事が心配で心配で堪らなかった。
一人でご飯作れるか?学校に遅刻せずに行けるか?色々心配だった。
だって…お姉ちゃん何時も私を頼ってばかりいるんだもん。
でも大丈夫だよね私がいなくても、もう大丈夫だよね。
………今わかったんだ私が成仏出来ない理由がわかった。
お姉ちゃんの事が心配で成仏出来なかったんだ。
今は心配してないよ。
だってお姉ちゃんは私がいなくても大丈夫だと思うから。
憂「明日………」
私のお姉ちゃんへの愛情が歪んでしまう前にお姉ちゃんを傷付け無い為に本当は今すぐ成仏したい。
でも…それ以上に私はお姉ちゃんと一緒に居たい。
ずっとずっとお姉ちゃんと一緒に居たい。
私はこのままじゃお姉ちゃんを傷付ける悪いお化けになってしまう。
だから…明日お姉ちゃんとお別れだ。
翌日私は学校に行くお姉ちゃんに今日お別れする事を言えなかった。
だって…お姉ちゃん凄く楽しそう何だもん。
言えるわけ無いよ…でも言わなくちゃ。
何も言わないでお姉ちゃんとお別れするのは嫌だ。
だから…言わなくちゃ。
憂「お姉ちゃん……」
唯「憂ー!おかえり」
憂『おかえりお姉ちゃん』
唯「あずにゃんと純ちゃん来てるよー!」
梓「憂今日も話そう」
純「いっぱい話そうね!」
憂『うん!』
憂『今日は来てくれてありがとう』
梓「いいよ私達友達でしょ?」
憂『うん、そうだよね友達だよね』
純「そうそう友達!」
憂『今日…私、成仏するんだ』
純「成仏って…いなくなるの?」
憂『うん、急でごめんね』
梓「急過ぎるよ…本当の本当に今日なの?」
憂『ごめんね』
梓「……………ぐすっ」
純「い、嫌だよ!」
憂『ごめんね、でもこのまま私がこの世にいたら私お姉ちゃんを傷付けちゃうから』
梓「憂ぃ…行かないでぇ…」
純「ひっぐ…うぅ……」
憂『ごめんね梓ちゃん純ちゃんごめんね』
梓「嫌だよぉ……」
憂『ごめんね、みんなと友達になれて嬉しかったよ』
憂『泣かないで二人共泣かないで』
梓「うぅ……憂が…憂が……」
純「…………………」
憂『お姉ちゃんには言わないでね私の口から言いたいから』
梓「わかった…わかったよ……バイバイ憂」
純「…………バイバイ」
憂『本当にいい友達だったよバイバイ梓ちゃん純ちゃん』
唯「二人共お茶入れてみたんだけど………」
梓「唯先輩……」
唯「ど、どうしたの?何で泣いてるの?」
梓「………私達帰りますね」
唯「え……帰るの?」
梓「うん…さようなら唯先輩……憂もさようなら」
純「……さようなら憂」
唯「あ…うん、バイバイ」
……
純「よ、よかったの?こんなに早く帰って、憂ともっと話したかったんじゃないの?」
梓「そうだけど…大丈夫だよ」
純「私…もっと話したかったけどお別れ言えただけでも嬉しいな」
梓「うん………これで憂といっぱい話せるね唯先輩」
純「え?…何か言った?」
梓「ううん…今日は憂のお墓参り行こうよ」
純「うん!わかった」
……
憂『お姉ちゃん?』
唯「憂…このノートに書いてる事って本当なの?」
憂『うん、本当だよ』
唯「成仏…しちゃうんだ……私と一緒に天国行けないんだ……」
憂『ごめんね』
唯「…………………」
憂『ごめんねお姉ちゃん』
唯「…………憂」
憂『なぁに?』
唯「何時…天国に行っちゃうの?」
憂『お姉ちゃんが寝てから逝くよ』
唯「じゃあ…今日は寝ない!私が寝なかったら憂は天国に行かないんだよね?」
憂『お姉ちゃん本当にごめんね』
唯「嫌だよぉっ!嫌だよ……」
憂『ごめんね』
唯「嫌だよ……行かないでよ…もっと一緒に居たいよ……」
憂『私もにお姉ちゃんと一緒に居たいよ』
唯「じゃあ…行かないでよ…」
憂『あのね、私このままだとお姉ちゃんを傷付けてしまうかも知れないんだ…』
唯「なんで…憂が私を傷付けるのぉ?」
憂『お姉ちゃんが好き過ぎて傷付けてしまいそうだからだよ』
唯「私も憂の事がだぁーい好きだよ!でも…傷付けたりなんかしないよ…憂もきっと私を傷付けたりなんかしないよ!」
憂『ううん、私ねお姉ちゃんが好き過ぎて死んで欲しい』
唯「……………憂」
憂『私のお姉ちゃんへの愛情が違う方向に行ってしまってるんだよ』
憂『ずっとね頭の中でお姉ちゃんが死ねば一緒にいられる、こんな事ばかり考えてる』
唯「私が死ねば……」
憂『だからね、私の頭がまだ正常な内に成仏しないとお姉ちゃんを傷付けてしまう』
唯「…………傷付けていいよ、だから一緒に居ようよ」
憂『嫌だよ!私はお姉ちゃんを傷付けたく無い』
唯「……………嫌だよ」
唯「ずっと一緒に居ようよ!」
憂『ごめんね』
唯「私また一人だよ…」
憂『みんなが居るよお姉ちゃんは一人じゃ無いよ』
唯「憂が居ないと…憂が居ないと……私何も出来ないよ」
憂『お姉ちゃんは何でも出来るよ!』
唯「…………………」
憂『料理も上手だしお姉ちゃんは私が居なくても大丈夫だよ』
唯「…………………」
憂『お姉ちゃん私が居なくなっても学校ちゃんと行ってね?』
唯「うん………約束したもんね」
憂『うん』
唯「憂わかったよ……今日でバイバイだね」
憂『ごめんね…』
唯「謝まら無くて大丈夫だよ…憂今までありがとう」
唯「………最後だからいっぱい話そうよ」
憂『うん』
唯「最後だから……うぅ…ひっぐ…最後…だから……」
憂『お姉ちゃん…』
唯「今日…学校でね…ぐすっ……りっちゃんが…うぅ…転んだんだ……」
憂『お姉ちゃん泣かないで…私まで悲しくなるよ』
それから夜中まで私達は話し合った。
笑ったり泣いたりしながら…とにかく話し続けた。
憂「ごめんね…お姉ちゃん」
お姉ちゃんは私の机で寝ている。
嫌だよ…お姉ちゃんと別れるのは嫌だ。
でも…お姉ちゃんを傷付けるのはもっと嫌だ。
憂「そろそろ逝かないと……」
憂「お姉ちゃん…今までありがとう……」
光が私を包む。
暖かくて優しくてお姉ちゃんみたいな光。
唯「憂…………」
憂「お姉ちゃん……」
お姉ちゃんが寝言でポツリと呟いた。
唯「大好きだよ……」
憂「私もお姉ちゃんの事が大好き」
この言葉がお姉ちゃんに届くといいな。
憂「さようなら……」
朝、私は目を覚ました。
唯「憂!!!?」
ノートを見ても返事は無い。
ただ…バイバイって文字が書いてあるだけだった。
ノートに返事は無い。
唯「………天国に行っちゃったんだね」
唯「じゃあ…行って来ます」
制服に着替えた私は学校へ向かう。
快晴、雲一つ無い青空を見上げて私は思う。
憂が空から見てくれていると。
そう思うだけでこれからの人生が何だか上手く行く気がした。
唯「憂が見守ってくれてる」
きっと…そうだよね憂?
……
唯「おはよう」
学校に着いた私は校門の前であずにゃんと会った。
梓「あの…唯先輩」
唯「どうしたの?」
梓「これ…憂からの手紙です」
あずにゃんから渡された憂からの手紙を丁寧折ってにポケットに入れる。
唯「ありがとうあずにゃん」
唯「じゃあ私は教室に行くね」
梓「今読まないんですか?」
唯「うん……後で読みたいんだ」
梓「そうですか…あの憂の事は知ってますよね?」
唯「うん…でも寂しくないよ」
梓「な、何でですか?」
唯「あずにゃんやみんなが居るからだよ!…じゃあバイバイ」
梓「…………はい!」
唯「みんなおはよう」
律「おはよう唯」
唯「今日から部活行けるよ!」
澪「そーなんだよかった…」
紬「唯ちゃんの為に美味しいお菓子持って来たのよ」
唯「うん…みんなありがとう!」
授業と部活が終わり私は真っ先に憂が眠ってるお墓に向かった。
唯「憂…聞こえてる?」
大丈夫…きっと私の声は憂に届いてる。
唯「憂が書いた手紙…読むからね」
私は手紙を取り出し読み始めた。
『お姉ちゃんへ…私達は生まれた日からの仲良しだったね。私達が出会った事は絶対に運命そう信じてる。お姉ちゃんと一緒だと何でも楽かった宿題も楽しかった。私お姉ちゃんの姉でよかった。生まれ変わる時もお姉ちゃんの妹がいいな。今までありがとうそしてさようなら』
唯「私も今までありがとう憂…そしてさようなら」
この手紙は一生大事にするよ。
そして憂の事はずっと忘れ無いよ。
唯「だって…憂は私の大事な妹だから」
END
※
元ネタは世にも奇妙な物語の過去からの日記です
後少しだけ幽霊について説明します
なんらかの理由で成仏できずこの世にとどまってしまった死者の霊の事を幽霊と言います
成仏出来なかった理由としてこの世に対する怨念や強い愛情、未練が強すぎた事が原因である事が多い
その為人に害を及ぼす悪霊になる事も多い一般に執念深い人粘着質な人が幽霊になりやすいそうです終わり
最終更新:2010年06月12日 23:11