律「…?まぁいいや。練習するぞ!」

律「わん、つー!」

~~~♪


ジャーン

律「…おい和。もっとやる気出せよ」

和「ごめんなさい…」

澪「和…なにかあったのか?」

紬「悩みごと…?」

和「…なんでもないわ」

憂「………」

律「…ならもう一回行くぞ?」

律「わん、つー!」

~♪

和「………」

律「…おい。なんで演奏しないんだよ」

和「………」

律「なんとか言えよ!」

澪「落ち着け律!和も一体どうしたんだ?」

和「………」

…だめだ私は。ギターだけが今の自分の取り柄なのに。

誰よりもギターがうまくなくちゃ武道館に行けないのに。

私は結局、唯の夢を叶えられないで終わるんだろうか?

…不安が私を飲み込む。


律「…はぁ。和がそんなんじゃ武道館は無理そうだな」

憂「え…?みなさんプロになるつもりですか?」

澪「そうだよ。みんなで約束したんだ。必ず武道館に行くって」

和「………」

律「でも和がこの調子じゃなぁ…。私達は行けないまま終わるかもしれない」

憂「!…そんなことありません!きっと行けますっ!!!」

紬「憂ちゃん…?」

憂「ご…ごめんなさい…」

律「…今日は解散だ。みんな、また明日」

律「…はぁ。和がそんなんじゃ武道館は無理そうだな」

憂「え…?みなさんプロになるつもりですか?」

澪「そうだよ。みんなで約束したんだ。必ず武道館に行くって」

和「………」

律「でも和がこの調子じゃなぁ…。私達は行けないまま終わるかもしれない」

憂「!…そんなことありません!きっと行けますっ!!!」

紬「憂ちゃん…?」

憂「ご…ごめんなさい…」

律「…今日は解散だ。みんな、また明日」

憂「和さん!一緒にかえりませんか?」

和「…別にいいわよ」

憂「…和さんは武道館を目指してるんですか?」

和「…そうよ。でも、もうダメみたい」

憂「なんでですか…?」

和「…私が武道館に行きたい理由はね、唯の夢を叶えたいからなの。
 その為には誰よりもギターがうまくなくちゃいけない。…憂ちゃんよりも」

憂「…なんだ。そんなことだったんですか」

和「そんなこと…?」

憂「そんなことですよ。私と同じです」

憂「私がギターを始めた理由は…お姉ちゃんの意思を継ごうと思ったからなんですよ」

和「え…?」

憂「お姉ちゃん良く言ってたじゃないですか。武道館に行きたいって」

憂「…だから私は、お姉ちゃんの代わりに武道館に行こうと思ったんです。ほら、和さんと同じじゃないですか」

和「でも、なんでそのことを黙ってたの…?」

憂「どうせ周りに話したって馬鹿にされると思ってました。プロになんかなれる訳ないのにって…」

和「………」

憂「…でも、私は和さん達の演奏をみて思ったんです。この人達とならプロになれるかもって。それと、今日の皆さんの話を聞いて確信しました。この人達は私の夢を馬鹿になんかしないって」

憂「だから…お願いです和さん。私と一緒に、武道館に行きましょう!」


そうだ。私は大事なことを忘れていた。

一人で武道館に行くんじゃない。みんなで行くんだって、あの日みんなと約束したじゃないか。

私が一番になるんじゃない。みんなで一番になればいいんだ。

…なんでこんな大事なことを忘れてたんだろう。

和「…だめよ」

憂「え…?なんでですか…?」

和「…だって、それは私の台詞だもの」

和「憂ちゃん。私達と一緒に武道館目指してくれる?」

憂「!…はい!」

唯の夢は、今も確実に生き続けてる。

和「でも、なんで唯のギターを私に?憂ちゃんが使えばよかったのに…」

憂「…私には使うことができませんでした」

和「?」

憂「だって、そのギターを使うと…お姉ちゃんのことを思い出しちゃうんです」

憂「涙が…止まらなくなってしまうんです」ぐす

和「あ…」

憂「…和さん。ひとつお願いしてもいいですか?」

和「なに…?」

憂「そのギター…。お姉ちゃんのギターで、今演奏してもらえませんか?」


和「ここで?…いいわよ」

憂「すみません…。変なお願いしちゃって」

和「別にいいわよ。それじゃ…」

~~♪

私は、唯がよく弾いていた曲を弾いた。

憂ちゃんもこの曲が好きだったはずだ。唯の演奏を良く二人で聞いていたっけ。

憂「……お姉ちゃん」

憂「…お姉ちゃん…おねえちゃあん……」ぽろぽろ

憂「うわあああん!おねえちゃああん!寂しいよぉ!!」ぼろぼろ

和「憂ちゃん…」

私は前になんていった?憂ちゃんが強い?

違う…。強くなんかない。悲しいに決まってるじゃないか。

この子は、寂しいのをずっと我慢してきたんだ。唯を悲しませないように…。

憂「…すみません。取り乱してしまいました」ぐす

和「…泣きたいときはいつだって泣いていいのよ?」

憂「はい…。ありがとうございます。少し楽になりました」

和「いえいえ。どういたしまして」

憂「やっぱりそのギターを和さんに預けて正解でした。お姉ちゃんもきっと喜んでいます」

和「ありがとう…。憂ちゃん」

憂「はい♪よかったね。ギー太!」

和「ギー太?」

憂「はい。お姉ちゃんのギターの名前です。お姉ちゃんがつけたんですよ」

和「…まぁ、なんとも唯らしいわね」

憂「えへへ♪それじゃ私はここらへんで。また明日頑張りましょう♪」

和「ええ…。また明日」


―次の日

がちゃっ

律「おーっす。お、和に憂ちゃん。二人とも早いな」

憂「こんにちは律さん」

和「私はいつも早いわよ」

律「そうだっけ?…どうやら悩みは吹っ切れたみたいだな」

和「ふふ、おかげ様でね」

がちゃっ

澪「悪い。遅れた」

紬「ごめんなさい」

律「よし。みんな揃ったことだし練習するか」

和「ちょっとまって。その前に私から話があるの」

律「?なんだよ改まって」

和「みんな…昨日は迷惑かけて本当にごめんなさい」

律「いいよ。きにするなよ」

澪「そうだぞ。元気が出たみたいでよかった」

紬「心配したのよ?」

和「ありがとうみんな…それともう一つ…」

和「もう一度言わせてほしいの。…みんな…私と一緒に武道館に行きましょう!」

律「…だから、その台詞は部長の私のだ!」

律「よし!みんなぁ!絶対に行くぞ!武道館!」

和澪紬憂「おー!!!」



―数カ月後

律「そろそろ学祭だな。あと2週間後か」

和「もうそんな時期なのね」

紬「時間がたつのは早いわねぇ」

憂「去年の学祭では何を演奏したんですか?」

律「去年はふわふわ時間だよ。その頃はそれしか持ち歌がなかったんだ」

紬「今年は何を演奏するの?」

律「うーん…。いつもライヴハウスで演奏してる曲でもやるか?」

和「でも、たまには違う曲も演奏したいわよね」

律「そうだよなぁ。澪ー。新しい曲作ってないのー?」

澪「ふふふ…。そういうと思って作ってきたんだ!」

律「マジ!?ちょっと見せてよ!」

律「………」

律「…カレーのち…ライス…?」

律「…曲名からしてあれなんだけど…」

澪「なんだと!?いいから歌詞を読んでみろ!」

和「どれどれ…」

紬「どきどき…」

憂「見せてください…」

―キミにときめき恋かもねアワアワ

 ハングリー精神とめらんないクラクラ

律「………」

和「………」

紬「………」

憂「………」

澪「…どう?自信作なんだけど…」

律「…やっぱりこれはないよな和」

和「…私はもうなれたわ」

律「…ムギは?」

紬「どんとこいです…」

律「ですよねー」

律「そうだ!憂ちゃんはどう思う!?」

憂「…素晴らしいです…。可愛い歌ですね…」

澪「だろ?特にここの所なんて最高だと思わないか」

憂「はい♪私もそう思います!」

律「…あれ?私がおかしいのか?」



―学祭当日

その日の私達の演奏は大成功だった。

ライヴハウスやいろんなイベントにも参加しているおかげだろう。

プロになる為に、それだけの数をこなしてきたんだから当然の結果だ。

律「いや~!今日の演奏も大成功だったな!」

澪「当然だ。私達はそれだけ数をこなしてきたんだからな」

憂「でも、初めての学祭楽しかったです!」

和「そうね。また来年も楽しみましょうね」

がちゃっ

さわ子「みんな。今日のライヴ大成功だったわね。おめでとう」

憂「先生!ありがとうございます」

さわ子「憂ちゃんもよく頑張ったわ。…そういえばムギちゃんは?」

和「そういえば…どこいったのかしら」

さわ子「ちょっと!?ムギちゃんがいないとお茶が飲めないじゃない!
   私はいつものライヴ後のティータイムを楽しみに来たのよ!?」

律「あんた最低だな…」


がちゃっ

紬「………」

律「ムギ?お前どこ行ってたんだよ」

紬「………」

澪「…ムギ?」

憂「紬さん…?」

さわ子「ちょっとムギちゃん!早くお茶の準備しなさいよ!」

律「あんたは黙ってろ…」

紬「………」

和「ムギ…?一体どうしたの?」

紬「……みんな…私達…」

紬「…メジャーデビューできるかもしれない」

和「……え?」


紬「私のお父様の知り合いでね、レコード会社の社長さんがいるんだけど…」

紬「私達の評判を良く聞くみたいで…今日の学祭に来ていたらしいの…」

澪「そ…それで…?」

紬「会ってきたわ…。話を聞くために…」

律「そ…それでそいつは…私達のことをなんて…?」

紬「…私達を…プロデュースしたいって…」

和「………」

澪「………」

憂「………」

さわ子「………」

律「……マジ?」

それから私達は、『放課後ティータイム』というバンド名で見事メジャーデビューを果たした。

最初は大した人気が出なかったものの、一部のファンの口コミや、さわ子先生…今はマネージャーか。

の売り込みのお陰で、曲の全体の完成度の高さ、澪の書く歌詞の素晴らしさ(どうやらずれていたのは私と律の方だったらしい)

などが徐々に世間一般に評価され始め、私達の人気は『今、日本で一番熱いガールズバンド!』

と週刊誌にも歌われるほどになった。

…ちなみに、この『放課後ティータイム』というバンド名だが、私達がバンド名を決めるための相談をしている時に

さわ子先生がお茶が飲みたいとうるさかったので、律がその時に…

さわ子「バンド名よりお茶にしましょうよ~。私喉乾いた~」

澪「………」

さわ子「お茶~!お茶が飲みたいの~!」

紬「………」

さわ子「私は放課後のティータイムが楽しみで顧問になったのよ!」

和「…え?私の夢がどうとか言ってましたよね?」

憂「だからライヴの後ぐらいにしか、音楽室に来なかったんですね…」

さわ子「いったかしら?とにかく私はお茶が飲みたいのよ!」

律「…うるせえな!そんなに放課後ティータイムがしたいんなら一人でやってろ!
 私達はバンド名を決めるのに忙しいんだよ!まったく…」

さわ子「ならバンド名は放課後ティータイムで決まり!よかったわねあなた達!
   さぁムギちゃん!早くお茶ちょうだい!」


澪「先生!そんないい加減な…。ここはやっぱりぴゅあ☆ぴゅあを…」

紬「私は充電期間を推奨するわ♪」

憂「私は雲譚がいいと思います…」

和「レッドフレームなんてどうかしら?」

律「…いや、まて…。案外いいかもな『放課後ティータイム』って…」

律「…よし決めた!私達のバンド名は『放課後ティータイム』だ!いいだろみんな!?」

和澪紬憂「え~~~~?」

律「うるせえ!このままじゃいつまでたっても決まらねえだろ!!
 大体、バンド名決めるだけなのに一週間かかるってどういうことだ!?」

という理由で決まった。私はレッドフレームの方がよかったと今でも思う。


それからの私達の人気は留まることをしらず、高校を卒業してからはテレビ出演やライヴ、

雑誌のインタビューなどの仕事で大忙しだった。

そして私達は気がつけば…


……

がちゃ

さわ子「みんな!今日のお仕事お疲れ様!…それと…とうとうやったわよ!」

律「なんだよ?やっと彼氏でもできたか?」

さわ子「…あぁ?」

律「…冗談です」

紬「それで、なにがあったんですか?」

さわ子「ふふふ…。なんと…なんとね?」

澪「もったいぶらないでください」


5
最終更新:2010年01月28日 03:26