唯「うん…?」
唯「ふわぁ、寝ちゃったぁ…ごめんねムギちゃん。」
唯「ムギちゃん…?」
部屋を見回すが紬の居る気配は無い。
ふと机の上に置かれた一枚の紙が目に入った。
唯「なんだろうこれ…書置き?」
『唯ちゃんへ
黙って出て行ってごめんね。でももう、時間がない気がしたから…
ねえ、唯ちゃん。私はね、今みんながおかしくなってしまった原因はあのサイレンにある気がするの。
私はさっき一度倒れたはずの人が、あの音を聞いてまた動き出すところを見たわ。
だからあの音を止めることが出来れば、みんな元にもどるんじゃないかしら。
例え戻らなくても、死んだまま動き回るような悲しいことはきっと…
唯ちゃんは裏山に大きな鉄塔があるのを知ってる?
あの音は、たぶんそのサイレン塔から響いている。
私は今からそこに行くわ。でも、ひょっとしたら私の体が間に合わないかもしれない。
だから唯ちゃん、もし少し経ってもあの音が止まないようなら
お願い、みんなと一緒にこの町から逃げて。
公民館
鍵を掛けた会議室の隅で一人膝を抱えて座る澪。
澪「…」
澪「グスッ…」
澪「律…」
08月09日/22時34分10秒 平沢唯
秋山家の玄関前に立つ唯。
ドアには一枚の張り紙が貼ってあった。
唯「『公民館で待つ! 律&澪』…」
唯「公民館かぁ…」
終了条件:公民館へ到達
唯「公民館…って、確かこっちであってたよね…」
唯「…」
唯「心細いな…」
定期的に周囲に意識を巡らせて視界を確認する。
ふと、ひとつの視界に違和感を覚えた。
妙に位置が低い。ちょうど四つん這いになっているかのような高さだ。
とても嫌な予感がした。
なるべく関わらないよう迂回しようと考えたとき、その視界の主の声が聞こえた。
「せんぱい…」
唯「!!」
別段珍しい単語ではない。
しかし、その声には ―随分と感じは変わってはいるが― 聞き覚えがあった。
唯「あずにゃん…?」
“それ”はどうやら目の前の角を曲がった先の公園にいるようだ。
もちろんもうかつての彼女ではないだろう。
そんなことは解っている。
しかし、どうしてもそれを認めたくなかった。
いや、むしろ現実を見ることで吹っ切れてしまいたかったのかもしれない。
とにかく、深くは考えないことにして覗き込んだ。
唯「あず…にゃん…?」
梓はすでに、人の形すらもやめてしまっていた。
両手をつき、以前は艶やかだった長い髪を引きずりながら四足で歩いている。
こちらを見つけると、嬉しそうな笑みを浮かべて駆け寄ってきた。
唯「…!」
今さらながら身の危険を感じ、近くの民家に逃げ込む。
鍵を内側から閉めて身構える。
外からはドアを引っかくガリガリという音が聞こえてきた。
梓「せんぱーい…」
ノブを回すことすら出来なくなった後輩を哀れに思う。
かつての活発で、少し生真面目で、優しい心を持った彼女は見る影も無い。
それでももう、涙は涸れていた。
―――
しばらくじっとしていると、あきらめたのか梓はどこかへ消えていった。
唯「行かなくちゃ…澪ちゃんとりっちゃんが待ってる…」
公民館とはもう目と鼻の先だ。
―――終了条件達成
08月10日/03時31分03秒 平沢唯
澪「そうか…ムギが…」
唯「うん…それにあずにゃんも…」
澪「そっか。2人だけになっちゃったな…」
唯「そうだね…」
澪「それで、どうするんだ?町をでるのか?」
唯「私は、裏山に行くよ。皆をおいて行くなんてできない。」
澪「…そうだな。私も行くよ。」
澪「2人であの音を止めるんだ。」
唯「澪ちゃん…」
唯「うん!行こう!」
唯「でも大丈夫なの?澪ちゃん…怖くない?」
澪「大丈夫だよ。もう、弱音は吐けない。」
唯「…」
澪の部屋で眠っている律と澪。
しかし突然の物音で目を覚ます。
澪「きゃあ!」
律「おわぁ!」
律「な、なんだぁ…?」
終了条件:秋山澪の公民館到達
慌てて視界を確認する。
律「げぇ、1階の窓破って入ってきやがった…」
澪「そんな!どうするんだよ律ぅ!」
律「どうするったって…立ち向かうか?」
澪「バ、バカ!相手が武器持ってたらどうするんだ!」
律「じゃあどうすんだよ!早くしないと上ってくるぞ!」
澪「わ、わかんないよ!」
律(ダメだコイツ…)
律(どうする?奴はまだ二階に居る私たちに気付いてないようだけど…)
律「!」
律「ははーん、今日のりっちゃんは冴えてるぜ!」
律「澪!アイツが入ってきた窓って、この部屋のベランダの真下だよな?」
澪「う、うん、そうだけど…」
律「オッケー、ちょっと蛍光灯とそこのイス借りるぜ」
澪「いいけど、そんなものどうするんだ!?」
律「まあまあ、見てなさいって」
律「まずはコレを…」
そういって蛍光灯をベランダから下に落とし、すかさず視界を確認する。
律「うひひ、キタキタ」
目論見どおり、階下の屍人は割れた蛍光灯の音を聞きつけ外に出てくる。
律「お、出てきやがったな」
律「お次はこれだ…!」
イスを手に取る。
澪「律、お前まさか…!」
流石に気が引けた。
いくら状況が状況だとしても、人に向かって―――
だが、迷っている時間は無かった。
律「おっちゃん、ゴメン!」
ゴツンという嫌な音を立ててイスは屍人に直撃した。
律「ふう…」
律「さて、ここはもう危ないな」
律「今のうちにどこか安全な場所…公民館なんていいかな、そこに避難しよう。」
律「…?澪?」
澪の顔は、恐怖に引きつっていた。
そしてその恐怖の対象が、今の自らの所業であることはその目から判ぜられた。
律(ちょっと刺激が強すぎたかな…)
それでも、生きたかった。守りたかった。
律「ほら行くぞ、澪。」
澪「う、うん…」
律「あ、そうだ、玄関に張り紙しておこうぜ!」
律「ほら、もし唯やムギがここに来てもわかるようにさ。」
律「『公民館で待つ』…っと、これでよし!」
―――
公民館に向かう道を歩く律と澪
律「なあ澪」
澪「どうした?律」
律「必ず、生き残ろうな」
律「ふたり一緒で、だ。」
澪「…うん」
澪「私たちは、ずっと一緒だ」
律「へへっ」
銃声。
律「!」
銃声は背後からだった。
咄嗟に四つ辻の左右別々に分かれて角に隠れる。
澪がこちら側に来ようとすると、もう一度銃声が鳴った。
澪「ひっ!」
律「渡ろうとしたらだめだ!狙われるぞ!」
澪「そんなこと言っても…!」
律「ここはこのまま二手に分かれて別々の道で公民館を目指そう!」
澪「そんな…律ぅ!」
律「大丈夫だ!こっちの道からでも公民館には行ける!」
逡巡する表情を見せる澪。
律「大丈夫だから、な…?」
そういって、にんまり笑ってみせる。
その笑顔に安心したのか、澪は不安そうながらも立ち上がり
澪「絶対だからな!約束だぞ!」
そして向こう側へ駆けていった。
律「約束…か」
律「ごめんな」
その場に座り込む。
ワイシャツの腹のあたりが見る見る赤く染まってゆく。
足音が近づいてくる。
律「もう、動けそうにないや…」
足音の主、狙撃手が角から姿を現した。
律「なんだ…お前かよ…」
律「ムギ…」
琴吹紬は、ゆっくりと銃口をこちらに向ける。
律「澪…生きろよ」
―――終了条件達成
梓「りんくなびげーたー!」
17時[律 澪宅へ ]
[紬 琴吹家から脱出 ]
18時[澪 律と合流 ]
[唯 学校から脱出 ]
[梓 唯と遭遇、その後自宅へ ]
[唯 梓に救われる その後自宅へ]
19時[紬 帰宅中の唯を見かける ]
[唯 帰宅、その後紬と合流 ]
[唯 民家で体を休める ]
20時[紬 民家を出る ]
21時[梓 秋山家へ ]
[律 梓と遭遇 ]
22時[唯 紬の書置きを発見 ]new!
23時[唯 公民館で澪と合流 ]new!
00時[律 澪を公民館へ送り届ける ]new!
01時[唯 澪と合流 ]new!
02時
03時[唯 澪と共に裏山サイレン塔へ ]new!
最終更新:2010年06月15日 01:29