梓「私は」

唯「・・・う、うん」ハラハラ

梓「唯先輩が好きです。大好きです。」

唯「・・・うん///」

梓「唯先輩。私のものになってください。そして、私を唯先輩のものにしてください。」

唯「・・・ありがとう、あずにゃん」

梓「///」

唯「でも、私が寝る間は、あずにゃんは抱き枕だけどね」ニマニマ

梓「もぅ///」テレテレ

その後、私と唯先輩は初めてのキスをした。
長く永くお互いに口を付けるだけの拙いキスを。
朝までお互いに抱き合って、顔を見詰め合っては目をそらした。

唯先輩の唇は本当に甘くて、ねっとりと絡みつく感触がした。
私の唇は”ポテッ””プニッ”としていたらしい。
後で二人で感想を言い合って笑った。



唯先輩は、

頭が悪い。
要領が悪い。
空気も読めない。
多分、直ぐに騙される。

そんなことはどうでも良い。

ただ、中野梓はそんな唯先輩、平沢唯が・・・

本当に、

心のそこから・・・

      • 大好きです。



部活!

唯「あずにゃん、あずにゃん」

梓「何ですか、唯先輩?」

唯「えへへ~、呼んで見ただけ」ニマニマ

梓「もぅ・・・///」テレテレ

紬「まあまあ」ニヤニヤ

律「おーい、そこの二人!いちゃつくなら帰ってからやれ~!!」

澪「梓が最近、唯にべったりであんまり練習しなくなっちゃったよ・・・」グスッ

私たち、二人の関係は表面上変わっていない。
私たちが好き合っていることは先輩たちや憂も気付いているけど、
気付かない振りをしていてくれる。
関係が変わっていない理由は、あの日にある約束をしたからだ。


唯「あのね。あずにゃん」

梓「なんです?」

唯「ちゃんと付き合うのは私が高校卒業するときでも良いかな?」

梓「・・・え?」

唯「私、ちゃんと勉強して、大学に行く。ちゃんと頑張って働けるようにもなる」

梓「・・・」

唯「だから、それまで待ってくれないかな?」

梓「・・・」プルプル

唯「ちゃんとしないと、憂にも心配掛け続けるし・・・」

梓「・・・もう、ずるいです。解りました。でも、本当にちゃんとしてくださいね!」プンプン

唯「うん!あずにゃんありがとう~」ギュ~

梓「えへへ~」ギュ~


唯「出来たら、その時に。あずにゃんがまだ私を好きだったら、
  今度はあずにゃんから私に告白して欲しいな」

梓「好きじゃなくなる訳なんか無いです」プンプン

唯「えへへぇ~、ありがとう」ニコニコ

憂の名前が出てきて、本当は少しだけ嫉妬した。
唯先輩の中には必ず憂が居る。
居なくなっちゃえば良い・・・。
親友の憂にそこまで考えちゃうくらい、唯先輩が好きらしい。
ごめんね。憂。

本当にごめんね・・・。
そんなことを考えたからだよね、
でも、こんなことになるなんて意味が解らないよ・・・
神様、あなたは何をしているんですか?
私のこんなくだらない、願いを叶えるぐらいなら、
唯先輩の願いをかなえてください。
あの日からずっと、唯先輩は願い続けてるんですよ?
神様、あなたは何をしているんですか?



一部終わり



二部


秋の休日!

私の誕生日を憂と純が祝ってくれた。
三人でご飯を食べて、そのままのテンションでカラオケに行くことになった。
唯先輩が居ないのはさびしいけど、三人で遊ぶのも楽しかった。
純がいつものように騒いで、私もそれに便乗した。
憂も珍しく騒いでいた。

気付いたら、純が悪ふざけでお酒を注文していた。
止めていれば良かった。
止めるべきだった。


私も憂も純も室内で大騒ぎだった。
回って跳ねて歌って、呑んで。

呑みすぎた純が、トイレに行った時だった。
「あっつい~」って言いながら、憂が窓を開けて体を乗り出した。
涼しい風が私の方にも流れてきて、気持ち良かった。

だから、気付かなかった。
普通カラオケの窓なんか開くはずが無いって事に。
しかもここは3階の部屋だ。
転落防止、騒音対策。
だから、絶対開かないようになってるはずだ。

「あっ!?」多分声じゃない。
ただ空気が口から漏れるような音だったと思う。

憂が落ちた。




そこからは断片的にしか覚えていない。

純が戻ってきて、店員にしがみついてる私を離した事。

警察が来たこと。

病院に行った事。

唯先輩が嗚咽しながら大泣きしてたこと。


私と純は疎遠になった。

二人とも2週間の謹慎を経て、登校したが。
まるで他人のようになっていた。
部活にもしばらくは行けなかった。
唯先輩とも会えなかった。


1ヶ月以上の月日が経ち、唯先輩が登校してきた。
憂は意識不明の状態だが外傷は特に無く、自宅で療養しているらしい。
「いつ意識が戻るか解りません」
ドラマとかで聞く台詞を本当に医者から聞いたらしい。

さらに1ヶ月の時が経ち、
唯先輩にも笑顔が戻ってきた。
部活も活動を再開した。
唯先輩は私を気遣ってくれる。

唯「あずにゃん、憂は必ず起きるから。ちゃんとその時は笑っていてね」

梓「はい、一緒に笑顔で迎えましょう。憂が起きてよかったって心から思えるように」


唯先輩は凄い努力をした。
料理も出来るようになったし、勉強もまじめにしている。
きっと憂が起きたときに、
「心配なかったよ」って言うためだろう。

私たちの関係は何にも進展していない。
憂が大変なのにそんなことを考えてしまう自分が嫌だ。
だから、告白はしない方が良いのだろうか・・・?
それは、ただの自己満足なのだろうか・・・?
私は、大事な大事な事が解らなくなって来ていた。


冬休みを終え、1月と2月を過ぎ3月になった、
唯先輩も自宅で憂を見ているとき意外は、前の調子に戻った。
よく笑うし、直ぐに抱きついてくる。

唯「あずにゃ~ん!スリスリ~」ギュ~

梓「ちょ!直ぐにスリスリしないでください!」プンプン

唯「えぇ~!嫌なのあずにゃん?」ウルウル

梓「・・・い、嫌じゃないです」テレテレ

唯「嬉しくないの?」

梓「・・・う、嬉しいです」

唯「えへへぇ~」ニマニマ

でも、憂の看病をしているときは、
優しく手を握って、ずっと見つめているだけだ。
だから、唯先輩に笑顔になってもらいたくて、
私は決心をした。




二部終わり



三部(ラスト)


卒業式!

律「いやぁ~、本当に卒業か~」

澪「えぐっ、えぐっ、うわ~ん!」

律「ほら澪、梓とお前だけだぞ。泣いてるの」

澪「だって、だってぇ~!この関係が変わっちゃうんだよ!?」ウワ~ン

律「よし、よし」ナデナデ

紬「みんな、記念に写真を撮りましょう」

唯「澪ちゃん写真だよ!早く泣き止んで!!」

澪「なんで、お前は泣いてないんだよ!えぐっ」

律「唯は本当に強くなったなぁ~」

唯「うぅん。私も多分、一人になったら大泣きすると思うよ」ハハッ

梓「・・・ぐすっ」

紬「梓ちゃん。これからも連絡頂戴ね」

梓「・・・あぃ」グスッ、ズゥ~

澪「あずさぁ~!!」

梓「みおせんぱ~い」

澪・梓「うっくっ!うっ!!うわ~ん!!」

唯「むっ!澪ちゃん!あずにゃんは私のだよ!!」

紬「そうねぇ~、確かにこの関係が変わっちゃうのは寂しいわね」

律「ふぅ~、澪も紬も梓も解ってないな」

唯「うん、そうだね。解ってないねりっちゃん隊員!」

律「私達は確かに変わっていく、でもそれは寂しいことじゃないんだ!
  みんなで決めただろ?HTTで武道館ライブをやるって、
  だから、それまでは良い方向に変わっていくんだよ」

唯「武道館?」ハテナ?

律「おいぃ!良い所でまたお前は!!」ウガァ~

唯「えへへぇ」ニマニマ

律「いや、褒めてないから」

紬「うふふ~」

律「・・・ハハッ!ほらな。私たちは、私たちだろ?
  だから、これからも一緒にバンドやろうぜ!!」

澪「りつぅ・・・」

梓「律せんぱい・・・」

唯「そうだよ!私達はこれからも放課後ティータイムだよ!!」

梓「唯先輩・・・」フキフキ

澪「唯・・・うん!」フキフキ

紬「それじゃあ、撮るわよ~!」

みんな「ち~ずっ!」カシャッ


左から紬先輩、澪先輩、律先輩、唯先輩、私と写真に並んだ。
涙の後が付いてるけど、みんな最高の笑顔だった。


紬「この写真、私は宝物にするわ」

律「私もだ」

澪「私も!」

唯「私だって!」

梓「私もです!!」

みんな「はははははっ」


紬「あの・・・、唯ちゃん」

唯「ん?な~に、むぎちゃん?」

紬「・・・憂ちゃんが起きたら、連絡頂戴ね?一緒にお祝いしよう?」

唯「・・・うん、ありがとうむぎちゃん」

律「唯。ちゃんと憂ちゃんの事してやれよ?」

澪「頑張るんだぞ、唯!」

唯「二人ともありがとう。私、頑張るよ!」

梓「・・・唯先輩、あの」

唯「ん?」

梓「私にも頑張らせてください」

唯「えっ?」

梓「私も憂の事、心配です。・・・私にも憂の事を手伝わせてください」

唯「あずにゃん・・・」

梓「・・・私は、唯先輩も心配なんです、だって唯先輩・・・一人で居るときに泣いてるじゃないですか!」

唯「・・・」

梓「唯先輩が辛いとき、私が側に居ます。唯先輩が苦しいとき、私が側に居ます」

唯「・・・」

梓「一人で・・・、悲しまないでください、ぐすっ、うっ、」

唯「・・・」

梓「・・・」

律「・・・梓」

澪「・・・梓」

紬「・・・梓ちゃん、頑張れ!」

みんなは私と唯先輩のことを知っている。
そして、後押ししてくれている!決意を固めるんだ、私!!


梓「唯先輩の、笑顔を見せてください。ずっとじゃなくて良いです。私に、
  唯先輩が笑顔になる手伝いをさせてください、一番近くで!」

唯「・・・」グスッ

梓「好きです、唯先輩・・・」

唯「・・・うん」

梓「・・・私と一緒に居てください!付き合ってください!!」

唯「・・・良いよ。待たせてごめんね、あずにゃん♪」

梓「・・・ハイッ!」


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・


日曜日!

梓「・・・」

今日は正式な恋人同士になって始めての休日デートです。
十時に駅前の約束でしたが、緊張して早く起きてしまい、
九時には着いてしまいました。

梓「流石に早く着すぎたな・・・」ボソッ

梓「夜もあんまり、眠れなかったし」

梓「クマとか出来てないよね?」カガミチェック

唯「あずにゃん、何時に着いてたの?」

梓「九時ぐらいです、十時に待ち合わせなので、後三十分は待たないt・・・
  って、唯先輩!いつから居たんですか!?」

唯「私は今来たところだよ~」

梓「そうですか、ちゃんと声掛けてください!」プクー

唯「今掛けたもん!」ホッペオシ

梓「た、確かにそうですね・・・」プシュ~

唯「えへへぇ~、それにしてもあずにゃん九時から待ってるなんて、健気さんだね」ニマニマ

梓「!?ち、違うです!たまたま早く起きただけです」プイ

唯「え~、そうなんだ。期待してくれてたのかと思ったのに・・・」シュン

梓「い、いや!・・・本当は期待してました」

唯「・・・本当に?」

梓「・・・はい、唯先輩に早く会いたくて」

唯「ありがと!あずにゃん」ニコニコ

梓「はい」ニコニコ


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最終更新:2011年01月16日 03:11