梓「えへへ」
律「えっ、ゴキブリって……」
紬「……梓ちゃん、本当なの?」
梓「ええ、よーく見るとかわいいもんですよ」
澪「ひぃえー……」
梓「そうだ、今日見に来ますか?」
梓「最近じゃ名前呼んだら手の上にのってくれるんですよ」
梓「ゴキブリは頭がいいって言うけどここまでとは思いませんでした」
唯「……」
梓「え?ゴキローとの出会いですか?」
梓「私の部屋のゴミ箱漁ってたんですよ」
梓「始め気持ち悪いと思ったけど眺めているうちにどんどん可愛く見えてきて」
梓「黒光りしながらカサカサ動いてるんですよ!いじらしいじゃないですか!」
紬「ねえ梓ちゃん…、ゴキブリってあの害虫のゴキブリ…よね?」
梓「え?ゴキローは害虫なんかじゃありません!」
澪「あの台所にいるゴキブリだろ…?」
梓「はい」
唯「ゴキブリは汚いよ…」
梓「そんな!唯先輩までそんなこと言うんですか?!」
律「いや…ゴキブリはさすがに…なぁ…」
梓「皆さん酷いです!」
梓「うわああああん!!」ガチャ!タタタタ…
唯「あ!あずにゃん!まって…」
中野家
梓「ねぇゴキロー、先輩達ったら酷いんだよ」
梓「ゴキローの事害虫だとか汚いだとか…」
ゴキロー「カサカサ」
梓「ふふふ…よしよし」
梓「ご飯あげないとね、今日は何がいい?」
ゴキロー「梓ちゃんのご飯なら何でも嬉しいよ!」
梓「………え?今誰か…まさかゴキロー?」
ゴキロー「カサカサ」
梓「なわけないよね、気のせいか」
ゴキロー「………」
次の日
梓「さて、今日も学校行かないとね」
梓「それじゃ行ってくるね、ゴキロー」
ゴキロー「カサカサ」
梓「はぁ、昨日飛び出しちゃったから部活行きづらいなぁ…」
ゴキロー「大丈夫!梓ちゃんのお友達でしょ?」
梓「!!」
ゴキロー「カサカサ」
梓「気のせい…?」
梓「……………」
梓「いってきま~す!」
ゴキロー「カサカサ」
梓「おっと…お母さんに見つかったら殺されちゃうよ、隠しておかないと」
ゴキロー「カサカサ」
放課後
梓「こ、こんにちは…」
唯「あずにゃん!」だきっ
梓「わぁ!ちょっと唯先輩!////」
唯「昨日飛び出しちゃったからきてくれるか心配だったんだよ~」
律「まったく、驚かすんじゃない!」
梓「あの、昨日はすみませんでした…」
律「ああ、気にしてないよ」
澪「それより私たちこそ言いすぎちゃってごめんな」
梓「あ、いえ…気にしないで下さい」
紬「梓ちゃんの大事なお友達なのよね?」
梓「は、はい!」
梓(ゴキローの言ったとおり大丈夫だったよ!…って朝の声はゴキローだったの!?)
唯「あずにゃんの友達なら私たちの友達だよね!」
唯「見てみたいなぁ」
梓「え?」
澪「わ、私はゴキブリ見るのはちょっと…」
律「う…うん」
紬「私もちょっと覚悟が…」
唯「もう!みんな!」ぷん!
梓「いいんです、やっぱり嫌われ者ですし」
澪「ご、ごめん、私ゴキブリと言うか虫が苦手で…」
梓「気にしないで下さい」
梓「でも唯先輩、見てみたいって事はゴキローにあってくれるんですか?」
唯「うん!」
梓「本当ですか!?嬉しいです!」パァァ…
梓「じゃあ今日にでも早速!」
中野家
梓「ただいま~」
唯「こ、こんにちは、おじゃまします…」
梓「あ、今日はまだ誰もいないんで遠慮しないで下さい」
唯「う、うん」
ガサゴソ
唯「そんなところに居るの?」
梓「はい、虫かご見つかったらゴキローが殺されちゃうんで…」
唯「そっか…そうだよね、ゴキブリだしね…」
梓「でもゴキロー暗い所が好きみたいだから」
梓「ゴキローただいま!」
ゴキロー「カサカサ」
梓「今日は唯先輩がゴキローに合いに来てくれたよ!」
ゴキロー「カサカサ」
唯「ゴクリ…」
唯「ちょ、ちょっとまって!心の準備を…」
梓「あ、はい…」
ゴキロー「カサカサ」
唯「ふう……よし!いいよ!」
梓「はい!」
梓「ほらゴキロー、唯先輩だよ!」
ゴキロー「カサカサ」
唯「う…!」
唯(やっぱりただのゴキブリ…)
梓「無理しなくていいですからね、唯先輩」
唯「へ、平気!」
ゴキロー「カサカサ」
梓「あはは、くすぐったいよゴキロー!」
梓「今ご飯あげるからね!」
唯(完全に懐いてる…)
ゴキロー「カサカサ」
唯「ねぇ…ゴキローってもしかしてあずにゃんの言葉分かるの?」
梓「え?伝わってるんでしょうか…」
唯「お手とか出来たり…」
梓「…お、お手!」
ゴキロー「サッ」
唯「!?」
梓「!?」
梓「……ゴキロー、伏せ!」
ゴキロー「サッ」
唯「!!」
梓「!!」
唯「すごいすごーい!!」
唯「私にもできるかな!?」
梓「さ、さあ…」
唯「ゴキロー、お手!」
ゴキロー「カサカサ」
唯「無視された…」
唯「なんか寂しい……」
ゴキロー「……」
唯「見てあずにゃん!私の手に乗ってくれたよ!」
梓「よかったですね唯先輩!」
唯「よしよし、ゴキローお前は良いゴキブリだよ…」
ゴキロー「これからも梓ちゃんをよろしくね」
唯「え!?……あずにゃん、今何か言った?」
梓「何もいってませんけど…」
ゴキロー「カサカサ」
平沢家
唯「────でね、あずにゃんの飼ってるゴキローって凄いんだよ!」
唯「あずにゃんの言う事が分かるみたいで凄く賢いんだよ!」
憂「…へ、へぇ~」
唯「ゴキブリなのにお手したりとかね」
憂「へぇ…」
憂(梓ちゃんにそんな趣味があったなんて…)
唯「ゴキブリだけど良く見たら可愛くってねぇ」
唯「手乗りゴキブリなんだ!」
憂「食事中にその話はやめようよ…」
唯「ねぇ憂、私もゴキブリ飼っていい?」
憂「だめ…」
次の日放課後
唯「ゴキローってゴキブリなのにすっごく賢いんだよ!」
唯「あずにゃんの言う事ちゃんと聞いててね、もうびっくりしちゃった!」
唯「ゴキブリなのにお手ができるんだよ」
唯「あずにゃんはゴキブリの生まれ変わりなのかもね!」
梓(それはさすがに複雑…)
紬「…………」
澪「…………」
律「…………」
唯「すごいよね~ゴキブリなのに」
律「なあ唯、その話は後にしないか?」
唯「え?」
澪「ほら、いまお茶飲んでるんだし…」
梓「唯先輩、その話はもういいですから…」
律「唯がそこまで言うならゴキロー見てみたいなぁ」
紬「私も見てみたいわ、ゴキローちゃんってどんな子なのかしら」
梓「え?本当ですか?」
律「うん、芸をするゴキブリなんて聞いたことないし」
澪「わ、私はちょっと…」
律「分かってるよ、澪は昔から虫が苦手だしな」
澪「ごめんな、梓」
梓「気にしないで下さい」
唯「じゃあ今日は皆でゴキローちゃんに合いに行く?」
律「梓は構わない?」
梓「全然構いません!」
紬「澪ちゃんは…」
澪「ブルブル」
律「…まぁ澪は抜きで」
中野家
梓「どうぞ上がってください」
唯・律・紬「お邪魔しま~す」
ガサゴソ
律「何漁ってるの?」
唯「ゴキローが見つかったら殺されるから隠してるんだよ」
律「そ、そっか…ゴキブリだもんな…」
梓「ただいま、ゴキロー」
ゴキロー「カサカサ」
紬「ひっ」
律「ただのゴキブリだよな…」
唯「平気だよ~、ゴキローは良い子なんだから」
梓「ご飯だよゴキロー」
律「すごいなー、ほんとに梓に懐いてるよ」
紬「ええ…」
唯「芸もできるんだよ!」
梓「ゴキロー、お手!」
ゴキロー「サッ」
律「!!」
紬「!!」
唯「ね?」
律「ほんとだ…」
紬「凄いわね…」
唯「賢いからちゃんと手に乗るんだよ、ほら」
紬「ゆ、唯ちゃん!」
律「うわ、ちょっとまって唯」
唯「あはは、平気だって~」
唯「りっちゃんもムギちゃんもそんなに驚かなくてもいいのに」
唯「失礼だよね~、ゴキロー?」
ゴキロー「カサカサ」
律「唯にも懐いてるんだな…」
律「私も大丈夫かな…」
梓「おとなしいからきっと平気ですよ」
律「そ、そう?」
唯「触ってみる?」
律「う、うん…」
ゴキロー「カサカサ」
律「ひぃ」
律「…うぅ…」
唯「ほら、平気でしょ?」
律「う、うん……おとなしいんだな」
唯「ゴキローは賢いからね!」
律「たしかにこれならちょっと可愛いかも…」
ゴキロー「カサカサ」
律「ムギも触ってみる?」
紬「え、ええ…」
紬「そ…」
ゴキロー「カサカサ」
紬「ほんとに賢いのね…」
唯「だからそういってるでしょ」
律「しかし驚いたな」
紬「こんなゴキブリがいるなんてね…」
律「ごめんなゴキロー、お前のこと誤解してたよ」
紬「ごめんねゴキローちゃん…」
ゴキロー「カサカサ」
梓「気にしないでって言ってます」
唯「分かるの?」
梓「な、なんとなくです…」
律「梓の前世はゴキブリなのかもな!」
唯「髪型も触覚っぽいしね!」
紬「それに綺麗な黒色だもの!」
梓「………………………」
律「いやー、ほんとにゴキローすごかったな!」
紬「びっくりしちゃったわ!」
唯「でしょ!」
梓「あの子とってもお茶目なんですよ!」
わいわい…
澪「…………」
律「澪も会いにいってみろよ!」
澪「え!?わ、私は遠慮しとく…」
紬「きっと気に入るわよ!」
澪「は、はは…やっぱり虫はね…」
梓「無理強いはよくないですよ、ゴキブリなんて苦手な人がほとんどですし」
律「それもそうだけどな~、いやー、澪にもあれ見せたかったなぁ!」
わいわい…
澪「……………」
────それから数日間はゴキローの話題で持ちきりでした。
そんなある日…
唯「えー?あずにゃん風邪引いたんだ」
憂「うん、大丈夫かなぁ」
唯「だから部活にこれなかったんだね」
唯「明日お見舞い行こうかな~」
中野家
梓「うーん…頭痛いよ…」
??「梓ちゃん」
梓(幻聴が…)
??「梓ちゃん大丈夫?」
梓(こんなの聞こえるなんて大丈夫じゃないよね…)
??「私だよ梓ちゃん、ゴキローだよ」
梓「………!?」
梓「え?ゴキロー?!」ガバッ
ゴキロー「だめだよまだ寝てなって!」
梓「だだだだ、だれ!?何で私の部屋に…!?」
ゴキロー「あ、この姿で会うのは初めてだね」
梓「!??」
梓(綺麗な長い黒髪……つんとした目元………これってまるで…)
ゴキロー「どうかした?私の顔に何か付いてる?」
梓「え、いや……ゴキロー…って言うか…」
梓「澪先輩、何やってるんですか?」
最終更新:2010年06月19日 22:21