カリカリ…カリカリ
「あなたの事が…大好き…」
「…ふぅ」
パタンッ
「何かが、違う…」
私、
秋山澪は今スランプに陥ってる。…スランプって言うほど上手くないのだけれど
今まですぐに浮かんできた歌詞は、なぜか最近しっくりとこなくなってきた。
何でだろ…何が足りないのだろうか?
「…わかんない」
「何がわかんないだって?」
「ひゃあああ!?」
ガタンッ!
「いっつつ…」
「お…おい澪、そんなに驚くことないだろ…」
「お前がいきなり喋りかけてくるからだ!」
びっくりした…今律の顔が凄く近くにあった…
後少しでキスできるくらいの距離だったぞ…
…キス?
「…キス」
「ん?どうした澪?…なんか顔赤いぞ?」
「ひぇ!?い、いやなんでもないぞっ!」
な…なんで私、キスに反応しちゃったんだろう…?
キスなんて今まで映画でもドラマでも見てきたじゃないか
別に気にする事なんて…
「……」
「みお~、見えてますか~?もしもーし」
「…そっか」
私…考えてみたらキスした事がない
でもおかしいよね?キスしたことないからって歌詞が浮かばないなんて事、あるはずない
…じゃあ、なんでこんなに気になるの?
「…澪?」
「律…ちょっと聞いていいか?」
「なにを?」
「律はその…き、キス…したことある?」
…………
「ば、バカ言ってんじゃねぇよっ!あたっ、当たり前じゃないか!」
「あ、当たり前なのか!?高校生って当たり前のようにキスするのか!?」
「へっ?あ、あぁそうかもね…うん、そうだと思うよ?」
「そ、そうなんだ…」
そ、そんな…
私、キスってのはもっと大事な時にやるものだと思ってたのに…
だってキスだぞ?好きな人同士で愛を誓うためにって…うぅ、恥ずかしい
「り、律は…」
「わ、私?」
「律は…もう、キスしたんだよね?」
「…え、ええっとそうだね。うん、やったような気がする様な…しないような」
「……」
…あれ、何だろう
何で私、怒ってるのだろう
別に律が誰とキスしたって勝手なんだし…私が怒る必要はないはずだけど
「ま、まぁアレだ!澪にはまだちょっと早いんじゃないかなぁ…なんて」
「……」
「…澪さん?」
…そうだよね、私と律はただの友達。
私が律の恋愛事情に口出すのは、おかしい事
私が気にする事なんて、何も…
「…澪、大丈夫か?」
「…律」
「ひぇ?」
「…教えてくれ」
「な…何をですか?」
「私にっ!キスを教えてくれっ!」
「は、はぁ!?み、澪!いぃいきなり何を」
「律はキスした事あるんだろ!?だったら分かるじゃないか!」
「わ、分かるって何が…」
「私、キスの事知りたいっ!律…教えてくれよ」
「お、教えてくれってどうやって…」
…何、言ってるんだ私は?
律が困っているじゃないか、キスがそんなに簡単に教えられる訳がない
そんなこと…分かってるはずなのに…
「…し、してみせて…」
「へっ?」
「わ、私に…その…うぅ…」
「み、澪…お前、正気か?」
そう、普段の私はこんな事言うはずがない
キスを教えてくれなんて、聞いただけでも卒倒してしまいそうだ
でも…なんでだろうね
律がもう、キスをしたって事を聞いたら…何故か
「…だめ?」
「そ…その上目使いはやめてくれ…」
「……」
「…近づけるだけだったら、いいぞ…」
「えっ?」
「だからっ、その…キスする寸前までだったら…いい」
「…ほ、本当?」
「で、でも口が当たったらダメだからなっ!や、やっぱり女同士じゃ…その」
「…嫌?」
「い、いやって言うか…うぅ~」
…やっぱり、律は嫌なのだろうか?
女同士でキスする事に、抵抗があるの?
…私は、そんな事、ない
「じ、じゃ…顔近づけて…」
「…うん」
律の顔が、近づいてくる
目を瞑って、息を潜めて、私の元へ近づいてくる。
…その顔には、ほんのりと薄く、朱に染まっていた
「…」
「…もう、いいか?」
「…まだ」
「そ、そうか…」
…また、律の顔が赤くなった。
律は私にキスされそうになって、恥ずかしくなってるの?
…そうだとしたら、私は…
―私は、自分を抑える事ができない。
「律…」
「澪、もういいk…ってんんん!?」
「…ちゅ…ぴちゃ…」
「んふぅ…ちゅ…ちゅぷ…」
…ああ、やってしまった
律のせいだ、律があんなに可愛い顔するから…こんな事に
…律、怒るだろうなぁ
「っぷは…ふぅ」
「はぁ…はぁ…み、澪…お前」
「…ゴメンね、律」
律と、キスをした。
今までどんなに想像しても、感じる事ができない感触を
どう想っても、伝えきれない感情を
私は律で、全て分かってしまった。
「み、みお…」
ああ、律が怯えてしまった。私の所為かな
でももうやってしまった。律とキスをしてしまった
後戻りはもう、できない
「律…もっとやったら分かる気がするんだ…」
「も、もっとって何だよ…何なんだよ…」
「律…ごめんね」
ファサァ…
私は律をベットに押し倒した
律の身体と私の身体が接触している
律の鼓動が…私に伝わっている。
「み…お…」
「律…大好き」
「あ、や、やだよぅ…」
律の服を、一枚一枚丁寧に脱がしてゆく
露になった律の身体は、普段の強さを感じさせる事はない…
華奢で、可憐で、とても壊れやすい身体だった
「澪…恥ずかしいってば…ぁ」
「…ちゅ」
「ひゃああ!?澪!どこにキスして…」
「…律の肌、とても綺麗…」
私は律の身体に触れてみた
…私と同じ、女の子の身体だった。
気持いい…こんなに気持いい事が今までにあっただろうか?
「あ…ひゃぁ…澪…くすぐったいってば…」
「…律、ここは、どうかな?」
「ど、どうってお前…ひぃん!?」
律の『そこ』は、雑草のない花園だった…
とても純粋、悪く言えば幼い。
この秘密の域に、今私は手を当てている
「はっ…ぁっ…み…お」
「律…お前、今凄く可愛い…」
恥じらいの顔を隠すために、律は顔を手で押さえる
ああ、ダメじゃないか。そんな事をしたら
もっと私に、律の恥ずかしいところを見せてくれないと…
「っ…!ひゃああ!あっ…あぁ!」
「ふふ…律って、そんな声も出せるんだな」
「だ、だって…澪がへんな所触るから…」
…凄い、律の言葉一つ一つで、私の中の何かが熱くなる。
これは何?知りたい、知りたい…
「…み、澪…お前…何で脱いで…」
「…律ばっかり、ずるい」
「へっ?…ちょ、ちょっと待っ!」
「……律」
私は律の上に跨り、自分の秘部に律のそれを重ね合わせた
…私、今すごくエッチな事をしてるんだ…
「み、澪…何して…」
「律…いくよ?」
「い、行くって…どこに、ひゃあ!?」
私の中にある小さな幸せ、
それを律の幸せと重ねたら…どんな気持になるのだろう…?
「あっ!ひゃん!?澪!これっ…おかしいっ…あぁん!!」
「あ…はぁっ!律…りつぅ…ひゃあ!」
私は精一杯、律に身体を合わせる
まるで自分に性器があるかの様に…
「ああっ!ひゃあんっ!ひぃんっ!あっ…はぁあっ!」
「は…っん、律…りつ…ん、んぁあ!」
凄い…すごいよ律。
私…今すごく律の事が好きになってる
もう、いいよね?
この気持ち…律にもあげていいんだよね?
「あっ…ひゃあ!みおっ!何か…何かくる…っ!」
「私もっ…!私も何かっ…!くるのっ!きちゃうの!」
「あっ、あっ、あっ、あっ!だめぇ!もうダメぇっ!!!」
「ひぁあ!あっあっ…っあああああああああああ!!!」
ビクンッ!…
私と律は…弧を描きながら、二人で達した。
律の顔は、今まで絶対見せなかった、必死で、とても可愛い顔だった。
私は律に、どんな風に見えたのだろうか?
…私も、律に可愛いって思われる様な顔だったらいいな…
「っは…はっ…はぁ…」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
お互いに抱き合い、息を整え、相手の温もりを感じている…
ああ、幸せだ。
こんなに幸せな事は、もうないのだろうか?
私は、もうこれで律を手放さないといけないのだろうか?
嫌だ…そんなのはいやだ…
「っ…っく…ふっ…」
「…澪?」
「ごめんね…ごめんなさい…」
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
「…澪」
「だって…律が好きだんだもん…」
「律が他の誰かとキスしたなんて…凄く嫌だったんだもん…」
「…してねぇよ」
「…えっ?」
「…お前に、見栄張ったみただけだよ…」
「本当は…さっきのが、…初めて、なんだよ…」
「…律」
「…ごめんな、こんな嘘ついちゃって…」
「律…りつぅ…」
「…澪、好きだよ」
「私も…私も律が…」
律が…大好きです
「…で?結局歌詞は書けたのか?」
「…うーん、と…」
しまった…律としちゃった事で、何もかもが吹っ飛んでしまった。
あぁ…なんて言い訳しよう…
「…まぁ、そんなに焦ることはないんじゃないか?」
「えっ?」
「ほら、まだ文化祭まで結構時間あるだろ?」
「そんなに焦ったって、いい歌詞は書けないと思うけどねぇ…」
「そ…そうかな?」
…律は、とても優しい。
私の事でいつも懸命になってくれて、とても頼りになる存在、そして…
「…で、でさ?また何か分からなくなったらさ…」
「へっ?」
「ほ、ほらっ!歌詞が浮かばなくなったらさっ!また…その…」
「……いいの?」
「…うん、澪なら、いいよ」
「…律、ありがとう」
―私の、とても大切な人だ。
~おしまい~
最終更新:2010年01月15日 03:46