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和「」
唯?「やぁ、和ちゃん」
和(どうしよう…何とか話をごまかして部室に連れて行かないと…。それにしてもこの唯、変とかいうレベルじゃないと思うんだけど…)
唯?「酷いよ和ちゃん、無視するなんてさ」
和「あ、あぁごめんなさい。それよりアンタ、こんなとこで何してるの。もうみんな部室で待ってるわよ?」
唯?「知らないうちにこの教室の前にいてさ」
和「知らないうちに…(やっぱり同じね)」
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| |/ ● ● | / | 君への愛が
| " \___/ /,,/ \ 私を知らぬ間に動かした
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和「うん、そういうのいらないから」
和「もう一人の私といいアンタといい…愛だとかなんとかそんなのばっかね…」
唯?「何の話か知らないけれど、私にとっては石ころさえもいとおしい」(AAry
和「もういいからちょっと来なさい」
石ころ唯「もう、和ちゃんは強引だね」
石ころ唯の腕をとる和。と、そこへクラスメイト達をかき分けてさわ子がやってきた。
さわ子「あなたたちどうしたの、騒がしいわよ。もうHRは終わったでしょう?」
和「さわ子先生!」
和が連れる石ころ唯の姿を見て、さわ子はすぐに状況を理解した。微妙に表情をしかめ、クラスメイト達に解散するように指示しようとする。だが――
「よく見てろよ!!」
一同「!?」
「ふううううううううううぅう!!」
奇声とともにそこに現れたのは澪、紬、そして――唯。そう、昨晩さわ子宅に現れた三人だった。
さわ子(ええええええええぇ!?どうやって出てきたのよアンタ達いいいいいぃいい!!)
和「――…ハッ!しまった!!」
石ころ唯「ん?」
よく見て唯「んん」
姫子「あ、あ…あぁ…!」
佐々木「ひ、平沢さんが二人!!?」
「え、な、何?どういうこと!?」「っていうか、秋山さんと琴吹さんあんなキャラだったの?」ザワザワ
「ドッペルゲンガーってやつ!?」「お、お化け!?」ザワザワ
シーーン…
一同「いやあああああああああああああああああああぁ!!!」
さわ子「ちょ、あなたたち!落ち着いて!!」
和「これはもう…取り返しがつかないわ…」
一方、街中を走っていた最高律は、とある場所で立ち止まっていた。
最高律「町並みも…一緒なのな」
そこは商店街。ある路地を見つめ、最高律は小さく呟いた。彼女の世界にもあるこの路地を抜けると、きっと廃工場があるだろう。
最高律(澪が連れ込まれた…あの廃工場が…)
最高律「…」
最高律(あの時もこうやって澪を探してて、あの廃工場に行ったんだっけ…)
状況が似ているからか、過去の事件と今を重ねてしまう最高律。
最高律「――…一応、見に行ってみるか」
二人が事件に巻き込まれていないことを祈りつつ、彼女は路地に向かって足を進めた。
――そんな彼女の姿を眺める人がいた。
宿泊場から出て、街をあちこちふらつきながら学校を目指していた瓶澪だった。
最高律「…」タッタッタッ
瓶澪「…?律…?」
路地裏へと駆けていく最高律の姿を、瓶澪は視界にとらえた。
しかし彼女は最高律の存在を知らない。
故に、授業中であるはずのこの世界の律がこんな街中にいることに疑問を持つ。
瓶澪(こんなところで…何してるの…?)
瓶澪「…」
瓶澪「…」タッタッタッ
気になった瓶澪は、彼女の後を追った。
瓶澪「…」タッタッタッ
瓶澪「…」ピタッ
瓶澪「…」キョロキョロ
瓶澪「あ、空き瓶がいっぱい…」ヒョイヒョイ
瓶澪「…傷発見」ポイッ
瓶澪「…」タッタッタッ
瓶澪「…」ピタッ
瓶澪「…」
瓶澪「…迷った」
複雑に入り組む迷路のような路地の中、腕の中に綺麗な空き瓶を抱えた瓶澪は、一人ぽつんと佇んでいた。
そのころ学校では。
梓2号「…何だか騒がしくないですか?」
澪「そうか?」
デブ紬「うん、確かに何か聞こえてくる…。――悲鳴?」
律「何かあったのか?」
池沼唯「あうー」
眠っていた池沼唯も騒動に気付いたのか目を覚ます。と、そこへ和が息を荒げて戻ってきた。
紬「あれ?和ちゃん、街に行ったんじゃ――」
和「それが、大変なの。2組のみんなに異変がばれたわ」
梓「はい?」
和「今混乱してるみんなにさわ子先生が状況を説明してるわ」
律「おいおいマジかよ!?」
澪「確実に私達変な目で見られるんじゃないか?」
閉められたドアの向こうから、階段を駆け上がる足音が聞こえてくる。
春子「真鍋ー!さわちゃん先生が軽音部連れて来いって――」ガチャッ
春子「」
唯「おぉ…春子ちゃんが固まってる」
和「連れて来いって…平行世界のみんなもかしら」
春子「…へっ?あ、あぁ!そうみたいだよ。しっかし――本当に凄いなこれ。どうなってんの?」
律「それがわかれば苦労しないんだけどね」
春子「あれ?田井中と秋山は一人なの?」
律「うんにゃ。今ちょっと不在なだけ」
春子「へぇ~。どんなやつどんなやつ?琴吹みたいに見た目も全然違うわけ?なぁなぁ!」
律「何もうこの状況楽しんでんだよ!適応能力高すぎるだろお前!」
和「さわ子先生、連れてきました」
教室へぞろぞろと入っていく軽音部と平行世界のメンバーを見て、クラスメイト達は目を丸くする。
信代「ホントにいっぱいいる…」
さわ子「これで信じてくれるかしら?私がふざけているのではなくて、大まじめだということを」
信代「は、はい…」
唯「わー見て見て!私がいっぱいだよー!!」
よく見て唯「ん」
石ころ唯「おぉこれは凄いね。平凡な日々に退屈した神サマのお遊びってやつかな」
池沼唯「あー!いっぱいそっくり!」
変態和「何これパラダイス?」
さわ子「それにしても…どうしてあなたたちだけこんなことに…」
澪「こっちが聞きたいですよ…」
暗い子「…!…!!」
褐色な子(やっぱりオカルト研はこういうの好きだよね…)
ちらり、と紬が時計へ目をやった。
紬「あの、そろそろ澪さんが帰ってくるんじゃないかな?迎えに行かなきゃ」
律「あぁ、そうだったな」
さわ子「澪さんって?」
澪「平行世界から来た、大人の私です。昨日は町を見て回りたいって言ったので、今日の放課後学校に戻ってきてくれるようにお願いしたんです」
佐々木(大人の秋山さん見たい!!すっごい見たい!!)
律「じゃあ校庭で待ってよっか」
さわ子「って、あなたたち全員で外に出るつもり!?」
唯「なんかもう隠してても次々出てくるから意味ないなぁって思いまして」
さわ子「い、いや、でも他のクラスや他学年の子達は何も知らないのよ!?」
唯「でも、ここのみんなみたいにもし私達の知らないところで他のみんなが同じ人間がいっぱいいるところ見ちゃったら余計ややこしいし…」
さわ子「…どうしようもないわね。でも、本当に良いの?確実に変な目で見られるわよ、あなたたち」
律「こうやってクラスメイトにもばれちゃった今となってはもう人の目なんて気にならないよ」
さわ子(悟り開いてきたわねこの子達…)
同時刻、最高律は嫌な思い出の場所、廃工場の前に来ていた。
最高律「…やっぱ同じか」
最高律(何となく流れできちゃったけど…人いそうにないな。こんな人気のない場所にいたらそれはそれで怪しいし。仕方ない、他をあたって――)
「…コ…ギ……ギ……」ボソボソ
最高律(――!!声…?誰かいるのか!?)
開放されたままの入り口から、かすかに声が聞こえてきて、最高律はその入り口の近くにあった物陰に息を潜めた。
律?「――…ギコギコギコギコ…さっきからずっと頭の中に響いてる…。勘弁してくれよ…」
紬?「私も…。でも、我慢しなきゃ…。唯ちゃんのためだもの」
最高律(――!あの二人、こんな所にいたのか。何だ、びびって損した――)
少しやつれた表情をしていると唯から聞いていたのですぐに探していた二人だとわかり、最高律は安堵して立ち上がろうとした。
が、その視界に物騒な輝きを放つノコギリが飛び込んできて、彼女は思わず足を止めた。
ギコ律「あぁ、わかってる。私達の唯のために…梓を殺す。もう躊躇わないぜ」
最高律「――!!?」
ザッ
ギコ律・紬「!?」
最高律「お前ら…一体どういう話してるんだ…?」
ギコ律「ちっ……唯の予想通りか」ボソッ
ギコ紬「まさかとは思ったけど、本当に来るなんて…。じゃあ、作戦変更ね…」ボソッ
最高律「ぼそぼそ言ってないで私の質問に答えろ!!」
ギコ紬「っ!!」ダッ
ノコギリを手に、突如肉薄してくるギコ紬。最高律は驚き、思わず身を引いた。そんな彼女の横を素通りし、ギコ紬は廃工場を後にする。
最高律「お、おい!待――」
ギコ律「…っ!」ブンッ
最高律「!うわっ!!」
ギコ紬を追おうとして最高律は、背後に感じた気配に考える前に動いた。身をひねった彼女の脇を、振り下ろされたノコギリが通過する。
最高律「ちょ…お前ら正気かよ!?何でこんな…」
ギコ律「悪い。こっちの唯のためなんだ。抵抗しないなら殺しはしない」
最高律「殺すだとかそのノコギリとか…そういう物騒なのはやめにしようぜ。何か事情があるなら相談に乗るからさ」
ギコ律「相談してどうにかなる話じゃないからこういう手段取ってるのがわかんねぇのかよ」
最高律「訳わかんないぞ!何で唯のために梓を殺さなきゃいけないんだよ!?」
ギコ律「説明できる話じゃないし、説明したところでお前には理解できないよ」
最高律「…そうかよ。じゃあ私にできるのは何故か知らないけど馬鹿みたいな行動取ろうとしてるお前を止めることだけみたいだな」
ギコ律「あっそう。邪魔するんだ?…なら、行動不能になるまでボコるしかなさそうだな」
最高律「やれるもんならやってみな。伊達に大人の男達相手に戦ってないぜ」
身構える最高律を見て、ギコ律は積まれたドラム缶の傍へと歩いて行く。
ギコ律「これ見てもそんなに強気でいられるか?」
そして、ドラム缶の陰へ手を伸ばし、思い切り引いた。たたらを踏みながら現れたのは、捕縛された澪だった。
最高律「!?み、澪…!!」
澪?「りつー!たすけてー!!しにたくないよー!!」
あからさまにうろたえる最高律。ギコ律は捕縛した澪?の肩に手を置いて、昨晩の会話を思い出していた。
唯?『まず必ず戻るって約束していた二人が帰ってこなかったら、私達は絶対心配になると思うんだよね』
ギコ律『そんなもんなのか?』
唯?『うん。りっちゃんとか和ちゃんあたりは責任感強いからね。きっと探そうとか言い出すんじゃない?』
唯?『特に、平行世界からきたりっちゃんは澪ちゃんに――正確にはサンジュちゃんだっけ?――きついこと言っちゃったんでしょ?絶対罪悪感を覚えてると思うな。一番に探し出そうとすると思うよ』
サンジュ『は、はは…』
唯?『しかもうまい具合にここはあのりっちゃんの思い出の地でもあるわけだからね。もしかしたら来るかもしれないね、ここ』
ギコ紬『そうなの…?凄く詳しいのね、唯ちゃん』
唯?『私に不可能はないのです!ま、そういうことだけど…とりあえず三人は私が助っ人連れてくるまでここで待機しててよ。仮に私が来るまでに誰かに見つかるようなことがあったら…』
ギコ紬『その時は分散しましょう。私は学校に一足早く向かうわ。りっちゃんは探しに来た人の足止めお願いできる?』
ギコ律『あぁ、任せとけ。――澪はどうする?』
唯?『あ、サンジュちゃんにはとっても重要な役があるよ!まぁ、見つかったときしか出番ないんだけど…』
サンジュ『な、何したら良いんだ?』
唯?『ひ・と・じ・ち・や・く!』
……
最高律「ひ、卑怯だぞ!」
ギコ律(ビックリするぐらい頭の切れる唯だな…。こりゃ完璧だわ。絶対手出してこないぞ、アイツ。――同じ自分だからよくわかるよ)
サンジュ「りつーりつー!」
ギコ律「ま、言いたいことはわかるよな?抵抗したら澪は…。そうなったらお前が悪いんだからな。コイツが私らの所にノコノコやってきたのも、お前らが追い出しちまったのが原因なんだから」
最高律「…っ…」
ギコ律「そういうことだから、とりあえず…」スタスタ
ドカッ
最高律「痛っ…!」
ギコ律「動けないようにしますか。殺すのは気分の良いもんじゃないし…」バキッ
最高律「ぐ…澪は、関係ないだろ…!放してやれよ!!うあっ!!」ゴッ
ギコ律「関係あるとかないとか以前に、放しちゃったらお前抵抗するじゃんか。自分の性格は自分が一番知ってるんだよ」ドゴッ
サンジュ(わ、私は悪くないぞ…。勝手にやってきたアイツが悪いんだからな…!)
場面変わって学校では。
唯「んー…澪さんも遅いね」
律「なんかこうも次々現れないと不安になってくるな…」
梓2号「もしかして本当に元の世界に帰れたんでしょうか?」
佐々木「見たかったなぁ…大人な秋山さん」
和「…っていうか、なんで2組のみんなまで一緒について来てるわけ?」
春子「この状況を見た他の生徒の混乱を押さえるために簡単な事情説明に回っているだけであって、決して面白いから野次馬しているだけというわけじゃないからな!」
和「おもしろがってるだけでしょ…」
さわ子「でもまぁ、実質みんなのおかげで混乱は最小限に抑えられてる訳だし、悪くないと思うわ」
澪「抑えられてるというか、呆然としてる感じですね」
デブ紬「やけに視線を感じるわ」
変態和「ね、ねぇ唯四人衆。ちょっとお願いがあるの…」
唯「何?」
池沼唯「あうー」
石ころ唯「私は人の願いを叶えるために生まれてきた」
よく見て唯「へぇ」
変態和「四人でこう…私を包み込んでくれないかしら。ちょっとでいいから」
唯四人衆「これでいいの?」ギュッ
変態和「ヘヴンッ!!!!!!!!!!!1!!!!!!11!!!!」ブバッ
梓「唯先輩達から謎のスプラッタが!!」
澪「ひいいいいいいいいいいいいい!!」
律「こんなときに訳のわかんないことすんな」
廃工場では、ずっと暴行に堪え続けてきた最高律がギコ律の蹴りを腹部にもらい、くぐもった呻き声を上げて崩れ落ちていた。
ギコ律「かなり頑張ってたけど今のは効いただろ」
最高律「っ…げほっげほげほっ!!」
ギコ律「やっぱ腹が一番辛いよなっと」ドボッ
最高律「かはっ」
サンジュ「ひっ…」
追撃とばかりに、手をついて咳き込んでいた最高律の腹を蹴り上げるギコ律。思わずサンジュは目をそらした。
ギコ律「…ん?」
腹を蹴り上げた足の白ソックスに、赤いシミが付いた。苦しげに肩で息をしている最高律に目をやると、手で押さえている下からブラウスに浮いた赤が覗いていた。
ギコ律「何だお前…そこ怪我でもしてたわけ?」
最高律「はっ…はあっ…はあっ…。――…澪を、離してくれ…」
サンジュ(何だよ…何なんだよアイツ…頭おかしいだろ!!)
最終更新:2010年06月22日 02:25