唯「澪ちゃんとりっちゃんはそういう関係だったんだね」
梓「もう認めたらどうですか・・・?」
紬「・・・・ハアハア」
澪「いや・・・違うんだ、あれは・・・なあ律」
律「うん・・・なんというか・・・えっと」
この日、部室の空気はいつもと全く違っていた。私はうまい言い訳が思いつかず
律に振ってしまった。しかし律も同じく言い訳が思いつかないようだ。
唯はいつもと大して変わらずぽーっとしてる。梓は何やら怒ってるようだ。
ムギは・・・なんか息を荒げてうっとりしてる。
なんでこんなことになってしまったんだろう・・・事の発端は昨日だ
昨日、みんなが私の家に集まって軽いパーティーを開いた。といっても誰かの誕生日とかじゃなくて、その日私の両親が家にいなかったからなんとなく集まって騒いでただけだ。
律がふざけて私が突っ込んで皆が笑って・・・いつもの軽音部のノリだった。
でも私と律は違った。
律が私の家にいる。中学の頃はしょっちゅうお互いの家に出入りしてたが、高校に入ってからはそれも少なくなてきた。
今回も律が私の家に来たのは2週間ぶりくらいだろうか。
たかだか2週間でも、私には永遠のように長く感じられた。
律はパーティーの途中も、ちらちらと私の方を見てくる。パーティが終わってみんなが帰れば、適当な理由をつけて律と二人きりになれる。
それを思うと体がうずいた。律もきっとそうだろう
パーティーが終わった。私は玄関でみんなを見送る
唯「じゃあそろそろ帰るね~今日は楽しかったよ!」
紬「私も楽しかったわ。また誘ってね♪」
唯「明日は私の家でパーティーしようよ!」
澪「明日はさすがに練習するぞ」
梓「そうですよ!最近全然練習してないじゃないですか」
唯「うう~わかったよ」
澪「じゃあみんな、気を付けて」
唯・紬・梓「おじゃましました~」
紬「あれ、りっちゃんは帰らないの?」
律「うん、ちょっと宿題で澪に聞きたいことがあってね。みんな先帰ってて」
唯「そうなんだ。りっちゃん、澪ちゃんまたねー」
三人が帰った。これで律と私は二人っきりだ。
…
律「やっと2人だけになれたな!澪~」
澪「うん。久々だな」
律「早くベッド行こうぜ!」
澪「え、いきなりか?」
律「もう我慢できないんだよー!はやくはやく!」
澪「ちょっ、強引だぞ」
律が私をぐいぐい引っ張って私の部屋に向かう。
文句は言ったが、私も正直早くやりたくてしょうがなかった。
皆がいたさっきまでは家の中に律がいるのに何もできなかったのだから、当然だ
皆が私と律の関係を知ったらどう思うのだろうか。きっと理解できないだろう。
引かれてしまうかもしれないし、変に気を使わせてしまうかもしれない。
だから、私と律の関係は知られてはいけない。現に私たちは今まで誰にも知られることなくこの関係を続けてきたのだ。
ガチャン
私の部屋についた
律「よいしょっと!」
律は私のベッドに飛び込んでごろんと転がった
律「みおー、早く来いよー」
律が私を手招きする
澪「ちょっと久し振りだから、心の準備が・・・」
律「なにいってんだよ!もー」
律はそう言って立ち上がり私を勢いよくベッドの上に引っ張りこんだ。私は顔からベッドに突っ込んでしまった
澪「おっぷ!」
律「じゃあ最初はやっぱりあれだよな!澪、上と下どっちがいい?」
澪「いつも通り上がいいな」
律「え~。私もたまには上でやりたいんだけど」
澪「下は苦手なんだって」
律「しょうがないな・・・じゃあそれで」
女の子同士でこんな行為をしているの人なんているのだろうか。
日本で私たちだけなのかもしれないとたまに思ってしまう。
例えそうだとしても私と律は幸せだが。
律「でも澪いつも上で痛くならないか?」
澪「大丈夫だよ。律はうまいから全然痛くない」
律「へへへ、そうかなあ。まあじゃ早速!」
私たちの禁断の行為が始まる・・・そう、私たちはいつも二人っきりになると
律「キン肉バスター!!!!」
キン肉マンごっこをしているのだ
律「おりゃあああ!」
澪「律、そろそろ下ろしてくれ!頭に血が昇る!」
律「ああ、ゴメンゴメンw」
澪「ふう・・・でも今のキン肉バスターすごく良かったよ!ばっちり決まってた!」
律「へへへーだろー!」
澪「それにしてもキン肉バスターは美しい技だよな。」
律「うんうん。あの体勢もかっこいいけど。首折り、背骨折り、股裂きを同時にやっちゃうっていうのが威力ありそうでいいよなー!」
澪「初めて出したのがウォーズマン戦っていうのもまた・・・」
私たちは肉トーク(キン肉マンに関するトーク)に花を咲かせた。
私と律は小さい頃からキン肉マンが大好きだった。でも、学校の周りの友達にはキン肉マン好きどころか、キン肉マン自体を知らない子ばっかりだった。
たまに知っている子がいても、名前だけ聞いたことある程度だった。
そのうち、私と律はこの世代の女の子がキン肉マン好きなのはおかしいということに気づいた。
そして周りにキン肉マン好きということを隠し、親の目を盗んではお互いの家のベッドでキン肉まんに登場する技の掛け合いをしたり、肉トークをして楽しんでいる。学校では皆に聞かれる恐れがあるので肉トークですらなかなかできないのだ。
澪「よーし!次はキャメルクラッチだぞー!」ガバッ
律「うおっ!いたたたた!澪はキャメルクラッチ好きだなー!」
澪「うん。ラーメンマンVSブロッケンマンを見てすっかり好きになったよ」ググググ
律「あれは衝撃的だったな、いててててて・・・ギブギブ!」
澪「あ、ごめん、やりすぎちゃったw」
律「ったく~。次何にしようかなー。」
律「そうだ、ステップオーバートゥーホールドウィズフルネルソンをやってみたいって思ってたんだ」
澪「ほお。Ⅱ世の、しかもケビンのマイナーな技を選ぶとは渋いな。どんな感じだっけ?」
律「とりあえずうつ伏せになってくれ。よし、で私がくっついて足をひっかけてっと・・・」
律「あとは澪の脇の下から手をまわして首をロック。完成だ!」
澪「おお!やるな!密着度高くてなかなか外せそうにないなこれ」
律「へへへ、やっぱケビンの技はスマートなやつが多いね。」
ガチャン!
澪・律「!!!!!」
梓「すいません、忘れものを・・・」
澪・律「・・・・・」
梓「・・・何してるんですか」
梓「(・・・な、ベッドの上で律先輩が澪先輩に覆いかぶさって、
足をからめて、体に手をまわして・・・これってまさか)」
澪・律「(やべえええええええキン肉マンごっこばれたあああああああ)」
梓「・・・先輩達は、そういう関係だったんですか」
律「あ、梓!これにはわけが」
澪「とりあえず離れろ!」
律「あ、ごめん」
梓「・・・・・」
澪「あのね、梓」
梓「澪先輩と律先輩は付き合ってたんですね・・・」
澪・律「え?」
梓「すいません。二人がそういう関係だったと知らずおじゃましちゃって。すぐ帰ります。」
ガチャ
澪「梓!」
バタン
律「急いで行っちゃったな」
澪「ど、どうしよう律、なんか変な勘違いされたみたいだけど・・・」
律「どうするって言ったって・・・まあキン肉マンごっこを知られなかったのは良かったんだけどな・・・」
澪「そのかわりに、私たち恋人同士だって思われちゃったぞ」
律「とりあえず、明日学校で弁解しよう。うまい言い訳考えとけよ?私も考えるからさ」
澪「うん。それに唯たちには黙っててもらうように頼もう」
律「そうだな。今日は終わりかなあ?」
澪「もうそんな気分じゃなくなっちゃったよ・・・」
律「だよな。じゃあ私帰るわ」
澪「うん。ごめん、律」
律「なんで澪が謝るんだよ。じゃあまた明日な」
……
タッタッタ
梓「はあ、はあ・・・」
梓「走っちゃった・・・何でこんなに焦ってるんだろう、私」
ポロ・・・ポロ・・・
梓「あれ・・・なんで・・・なんで私泣いてるの?」
梓「澪先輩と律先輩が付き合ってても私には関係ないのに・・・なんで・・・」
翌日 放課後
ガチャ
澪「お・・梓はまだ来てないな」
律「よ!」
唯「澪ちゃんおーっす」
紬「今お茶入れるわね♪」
澪「ありがとうムギ」
律「ヒソヒソ(澪、なんかいい言い訳考えたか?)」
澪「ヒソヒソ(ごめん・・・思いつかなかった)」
律「ヒソヒソ(あのさ澪、いっそのこと)」
唯「二人とも何ヒソヒソはなしてるの?」
律「あ、いや!なんでもないよ!はは」
ガチャ
梓「こんにちは」
唯「あ!あずにゃ~ん!」
律「・・・来た!」
梓「唯先輩と紬先輩は知ってるんですか?」
唯「ふえ?」
紬「?」
梓「澪先輩と律先輩が付き合ってることです!」
律「(い、いきなりかよ!)」
澪「(止める暇がなかった・・・!)」
唯「え?どういうこと?あずにゃん」
紬「なん・・・だと・・・」
律「梓、その話はちょっと」
紬「詳しく聞かせてもらえる?梓ちゃん」
澪「ムギ!?」
梓「私、昨日あの後忘れ物をとりに澪先輩の家に戻ったんです。そうしたら見ちゃったんです・・・! 澪先輩と律先輩が・・・べ、ベッドの上で抱き合ってて・・・」
紬「ふう・・・」クラクラ
律「ムギ!大丈夫か!」
梓「これでも二人が付き合ってないなんて言えるんですか?」
唯「澪ちゃんとりっちゃんはそういう関係だったんだね」
梓「もう認めたらどうですか・・・?」
紬「・・・・ハアハア」
澪「いや・・・違うんだ、あれは・・・なあ律」
律「うん・・・なんというか・・・えっと」
梓「・・・」
律「(こうなったら・・・この手しかない!)」
律「うん。付き合ってるよ」
澪「!!!(なにいいいいいいいい)」
梓「や、やっぱりそうだったんですか・・・」
唯「へー!そうなんだ~。女の子同士でも付き合うってあるんだね~」
紬「そ、それでいつから二人は付き合ってるの?(やばい・・・鼻血出る)」
澪「ちょ、ちょっと律!」
律「ヒソヒソ(いいから黙って私に任せなって!)」
律「いや~!つい先日澪に告られちゃってねー!大好きだって!」
澪「な・・・///」
律「それで付き合うことになったんだよ!」
紬「うふふふふ」
律「というわけで今日はデートだから部活休むわ!じゃ!」ガシッ
澪「え、おい律!」タッタッタ
ガチャンバタン
唯「行っちゃったね~」
梓「・・・」
唯「あずにゃんどうしたの?元気なさそうだけど」
梓「なんでもないです・・・!」
唯「きっとお腹すいて元気ないんだね~。
ムギちゃん!あずにゃんに早くお菓子出してあげて!」
紬「はいはい♪(私はもう満腹だけど♪)」
廊下
澪「はあはあ、律!どういうつもりだよ!」
律「仕方ないだろ。私たちがキン肉マンごっこに興じてるなんて言えるわけないんだし。
だったら梓の勘違いを利用して付き合ってるってことにするのが一番だ。
他に良い手思いつかないだろ?」
澪「う・・・そうかもしれないけど・・・。でも!なんで私が律に告白したことになってるんだよ!」
律「別にいいじゃん。逆の方が良かったか?私が澪に告ったってことにした方が」
澪「そ、そういう問題じゃない!」
律「まあ落ち着けって。問題はこれからだ。みんなには私たち付き合ってるって思われてしまった。つまりみんなの前では私たちは恋人同士のように振舞わないといけないってこと。」
翌日
律「今日の部活終わり!」
唯「ふう~疲れた~!帰りにアイス屋さん寄ってこうよ!」
律「お、いいね!みんなも行くだろ」
紬「ええ」
澪「うん」
梓「はい。今日は久しぶりに真面目に練習できたので・・・」
律「そんな理由つけなくても、ほんとは行きたくてしょうがないんだろ~?」ガシッ
梓「ち、違います!///」
テクテク
紬「そういえば、二人は付き合ってるのに手はつながないの?」
律・澪「え?」
紬「私たちに遠慮してるのね。そんなこと気にしなくていいわよ」
唯「そうだよ!気にせずいちゃいちゃしちゃっていいよ!」
梓「(私は気にするけど・・・)」
律「そ、そう?ありがとな?じゃあ澪つなごうか」
澪「う、うん(恋人のふりする演技だから仕方ないよな)」
ギュ
澪「・・・//」
律「さーてもうちょっとでアイス屋だー!」
澪「うわ!手繋いでるのに走るな!」
紬「微笑ましいわね♪」
唯「ラブラブだね~あずにゃん!」
梓「・・・そうですね」
数分後
唯「あーおいしかった!」
梓「三段も食べるなんて・・・」
律「アイスも食べたしそろそろ帰ろっか」
澪「そうだな」
紬「あれ?手はつながないの?」
律「あ、ああ(ムギはやけにこだわるな・・・)」
ギュ
澪「・・・//(仕方ないみんなの前だから仕方ない)」
唯「じゃあ私はこっちだから。みんなまたね!」
紬「私も。梓ちゃんもこっちよね?」
梓「(違うんだけど・・・気をきかせろってことかな)」
律「あれ、梓そっちだったっけ?」
梓「あ・・・今日はこっちに用事があるんで」
紬「(梓ちゃんナイス!)」
律「そうなんだ。じゃあまた明日」
律「ふう。今日はなんとか乗り切ったな」
パッ
澪「あ、もう離しちゃうの?」
律「だってもう誰もいないから恋人のふりする必要ないだろ?」
澪「あ、そ、そりゃそうだな!(しまった・・・つい口に)」
律「それとももっと手繋いでてほしいのかな澪ちゃん?」
澪「そ、そんなわけないだろ!」
ゴツン!
律「いて」
澪宅
澪「今日は疲れた・・・まさかキン肉マンごっこのせいでこんなことになっちゃうなんて・・・」
澪「律が恋人か・・・今までそんなこと考えたことすらなかったけど・・・
こうなってからなんか律のことを意識しちゃってる・・・私変なのかな・・・」
ブーブー
澪「梓からのメールか。こんな時間になんだ?」
澪「『明日暇ですか?』か。そういえば明日は土曜日だったな」
澪「『暇だよ』っと。送信」
ブーブー
澪「返信早!」
澪「『新しいギターを見に行きたいんですけど、一緒に来てもらえませんか?』」
最終更新:2010年01月11日 01:35