唯「うい~、あいちゅ」
憂「はいはい、ご飯食べてからねー」 トントン
プルルル… プルルル…
憂「おねーちゃーん、手が離せないから電話お願いー」
唯「はーい」 ガチャ
唯「もしもし、平沢ですー」
男「おれおれ」
唯「だれ?」
男「おれだよおれ」
唯「おとうさん?」
男「そそそ、お父さんだよ」
唯「わあー、今どこにいるの?」
男「会社だよ」
唯「えっ、今お母さんと一緒にフランスだよね」
男「えっ」
男「あ…ああ。いや、その。なんだ。父さんの知り合いの会社がこっちにあってだな。」
唯「なんだー。そうだったのかー。」
男「はっはっはっ」
唯「あはははは」
男「それでー、だな。うん。」
憂「ふう、できたー。お姉ちゃん、電話誰からだったー?」
憂「おねえちゃーん?あれ?どうしたのおねえちゃん、お父さんの通帳出して」
唯「あのねぇ、それで暗証番号がね、19…」
憂「ぅおわッしゃああああああああああっ!?」
バッ シュバッ ガチャン
唯「きゃあっ!なにするの憂」
憂「こっちのセリフだよおおおおおおおおっ!!」
憂「ガミ!ガミ!ガミ!」
唯「ごめんなざぃ…」 ズビズビ
憂「大体、そんな大事な話なら家の電話じゃなくて直接私の携帯に来るよ」
唯「うん……あっ!そうだ、お父さんの携帯にかけて確認すればいいんだ!」
憂「確認って…何を?」
唯「だって本当にお父さんがヨーロッパの地下秘密組織の秘密を知った秘密探偵の任務に巻き込まれてさらわれて解像手術を受けたお母さんと悲劇の再開をして死闘のすえに二人の愛の力で正気を取り戻したお母さんの体を直すためのお金を必要としていたら大変だよ」
憂「……電話してみるといいよ。」
唯「うん!」
ピ ポ パ
父「ガミ!ガミ!ガミ!」
唯「ごぇんなざぁぁぁぁぁいぃぃい」 ズビズビ
翌朝 通学路
唯「…ってことがあったんだよー。」
律「…憂ちゃんも大変だなあ。」
唯「えー?みんなから怒られて大変だったのは私なんだよ?」
澪「ああ…うん。まあ…」
律「しっかし、親の声を忘れるとは唯も親不孝なやつだなぁ」
唯「りっちゃんひどい!電話だと顔見えないからわかんないんだよ?」
澪「でも声でわかるだろ?」
唯「うーん。ちょっと違った気もするけど、でもお父さんだよって言われたから信じちゃった」
澪「おいおい……」
律「………ほう。」
律「~♪」
キュ キュ
唯「……!」
律「……。」
律「~♪」
唯「あれ?りっちゃんは?」
澪「ん?……ああ、後ろだ。」
唯「音楽聴いてるみたいだね。」
澪「聞くのはいいけど、遅れるなよー!」
律「お~ぅ♪」
唯「それでね!憂がさ…」
律(これぐらい離れりゃいいかねー)
ピ ポ パ
ピロリロリン♪
唯「あ、電話だ」
澪「誰から?」
唯「非通知だよ」
ピ
唯「もしもしー?」
律「ああ、わたしわたし」
唯「だれ?」
律「……」
律「………澪だよ」
唯「え?澪ちゃん!?」
澪「うん?」
唯「澪ちゃんは私の目の前にいるけど…」
澪「なんだ、私にか?かわるか?」
律「かわっちゃダメ!この電話はテレパシーで伝えているの!」
唯「そうなの?すごい!!」
律(…信じたよこいつ)
澪(…なんか唯がやたらキラキラした目で私を見ている)
律「それでね、こんなことをしたのは、どうしても唯に聞いてほしかったことがあって」
唯「なになに?なんでもいっていいよ!」
律「実は私…唯のことが好きなんだあああああっ!!」
唯「ええええええええええええっ!?」
律「始めてみたときからずっと好きだったの!愛してるの!」
唯「えええええっ、そんな、そんな急に言われても」
律「結婚しよう!!」
唯「けっ…!」 ブシュー
律「返事は今じゃなくていいから!じゃあね!」 ピッ プーッ プーッ プーッ
唯「………」
澪(…唯がなんか命を狙われた小動物のような目で私を見ている)
澪「ゆ…唯?誰からだったんだ?」
唯「澪ちゃん…」
澪「ほら、なんか…私の話も出てたみたいだったけど」
唯「ごめんなさい!」
澪「えっ?」
唯「気持ちは嬉しいけど、私やっぱり女同士っていうのは…ごめん!」 ダダッ
澪「あっ、おい、唯!」
澪「…なんなんだ?いったい」
律(……おもろい)
キーング コーン グー
教師「今日はここまで。」
律「ふいー、一時間目おわりー。どしたー、唯?ぼーっとしちゃってー。」
唯「ふぇ!?なんでもないよ?なんでもない!」
紬「大丈夫?体の調子良くないの?」
唯「そういうんじゃないよ!大丈夫!」
紬「本当に?辛かったら無理しないで先生に…」
唯「本当に大丈夫だから!ほらうーんたん!うーんたん!」
紬「あらあら」
律(…おもろい)
ビーオ ラーン テー
教師「では今日はここまで」
律「ちょっとあたしうんこ」 ガタ
紬「あらあら♪」
唯「りっちゃんげひーん」
律「わたくしちょっとお排便のためにお便所に参上つかまつりますわ♪」
唯「あはははは!!」
紬「……」 ←なんかムカついた
律「ふいー。どっこいしょ、っと。」
律「さてさて…」
ピ ポ パ
ピロリロリン
唯「あ、でんわだ」
ピ
唯「もしもーし」
律「わたしわたし」
唯「だれ?」
律「梓です」
唯「あずにゃん!」
律「…本当はわたし、唯先輩に抱きつかれるのが大好きなんです!」
唯「わあ、そうだったんだ!」
律「いつも嫌がってたのは、恥ずかしかったから…」
唯「ンモー、あずにゃんはかわいいなあ」
律「だから先輩、今日の部活ではいつもよりもっとギューってしてくださいね!」
唯「うん、わかった!まかせてよあずにゃん!」
ガラガラ
律「爆撃完了ー。地表の被害は甚大なりー」
唯「おかえり、りっちゃん♪」
律「お?なんか急に機嫌よくなったなー?」
唯「えへへー♪放課後が待ち遠しいな~♪」
紬「何かいいことがあったみたいね♪」
唯「えへへ~♪♪」
放課後
梓「ちょっ、せんぱ!」 トタパタ
唯「よいではないかー、よいではないかー」 バタバタ
梓「しつこい!いつも以上にしつこい!」 トタトタ
唯「ギューってさせてー!ギュ~♪って!」 バタバタ
紬「あらあら♪唯ちゃんったら」
律「二人はいつも仲いいなぁ♪」 ニヤニヤ
梓「むー」
唯「よしよし♪」
梓「……」 ホワーン
澪「今日の鬼ごっこは一段と激しかったなぁ」
律「そういう年頃なんじゃなーい?」
紬「お茶とクッキーが入ったわよー」
唯「わーい!」 パッ
梓(……えっ、おわり?)
唯「クッキー、クッキー」
サクッ
唯「!!!おいしい!このクッキーすごくおいしい!」
澪「ほんとだ!甘さもひかえめ…いや、控えめというか、やわらかくて…」
梓「サクッとしっかりした歯ごたえがあるのに、口の中に入るとホロホロとほぐれます!」
律「ごめんムギ!わたしクッキーって聞いたときは正直今日はハズレかなぁとか思ってたのに!」
紬「あらあら♪喜んでもらえて何よりだわ」
唯「おいしぃー♪」
サクサク
澪「初めて食べたなぁ、こういうクッキーは」
梓「クッキーさまさまです!」
律(ピキーン!)
ガタン
紬「あら、律ちゃん、どこいくの?」
律「えーと、ほら、あれだ。お花を摘みに」
唯「おしっこ?いってらっしゃい!」
律「…ぉぅ」
梓(だいなしだー!)
律「唯のやろー、せっかく人が雰囲気を壊さないようにガラにもなく気を使ったってのにー」
最終更新:2010年01月26日 02:52