――平沢家

唯「ねえねえ、ういー」

憂「なあに、お姉ちゃん?」

唯「純ちゃんって誰だっけ?」

憂「ほら、前に軽音部に見学に来てた子だよ」

唯「あぁ、あの子かあ」

憂「純ちゃんがどうしたの?」

唯「いやー、下駄箱の中にその子からの手紙が入ってて」

憂「ふーん、そうなんだ」

唯「そうなんだよ」

憂「……」モグモグ

唯「……」モグモグ

憂「ええええええぇぇぇっ!!!?」ガタッ

唯「うわっ!? きゅ、急にどうしたの憂?」

憂「いつ!? それもらったのいつなの!?」

唯「へっ!? きょ、今日だけど…?」

憂「それはどこにあるの!?」

唯「私の部屋だよ」

憂「……お姉ちゃん」

唯「はい」

憂「私はお姉ちゃんが大好きなの」

唯「う、うん」

憂「だから、もしお姉ちゃんが危ない目に会ったら、私発狂するかもしれないの」

唯「は、はあ……」

憂「ということでその手紙を見せて」

唯「り、理由になってないよ?」

憂「私は素直なお姉ちゃんが好きだな」バキン

唯「ひいっ!?」(お箸が折れちゃった…)

唯「わ、わかったよ……待ってて」

憂「純ちゃんってば、よりによってお姉ちゃんを狙うだなんて」

憂「少しお仕置きが必要かな……」ニコ

唯「はい、これだよ憂」

憂「これが……」

憂(ふーん、ピンクか……お姉ちゃんのツボをよく理解してるなぁ)

憂「開けてもいい?」

唯「私もまだ開けてないんだけど……」

憂「じゃあ開けてもいいよね」

唯「そ、そんな……私が最初に見たい!」

憂「もしお姉ちゃんがこの手紙を開けて爆弾がドカーンといったら危ないでしょ? だから私が最初に開けてあげる」

唯「そんなわけ……」

憂「あるの!」

唯「どうぞ……」

憂「さて……どれどれ~」ペリッ

唯(普通に開けちゃったけど……)

憂「えーっと……こんにちは。私は憂の友達の純と言います」

唯「うん」

憂「こうして手紙を出したのもお話があるからです」

唯「そうなんだ」

憂「明日の昼休みに屋上で待ってますので是非来てください。おねがいします……」

唯「お~これは……」

憂「……」ビリッ

唯「あーっ!? 何するの憂!」

憂「あっ! 私読み終えた手紙を破っちゃう癖があるんだった!」テヘッ

唯「そうなの?」

憂「そうなの!」

唯「でも、せっかく純ちゃんが送ってくれたのに……かわいそうだよ」

憂「そ、そうだね……あとで私が治しておくよ」

唯「よろしく頼む!」ビシッ

憂「うん……」

唯「えへへ~純ちゃんか~楽しみだなあ」

憂(これは参ったよ……まさか純ちゃんが……)

憂(明日は……いろいろしなきゃね……)ギリッ

……


――翌日

唯「おっはー!」

紬「おっは~」

澪「おはよう、唯」

律「おっす、唯」

唯「今日も一段と暑いですわね~」

律「夏真っ盛りですわね~」

唯「でもクーラーは断固反対っ!」

律「なんでだよ? クーラーがないとこの夏は乗り切れないぞ?」

唯「冷房なんて地球を温暖化する最大の原因なんだよりっちゃん!」

律「な、なんだってー!」

唯「もしこのまま使い続けていると……」

律「いると……?」

唯「日本は海の中へザブーンと沈んじゃいます!」

律「大変だー!」

唯「だから冷房は使わないようにしましょう!」

律「はい!……って長いわ!」バチコーン

唯「あうっ! いたいよりっちゃん……」

紬「あらあら、唯ちゃん大丈夫?」

唯「ムギちゃん治してー」

紬「それじゃあ……いたいのいたいのとんでけ~!」

唯「おおっ! なおった!」

澪「まったく……こうやってはしゃいだら余計に暑くなるだろ」

唯「確かに……」

律「で、なんでそんなはしゃいでるんだ?」

唯「聞きたい?」

紬「聞きたい!」

唯「それはね……じゅ」

ガチャン!

憂「おはようございます!」

唯「憂!?」

澪「ああ、どうしたの憂ちゃん」

憂「お姉ちゃんに忘れ物を届けようと思いまして…」

律「まったく、なんてできた妹なんだ」

憂「はい、お姉ちゃん鉛筆忘れてたよ!」

唯「えっ……別に他のがあるからいらないんだけど……」

憂「いいから!」

唯「はい……」

紬「あらあら」

憂「紬さん」ヒソヒソ

紬「なあに?」

憂「あとでお話があります、休憩時間の時に……」

紬「うん、わかったわ」

憂「それじゃこのへんで」

唯「ばいばーい」

律「あーあ、私もあんな妹がほしいよ」

唯「いいだろー」

律「うらやましいぞこのやろう!」

紬(憂ちゃんが私に頼るということは……何かあったというわけね)

紬(うふふ……これはひと波乱ありそうね……)


憂「ふう……」

梓「おかえり。何しに行ってたの?」

憂「ちょっとお姉ちゃんに用事があってね」

梓「そうなんだ」

純「う、憂。唯先輩はどうだった?」

憂「えっ? 別に……」

純「そ、そう」

梓(なんかそっけないな)

憂(純ちゃんめ……私のお姉ちゃんを……!)ギリッ

純(なんかこわい)




――休憩時間

紬「きたわよー憂ちゃん」

憂「ああ紬さん、時間がないので手短に行きます」

紬「なにかしら?」

憂「今日のお昼休みにお姉ちゃんを教室から出さないようにしてください」

紬「唯ちゃんを? なにかあったの?」

憂「実はこんなものが……」ピラ

紬「ふむふむ……これは……!」

憂「私のお姉ちゃんが今ピンチなんです! お願いです! 協力してください!」

紬(まさか純ちゃんがくるとは……唯ちゃんと純ちゃん……ありなのかしら……?)


憂「つ、紬さん?」

紬「……憂ちゃん」

憂「はい」

紬「純ちゃんはいい子なの?」

憂「ま、まあ、それなりに……」

紬「ならいいじゃない」

憂「だめなんです! もしお姉ちゃんが純ちゃんにあんなことこんなことされると思うと……」

紬「憂ちゃん……わかった! 私憂ちゃんに協力するわ!」

憂(かかった!)ニヤリ

憂「ありがとうございます! それではお昼休みにぜひ!」タタタ

紬「……ふむ、でもこれって……もしかしたらもしかするかも」

……



――昼休み

梓「ふうーやっと昼休みだあ」

憂「そうだね!」

純「あ、私用事があるから……二人で食べてて」タタタ

梓「あ、ちょっ……行っちゃった」

憂(あんなに嬉しそうに……待ち切れなかったのかな……?)

梓「どうしたんだろうね?」

憂「さあ……」

憂(行ったか……では私も……)

憂「梓ちゃん、私も用事があるから……」

梓「えーっ、憂もいなくなるのー?」

憂「うん、すぐ戻るから」

梓「さびしいよ……」

憂「はいタイ焼き」

梓「いってらっしゃ~い」

憂(早く行かなきゃ……)タタタ

……

唯「おっ、昼休みだね」

律「唯、ムギ、澪、早く飯食おうぜ!」

唯「あっ、私はちょっと用事が……」

紬「唯ちゃん! これおいしいわよ」

唯「へっ! なにそれ!?」

紬「トリュフ的なものよ!」

唯「うっひょー!! すごいよムギちゃん!」

澪「唯、なんか用事があるんじゃないのか?」

唯「ぱくぱくモグモグ」

律「あーあ……」

紬(うふふ……がんばってね憂ちゃん)

……



――屋上

純「……」ドキドキ

ガチャ

唯「おまたせー」

純「あっ唯先輩!」

唯「ごめんね? 遅れちゃって」

純「い、いえっ! 気にしてないです! あっ、私は鈴木純と申します!」

唯「うん、憂から聞いてるよ!」

純「そ、そうですか! えへへっ」

唯「……それで、話ってなにかな?」

純「あ、はい……えっと……」

唯「うん」

純「私は……その……」

唯「ゴクン」

純「う、憂のことが好きなんです!」

唯「きゃあああ! 私じゃ無理!……ってえっ?」

純「ゆ、唯先輩?」

唯「今……なんて?」

純「いやだから……憂のことが好きなんですよ」

唯「……」

純「すみません……憂にこんなこと言うのは少し恥ずかしくて……」

唯「あ……」

純「唯先輩に言うのも何なんですけど……憂と私が仲良くなるように協力してくれませんか?」

唯「……い」

純「い?」

唯「いやあぁぁぁぁぁっ!?」ダッ

純「あっちょっと……行っちゃった……」


……

唯「そ、そんな……まさか純ちゃんが……」

澪「ん? ゆいーっ」

唯「ま、まずいっ!」

澪「そんなところで何やってるんだ? さっきまで一緒にごはん食べてたのに」

唯「え、えと……そう! おさんぽしてたの!」

澪「そ、そうか」

唯「澪さんはどうしたんですか?」

澪「ん? 私か? 私は……」

澪「あれ? 澪さん?」

唯「あっ!……」

澪「まさか……お前は……」

唯「すみません……」ムスビ

憂「私、憂です」

澪「やっぱり憂ちゃんか。また変装してたの?」

憂「はい」

澪「またなんで?」

憂「そ、それは……」

澪「……言いづらいなら別にいいけど」

憂「そうしてくれるとありがたいです」

澪「そっか、じゃあまた」

憂「はい……」

憂「うぅ……どうしよう……まさか純ちゃんが私のことを……」

憂「考えもしなかった展開だよ……」

憂「私……どうすれば……」




――放課後

純「うんは~っ!! やっと終わったよ!」

梓「変な声ださないでよ」

憂「……」ボー

純「……憂?」

憂「ぬへっ!? な、なに!?」

純「なにって……そんなボーっとしてどうしたの?」

憂「な、何でもないっ!」

純「そう」

梓「じゃあ私、部活に行ってくるねっ!」

純「うん、いってらっしゃい」

憂「……」

純「……?」

憂「……」

純「……えいっ」プニ

憂「ひゃっ!? な、何するの!?」

純「だってずっと黙ってるし……気になるじゃない」

憂「ごめんね」

純「別にいいって」

憂(本当に純ちゃんは私のことが好きなのかなぁ……)


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最終更新:2010年07月04日 01:50