……

純「憂! これやろうよ! クレーンゲーム!」

憂「うん」

律「なんだか憂ちゃん、元気ないな」

澪「デートが始まってから『うん』ばっかり言ってるな」

梓「そんなに楽しくないんでしょうか」

紬(ふむ……やはり憂ちゃんはそんなに乗り気じゃないようね)

紬(やっぱり純ちゃんじゃ唯ちゃんの魅力には敵わないのかしら……)

純「うおーっ! あともうちょっとで捕れたのにー!!」

憂「うん」

純「……」

憂「……」

純「……よし! こうなったら意地でも取ってやる!」

憂「うん」


――10分後

純「そこだ! そこにアームが入れっ!」

憂「……」

――さらに10分後

純「よーしよーしよーし……あーっ!!」

憂「……」

――さらにさらに10分後

純「いけっ! いけっ! ……ああっ!」

憂「ああ……」


純「……」ジー

憂「ど、どうしたの? こっち見て」

純「いやあ、やっと憂がその気になってくれたなーって」

憂「あ、う、それは……」

純「まあ見ててよ! 絶対これ取るから!」

憂「う、うん」


――そして10分後

純「よしっ! そこだ! いけっ!」

憂「やった! 持ち上げたよ!」

純「よーし、そのままそのまま……」

ゴトン

純「よっしゃあ! 捕れたー! 捕れたよー憂!」ダキッ

憂「やったね純ちゃん!」

純「えへへへっ、やっと笑ってくれたね憂」

憂「へっ? あ……」

純「はい! これ憂にあげる!」

憂「そ、そんな……いいよ……」

純「いいのいいの! 今日の記念にもらってよ!」

憂「そ、そこまで言うなら……」

純「大事にしてよそのコアラ!」

憂「う、うん……」ギュッ


紬「純ちゃんったら……本当にいい子ね」

梓「はい。そのまま自分のものにするかと思いました」

紬(憂ちゃんも今のでグッときたはずね……)ニヤリ

律「おい澪! 早くそのゾンビ撃てよ!」

澪「ダ、ダメ! 怖い怖い怖い怖い!」

梓「で、なに遊んでるんですか、あの二人は……」

紬「あ、純ちゃんたち出て行った」

梓「追いかけましょう!」

……



――音楽室

唯「はーい、唯ちゃんお茶よー」

唯「わーい、ありがとうムギちゃん!」

唯「まったく……これ終わったら練習するからな」

唯「わかってるよ澪ちゃん」

唯「唯のことだからわかってないだろうな」

唯「むっ! そんなことないよりっちゃん!」

唯「そうですよ! 唯先輩はやるときはやる人です!」

唯「あずにゃん……」

唯「ゆいせんぱい……」

唯「……」

唯「……寂しい」

……



――ファミレス

純「憂は何食べる?」

憂「じゃあハンバーグで」

純「それじゃあ私はカルボナーラで!」

律「やっとデートらしくなってきたな」

澪「ああ」

紬「ここでは別にチャンスはなにもないわね」

梓「そうですね」

純「でさあ、梓がそこでこけちゃってさあ」

憂「そうなんだ」

純「……ところで憂ってエッチしたことある?」

憂「ブフーッ!」


純「うわっ! 大丈夫!?」

律「あの子って頭大丈夫か?」

梓「やっぱり頭のネジ吹っ飛んでますね」

澪「おそろしいな……」

紬(やだ……純ちゃんってばあんなに積極的な子だったの!? 恐ろしい子!)ハアハア

憂「げほっげほっ……い、いきなりなんてこと聞くの!?」

純「気になったから」

憂「え、えっちなんてしたことありません!」

憂(ほんとはお姉ちゃんが寝ているときにしようとしてたなんて口が裂けても言えないよ……)

純「そうなんだ。憂ってばもてそうなのに……」

憂「そ、そんなことないよ……///」

純「いやいや、中学の時だって男子が憂のことエロい目で見てたじゃん」

憂「な、何言ってるの純ちゃん!?」

純「えへへ、冗談冗談」

憂「とにかく、私はそんなことなんてしたことないから!」

純「もったいないなあ……。私が男だったら絶対憂を狙うのに」

憂「じゅ、純ちゃん!?」

純「これも冗談だよ」

憂「も、もう……」

憂(うそつき……本当は私のこと……)

……



――音楽室

唯「はあ……いいなトンちゃんは」

トンちゃん「……」

唯「君は何もしないでいいんだろうけど、私はいずれ社会に出て働かないといけないんだよ」

トンちゃん「……」

唯「そりゃあ、水槽の中で飼い殺しっていうのも苦しいと思う」

唯「でも、働くってことは、少ない賃金に文句も言わずに、その会社の奴隷になるってことなんだよ」

唯「ペットと奴隷……はたしてどっちがいいのかな……?」

トンちゃん「……」


唯「あーあ、なんだかつまんないや……」

唯「誰か来ないのかな」

ガチャン

さわ子「やっほー! ムギちゃんのお菓子が食べたくて休日も来ちゃっ……た……」

唯「あっ! さわちゃん!」

さわ子「あれ? 唯ちゃんだけ?」

唯「そうだよ。みんななぜか来てないの」

さわ子「じゃあ、おいしい紅茶もお菓子もなし?」

唯「チョコボールならあるよ!」

さわ子「はあ……。私、キャラメル味しか食べられないから。じゃあね」

唯「ま、待ってよさわちゃん! いちご味もなかなかいけるよ!」

さわ子「あんたはそこのカメと仲良くしてなさい」

バタン

唯「……」

唯「ほら見た? トンちゃん。奴隷になったらあんな風になるんだよ」

トンちゃん「……」

唯「大人になるっていうことは、華やかであると同時に人間らしさが無くなっていくんだね」

トンちゃん「……」

唯「私もああならないように気をつけないとね」

トンちゃん「……」

……



――公園

純「んふぁああ……つかれた」ノビー

憂「じゃあここらへんで休憩しちゃおっか」

純「さんせーい!」

律「ふむふむ……ここらへんで勝負をしかけたいところですね、紬さん」

紬「そうですね。この機会を逃すと後は難しいですからね~」

梓「さっきのレストランで結構あぶなかったですけどね」

紬「さあ純ちゃん、あなたの力を見せてあげて!」

澪「ムギ! 声が大きいぞ!」

純「今日はありがとね憂」

憂「えっ」

純「ひっさしぶりに憂とこうやって遊ぶことができて楽しかったよ」

憂「あ、うん。こっちこそ楽しかったよ」

純「憂ってば、最初は全然楽しそうじゃなかったからさ。私不安だったんだよ」

憂「ご、ごめんね」

純「いいって。憂を楽しませてあげられて私もうれしいもん」

憂「純ちゃん……」

純「……そういえばさ。憂と私ってどうやって仲良くなったんだっけ」

憂「えっ? 私と純ちゃん?」

純「うん」

憂「うーん……。たしか……」


――中学時代

憂『うぅ……』

憂(周りにあまり知っている人がいない……)

憂(やっぱり新しい環境って慣れないもんだなあ……)

先生『それじゃあ二人で一組のグループを作って』

憂『えっ……』

憂(私、こういうの苦手……)

憂(はっ……このクラス、人数が奇数だから早く組まないと余っちゃうよ)

男子A『組もうぜー』

男子B『いいよー』

憂(ああ、早くしないと……でも……)

トントン

憂『ふえっ?』

純『ねえねえ、まだ組んでないの?』

憂『う、うん』

純『じゃあ私と組もうよ!』

憂『い、いいの?』

純『当たり前じゃん!』

憂『あ、ありがと……』

純『あっ、名前、なんて言うの?』

憂『憂……平沢憂です』

純『ふーん、変った名前だね。私は鈴木純って言うんだ。よろしくね!』

憂『うん、こちらこそよろしくね』

……

憂「純ちゃんがあのとき声をかけてくれたとき、とってもうれしかったなあ」

純「そ、そう? 照れるなあ……」

憂(そうだ……私、純ちゃんに助けてもらってばっかりだった)

憂(いつも一緒で……お姉ちゃん一筋の私を助けてくれてた……)

律「イイハナシダナー」

澪「そうだな」

梓「純ってやっぱいいやつなんですかね」

紬「いいやつよ純ちゃんは! 私が保証する!」


純「あの時の憂は何だか放っておけなかったんだよね」

憂「そうなんだ」

純「うん。しかも何だか頼れそうだったし!」

憂「純ちゃん……」

律「打算的だな」

梓「純はやっぱり純ですね」

憂「でも、純ちゃんがあの時声をかけてくれたから、私は中学校を楽しく過ごせたんだよ」

憂「だから、ありがとね。純ちゃん」ニコッ

純「!///」

律「憂ちゃんのニコッは破壊力抜群だな」

澪「純ちゃんも赤くなっちゃってるし」

紬(これよこれ! 私の求めている世界は!)ハアハア


純「……えへへっ」

憂「? 純ちゃんどうしたの?」

純「な、なんでもないしっ!///」

憂「あっ、もうそろそろ帰らないと……日が暮れちゃうよ」

純「えっ? もうそんな時間!?」

憂「うん。休憩しすぎちゃったね」

純「そ、そっか……」

憂「……」

憂(なんとか終わりそうだけど……なんだろうこの気持ち)

憂(まだ帰りたくないような……純ちゃんとまだいたいような……)



律「あー、もう終わりかあ」

澪「なに残念がってるんだよ。まだ闘いは始まったばっかりじゃないか」

律「すっかり乗り気だなおい」

梓「じゃあ私たちも帰りましょうか」

紬「……! 待って! まだ純ちゃんが何かしそうよ!」

純「憂! もうちょっと時間くれる?」

憂「えっ……!」

憂(ど、どうしたんだろう……ままままさか、告白なのっ!?)

純「あの……その……」モジモジ

律「おいおい、まさかいっちゃうのか!?」

澪「あわわわわわ///」

梓「今いくのはあぶないんじゃ……」

紬「ああんっ! 行けっ! 行くのよ純ちゃんっ!」

梓「ちょっとムギ先輩! 声が大きすぎますって!」


憂(やばいっ! どうしよう……まだ私何も考えてないよ……!)

純「憂っ!」

憂「は、はいぃっ!?」ビク

純「これっ! 受け取って!」

憂「へっ……? これは……髪留め?」

純「そう! 憂ってその黄色いやつばっかしてるじゃん。だから色違いのやついっぱい買ってみたんだ!」

憂「そ、そんな……こんなに悪いよ」

純「いいのいいの! それも記念にもらっといて!」

憂「う、うん……///」

純「それじゃあ私帰るから。また明日!」タタタ

憂「あっ! 純ちゃん!」

律「……行っちゃったな」

澪「はあ……。なんだか疲れた」

梓「あんな終わり方でいいんですかね」

律「まあ純ちゃんもまだ勝負を仕掛けるべきじゃないと思ったんだろう。本番はこれからだろうだな」

紬「ああ……、私、もう死んでもいい……」

梓「まだ告白してませんよ! 帰ってきてください!」

……



――平沢家

ガチャ

憂「た、ただいま」

唯「お、おかえりいぃ……」グスン

憂「ど、どうしたのお姉ちゃん!?」

唯「今日練習に行ったらね、誰も来なかったの~」ウワアアン

憂「そ、そうなんだ」

憂(あれ? 純ちゃんは梓ちゃんが今日は練習だって言ってたのに……なんでだろう?)

憂(まっいいか)

憂「きっとみなさん他の用事があったんだよ」

唯「そうかな……そうだよね!」

憂「元気でた?」

唯「うん! そしておなかすいた!」

憂「待っててね。今作るから」

唯「あーい」


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最終更新:2010年07月04日 01:52