数日後

ブーッブーッ

…メールだ。唯先輩から!
私ははやる気持ちを抑え、メールを見る。
内容は、今度の土曜日に遊園地に行かない?との事。
私は了解の旨を送り、明後日の土曜日の事を考えた。

翌日

唯「おはよう、あずにゃん!」

梓「おはようございます、唯先輩」ペコリ

この人は、今の私の恋人。
今のじゃない。永遠に、かな。
私達が付き合い始めてから唯先輩は何だか大人っぽくなった。
憂から聞いた話によると、私に釣り合うように変わろうとしてくれてるらしい。
なかなか嬉しい事をしてくれる。


でも、釣り合うようにならないといけないのは私の方。
私も唯先輩みたいに温かい人になりたいな…

憂「おはよう、梓ちゃん」フリフリ

梓「憂、おはよう」フリフリ

…憂とはあの日色々あったけど、今でも大事な親友だ。
何かと私と唯先輩の手助けをしてくれるのも憂だ。
憂には本当に感謝しないといけない。

憂「あっ、もう着いちゃった」

梓「行こっか憂。唯先輩、また放課後」フリフリ

唯「うん!二人共また後でね!」



放課後

唯「今日のおやつは何だろな~♪」トコトコ

梓「唯せんぱーい!」タタタッ

唯「あ、あずにゃん!」

梓「一緒に行きましょう?」ギュッ

唯「うん♪」ギュッ

音楽室に行くまでの廊下は、幸いにも人があまり通らない。
だから、たまに会った時は手を繋いで音楽室に向かう。
手を繋ぐだけでも幸せな気分になれる。
これは唯先輩も同じだと思う。

ガチャッ

唯「やっほー!」

梓「皆さんこんにちは」ペコリ

律「あらぁーん、手なんか繋いでどうしたんですかぁ?」ニヤニヤ

澪「茶化すな!」ゴチン

律「…しーましぇん」プクー


紬「はい、お茶とお菓子」コトン

唯「おぉー!今日はチーズケーキ!ありがとうムギちゃん♪」

梓「本当、毎日ありがとうございます」ペコリ

紬「いえいえ~♪」

私達は、この関係を軽音部の皆に話した。
あずにゃんは少し悩んでたみたいだけど、私が軽音部の皆なら大丈夫!って言ったら許してくれた。
あずにゃんが軽音部の皆を信頼してる証拠だろう。
皆からは盛大な祝福を受けた。
何だかくすぐったい気持ちになりながらも、その喜びを噛み締めた。
…軽音部に入って良かった、心の底からそう思う。

梓「どうかしたんですか、唯先輩?」

唯「!」ビクッ

 「ううん、何でもない!」

ちなみに私とあずにゃんの席は隣同士になった。
軽音部の皆が配慮してくれてのことだった。

律「全く~、梓は唯にばっかりベタベタしやがってぇ~!」

 「私も構えー!」ジタバタ

梓「嫌です」

澪(即答!)

律「ひ…ひどいっ…!」シクシク

 「ムギぃ~梓が虐めるぅ~」グスン

紬「あらあら」ナデナデ

澪(私のとこには来ないのか…)ショボン

唯「りっちゃん!澪ちゃんが落ち込んでるよ!」ニヤッ

紬「りっちゃんが私の所に来ちゃったから…」フフッ

律「そうか~、ごめんな澪。寂しい思いさせて」ニヤニヤ

澪「ちっ、違う!///」カアッ

 「全く…練習するぞ!」



帰り道

唯「今日も疲れたね、あずにゃん」トコトコ

梓「そうですね、何せ一週間の終わりの日ですし」テクテク

唯「それもそっか。一週間よく頑張ったね、私!」フンス

梓「当然のことですよ」クスクス

唯「あずにゃんも一週間よく頑張ったね~」ナデナデ

梓「それは…唯先輩にも会えますし…無理してでも来ますよ…///」

唯「嬉しい事言ってくれるね~♪」ギュッ

梓「…唯先輩だから言うんです///」

思わず顔がにやけてしまう。
まさかこんなことを言われるなんて思ってもみなかった。
付き合ってから分かりだしたこと、あずにゃんは意外に甘えん坊だ。
あずにゃんは私を守るって言ってくれたけど、これは私が守んないといけなくなるかも。
そんな事を考えていると、自然に笑みが零れた。

梓「どうしたんですか?」キョト

唯「ううん、何でも♪」

 「あ、もうすぐあずにゃん家だね…」

梓「本当ですね…ではこれで」フリフリ

唯「うん、じゃーね」フリフリ

梓「あっ…」クルッ

 「明日の遊園地、楽しみにしてますね!」

唯「うん!いっぱい遊ぼーね!」



土曜日

今日は初めての遊園地デート。
家族では来たことあるけど、恋人と二人っきりなんて初めてだ。
私は今日のために少しだけメイクを勉強した。
お気に入りの服を着て準備完了。
唯先輩はかわいいって褒めてくれるかな…

駅前

梓「ごめんなさい!遅れちゃいました!」パタパタ

唯「ううん、遅れてないよ。まだ10分前だもん」

まさか唯先輩より遅れちゃうなんて…
唯先輩の変わりようは凄い…
…今度の合宿は集合30分前に来よう。
いや、でも律先輩がいるから…

唯「あずにゃん、すっごく可愛いね!」

 「お洋服も可愛いし、そのメイク凄くかわいい!」

不意討ちだ…
考え事してる時に…
でも嬉しいものは嬉しい。
自然に顔が綻んだ。

梓「あっ…ありがとうございます///」

 「きょ、今日は唯先輩もメイクしてるんですねっ!」

 「凄く似合ってます!」

唯「ありがとう、あずにゃん!」パァッ

 「実はこんな時のためにちょっと勉強してたんだ♪」

梓「ふふっ、考える事が同じですね」ニコッ

唯「私とあずにゃんは繋がってるんだよ!」フンス

梓「…///」

 「そんな事言ってないで早く行きましょう!」テクテク

唯「あぅ~…素っ気ない…」シュン



遊園地

唯「うわー!あの観覧車おっきいね!」キラキラ

梓「そうですね、最後に乗りましょうか」

唯「約束だよ!?」

梓「はいはい」ニコッ

本当、子供みたい。
この人が私より年上だなんて驚きだ。
…私と身長が替わったらそれ相応になるかな。
なんて下らない事を考える。

唯「あずにゃん!あれ乗ろうよ!」グイグイ

梓「そうですね、行きましょう!」ギュッ

唯「…ふふっ♪」ギュッ

今日は目一杯楽しもう。


お昼

唯「ふぅ…ちょっと疲れちゃった」

梓「そうですね…時間も時間ですしお昼にしますか?」

唯「そうだね。何か買いに行こっか」

梓「あの…実は私作ってきたんです」

唯「ほんと!?」

梓「ええ。預かって貰ってるので取ってきますね」テクテク

数分後

ん?唯先輩の周りにいるのは…

男1「ねぇ、いいじゃん」グイグイ

男2「遊び行くだけじゃん」

唯「やめてよ!私はあずにゃんと来てるんだから!離して!」ジタバタ


梓(…やばい!)タタタッ

 「…何してるんですか?」ジッ

唯「あずにゃん!」ホッ

男1「へぇ~、これがあずにゃんか。怖い怖い」ニヤニヤ

男2「可愛くね?一緒に連れてこーぜ」ニヤッ

梓「唯先輩から手を離して下さい」

男1「あ?」

梓「唯先輩からその汚い手を離せって言ったの!」ギロッ

男2「…少し黙らせるか」ポキッ


客1「うわっ…何だよあれ。ヤバくない?」

客2「ナンパ失敗したら殴って連れて行くんだって。だっさ…」クスクス

客3「うわー、気持ち悪い…顔面も気持ち悪い…」

客4「警備員さん、こっちです!あの二人組!」

警備員1「お前らちょっと来い!」

ガシッ

男1「ちょっ、待てよ!ちょっ!」

男2「おい!お前ら全員顔覚えたからな!」

警備員2「うるさい!それとお前臭い!」ドガッ

男2「痛っ!お前も顔覚えたからな!」

警備員2「喋るな臭い!」ドガッ

ギャーギャー


梓「…ごめんなさい唯先輩」

 「私が一緒にいながらこんなことになっちゃうなんて…」シュン

唯「ううん、大丈夫。それに、あずにゃんは私を守ってくれたよ」ニコッ

 「絶対に守ってくれるって本当だね!ありがとう、あずにゃん。かっこ良かった!」ギューッ

梓「…はい」ギュッ

唯先輩は優しい。
この優しさに何度救われただろうか。
泣きそうになるのをぐっと堪える。
だって、私達の約束だから…

梓「…お弁当にしましょうか!」

唯「待ってました!」キラキラ




夕方

梓「すっかり暗くなってきましたね」

唯「あずにゃんあずにゃん!」キラキラ

梓「覚えてますよ」ニコッ

観覧車

唯「うわーっ!凄いね、あずにゃん!」

梓「本当…凄くきれい…」

 「あの…隣に行ってもいいですか?」

唯「うん、おいで」ポンポン

唯先輩が近い…
それもそうだ、今隣に座ったんだし。
色んな事があったけど、今日は楽しかった。
唯先輩も楽しかったかな?

唯「今日は凄く楽しかったや!」

 「それにあずにゃん私を守ってくれたし!」ニコッ

私が丁度思ってた事を…
ふと、唯先輩の言葉を思い出す。

――私とあずにゃんは繋がってるんだよ!

…本当、そうだったりして。

梓「もうすぐ頂上ですね…」

唯「…そうだね」

梓「…」ジッ

唯「…」ジッ

梓「…唯先輩」

唯「なぁに?」

梓「愛してます…///」ギュッ

唯「っ///」カアッ

照れ隠しに抱きついてしまった。
自分の鼓動と唯先輩の鼓動が高鳴るのがわかる。
でも、やっと二人きりの時に言えた。


唯「…私もあずにゃんの事愛してるよ///」ギュッ

梓「っ!///」

…初めて愛してるだなんて言われた。
それも、最愛の人に。
嬉しくて涙が出そうだった。
二人の体温が上がっていくのが分かる。
…私達が繋がってるなら、唯先輩は私の考えてる事わかるのかな

梓「…唯先輩」ジッ

唯「ん…」パチ

唯梓「…」チュッ

…初めてのキスは甘酸っぱいなんて言うけど、味はしなかった。
でも、唯先輩の体温が唇越しに伝わった。
その柔らかい唇から、唯先輩の優しさが伝わってくるような感じがした。
とても優しくて甘いキスだった。
…このキスで、私達は繋がってるんだと確信した。



帰り道

唯「今日は楽しかった~♪」トコトコ

梓「そうですね。またどこか行きましょうか」テクテク

唯「今度は水族館なんてどうかな?」

梓「いいですね!行きましょう、絶対!」キラキラ

唯「うん、行こう!約束するよ」ニコッ

梓「あっ…もう家だ…」

唯「早かったね。楽しい時間は何とやら」

梓「…唯先輩、ギュッてしてくれませんか?」

唯「しょうがないなぁ、あずにゃんは」ギューッ

梓「…少し、このままでいさせてください」ギュッ

…本当はキスが良かった。
唯先輩に近付ける気がするから。
でも、私はキスを大切にしていきたい。
何度もキスをすると、キスのありがたみがなくなるから。
今日の私達の気持ちを踏み躙ってしまいそうで…


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最終更新:2010年07月07日 23:45