19時、学校

唯「結局ここにきちゃった…暗くなってきたし、どこで寝ようかな」

唯(またりっちゃん家に…でもそれじゃダメだよね…)

グウウウウウウ

唯「うぅ…またお腹空いちゃったよぉ…どうしよう…」


さわ子「あら?そこにいるのは…唯ちゃん?」

唯「さわちゃん…」

さわ子「どしたのこんな時間に?」

唯「あ、えっと…私、その…」

さわ子「はっは~ん…さては…お金がなくなったのね!」

唯「え?」

さわ子「唯ちゃんは憂ちゃんにお使いを頼まれたけど、
 りっちゃんたちと遊んでてついつい使い果たしちゃった…それで私を頼ってきたのね!」

唯「ち、違うよう…」

さわ子「遠慮しないの!私だって教師!教え子が困ってるとあっちゃほっとけないわ!」ゴソゴソ

唯(あ、でも、夕飯くらいならごちそうしてくれるかも…)

さわ子「はい500円」


さわ子「今金欠だけど、奮発しちゃう!これでお使いいきなさい!」

唯「あ、ありがとさわちゃん…」

唯「…結局さわちゃん、飲み会だって帰っちゃった…金欠なのに…
 でも500円あればハンバーガーくらいなら…」

チャリン!

唯「あ!落としちゃっ…」

コロコロ…ポチャン

唯「ド、ドブに…うう、私…なんでこんなドジなの…?」

ポッポッ…ザアアアアアア

唯「わっ雨だ…濡れちゃう!どっかで雨宿りしなきゃ!」

唯(うう…とりあえずあの木の下でいいや…)

唯「へ…へっきし!さ、寒いい…」

ザアアアアアアアアア…ピカッゴロゴロ…


唯「へっきし!ズズー…雷まで鳴ってきた…」

唯「うう…寒いしお腹空いたし、なんかボーッとしてきた…へっきし!」

唯(今頃憂は…お母さんとお父さんで焼き肉してるのかなあ…おいしいかなあ…)

唯「…くしょん!ズズー…うぅ…うぇぇ…うい~…」

唯(あ…また憂を頼っちゃった…私ダメなお姉ちゃんだなあ…ホントに…)



……

澪「うう…雨強くなってきたな…梓早く帰ろう」

梓「だ、だから手を握るのやめてください!恥ずかしいです!」

澪「そ、そんなこと言わずに…ってあれ?なあ梓、あの公園の木の下…なんか見えないか?」

梓「え?どうせ犬とかじゃないですか?…あ、あれ…もしかして…」

澪「ゆ…唯!?」

澪「おい唯!どうしたんだこんなところで!」

梓「びしょ濡れじゃないですか!顔も真っ赤だし…しっかりしてください!」

唯「だれ…?あ、うい…ごめんね…?わたしダメダメなお姉ちゃんで…」

澪「何言ってるんだ唯!?」

梓「唯先輩…」

唯「でもね…私どんなに嫌われてもやっぱり憂のこと…だい…す…」ドサッ

澪「おい唯!?」





律の家

バタァン!

紬「ゆ、ゆ、唯ちゃんがし、し…死んじゃ…」

律「唯は大丈夫だムギ、来てくれてありがとな」

澪「悪かったな律、あの公園からだと一番近かったから…」

律「いやそれはいいんだけど…でも唯、なんでこんなになるまで…」

唯「ハァ、ハァ…う、ういぃ…」

梓「ホントに憂に連絡しなくていいんですか?先輩」

律「ああ…なんていうか、このまま帰っても唯と憂ちゃんは仲直りできないと思う」

澪「でも姉妹なんだぞ?私たちは首突っ込むべきじゃないだろ?」

律「確かにそうだけど…今唯が帰ったら憂ちゃんは絶対自分を責めるぞ?」

澪「あ…」

律「話し合いとかするなら、今は唯を帰すべきじゃない…って私は思うんだな!うん」

紬「りっちゃん…確かにそうね」

梓「…なんか律先輩らしくないです」

律「梓…素直に褒めたらどうだ!」

唯「う…うう…あれ?ここ…」

紬「唯ちゃん!大丈夫?」

澪「唯、お前雨の中でずぶ濡れだったんだぞ?私たちが見つけなかったらどうなってたか…」

唯「あ…そっか、私…」

唯「ごめんね皆…私もう行くよ」

澪「ちょっと待て!そんな体で動いちゃダメだ!」

律「なあ唯、なんで一人でうろついてたんだよ?なんで私たちに相談しないんだよ?」

唯「う…だって…」

紬「私たち、親友じゃない!」

梓「私だって…唯先輩に何かあったら困ります!」

唯「ムギちゃん…あずにゃん…」

唯「だ、だって私…ダメなんだよ…皆に頼ってばかりじゃ…」

澪「そんなこと…」

唯「憂に言われたの…私は皆に頼らなきゃ何もできないって…」

律「唯…そうだったのか…」

唯「だから…私、決めたの…何でも自分で頑張らなきゃって…」

紬「唯ちゃん…グスン…」

律「唯!」

唯「なに?りっちゃ…」

ゴチン!

唯「いたっ…」

梓「お、おでこで…」

律「バカ!お前何勘違いしてるんだ?」

唯「か、勘違い…?」

律「私たちは全員一緒だろ?お互い頼らなきゃ何もできないだろ!」

澪「私も律も、ムギも梓も…さわ子先生だって一人だけじゃ何も楽しくなんてないよ」

紬「お互いに頼って、頼られるのが本当の友達でしょ?」

梓「私だって…一人だけで何でもできるほど出来た人間じゃありません」

唯「皆…」

梓「だ、だから先輩も…もっと仲間を頼ってください」

唯「ありがとあずにゃ~ん!ちゅ~!」

梓「ちょ…風邪がうつっちゃいます!」

澪「やっと笑ったな、唯」

紬「やっぱり唯ちゃんには笑顔が似合うわね!」

律「ああ…しっかり治して、後は憂ちゃんと仲直りするだけだな」

紬「じゃあもう遅いし、私たちはそろそろ…」

唯「えー…皆泊まっていきなよう…明日日曜日だし」

澪「無理いうなよ、こんな狭い部屋じゃ5人も寝られないだろ?」

律「狭いとか言うな失礼だな!」

梓「それじゃ先輩、お大事に…また明日来ますね」

唯「うん~皆ありがとうっ!」

律「唯、汗かいたみたいだな…着替えるか」

唯「りっちゃん、色々服借りてごめんねえ」

律「何言ってんだよ水くさいなあ~じゃあタオルお湯に浸してくるから服脱いで待ってろ」

唯「うん…ありがとりっちゃん!」

聡「姉ちゃんのヤツ、リビングに携帯置きっぱなしじゃん…しょうがないなあ」

ガチャ

聡「おい姉ちゃん!」

唯「ふえ?」

聡「……」

唯「ふう…どしたの聡くん?」

聡「あ…う…その…」

唯「私、ちょっと風邪引いちゃって汗かいちゃったの…」

聡「そ…」

聡「し、しし失礼…」

唯「私ねえ、まだ妹と仲直りできないんだあ…
聡くんにアドバイスもらったのに…う…」

聡「え…?」

唯「ういぃ…う…う…うぇ…」

聡「あ、あああのちょっと…」



律「悪い唯おそくな…」

律「……」

聡「ね、ねね姉ちゃん!?」

律「おめえ…唯になにした…?」

聡「ち、ちが!あ、やべ…べ、別になにも!」

律「でてけこのエロ弟があ!」ガツン!

聡「いってー!」

唯「あはは…りっちゃんたち、仲良しだねえ♪」

唯(明日こそ…憂と仲直りしなきゃ!)



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最終更新:2010年07月03日 04:59