駅前

澪「なぁあれ……」

律「ん……? おーい、憂ちゃーん!」

憂「あ、律さんに澪さん、こんにちは」

澪「一人? 唯は……って聞くまでもないか」

律「日曜だし暑いし、ゴロゴロ転がってるんだろ」

憂「当たらずとも遠からずです、お二人は?」

律「澪が買い物付き合えってうるさくてさー、一人じゃ怖いからって」

澪「そんな言い方はしてない」

律「憂ちゃん暇だったら一緒に行く? 憂ちゃんがいたら澪もあんまり私をボコボコにしないと思うしさ」

澪「お前は私を何だと思ってるんだよ」



三時間後

律「あっちぃ~」

澪「夏だから仕方ないだろ」

律「黒のロングヘアーでよく平気だな」

澪「慣れればね」

憂「……」ニコニコ

澪(どうでもいいけど憂ちゃんの私服って変に露出高いなぁ)

律「どっか涼しい所入ろうよ」

憂「喫茶店でも行きますか?」

律「それも良いけど……カラオケいきたい」

澪「あー、しばらく行ってないな」

律「これ以上こんな暑さのせいで誰かに泣いて欲しくない! だから聴いて下さい、私の歌!」チラッ

憂「い、良いですよ」

律「うっしゃー! どうせならムギと梓も呼ぶか」カチカチ

憂「あ、じゃあお姉ちゃんも連れてきますね」

律「頼んだー」

澪「呼ぶんじゃなくて、連れてくるってのが凄いよね」

三十分後

紬「皆でカラオケなんてワクワクするわね」

梓「休日までこのメンバーですか」

律「文句言いつつも来ちゃうのが義理固い」

唯「……」ガタガタ

澪「唯?」

憂「昨日怖い映画観たみたいで……」

律「あ、貸してやったthe・nextか」

唯「わ、わわわ私絶対ヘッドホンしないからね」

梓「カラオケでそんなのつけてる人いないですよ」


カラオケ

唯「最初に誰か入れるまでって微妙な空気が流れるよね~」

澪「わかる」

梓「この番号を入力して、このボタンを押すんです」

紬「なるほど」

憂(来たのは良いけど、何歌おうかな……)

憂(最近の歌って実はあんまり知らないんだよね)ペラペラ

憂(特撮……いやいや、さすがにないよ)

憂(私しか解らないだろうし)

律「誰も入れないなら入れるぞー」ピピピ

~~~♪

律「迫るーショッカー♪ 地獄のぐーんだーん♪」

梓「さすが部長は格が違った」

紬「誰の曲?」

憂「おそらく……仮面ライダーというヒーロー番組の曲です」

紬「そうなんだ」

澪「お前空気読めよ」

律「空気ってのは読むもんじゃなくて作るもの」

梓「キリッ」

律「お金払ってるんだから好きな歌を歌えばいいんだよ」

唯「おおー、格好良い!」

憂「……」

憂「つ、次、私入れても良いですか?」

律「オフコース」


憂(そうだよ、恥ずかしがったり隠したりしなくて良いんだ)

憂(好きなものを好きと言わなきゃ!)

憂「……」ピピピ

~~~♪

憂「静かな朝焼けが大地を包んでいく♪ いつもと、変わらぬ夜明け♪」

憂「見えない今日の風に、立ち向かっていくよ♪ いつまでも守りたい、その微笑みを♪」

憂「ガナティガ、テイミーテイクミーハイヤー♪ 光る瞳を信じて……♪」

澪(え、え?)

唯(憂はウルトラマン大好きなんだよー)

梓(あ、ちゃんと言ったんですね。偉い偉い)

紬(楽しそうだし良いんじゃないかしら)

律(そうだそうだ! 皆も自分の趣味を隠さなくていいんだぞ!)

唯「んー、いやー、歌ったねー」

澪「あ、ああ、そうだな」

梓(澪先輩がポーニョポニョポニョ言い出した時は笑い死ぬかと思った)

紬「また誘ってね、りっちゃん」

律「この街では小さな幸せも、大きな不幸も私が運んでくる……」

唯「サイクロン」

律「ジョーカー」

紬「?」

梓「無視して良いと思います」


澪「でも憂ちゃんが特撮好きだったなんて意外」

憂「えへへ……にわかですけど」

紬「何でも最初はにわかよ」

律「そーそー、気にする事ないって」

憂「はい!」

梓「あ」

憂「あれは……」



子ども2「あれって憂姉ちゃんの友達かな?」

子ども1「多分な」

子ども2「レベル高過ぎだろ」



平沢家

唯「たっだいまー!」

憂「ただいま」

平沢父「おかえり。憂に荷物が届いてたぞ、部屋に置いておいた」

憂「うん、ありがとうお父さん」

唯「お菓子?」ジュルリ

憂「残念ながら違うよー」

唯「ちぇー」

平沢母「今日の夕飯はキムチ鍋よ」

唯「おかしい、今は夏のはずだ」



憂の部屋

憂「……」ガサゴソ

憂「えへへ……買っちゃった……」

憂「ウルトラマン秘密大図鑑……ネットの力は偉大だね」

憂「足型まで載ってる凄い本だ」

憂「でも怪獣の内臓って……どうやって調べたんだろ?」

憂「へぇ、やっぱりゾフィー兄さんが一番強いんだね」

憂「メビウスのページは……ネタバレになるから今度読もうっと」

憂「ネクサスの続き観ないと」

憂「明日は月曜日だから、ちょっとだけ」


憐『俺は千樹憐、よろしくな』

弧門『彼が新しいデュナミストなのか……?』

憂「姫矢さんとは違うタイプだ」

ネクサス『シェアッ!』

憂「速い!青い!強い!」

瑞緒『私はメモリーポリスの……わあ!』

憂「お姉ちゃんみたいな人」クスクス

憂「大人の姫矢さんと違って明るい感じだなぁ」

憂「まさに後ろなんか見ずに走り続けてるようだよ」

イラストレーター『彼の命は長くはない』

憂「……え?」

憐『プロメテの子だから……仕方ない』

凪『だからあんな無謀な戦い方を?』

瑞生『憐……』

憂「そんな……どうにかならないの……?」

溝呂木『俺は……』

憂「またこの人!」ムカムカ

メフィストツヴァイ『ジャッ!』

メフィスト『……』

ネクサス『シェアッ!』

憂「一緒に戦っても……許してあげないもん……」

イラストレーター『アンノウンハンドの正体が解れば……』

憂「イラストレーターと一緒にいるおじさんが怪しい」

憐『はぁ、はぁっ……!』

瑞生『憐!』

憂「デュナミストは……消えなきゃいけないの?」

憂「17歳で死んじゃう運命……」

憂「今死ねって言われたら私……」

憂「梓ちゃん……お姉ちゃん達ともお別れなんだね」

憂「私は、嫌、だな」

弧門『ラファエルが間に合うかもしれない!』

憂「むー……ところで弧門くんは最後まで変身しないのかな?」

凪『生きなさい!』

憐『……!』

ネクサス『シュワ!』

弧門『……』

憂「ナイトレイダーとネクサスが、街を守るために!」

イズマエル『オオオオオ!!』

和倉『今までのビーストが合体しているのか!』

憂「ええ!?そんなのどうやって……」

瑞生『憐……生きて帰ってきて』

憂「……」ドキドキ

憐『うおーー!!』

ネクサス『シュゥワ!』

憂「頑張って……憐くん!」ギュウ

イズマエル『……』チュドーン!

憐『……へへ』

憂「良かった……本当に……良かった」グス

憂「あれ?次で最終回?」

憂「ちゃんと終わるのかなぁ?まだアンノウンハンドの正体も解らないのに」

憂「観てのお楽しみだね」

石堀『ご苦労……復活の準備は整った』

憂「……え?」

憂「こ、この人がアンノウンハンドだったの!?」

憂「解るわけないよそんなの……」

凪『全部お前が!』

弧門『ダメです副隊長!』

憂「ああ!光がとられちゃった!」ハラハラ

石堀『ふははははは!』

ダークザギ『フシュウゥゥゥ……』

イラストレーター『世界の終わりだ……』

憂「ウルトラマンももういない……」




あきらめるな!!


憂「!!」

弧門『副隊長、あなたの厳しさが僕に勇気を与えてくれた』

弧門『だからあなたも……あきらめるな!!』

憂「弧門くん!」

和倉『ナイトレイダー……出動!!』

憂「一人で……凄い……」
憂「でもストライクチェスターだけじゃあいつには勝てないよ!」

憂「ウルトラマンがいないと……」

凪『……』コクリ

弧門『絆……ネクサス!』

憂「あぁ……ついに、ついにこの時が!」

イラストレーター『もしもこの戦いで、ウルトラマンが勝利するなら、運命を……変えられるかもしれない!』


民衆『あれは……』

ネクサス『デアッ!』

ダークザギ『ハアァ……』

憂「黒いのが強すぎるよ!」

姫矢『立て弧門!何度倒れても立ち上がるお前の姿に、俺も勇気をもらった』

ネクサス『シェアッ!』

憂「ジュネッス……」

憐『負けるな弧門!お前のお陰で、俺も最後まで戦えた……ウルトラマンとして』

ネクサス『ヘアッ!』

憂「ジュネッスブルー!」

ダークザギ『ハアッ!』

和倉『イズマエルを倒した技も効かないのか……!』

凪『いいえ、ウルトラマンは負けません』

民衆『ウルトラマンは……俺達を守ってくれてるのか?』

民衆『思い出した……』

少年『そうだよ……前にも新宿で、悪い怪獣をやっつけてくれたもん!』

主婦『私も……守ってもらった』

民衆『俺も……俺もだ!』

首藤『……』

憂「……」ポロポロ

少年『ウルトラマン……頑張れぇぇぇぇっ!!』

ネクサス『ハアァ……!』

ノア『……』

ダークザギ『ノアァ……』

憂「あれが……ネクサス?」

ノア『フンッ!』

憂「宇宙まで吹っ飛ばした!?」

ノア『フン! ハアァッ! ジェアッ!』

憂「地球から狙い撃ち!?さ、最強のウルトラマンだ……!」ドキドキ

ダークザギ『……!』

理子『弧門くんは……皆を守る人になるんだね』

ノア『……』

憂「うぅ……ぐすっ……ひぐ……」

弧門『僕達は生きる。どんな困難な運命が待っていようと』

弧門『昨日まで信じていた世界が崩れ去ろうとも』

弧門『あきらめるな!!』

憂「ただそれだけ、出来れば、英雄さ……」

憂「よくわかった……」

憂「全てはこの最終回のためにあったんだ」

憂「ネクサスがノアになった時……あれで今までの戦いが無駄じゃなくなったんだ」

憂「絆……ネクサス」

憂「はぁ……最初は怖かったけど、面白かった」


チュンチュン

憂「朝だ……まるで朝日もノアの勝利を祝福してるみたい」

憂「ん~、いい天気」

憂「……」

憂「……眠い」




昼休み

憂「……」スヤスヤ

純「完全に死んでるね」

梓「試してみよう」ツンツン

憂「……」

純「ピクリともしない」

梓「てい!」バシッ

憂「……」

純「効果無し……スカートでもめくってみる?」

梓「なんでそうなるのよ」

純「…………あ、ウルトラマン」

憂「ふえっ!?」ガバッ

純「いるわけないでしょ」

憂「う~~純ちゃんの溝呂木!」

梓「なにそれ?」


7
最終更新:2010年07月10日 14:24