ダイニングテーブルに座っててと促される。
いひひひひひひー。
澪の手料理、まずいんだよなー。そこが可愛いよなー。

澪「今日は時間なかったから大したもの作れなかったけど…」

エプロンしてる。裸エプロン!あ、服着てた…

律「チャーハン?」

澪「うん炒めただけ」

お皿が食卓にのって、澪が私の前の席に座った。

律「おいしそうじゃん!いただきまーす!」

澪「……」ドキドキ

律「た、食べれる!!」

普通のチャーハンだった。食べれる。幸せ。

澪「ねぇねぇ律」

律「何?」

澪がレンゲにチャーハン乗っけて差し出してきた。

澪「はい、あーん。」


え、これってあの、あーん、ですか?
ふぅふぅ熱いわよ、あーん、の、あーん、ですか?

澪ちゃんすっごいにこにこしてる。いただいちゃうよー。ぱくっ。

律「おいひぃです」モグモグ

澪「よかった」ニコニコ


全部食べた。おかわりもした。余は満足じゃー。

澪「じゃぁ片付けるね」

律「あ、私が洗う」

澪「いいよ。お客さんだし」

律「いいのいいの。りっちゃんに任せなさい!」

澪「ありがとー」

二人でキッチンにお皿運んで、私が洗った。
澪は私の隣でおしゃべりしてた。楽しそう。可愛い。

澪「なんか新婚さんみたいだねー」

律「そうだねっ、ハニー」キリッ

澪「ダーリン」ニコニコ

押し倒す5秒前。


4、3、2、

澪「私ねしたいこといっぱいあるんだ」

律「何何?」

澪「2人で海行ってね遊ぶの」

澪はいっぱい喋った。
旅行行きたい。おいしいもの食べたい。遊園地行きたい。花火したい。制服で寄り道したい。
それらは今まで二人でしてきたことだった、友達としてね。

だけど澪にとっては違うんだろうな。
恋人として、また二人でいろんなことしたいんだろうな。
澪はメルヘンだから、何でもない事でも、恋人したいんだろうな。

澪「だから、律のしたいことも言ってね」


映画館での出来事がリフレインする。
「教えて、律のしたいこと」、ってそういう意味だったのか。
澪とセックスして舞い上がって、恋人とかそういうの考えてなかったかも。
告白も最中だったし。
澪が可愛いくて、もっと知りたかっただけなんだ。
澪、ごめんね。大好きだよ。私の恋人になってくれるかな。

律「んー。一つだけ言ってもいい?」

澪「なになに?」

律「もう一度告白がしたいです」

澪「え?」

水を止めて、澪のほうに向く。
顔が熱い。

律「澪が好きだ。私と付き合ってください!」


言っちゃったー。
ちょっと1人で暴走しすぎたかも。
見てられなくて、顔下向けて目瞑った。
あぁあああ、逃げ出したいよー。




澪「…律」

律「……」

澪「……よろしくお願いします」

顔をあげたら澪が笑ってた。泣きそうな顔で笑ってた。

律「よかったー…」

私はへなへなと座り込んだ。
澪もニコニコしながら私の前に座る。

澪「突然、どうしたの?」

律「告白したのあの状況だったし、もう一度真剣にしたかった」

澪「ありがとう。嬉しい」

澪がギュってしてくれた。


律「これから二人でいろんなことしよう」

澪「うん…」

律「澪と一緒だと楽しいんだ」

澪「う、ん…」

律「澪の傍にずっといたいんだ」

澪「……」

律「泣くなよー」

澪「だって律が、律が…」

律「私が?」

澪「大好き」

というわけで盛りっさんはイケメンりっさんに進化した!!
セックスだけが全てじゃないよね。
セックスもキスも手つなぐのもご飯食べるのもお皿洗うのも、澪だからいいんだよ。
澪が良いんだ。

今は二人でテレビ見て笑ってる。すごい幸せwww




2年生のときにもけいおんの皆で初詣行ったんだ。
その時も澪は晴着で可愛かったんだよ。
でも、私もいつものノリがあるからさ、ちょっと茶化して。
澪はぷりぷりしてたけど、それがいつもの空気ってゆうか、居心地がよかったんだよね。



地元の人たちはみんなそこに初詣行くから、知り合いもちらほらいたんだ。
高校の子と会って盛り上がって、澪有名だから一緒に写真撮ったりなんてしてさww
澪のクラスの子紹介したり、私のクラスの子紹介したり、なんでか知らんけどその日はやけに交流が広まった。
普段クラスにいる澪のこと知らなかった。
だから澪が、すごいギャルメイクの子と笑ったり、大人しそうな子に崇拝されてるの知ってびっくりした。
あぁ澪も私の知らないところで楽しんでるんだな、って思ったんだ。


寂しいなーって思った。
でも、澪とこのままずっと一緒にいるわけではないって頭のどこかで思ってた。
澪は頭いいから大学は別々だと思うし、職場が一緒になるなんてこともない。
そのうち引っ越して連絡とれなくなるのかな?なんか嫌だなー…

ちょっと暗い気分になった時、中学時代の男友達を見つけた。
中学の時はすごい仲が良くて、だけど高校になってから全く連絡を取らなくなった。
ちょっと世間話した。久しぶりに会った友達がなんか遠く感じた。
澪ともこういう感じになるのかな?
同窓会で「久しぶり」って言って手をとって笑うのかな?


澪「律―?」

その友達と話すために、少し皆と離れてたから、心配して澪が声掛けてくれた。

男「秋山?」

澪「あ、偶然だね。この前はありがとう」

男「あぁ。しっかり帰れたか?夜道暗くて泣いたりしなかったか?」

澪「するかっ」プリプリ

友達と澪が笑ってた。
二人とも近かったはずなのに、いつのまにか遠く感じた。
それなのに二人の距離は近く感じた。
友達が今いるポジションは、私が居心地がよいと感じた場所だった。


私の知らない子と仲良くするのは良い。
私の知ってる子と私の知らないところで仲良くするのは嫌。
わけわかんないと思うけど、なんか漠然と思ったんだ。

この前ってなんだよ?
なんでこの二人が仲良いこと知らないの?
中学の時もそんなに仲良かったわけではないのに。

澪のことを全て知りたい。
澪を私のものにしたい。
澪と離れたくない。

醜い嫉妬心だけど、私はそこで初めて澪に対する感情に気付いた。


まぁそういうことがあって意識するようになった。
その日私はご機嫌斜めで澪とけんかした。
内容は覚えてない!


……

律「なんであの二人も一緒なんだよ」

澪「皆で勉強したほうが楽しいだろ?」

律「そうだけどー」

澪「保健体育のときみたいになったら困るし」

律「私にも理性があります!野獣みたいに言わないで下さるかしら!」プンプン

澪「いや、私が抑えられるか分からないから」


うはwwwwwwwwwww
澪さんったら過激wwwwwwwwww


律「ねぇ澪?」

澪「なんだ?分からないところあったか?」

律「澪の…」

澪「何?」

律「やっぱいい…」

澪「どうした?」

澪が私の顔を覗き込んだ。
その後手元を覗いた。
やばいと思って隠しても、遅かった。

澪「全然進んでないじゃないか!」

律「え、あの、それは…」

唯「怒られたね、りっちゃん!!」

澪「唯も同じようなものだぞ」

紬「少し休憩しましょうか」

律「賛成!!!」

唯「ケーキケーキ!」

澪「ふぅ…まったく…」

ムギがお茶の準備をしてくれる。
私たちはテーブルの上のお片づけ。

唯「ふぅ肩凝っちゃったよー」

澪「どれどれ?」

澪が唯の背中に回り込んで肩に触れる。
なんかジェラシーだ。
唯と触れてるだけでも嫌な感情はふつふつと湧きあがるのに。
澪が他の奴とキスしてたのが分かったら私はどうなるか分からない。


澪「お客さん凝ってますねー」

唯「きつめに頼むよ」

澪「こうですかー?」

唯「あぁ…!そこ…気持ちいい…」

澪「ここはどうだ?」

唯「はぁっ…さ、い、こ、う…」

律「……」

唯「澪ちゃんの肩ももんであげるね」

律「澪のは私がやってあげるよ」

唯と澪が並ぶ後ろにつく。

澪「ありがと」

3人並んで肩もみタイム。
普通に仲良ししてたらいけないよね。お前らの気持ちは十分に分かってるからwww
澪の肩を揉むふりしながら、鎖骨とか首筋とか撫でた。

澪「ゆっゆい、どうだ?」

唯「へへ~癒されるよ~」

律「澪は?気持ちいい?」

澪「…気持ちいいよ」

澪の体がちょっと震えているの見て満足した。


紬「あら、楽しそう」

ムギがキッチンから戻ってきた。
やばっ。ばれてないよな?
ムギはにこにこ笑ってた。読めない…

紬「私も混ぜてー」

唯「じゃぁ今度は逆向きにしようよ」

私が一番先頭で次が澪、唯、ムギの順で並んだ。
澪、どんとこい!
澪の手が肩に触れた。あぁぁんっ!!

律「いってーーーーー!!!」

澪が笑ってる。目は座ってますが。こえぇよ。

澪「ちょっと強かったかな?」

律「い、いえ…」グスン

ムギの淹れてくれたお茶は相変わらず美味しかった。

唯「準備室じゃなくてもティータイムは健在だね」

律「これがなきゃやる気が出ない!」

澪「じゃぁしっかり勉強しようね二人とも」

唯「りりっりっちゃん澪ちゃんなんか怖い」

律「いつも怖いが今日はさらに怖い」

紬「私、友達の家で勉強会するの夢だったのー」

澪「1年の時は唯の追試教えるだけだったもんな」

紬「こういうときって、勉強しなきゃいけないけど、話が膨らんじゃうのよね」

律「そうそう」

紬「例えば、恋の話とか!」


唯「恋バナ恋バナ!」

律「軽音部でそういう話したこと無いよなー」

ムギ、ナイスwww
もしやvipみてんのか???

律「ねぇ皆は、初キスっていつ?」


唯「澪ちゃんってなんか進んでそう」

澪「な、何言ってんだよ唯!」

紬「唯ちゃん、澪ちゃんにもいろいろあるのよ」

澪「いろいろってなんだ!」

律「いろいろ、ないの?」

澪と眼があった。
困ってる。
澪はこういうこと皆に言いたくないだろう。
それに私の意思を聞く前に余計なことは言わないはずだ。澪ってそういう奴だから。

私の意思を汲み取ろうと、必死に見つめてくる。
分かるわけないよ。
私にもわからないんだから。


澪「……あるよ」

唯「わー。すごーいねぇねぇ初キスはいつだったの?」

言うな言うな言うな。聴きたくないよ。

澪「はじめては…」

律「わたし、ちょっとトイレ!」

臆病者wwwwwwwwwwww


唯「へぇーそうなんだーへへへっ」

澪「もう、いいだろっ」

澪顔赤い。もう言ったのだろうか。どうだったのだろうか。
聴きたくないのに、気になる。

紬「あ、りっちゃん」

唯「あのね、りっちゃん」

澪「唯!言ったら勉強するって言っただろ!片付けるぞ」

澪が大きな声出した。ちょっとびっくりした。
隠さなきゃいけない事でもあるのかな。

唯「ぶぅー」

膨れる唯をムギがなだめている。
澪はティーセットをお盆に載せて片付けを始めていた。

澪「律、片付け手伝って」


かちゃかちゃじゃーじゃー。
お皿を洗う音と水の音だけが響く。
なんか、気まずい。
革新的なことを聞いたわけでもないけどね。

澪「律」

沈黙を破ったのは澪だった。
いつもの声色じゃないような気がして、怖くなった。

律「やだ!」

澪「律、律…落ち着いて」

律「ヤダよ…」

座り込んだ私を澪はギュっとしてくれた。
昨日と同じ場所、昨日と同じシチュエーションなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
昨日は、確かに幸せだった。

澪「律、ごめんね…」


私、今、謝られた?
それが示唆することなんて、いくら馬鹿な私でも分かるんだよ。

律「澪は、澪だから…けど…」

澪「今は律しか見てない」

今までずっと一緒にいたのに、一瞬だけでも、澪の中に私がいない時があったんだね。
澪が昔誰かとキスしたことよりも、そっちのほうが悲しかった。

澪「律…キスしてもいい?」

私はこの時どう答えればよかったんだろう?

律「…ごめん」



澪の中から抜け出して、立ちあがった。

澪「…律、律!待って!行かないで!」

澪が私に縋りつく。なんか必死だった。
冷静な私は、澪の行動がおかしかった。

いつも喧嘩しても澪がこんなになる姿を見たことがない。
お互い意地張って口きかなくなるけど、いつの間にか仲直りしてる。
自分の感情を隠す澪が、こんなにまで私を求めていた。
なんでこんな私にそこまで必死になるんだよ…

律「澪が泣いたら私が悪いみたいじゃん」

澪「律は悪くない」

澪が涙ふいて、私の手とって、抱きしめられた。
澪から感じる体温は相変わらず暖かった。


澪「私が悪い。許して、とか勝手だと思ってる」

律「そうだよ。澪は勝手だよ」

澪「律のことになると、いつも私は自分勝手になるんだ」


7
最終更新:2010年07月12日 21:33