部室


ガチャ

律「ちーす」バタンッ

梓「お疲れ様です」

律「うをっ!?」

唯「りっちゃん遅いよー」

律「な、なんだこれ。ハイセンス過ぎるだろ」

澪「なんでもIFの装置らしい」

律「えーと、はい?」

梓「律先輩が珍しく呆れてますね」

澪「さすがの律でもいきなりは信じない、か」

唯「試してみるのが一番だよ!」

律「待て、何?このわけのわからん帽子がIFの装置?帽子っていうよりヘルメットか」

唯「どっちでもいいよ!」

紬「そうよ。ほら、百聞は一見に如かずよ」トンッ

律「わわ、押すなよ!?」

紬「はい、これ被ってね。・・・それじゃどんな世界に行きたい?」

律「え、え?」カポッ

紬「特にないならこっちで決めるわね」

律「待て待て待て」

澪「練習までには帰ってこいよー?」

律「いや、だからこれなんだよ!?」

紬「それじゃいくわよー!」

ヴィーン・・・!

律「頭についてる機械が熱いぞ!?」

梓「それは頑張ってください」

律「いや、頑張るって何を!?」

紬「りっちゃん、強く思う気持ちをそのまま口にして!出来るだけ大きな声で!」

律「へ!?」

唯「りっちゃん!早く!!」

律「あーもう・・・ふざっけんなぁぁぁ!!!」


プシュン


梓「わー!今回も成功ですね!」

紬「そうね。まだ開発段階だから、本人の強い意思を補助パワーとして必要としてるけど・・・」

澪「そんなことよりさ」

梓「それくらいいいじゃないですか!IFの世界に飛び立つための儀式として定着させちゃえばいいんですよ」

紬「うーん、でもねぇ・・・」

梓「何か問題でも?」

紬「装置をつけてる人の気持ちの強さ次第では大変なことになるらしいの」

澪「おーい」

梓「大変なこと?」

紬「うん。帽子を被っていない周りのみんなも巻き込んでIFの世界にワープしちゃったり」

梓「それは困りますね」

澪「なぁ、その話なんだけど・・・」

紬「あ、ごめんなさい!どうしたの?」

澪「うん、今まさにその状況みたいだぞ?」

梓紬「へ?」

澪「唯がいない」

梓紬「あ゛・・・」





律「いってー・・・」

唯「りっちゃん!大丈夫!?」

律「唯!?」

唯「そこから降りれそう?」

律「え?降りるって?・・・って、はい!?」

唯「暴れたら危ないよー」

律「なんで私だけ木に引っかかってるんだよ!?」

唯「しばらくその状態で気失ってたみたいだよー?」

律「我ながらなんて器用なんだ・・・唯は平気だったのか?」

唯「うん、私は目が覚めたら草の上だったから平気だったよ」

律「そっか・・・よっと」ヒュッ

唯「りっちゃん!?」

律「っと!」ストン

唯「おぉー!10点満点でございます!」

律「へへーん、だろー?」

唯「かっこいい!私もやりたい」ダッ

律「待て」ガシッ

唯「ちぇー」

律「それよりも・・・なんでそんな恰好してるんだ?」

唯「りっちゃんこそー」

律「町娘みたいだぞ?」

唯「りっちゃんはお侍さんみたいだよ?」

律「へ?」

唯「いーなー、その刀貸してよー」

律「駄目だ。あとこれは刀じゃなくて十手。私は侍じゃなくてどっちかって言うと岡っ引きかな」

唯「なんだ、偽物!」ブー

律「うっさい」






紬「どうしましょ」

梓「どうしようって言っても・・・」

紬「多分問題なくこっちに帰って来れるとは思うんだけど、万が一を考えると心配ね・・・」

澪「よりによってあの二人だもんなー・・・」ハァ

紬「梓ちゃん、澪ちゃん」

梓澪「はい?」

紬「あとを追ってくれないかしら」

梓「そんなこと出来るんですか?」

紬「えぇ、舞台は機械にデフォルトで登録されてるものだから。設定を変えなければ同じ世界に飛べるはず」

澪「見つけ出したらすぐに戻ってくるよ」

梓「そういえば、どうやって戻ればいいんですか?」

紬「まず、その世界にいるストレンジャーを集めること」

澪「ストレンジャーって、私達のことだよな?」

紬「そう、開発チームがそう呼んでたからそのまま使わせてもらうわ」

澪「なんかそれっぽい呼び方だな」

紬「それでみんなが集まったら戻るって大きな声で意思表示して」

澪「案外原始的なんだな」

梓「そういえばさっきみんなでお菓子の家に行ったときは自然にやってましたね」

紬「そう、さっきと同じ要領でいいわ」

梓「あの」

紬「なに?」

梓「ムギ先輩はこないんですか?」

紬「私はフォローに徹するわ」

澪「でもそこにいるだけじゃ・・・あ、そうか」

紬「そういうこと」

澪「その帽子を被っていればストレンジャーに声を届けることができる、だよな?」

紬「えぇ、飲み込みが早くて助かるわ」

梓「じゃあ早速」スチャ

澪「よしっ」スチャ

紬「二人とも、準備はいいわね?」






律「団子うめー!」

唯「すみませーん、おかわりくださーい!」

律「あー!唯ずるいぞ!私にもおかわりー!」

唯「ふぃー癒されますなー」

律「あっぱれですなー」

唯「そういえば、ここは何時代なのかな?」

律「さぁ?とりあえず昔ってことはわかるぞ、うん」

唯「みんな和服着てるねー」

律「それは私たちもだけどな」

唯「あ!そうか!」

律「おいおい、頼むぜー」

唯「それじゃお団子食べ終わったら戻ろうか」

律「えぇ!?来たばっかだろ!?」

唯「ふかおいはしちゃ駄目ってムギちゃんが言ってたよ」

律「ってことは・・・やっぱあの変な帽子、ムギが持ってきたのか」

唯「うん、ムギちゃん家の会社が作ったんだってー」

律「へー、すごいな」

唯「じせだいりょこうきぐって言ってた」

律「平仮名ばっかで読みにくいな」

唯「へへー、ムギちゃんが言ってたのそのまま言っただけー」テヘヘ

律「うん、わかる」

お団子屋「お待たせしましたー」

律「おぉー!」

唯「待ってましたー!」

律「えっと、それで?」モグモグ

唯「それでって?」パクパク

律「どうやって戻るんだ?」ゴックン

唯「帰るーって大きい声で言ったら戻れたよ、さっきは」パクパク

律「へー。・・・って、『さっき』?」

唯「うん!りっちゃんが来る前にみんなでお菓子の家に行ったんだー♪」

律「・・・ずるい!」

唯「りっちゃん来るの遅いんだもん」

律「しょうがないだろー?和に捕まって部長会議に出てたんだから」ムグムグ

唯「美味しかったよ、ケーキの机とかパフェの木とか」

律「それを食った上でまだ食うかっ!」

唯「別腹なんだよー」モグモグ

律「別腹って、全部お菓子だろ」

唯「もー、怒らない怒らない。後でまたムギちゃんに連れてってもらおうよ!」

律「よっしゃ、それいいな!」




紬「みんな無事かしら」

紬「でもまさかりっちゃんの雄叫びで唯ちゃんまで道連れになるとはね」

紬「やっぱり改良の余地あり、か・・・」

紬「・・・」ピピッピッ

紬「うーん、だれともコンタクトが取れないわ・・・」

紬「まだダイブしてから時間が経ってないから?」

紬「これも改良ポイントね。技術部にメールしておうっと」メルメル

紬「あと、唯ちゃんが普通に戻ってこれるかも確認しておかないと」メルメル

紬「よしっ」

紬「送信っ」ピッ

紬「・・・」

紬「きっと大丈夫よ、うん」




律「よし、それじゃ戻ろうか」

唯「うん!」

律「で、帰るーって大きな声で言えばいいんだっけ?」

唯「そうそう。まだしさくひんだからそうしなくちゃいけないんだって」

律「お前、試作品の意味ちゃんとわかってるか?」

唯「ううん、よくわかんないかも」

律「・・・ま、いいや」

唯「販売するときはボタンでパッと帰れるようにするって言ってたよ」

律「だよなー。出たり入ったりする度に大声出さなきゃいけないのは辛いよな」

唯「ちなみに私はさっき『お菓子食べたーい!』って叫んだよ!」

律「うわ、唯っぽい」

唯「えへへー」

律「・・・あれ?」

唯「どうしたの?」

律「唯、この世界にくるときにはなんて叫んだ?」

唯「私は叫んでないよ」

律「え・・・何か言ったりとか」

唯「ないよー。気付いたら草の上にいたんだよー」

律「・・・もしかして、私が唯を連れてきちゃったのか?」

唯「あー・・・かも」

律「これ、普通に戻れるんだろうな?」

唯「やってみたらわかるよ!」

律「楽観的だなー。私も人のこと言えないけど」

唯「それじゃ、せーのでいくよー?」

律「おうっ!・・・せーの!」

律唯「帰るー!!」


シーン・・・


通行人A「!?」

通行人B「・・・」ギロッ

唯「・・・あれ?」

律「駄目、か」

唯「どうしよう・・・」

律「これ、最悪のパターンじゃないか?」

子供「お母さん、あれなにー?」

通行人C「しっ!見ちゃ駄目よ!指さしちゃ駄目!近づいちゃ駄目!」

律「・・・」プルプル

子供「変な人達だぁー!」プークスクス

律「・・・っぎゃおぉぉぉ!!」ダッ

子供「こっち来たぁ!?」ダダダダダッ

唯「りっちゃん、子供に八つ当たりは駄目だよ!」

通行人C「ひぃぃぃ」タッタッタッ

律「・・・全く、あいつら。人の気も知らないで」

唯「どうどう」

律「で・・・どうしようか?」

唯「えっとー、あはは・・・」

律「だよなー、たはは・・・」







紬「これは・・・誰かしら?梓ちゃん?」

紬「ちょっと声掛けてみようかな」

紬『もしもーし』

梓「うわぁ!?びっくりしたぁ!?」

通行人D「!?」ビクゥッ

梓「えーと、ムギ先輩ですか?」

紬『そうよー。どう?そっちの世界は』

梓「かなりのんびりした感じですね。昔の日本ってカンジです」

紬『ちゃんと同じ世界には行けているみたいね』

梓「はい。とりあえずすぐ近くに町が見えるんで、そこに向かってます」

紬『了解。山賊に襲われたらすぐに逃げてね』

梓「え、山賊・・・?そんな物騒なー」アハハ

紬『・・・出るわよ?(嘘だけど)』

梓「はい、見かけたら速攻で逃げます」

紬『りっちゃん達は見つかった?』

梓「いいえ。私も今さっきこっちに来たばかりなので・・・」

紬『そう、焦らずに探してちょうだい』

梓「はい」


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最終更新:2010年07月12日 23:23