子供「お母さーん!あの人ひとりで喋ってるー!」

梓「んな!?こら!指ささない!」

通行人C「駄目でしょ!さっきも言ったでしょう?指をさすのは失礼なことなのよ?」

子供「だってー」プークスクス

梓「こぉんの、ガキ」

通行人C「あの人にはあの人の世界があるんだから邪魔しちゃダメよ!?」

梓「お母さんが一番ひどい!」

紬『あ、梓ちゃん?』

梓「あ、ごめんなさい。こっちの話です」

紬『そ、そう?ならいいんだけど・・・』

梓「でもこの世界、なんだか広そうです。あの二人を探すのにも時間が掛かりそうですね」

紬『それは仕方ないと思うの。さっきも言ったけど、焦らなくていいからね?』

梓「は、はい。・・・でも」

紬『でも?』

梓「澪先輩ともはぐれちゃいましたし・・・」

紬『途中ではぐれちゃったの?』

梓「いいえ、この世界にきたときはもう一人でした」

紬『澪ちゃん・・・実はコンタクトも取れないの。どこにいるのかしら?』

子供「このぉー!」ゲシッ

梓「いったぁ!?」

紬『もしもし?梓ちゃん?』

子供「やーいやーい」ダッ

梓「こぉんの・・・!!」ダッ

通行人C「ごめんなさい!」

子供「やーい!」ダダダッ

梓「逃がすかっ!」ダッ

紬『え?え?(音声しか聞こえないから何がなんだか・・・)』

通行人C「聞いちゃいない・・・」

子供「うお!?足速ぇー!」

梓「このっ!」ガシッ

子供「うわー!離せよー!」

梓「しつけのなっていない子供は嫌いだなー」ニコニコ

通行人C「すみません、うちの息子が・・・」

梓「全く、もう少しどうにかならないんですか」プンスカッ

子供「う・・・う・・・」グスッグスッ

梓「泣いても許さないよ?」ニコッ

子供「!?」ビエーン!

通行人C「本当にごめんなさい・・・」

梓「全く・・・」パッ

子供「あー怖かった」ケロッ

梓(こいつ、懲りてないな?)

子供「でもさっきのデコのお姉ちゃんの方が怖かったもんねーだ!」

梓「!?」

ガシッ

梓「怒らないから。怒らないから『デコのお姉ちゃん』についてもうちょっと聞かせてもらえる?」

子供「は、はい・・・!(やっぱこっちの姉ちゃんの方が怖い・・・!)」






律「どうしようか?」

唯「とりあえず、悪者を倒しましょー!」

律「いるのか?悪者」

唯「でも相場じゃない?」

律「うーん、でもそれって元の世界に戻る根本的な解決になっていないような・・・」

唯「細かいことはいいんだよ!」

律「そ、そうか??」

唯「それに岡っ引きさんって昔のお巡りさんなんでしょ?」

律「あぁ、そんな感じじゃないか?」

唯「じゃありっちゃんは悪者を懲らしめないと!」

律「唯は?」

唯「私はさらわれる役だよ!」

律「うわー助ける気しねー」

唯「ひどい!」

律「どうせこういう時代に来たならあれがやりたいなー」

唯「あれって?」

律「『お代官様ぁーん・・・!あ~れ~』みたいな」

唯「いいね!やろう!」

律「やるの!?」

唯「うん、いいよ!私丁度着物着てるしね」

律「でもあれってすごい帯の長い着物じゃないと」

唯「じゃあ一回転だけね」

律「いいのか?」

唯「りっちゃん隊員は特別だよ!」

律「やった!よし・・・いくぞー?」

唯「いつでもオーケーだよ、りっちゃん!」

律「それー!」

唯「あ~れ~♪」


ハラリ


律唯「」


唯「うわぁぁ!?///」

律「ばばばばバカ!隠せ隠せ!!」

唯「恥ずかしいよぉ!」

律「普通の着物で『あ~れ~』をすると一回転で帯が取れる、勉強になったぜ」

唯「そんなこと言ってないで助けてよぅ!」

律「あぁ、ごめんごめん。えっと」

岡っ引き「待てー!お前らー!」

律唯「!?」


岡っ引き「街のど真ん中で全裸になるとは何事だぁー!!」

律「この時代も街中で全裸になるのは犯罪なんだな」

唯「うん、みたいだね。・・・っていうか全裸じゃないもんっ」

律「唯、はだけないようにしろよ?」

唯「大丈夫、もうはだけてる」

律「よし、それじゃ・・・」

律唯「ごめんなさーい!!」ダッ

岡っ引き「逃げるなー!こらー!」

律「岡っ引きが岡っ引きに追いかけられるとかどういう状況だよ!!」ダッダッダッ

唯「こういう状況だよ!りっちゃん!!」ダッダッダッ

律「だな!・・・って、あほかー!!」





紬「やっと音声を捕捉したと思ったら・・・」

紬「りっちゃんと唯ちゃん何してるの・・・?」

紬「でも、梓ちゃんと唯ちゃん達が会うのは時間の問題みたいね」

紬「私は澪ちゃんを探してみんなを同じところに誘導しないと」

紬「それにしても、どこにいるのかしら」

紬「地下にいたらコンタクト取りにくいとか?」

紬「そんな、まさかね。ケータイじゃあるまいし」

紬「それにこの時代の建物に地下っていうのも考えにくいわ」

紬「ほんと、どこに行っちゃったのかしら」

チャスチャンチャンチャチャーン♪

紬「メールだわ!!」ピッ

紬「・・・唯ちゃんの件は、どうやら問題なさそうね」

紬「改善点に関しては至急パッチを作ります、か」

紬「なんとかなりそうね・・・よかったぁ・・・」





律「なんか随分遠くまで来ちゃったみたいだな」

唯「森の中?に来ちゃったね」

律「森って程大きくはないけど・・・ちょっと不気味なところだな」

唯「なんか暗いね?」

律「木で光が遮られてるから暗いんじゃないか?」

唯「・・・今何時なんだろ」

律「私達が来たときに既に夕方だったよな?」

唯「そろそろ暗くなってもおかしくないよね・・・」

律「だ、大丈夫だって。いざとなったら街に戻ればいいんだし」

唯「そっか、りっちゃん戻り方わかる?私、それどころじゃなくてさー」アハハ

律「・・・」

唯「りっちゃん?」

律「唯、とりあえず進もうぜ」

唯「りっちゃん戻り方わかんないんでしょ!?」

律「ううううるへー!そんなんじゃないぞー?ちょっと覚えてないだけだぞー?」

唯「『覚えてない』って言っちゃった・・・『忘れた』ならまだ希望があったのに・・・」ガーン

律「ごめん」

唯「ううん、私の方こそごめんなさい」

律「どうする?進むか、戻るか」

唯「うーん、歩こう!」

律「遭難する人の気持ちがわかった気がする・・・」

唯「へ?」

律「いんや、なんでもない。じゃ行くか」




梓「あの子供が律先輩に絡まれてた?なんて」

岡っ引き「チキショー!取り逃がしちまったぜ!」

梓「すごい、岡っ引きだー。初めて見た(当たり前だけど)」

梓「ムギ先輩は澪先輩の居場所を探るとかでコンタクト切っちゃうし」

梓「子供に教えてもらった辺りを探してもいなかったし」

梓「オマケにもう夜になるし・・・」

梓「そういえば元の世界と時間が少しズレてるような」

梓「元の世界ではやっと夕方になるくらいの時間のハズ・・・」

岡っ引き「お侍さん!この辺りで怪しい二人はみかなったかい?」

梓「元の世界といえば・・・ムギ先輩、下校しないとまずいんじゃ?」

梓「・・・私達が跡を追ってこの世界に入った時間を考えると、学校にいられるのはせいぜいあと1~2時間か・・・」

梓「ムギ先輩、なんかと粘ってくれないかなー。1~2時間で集合出来る自信がない・・・」

岡っ引き「おーい、お侍さん!?」

梓「明日が土曜日なのが救いだったかも・・・次の日に授業があったら色々とめんどくさそうだし」

岡っ引き「てやんでぃ!無視すんな!」

梓「はい!?」

岡っ引き「お侍さん、ぼやっと歩いてたら危ねぇぜ?」

梓「あ、はい。すみません(お侍さんって私のことか)」

岡っ引き「さて、一つ聞きたいことがある」

梓「なんですか?」

岡っ引き「でこっぱちの岡っ引きとオツムの暖かそうな町娘の二人組を見なかったかい?」

梓「」


梓(これ、もしかして律先輩と唯先輩?っていうか岡っ引きに追いかけられるとか何したんだあの二人)

梓「さぁ?見なかったですね。ところでその二人が何かしたんですか?」

岡っ引き「おぅ!聞いてくれるかお侍さん!」

梓「え、えぇ(その『お侍さん』っていうの止めてくれないかなー・・・)」

岡っ引き「街のど真ん中ででこっぱちがオツムほかほかの町娘の着物の帯をいきなりほどいたんだ」

梓「え゛」

岡っ引き「あいつら公衆の面前だっつーのに・・・」ブツブツ

梓「あの、帯をほどいたって、つまり・・・?」

岡っ引き「困るんだよなぁ、ああいうの。毎年そういう奴らが春になると増えるんだよ」

梓「マジで何してんの、あの二人」


岡っ引き「とっ。そんじゃ、そいつらをもし見つけたらすぐに教えてくれ!飛んでくるぜぃ!」

梓「あ、あの!どっちの方に行ったかもわからないんですか?(ダメ元で聞いてみよう)」

岡っ引き「いいや、方角はわかるよ。あっちだ」

梓「(って、知ってるんかい!)あっちって・・・わかってるなら追いかければ」

岡っ引き「あっちはもう街の外だからな。俺っちに取っ捕まえる権利はないんだ」

梓「あ、そうなんですか・・・でも、そうなるとわざわざ捕まりに戻ってはこないんじゃ?」

岡っ引き「いいや、あいつらは絶対に引き返してくるハズだ」

梓「?」

岡っ引き「あっちの道は行き止まりだからな!」

梓「行き止まり・・・?」

岡っ引き「おうよ!あるのは寝泊まりするところぐらいで、周りは林だらけだからそこを抜けるのは難しいと思うぜ!」

梓「そうなんですか」

岡っ引き「つまり奴らは戻ってくる!俺っち頭いい!」

梓「あーそうですね」ナンダコイツ

岡っ引き「まーそういうこった!そんじゃな!」

梓「・・・寝泊りするところって、宿とか?」

梓「無事そうだし、律先輩達はほっといて澪先輩探そうかな・・・」





律「なんだろうな、あの建物」

唯「ちょっと豪華だね」

律「豪邸?」

唯「でも雰囲気がそれっぽくないね」

律「おいっ、なんか中から人が出てきたぞ!」

唯「本当?遠くてよくわからないや」

男「ちょっと、どいてくれねぇか」

律唯「!?」クルッ

男「・・・」スタスタ

唯「・・・いきなり後ろから声かけられたらビックリするよー」ハァー

律「あれ、あの男・・・」

唯「どうしたの?」

律「あの建物に入るんじゃないか?」

唯「色んな人が出入りしてるのかな?」

律「さぁ?でも、人がたくさんいるってことは・・・」

唯「何?」

律「色々と情報が手に入るかもしれないな」

唯「情報って?」

律「ばかー、唯が言ったんだろ?悪者を懲らしめるって」

唯「そっか!悪者の情報が手に入るんだね!?」

律「あぁ。もしそういうのがいない平和な世界なら、諦めて帰る方法探そうぜ」

唯「がってんです!」

律「よっしゃ!それじゃ潜入開始だ!」

唯「ほい!」

律「・・・と思ったら、さっきあの建物から出てきた人がこっちに歩いてきたぞ??」

唯「なんだろう・・・なんか私達のこと見てる?」

律「だな。なんだなんだ?」

客引き「どもー!」

律「あ、はい。どうも?」

客引き「お客さん!今夜のお店はお決まりですか!?」

律「はい?・・・まだですけど」

客引き「おぉー!そりゃよかった!どうです?うちで決めませんか?」

律「えっと・・・」

律(おい、唯)

唯(なに?)

律(お店ってどういうことだ?)

唯(やだなーりっちゃん、きっと宿って意味だよー)

律(ほーなるほどな。じゃああの建物は宿だったワケか)

唯(っぽいね。一応寝るところは確保しておいた方がいいよね?)

律(あぁ。その前に進展があるといいけど、念のためにな)

唯(お金大丈夫そう?)


律(平気平気。この時代の物価はわからないけど、さっきお団子食べたときのお代から考えるとかなりの大金持ってると思う)

唯(じゃあ決まりだね)

律「お待たせしました。えーと、二人部屋でお願いできますか?」

客引き「何言ってるんですかー。うちの店は全部二人部屋ですよ」ナッハッハッ

律「?えっと、じゃあいいんですけど・・・」

客引き「それじゃ行きましょうか!さっ!こちらへどうぞ!」

律「あ、はい」テクテク

唯「よかったねー」テクテク

律(・・・やっぱなんかおかしくないか?)

唯(なんで?)

律(なんで二人用の部屋しかないんだ?私達何か勘違いしてないか?)

唯(そんなことないよー。じゃあ他に何があるの?)

律(うっそれはだな・・・)

唯(大丈夫大丈夫、もし違ったらすみませんでしたって言って出てくればいいんだよー)

律(それもそうだな)


ザッザッザッザッ・・・


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最終更新:2010年07月12日 23:24