律「やっぱさっきの建物だ」

唯「槍幕亭・・・?」

律「や、やりまくって?」ポカーン

唯「なんだろ?」

律「さぁ?店の名前じゃないか?」

客引き「じゃあ早速!」

律唯「!?」

客引き「今日はどの娘にしましょうか?」

律「・・・へ?」

唯「なに?どの娘?え?」

客引き「はい!ふくよかなでボインな娘から華奢で可憐な娘まで!当店の自慢の品揃え!」

律「・・・意味がわからない」

唯「この中から選べばいいの?」

律「似顔絵と名前、自己紹介の表か・・・」

唯「なんかみんな平安美人って感じだね」

律「唯!」

唯「ほい!?」

律(まずいって、ここ出ようぜ)

唯(え?なんで?)

律(見てわかるだろー!?ここ、遊郭ってところじゃないか?)

唯(ゆーかく?)

律(だからー、今でいう風俗みたいなもんだよ!)

唯(え!?ふーぞく!?エッチなことするところ!?)

律「ばっ!///・・・そ、そーだよ!だから出ようぜ?)

唯(でも、ここの人達なら悪者について知ってるかも!?)

律(た、確かに色んな客が来るからそういう話は詳しいかも知れないけど・・・)

唯(じゃあ行こうよ!)

律(おまっ!風俗ってどういうことか本当にちゃんとわかってるのか!?)

唯(大丈夫!ちょっとお話するだけ!)

律(アホかー!)

客引き「あの、お客さん?」

律(唯!ここは『おっと、お金が足りない作戦』を決行しよう!)

唯(なにそれ!?)

律(名前で大体わかるだろ!?じゃあいくぞ?)

律「えーと、こちら一泊いくらになるんでしょうかね?」

客引き「えー、ご指名頂いた娘にもよりますが、基本料金は銀六十匁になります」

律(ほら、基本料金とか言ってるだろ!?絶対怪しいって!)

唯「あー、私達そんなお金ないやー」

律「だ、だなー。えーと、失礼しまs」

唯「だから私は遠慮するよ。りっちゃんは楽しんできて?」

律「」

律「いやいやいやおかしいおかしい」

客引き「そうですか?残念ですが、うちも一応高級店なんでお値引きなどはできないんですよ・・・」

唯「いいえ、いいんですよー。この近くに普通のお宿はありますか?」

律「待て待てちょっと待て」

客引き「左隣の建物がそうですよ」

唯「やったぁ!近い!」

律「いや、『やったぁ!近い!』じゃないから」

客引き「お出口は突き当たりを右となっております」

唯「はーい!それじゃ、りっちゃん!また明日ね!」

律「え?!何言ってんの!?」

唯(えー?これが作戦じゃないの?)

律(ちげー!どういうことだよ!)

唯(だからー、お金がない→私は別のところに泊まる→手分けして情報収集!ってカンジ?)

律(深読みしすぎだぁぁ!!)


客引き「それじゃ岡っ引さん、どの娘にしましょうか?」

律「いや、違う、ちょっと待って」

唯「それじゃねー!」ヒラヒラ

律「おいぃぃ!?」

客引き「あ、照れなくても大丈夫ですよ?最近は女性のお客さんも増えてますし」

律「いや、そういう問題じゃなくて」

客引き「まぁまぁまぁ、可愛い子揃えてますんで」

律「いらないって!」

客引き「この中から選んでくださいね!」サッ

律「え、えぇー・・・?」

律「・・・」

律(・・・腹、括るしかないのか?)

律(『菊:銀七匁、華:銀十匁、蘭:銀五匁』か・・・指名料ってことだよな?)

律(どうせ寝泊りするだけなんだから指名料が低い娘がいいな・・・)

律「えーと」

律「」

客引き「どうしました?」

律「あの、この『座敷童子』ってなんですか?」

客引き「あー、その娘今日入ったばかりなんですけど、一言も喋らないからこっちで勝手に名前を決めたんですよ」

律(勝手にも程があるだろ・・・)


客引き「すいませんね、新入りなもんで絵師に似顔絵描かせる時間もなかったみたいで・・・」

律「新人だから指名料が無料なんですか?(もしそうならこの娘に決定だな)」

客引き「え、いや、その、えっと・・・」

律「・・・?」

客引き「大きな声では言えないんですが・・・かなり気の毒な顔の造りでして・・・」

律「不細工ってことですか?」

客引き「えぇ。目は二重だし、細いし、そのくせ妙に胸だけ大きいし、男よりも背が高いんですよ」

律「は、はぁ・・・?(なんだ?綺麗そうなカンジするけど)」

客引き「あ、すみません、お客さんも長身ですよね!気を悪くしないでくださいね」

律(長身って、生まれて初めて言われたな。っていうかこの時代の人って背低すぎなんだよなー)ポリポリ

客引き「あの、お客さん?」

律「へ?あ、あぁ。大丈夫ですよ、気にしてないです」

客引き「よ、よかった」ホッ

律「それじゃ、指名は座敷童子で」

客引き「よかった・・・って、はい!?いいんですか!?」

律「はい。えっと、どの部屋ですか?」

客引き「おおおお部屋まで案内させていただきます!」




紬「『映像は拡張機能の設定をすればすぐにでも』って・・・」

紬「私、あまりこういう機械は得意じゃないのに」ピッピッピッ

紬「えーと、拡張機能っと・・・」ピッ

紬「これかしら」ピッ

紬「・・・」


ザザッ・・・


紬「映ったわ!」

紬「よかったー、声だけだとイマイチ状況がわかりにくかったのよね」

紬「・・・えーと、これはりっちゃん?」

紬「何処に居るんだろう?」

紬「・・・宿かしら」

紬「あ、あれ?」

紬「唯ちゃんは?」

紬「はぐれちゃったのかしら・・・?」

紬「とりあえずりっちゃんとコンタクトを!」

ザーッザーッ

紬「!?」

紬「り、りっちゃんの姿も見えなくなっちゃった・・・」

紬「うーん、故障かしら?」

紬「いえ、そんなことはないはず・・・」

紬「・・・考えていてもしょうがないわ。唯ちゃんを探しましょう」

紬「えーと・・・唯ちゃん、唯ちゃん、っと」

紬「・・・反応がないわね」

紬「この検索機能も改良すべき、ね」

ザ・・・

紬「・・・あれ」

ザザザッ・・・

紬「ちょっと、待って・・・」ピッピッ

紬「やっぱり、唯ちゃんだわ!」

紬「唯ちゃーん!」




平安美人A「やーい、ブス」

平安美人B「あたいこんなブス見たこともないよ」

平安美人C「うちもさwwこったら不細工本当にいるんだねぇwww」

澪「・・・」

平安美人A「まーせいぜい私たちの引き立て役になることね」

平安美人C「もしあんたのお陰で客が増えたらうちらが銭くれてやるよwww」

平安美人D「おー、そりゃなかなか名案じゃないか」アッハッハッ

澪(こいつら、すっごいムカつく・・・)

澪(自惚れてるわけじゃないけど、こんなに不細工不細工言われたのは生まれて初めてだ)

平安美人B「こんな細い体じゃ殿方は満足しないよ?」グイッ

澪「いたっ!?」

平安美人A「ちょwwww聞いた?今の」

平安美人D「聞いた聞いた。あんた喋れるんだ?」

澪(馬鹿にして・・・!)

平安美人C「なんさwwその目wwwなんか文句あるのかいww」

澪「い、いえ・・・」

平安美人B「それにしても本当に可哀想な顔だねぇ?私の下膨れ、少し分けてやろうか?」

澪「 結 構 で す 」

澪(こんなの分けられたら恥ずかしくて生きていけない・・・)

平安美人B「んなっ、生意気なブスだね!」

澪(あーもう!なんで私はこんなところにいるんだよ!っていうかここ何処だ!)

澪(どこかの部屋みたいだけど・・・出口はなし、か)

澪(なんか監禁されてるみたいだな・・・)

澪(こ、怖いよ・・・!)

平安美人A「ひゃっひゃっひゃっ」

澪(こいつらの方が数倍怖いけど)




唯「はう!?」

紬『唯ちゃん、聞こえる?』

唯「あれ!?ムギちゃん!?」

紬『無事だったかしら』

唯「うん!大丈夫だよ!」

紬『よかった・・・唯ちゃんは今どこにいるの?』

唯「えーとね、お宿にいるよ」

紬『そうなの・・・。りっちゃんは?一緒じゃないの?』

唯「りっちゃんとは手分けして情報収集作戦なのです!」

紬『なるほど・・・それにしても、情報収集ってなんの?』

唯「悪者だよ!私達で懲らしめるんだー」

紬『きっとこの世界に悪者はいないわよ・・・?』

唯「え!?」ガビーン

紬『旅行者の身に何かあったら困るもの。そういう設定はされていないハズよ』

唯「そうなの?」ガーン

紬『えぇ。この世界の人に危害を加えたりしない限りは平和なハズよ』

唯「ちぇー、そっかー」

紬『ごめんね』

唯「あ、そういう意味じゃないんだよ?ごめんね」

紬『梓ちゃん達には会った?』

唯「あずにゃん達も来てるの!?」

紬『えぇ。さっき唯ちゃん、帽子被っていないのにそっちの世界に飛んじゃったでしょ?』

唯「うん、ちょっとビックリした!」

紬『できればもうちょっと疑問視して欲しかった・・・』

唯「うん?」

紬『ううん、こっちの話。なんでもないわ』

唯「そう?あ!そうだ!」

紬『どうしたの?』

唯「さっきね、お菓子の家のときみたいに『帰るー!』って言ったのに帰れなかったんだよ!」

紬『うーん、さっきっていつかしら?』

唯「・・・えーと?」

紬『もしかしたら、澪ちゃん達がそっちに行ってからの話かもしれないわね』

唯「それだと帰れないの??」

紬『えぇ、ストレンジャーが集まって一斉に帰る意思表示をしなければならないの』

唯「そうなんだ・・・どうして?」

紬『ほら、そうしないと一人で置き去りにされる人が出てくるでしょ?』

唯「確かにそうだねぇ」

紬『だからあえてみんなが揃わないと帰れないようになっているらしいわ』

唯「そっかー。じゃあ帰るには澪ちゃんとあずにゃんを探さないといけないんだね?」

紬『そうね、ん?あれ?』

唯「どうしたの?」

紬『ごめんね!またあとでかけ直す!』

プツンッ

唯「かけ直すって・・・」

唯「ムギちゃん、今完全に電話してる気分だったよねー」ケラケラ

唯「でも、そっかー」

唯「みんなを探せば元の世界に帰れるんだね!」

唯「燃えてきたよー!!」


ガラッ


唯「!?」

女将さん「あの、もう少し静かにしてもらえませんか?」

唯「あ、はい。ごめんなさい」シュン




梓「暗くて足元がよく見えないよ・・・」

梓「本当にこんなところに唯先輩達がいるのかな?」

梓「まぁ、いいや。考えてもしょうがないから歩こう・・・」トボトボ

紬『梓ちゃん?』

梓「のわ!?・・・ムギ先輩ですか」

紬『えぇ。今歩いてるのは、何処かしら?』

梓「えっと、林の中です」

紬『そこ、街の外よね?』

梓「はい、こっちの方に律先輩達がいるって話を聞いて」

紬『そうなの?唯ちゃんならさっきお宿にいたわよ?』

梓「本当ですか!?じゃあきっともうすぐ会えますね!」

紬『???』

梓「さっき岡っ引きの人に聞いたんですけど、この林の先には宿泊施設があるらしいんですよ」

紬『そうなの・・・それじゃビンゴね』

梓「はい!よかったー、早めに合流できそうですね!」

紬『あとは澪ちゃんだけね・・・』

梓「って、あれ?」

紬『どうかした?』

梓「ムギ先輩、唯先輩と話したんですよね?」

紬『えぇ、さっきやっとコンタクトが取れてね。今は一人でお宿にいるらしいの』

梓「一人・・・?律先輩は一緒じゃないんですか?」

紬『そうなの。でも、居場所はわかっているみたいだからとりあえず唯ちゃんと合流したらどうかしら』

梓「そうですね、そっちの方が早そうですね」

紬『それじゃ、私は澪ちゃんを探さないといけないから・・・』

梓「あ、ムギ先輩?」

紬『どうしたの?』

梓「あ、あの、もう少しお話しません?」

紬『梓ちゃん・・・暗い林の中を一人で歩くのが怖いんでしょう?』

梓「いや、そんなことは!・・・はい、怖いです///」

紬『うふふ。じゃあもう少しだけお話していましょうか』




客引き「ささっ、こちらがお部屋になります」

律「あぁ、どうも」

客引き「それでは、ごゆっくり・・・」サッ

律(・・・嫌だなぁ)

律(この扉の向こうにはとんでもない不細工(?)が・・・)

律(いや、駄目だ。情報収集、情報収集!)

律(向こうも私が女だってわかれば何もしてこないだろ)

律(よっしゃ!開けるぞ・・・!)


ガラッ


律「」


4
最終更新:2010年07月12日 23:25