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キーンコーンカーンコーン

唯「ふー、やっと授業終わったよ。さぁ、部活行こ!」

澪「その前に寝癖を直しとけ。授業中ずっと寝てただろ。」

唯「Oh! じゃあ結んでみるよ。さ、早く部活部活!」

律「結んでごまかせるか…? というか、なんでそんなに張り切ってんだー?」

唯「今日のティータイムはたい焼きだからだよ! 甘い物好きなんだもん。」

紬「あれ、まだ見せてないのに、どうして分かったの?」

唯「私には甘い物センサーが付いてるからね!」キリッ



部室!

律「たのもー!」ドアガチャ

梓「あ、みなさん。…唯先輩、なんで髪結んでるんですか?」

唯「お、あずにゃんいたんだー! あずにゃーん!」ギュッ

梓「はいはい抱きつかないでください…。あ、今日はたい焼きなんですね♪」

澪「梓、お前まで分かるのか…。」(ていうか憂ちゃんと見間違えないのか…。)

梓「私にはたい焼きセンサーが付いてますから。好きなものの存在に気付かないはずありません!」キリッ

唯「そういえばあずにゃん、たい焼き好きなんだよねー。…お、ひらめいたー!」ピコーン

梓「え、突然どうs」

唯「たい焼きの歌だよあずにゃん! 今度の学園祭ではたい焼きの歌をやろう!」

梓「え、でも食べ物の歌っていうのはちょっと…。」

澪「…。」ガーン

律「でもでもー、たい焼きじゃなくても、新曲はやりたくなってきたなー。」

澪「お前飽きっぽいだけなんじゃないか…?」

律「んなことないー! そうだよな、トンちゃん?」

トンちゃん「ZZzzz」

澪「…そういえば今日は律がトンちゃんのエサやり当番だろ。」

律「今トンちゃん眠そうじゃん、エサあげるの帰りにするわ。」

紬「それがいいわね。ところで、私も何か新しい曲やってみたいと思ってたんだ。」ニコニコ

律「だよな! 澪、新しい曲作ってよ♪」

澪「いや、いきなり言われても…。」

律「一人で海に行けば良い詩が書けるんじゃない?」(あれ厨二っぽかったよなー。)ニヤニヤ

澪「お、思い出させるなー!」

唯「お題はたい焼きだね?」

梓「唯先輩もういいです…。」

澪「別に今までやらなかった曲なら、わざわざ作らなくてもいいんだろ? …それに、前からやりたい曲があったんだ。」

唯「えー! なになに?」ワクワク

澪「え…っと…。翼をください…とか。」

唯「え? たい焼きに翼が…?」キョトン

梓「唯先輩…、ちょっと空でも見てて下さい。」ヤレヤレ

唯「わお! なんか面白い形の雲、発見!」

律「いや、ただの飛行機雲だろ? まぁいいや、新曲は翼をくださいで決定ー!」

澪(やった!)「ムギと梓は良いのか…?」

紬「ええ、みんな知ってる歌だし、私大好きよ。」

梓「やってやるです!」

澪(梓って、そのセリフ必ず言わされてるよな…。)

唯「翼をくださいかぁ…。」

翼をくださいだなんて、澪ちゃんらしい、と思う。でもムギちゃんもりっちゃんも、あずにゃんさえも乗り気のようだ。

新しい曲、か…。

確かに、心が躍るティータイムも、本当は大好きな練習の時間も、3年目にもなるとマンネリ感を否めない。

だから、新曲で気分を一新させるのも悪くないかな。

そんなことをぼんやり考えていたら、澪ちゃんとあずにゃんが練習しようと言い出した。


梓「唯先輩、何ぼーっとしてるんですか! そろそろ練習しましょうよ!」

唯「えー、もうちょっとお茶してようよー。」

律「私が翼をくださいの譜面を用意しとくから、明日から練習しようぜ!」

澪「いや、ふわふわ時間とかやろうよ…。」

澪ちゃんとあずにゃんが練習を呼びかけ、私とりっちゃんが抵抗する、いつも通りの展開。

こんな予定調和のやりとりでもいつもは楽しかったのに、今はなぜか飽きのような感覚を覚える自分に気付く。

でも、こんなに楽しい時間を、大好きなみんなと共有できているのだから、間違っても飽きたなんて言っちゃいけないよね。

…練習は、結局なんだかんだで、ふわふわ時間を一回通しただけでお開きになった。


律「本日はこれにて終了ー! 帰ろうぜ!」ドアガチャ

澪「おい、鍵しめ忘れてるぞ! まったく、忘れっぽいんだから…。」

律「あ、ほんとだー!」テヘッ

澪「テヘッ、じゃない!」ゴンッ

律「それは残像だ…、ってあれ、痛い…。」

唯「あずにゃーん♪」ギュッ

梓「それは残像です…、ってあれ、あったかい…。」ホワーン

紬(今日も楽しいわー♪)



帰り道!

律「いやー今日も盛り上がったなー。」(今日のティータイムすごく良かった!)

澪「そうだな、盛り上がったな。」(今日の練習すごく良かった!)

紬(…意味の違いに突っ込まない方が、丸く収まるわね。)

律「そうだ! みんなでゲーセン行こうぜ!」

紬「あ、私、また腕相撲ゲームやりたいわ♪」

律「ムギ強いもんなー。」

梓「え…。私はちょっと…。」

唯「あ、私行きたい!」

梓「う…。わ、私も行きます!」アセアセ

澪「おい…。」



ゲーセン!

唯「あ、あのUFOキャッチャーの猫のぬいぐるみ、あずにゃんみたいでかぁいい! 欲しいなー。」

梓「え…。」

律「でもこの位置じゃ、取るの難しいぞー。そんなことよりさ、太鼓の達人やろうぜ! ドラマーの血が騒ぐぜ!」

唯「おー、りっちゃん、私やったことないよ! 一緒にやろうっ!」

律「部活中ドラム叩いてる時からさ、もう太鼓の達人やりたくてやりたくて、頭がいっぱいだったんだよ!」

ムズカシサヲエランデネ! コノキョクデアソブドン!

紬「…私、友達が太鼓の達人してるところを後ろから見ながら自分も脳内プレイして、『今ミスったとこ私ならできたな!』って悦に入るのが夢だったの♪。」

澪「なんだそれ…。」(ていうかムギって変な夢多いよな…。)

オシマイ! マタアソンデネ!

律「あ、終わっちゃった…。」

唯「ふー、腕が筋肉痛になりそうだよー。」

澪「どんだけー。」

紬「ど、どんだけー。」(今流行りのツッコミなのね? そうなのね?)

唯「あれ、そういえばあずにゃんはー?」

澪「ん、見当たらないなぁ。」

ダダッ

梓「す、すみません! 和さんに見つかっちゃって…。」

和「あなた達、学校帰りにゲーセン寄るのは校則で禁止されたのよ! 休みの日にしなさい!」

唯「あ、和ちゃん♪」

梓「だから私は反対しt」

律「とかいいつつ、そのでかい袋はなんだー? ゲーセン満喫してんじゃん!」ププ

梓「いや、これは…。」アセアセ

和「もう…。他の生徒会の人に見つからない内に、早く帰りなさいよ? 私はまだ見回りがあるから…。」

澪「気遣ってくれてありがとう、和も大変だな…。さぁみんな、帰るぞ!」

唯「和ちゃん、じゃーねー!」



また帰り道!

澪「ていうか遊んでばっかりで、あんまり演奏の練習できてないじゃん…。」ショボーン

律「みんな、明日から本気出そうぜ!」

梓(それ昨日も言ってた! 絶対昨日も言ってた!)

澪「あ、じゃあ私達こっちだから。明日はちゃんと練習するからな。」

律「また明日ー!」

唯紬梓「また明日ー!」

唯「うー、今日は荷物が重いなぁ…。」

紬「あ、部室のマンガ全部持って帰るんだっけ?」

唯「うん、だってあずにゃんが…。」ジー

梓「い、いや部室は整理整頓しとくべきですよ…。」

唯「あずにゃん面白そうに読んでたのにー。」ブーブー

梓「それとこれとは話が別です!」アセアセ

紬「…あ、申し訳ないんだけど、私こっちだから…。」

梓「お疲れ様です!」

紬「また明日ー!」

唯梓「また明日!」

こんな風に、「また明日」という別れ言葉を、当たり前のように使う毎日。

こんな毎日が永遠に続く。そう思っていた時期が、私にもありました。

…いや、ウケ狙いじゃなくて。


唯「翼をくださいかぁ…。いい歌だよねー。」

梓「はい! 君をのせてと並ぶ名曲ですよね。」

ダダッ

憂「お姉ーちゃーん!」

唯「あれ、ういー! どうしたの、今日は遅いんだね!」

憂「オカルト研究会の友達にお手伝いを頼まれてたんだ。」

梓「オカルトって…。まさか純じゃないよね?」

憂「え、違うよー。昨日は純ちゃんのお手伝いだったけどね。」ニコニコ

梓「ふーん…。」

憂「純ちゃんのベース弾かせてもらったんだー。飲み込みが早いって誉められちゃった♪」

唯梓「さすが…。」

唯「なんだか今日は新鮮だね! みんなでゲーセン行ったり、この3人で帰ったり!」

梓「はい!」

唯「いつもいつも同じような平和な毎日だと退屈に思えてきちゃうから、いつもと違うことがあるとなんだか楽しいなー。」

梓「…。」

憂「私はお姉ちゃんと一緒にいるだけで毎日とっても楽しいよ!」

梓「わ、私もですっ!」

唯「えへへー。」

私は、特に何の苦労もしていないのに、こんなに幸せで楽しい毎日を過ごせている。

けれど、これ以上を望むのは贅沢すぎると頭では分かっていても、ふと退屈に感じてしまう瞬間が最近増えている気がしていた。

それに比べて、あずにゃんは、一日一日を退屈せずにとても楽しそうに過ごしているようで、思わず羨望の眼差しを向けてしまう。

梓「…? あ、私こっちなので。ここで失礼します!」

唯「え? もうお別れなの? あずにゃーん!」ギュッ

梓「お、横断歩道で抱きつかないで下さいっ//」

憂「ふふ、くれぐれもトラックには気を付けて。じゃ、梓ちゃん、またねー。」

梓「また明日!」


憂「そうだお姉ちゃん、スーパー寄ってこうと思うんだけど、今日の晩ご飯何がいい?」

唯「うーん、…たい焼きっ!」

憂「それはおやつに食べようね。」

唯「じゃ、家帰ったら食べよう!」

憂「え、だから晩ご飯食べてかr」



―――グラグラグラグラグラグラグラグラグラグラ

唯「わわわ!?」フラフラ

憂「お姉ちゃん! 地震!」(なんか描写がしょぼいけど、これは大きい…!)

唯「え、ちょ、歩けな…」ヨロヨロ

憂「お姉ちゃん! こっち!」

…憂に助けられなかったら、崩れてきた石塀の下敷きになっていたかも知れなかった。危ない危ない。

そういえば、避難訓練の時に「おかし」っていう標語あったな…。何の略だっけ?

おいてけ・構うな・しょうがない? あとで憂に訊いてみよう。

それにしても、憂はこの揺れの中でよく私を助けられたものだ、と思ったけれど、天下の憂様ならアップなしでも余裕なんだろう。

天下の、というかむしろ天上の存在だ。神ならぬ身にして天上の意思になんとかかんとか。

あらゆる分野におけるその天才っぷりを評して、巷ではどうやら憂選手と呼ばれているらしい。姉として誇りと引け目を感じる。


憂「お姉ちゃん、ケガない?」

唯「私は大丈夫、憂のお陰だよー。それより愛しの我が家が心配だ! 早く帰ろう!」

憂「うん。…っつ、痛たた…。」

唯「あ! 憂、足大丈夫? 血が出てる!」

憂「ちょっと引っ掛けただけだから、家に帰って消毒すれば大丈夫…。」

唯「でも歩くのは辛そうだね…。ここはお姉さんの出番だ! おんぶしてあげるよ。」

憂「お姉ちゃん、ありがとう!」


…見上げればいつも通りの青空が広がっているのに、目の前の光景はいつもの面影を完全に失っている。

道路に亀裂が走り、立ち往生している車を見ると、地震の爪痕を嫌でも理解させられた。

それでも、憂の温もりを背中に感じながら歩き続け、なんとか我が家に辿り着く。

途中で、半壊した家々をたくさん見てきたから心配だったけれど、我が家は地震に強い構造だったのか、外観は今朝と変わりがないようだ。さすがxevoだね!

でも、こんな大地震が起こるなんて、さっき平和すぎて退屈なんて私が言ったからバチが当たったのかも知れない。

そんな後ろめたさを感じつつも、早く家の中にあるはずの消毒薬を探さなくてはと思い、玄関のドアを開ける。



唯「ただいまー。」ドアガチャ

憂「ドア普通に開けられて良かった…。お姉ちゃん、もう降ろしてもらって平気だよ。」

唯「ほい。…うわー、家の中めちゃめちゃだ…。」

憂「私が後で片付けるから、お姉ちゃんは上の階を見てきてくれる?」

唯「了解であります、憂選手! 消毒薬は大丈夫でありますか?」

憂「戸棚の中だから大丈夫だと思う。というか、選手って何…?」



階段の軋む音が普段より大きい気がしたが、気のせいということにして2階に上がる。

1階同様、物が散乱していたけれど、家自体は一応無事だから不幸中の幸いだ、と楽観できた。

3階まで一通り見回ってから1階に降りると、憂が足に包帯を巻いているのを見つけた。

消毒だけで平気と言っていたけど、私を心配させないようにしていただけなのかも知れない。

でも、散乱した物をテキパキと片付けている様子を見ると、大したケガじゃなさそうだと分かって安心した。

南アフリカに旅行中の両親は、地震のことをもう知っているだろうか、と遠方に思いを馳せながらテレビをつける。


テレビ「只今入りました情報によりますと、震度6強の強い地震が…」

唯「ういー!震度6だってー!」

テレビ「津波の心配はありま」プツッ

テレビ「」

唯「ういー! テレビ消えちゃったー!」

憂「停電かなー。ってことは大変! 冷蔵庫の中身が…。」ガーン

唯「え、今日の晩ご飯はー?」

憂「お湯が沸かせないからカップ麺は無理かなぁ。でもクリームパンとチョココロネがあるよー。」


懐中電灯の光を頼りに憂とパンを食べながら、軽音部のみんなにも連絡しようとしたが、携帯の回線が混んでいて繋がらない。

明日になれば復旧するから今は早めに寝ておこう、という憂の言葉を鵜呑みにし、余震を気にしつつもベッドに潜り込んだ。

私と憂が無事だったんだから、軽音部のみんなも無事だろう。明日になったら皆で集まって色々話し合いたいな。

そういえば、戸棚にたい焼きがあったはずなのに、食べ損ねてしまった。明日食べよう。

そんなことを考えながらベッドの上にいつものように寝転がると、あっという間に夢のまどろみに呑まれていった。


――――――――――――――――――――――――――――――

憂「お姉ちゃん! 起きて!」

…朝、憂に起こされるのはいつものこと。そして、もう少し寝かせてくれと頼むのもいつものこと。

しかし今日は、いつもと違って、起こされる時間がとても早かった。

そしてもう一つ、いつも違う点。

それは、私がまだ寝かせてくれと頼む理由が、惰眠を貪るためではなく、何かねっとりとした嫌な予感がしているから、ということ。

憂「早く起きて! お姉ちゃん!」

憂が私を連呼するにつれて、頭の中が壮絶な警鐘で満たされていく。

第六感という名の確信が、科学の言葉では語り得ない説得力をもって、私に訴えかけていた。


憂「軽音部の、澪さんと、梓ちゃんがっ―――――」

その先を聞かなくても、もう答えは分かっている。

憂…、どうかその先を言わないでっ…。

そんな心を振り絞った願いも、冷ややかに過ぎていく現実の前には無力だった。

この世に流れる時間の速度に変わりはなく、私がどうあがこうが、どう泣き叫ぼうが、刻一刻と確実に、私は事実と対峙させられ、その認識を迫られる。

憂「―――――亡くなったって…。」


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最終更新:2010年07月13日 23:32