唯「コンビニで売ってるのなんて見たことないよ~」

唯「ほんとにマイナー雑誌もいいとこだよ~」

唯「いっそ少年ジャンプかヤングジャンプでやれば良かったのにね」

律「そこに気付くとは………やはり天才か…」

唯「律っちゃんェ…」

梓「…どうやって発音してるんですかそれ」

唯「……なんて言ってたら、来週からジャンプで新連載する事になったよ!!」

律「ウソ、マジで!?」

唯「ほら、次号予告を見てよ」

律「……本当だ」

梓「……けど、唯先輩」

唯「ん?」

梓「この主人公、唯先輩に似てるけど、男じゃないですか?」

唯「それは週刊『少年』ジャンプだから仕方ないよ~」

唯「という訳で一週間が経ちました!」

律「今週からジャンプで連載か、楽しみだな」

梓「色々と不安ばかりですが……」

唯「やった、表紙と巻頭カラーだよ!」

律「まぁ新連載だからな」

梓「『新感覚青春バンドストーリー けいおん!』って、煽り文句おかしくないですか?」

唯「いいから読んでみようよ~」


ペラッ

唯「俺も今日から高校生か……」



和「アンタ、高校では帰宅部じゃなくて何か部活くらいやりなさいよ」

唯「って和のヤツは言ってたけど……」



唯「スポーツも苦手だし……」

唯「はぁ、どうしよっかねぇ」

律「なぁ」

唯「ん?」

律「お前、軽音部に入らないか?」

唯「……俺が?」



※読者サイド

唯「おぉ、ここで見開きドーン!」

律「なんかカッコいいな、私!」

梓「ここから始まるんなら、私の出番はかなり先になりそうですね」

唯「ていうか、和ちゃんだけ女の子のままなんだね」

律「幼馴染みの女の子ポジションだな。本編が一段落した時に和回が挟まれるんだろう、きっと」



※誌面

律「頼むよ。もう一人部員がいないと、軽音部が廃部になっちまうんだ」

唯「……ちょっと聞きたいんだけど」

律「おう、何でも聞いてくれ」

唯「軽音部って、練習は厳しい? ランニングとかやりたくないぜ」

律「いやー、少なくともランニングはないんじゃないかな……」ハハッ

唯(ラクそう、かな?)

律「それになんと!」

律「今入部すれば毎日おやつ付きだ!」

唯「……えっ、マジで?」

律「キーボードの紬ってのが、毎日お菓子を持って来てくれるそうだ!」

唯(確信した、絶対ラクだ)

唯「よし、わかった。今日から俺は軽音部だ!」ガシッ

律「おぉ、サンキュー!」



和「おい、唯」

唯「もうちょい女らしい言葉遣いはできんのか」

和「……おぉい、唯くぅん♪」

唯「……わかった、俺が悪かったよ」

和「わかればいいのよ」

唯「んで、何?」

和「アンタ、結局どの部活に入るか決めたの?」

唯「あぁ、軽音部」

和「……は?」

唯「何だよ、その反応」

和「アンタ、楽器なんか弾けたっけ?」

唯「まぁカスタネットくらいなら」

うん♪たん

和「……馬鹿でしょ、アンタ」ハァ

和「軽音部ってのは、バンドやるとこよ」

唯「……バンド?」

和「ギターなんか弾けるの?」

唯「……」

和「……」

唯「よし、入部を取り消してくるわ」

和「早っ!」



※読者

唯「大体の流れは同じなんだね」

律「唯はここでも『うんたん』してるのか」

梓「まぁ腐女子には受けるんじゃないでしょうか」タラリ

唯「ふじょし?」

律「てか梓、鼻血が出てるぞ」

梓「へっ、はわわっ!」アセアセ

唯「そう言えばムギちゃんは?」

律「あっちにいる。あんまり興味なさそうだな」

紬「同性愛は女同士だから禁断の美しさがあるのであって……」ブツブツ




※誌面

澪「体育のジャージのまま部室に来ちゃったなぁ」

澪「律も紬もまだ来ない筈だし……」

澪「ここで着替えちゃうか」ヌギヌギ



唯「よし、入部しないって伝えに行かないとな」

唯「確か部室は、階段を登って……、ここか」ガラッ



澪「へっ?」

唯「はっ?」

澪「……きゃああああああああっ!」

唯「うわっ、ご、ごめんなさいっ!」バタンッ

唯(……縞パンツ)ゴクリ




※読者

唯「まさかの澪ちゃん女の子!」

律「あれか、ヒロイン役か」

梓「和先輩と、どっちが正ヒロインかで論争が起こりそうですね」

律「たぶん澪はお色気要員だな」

唯「じゃあ和ちゃんは?」

律「ツンデレ要員」

紬「それで、澪和の展開はあるのかしら?」ズイッ

唯「あっ、ムギちゃんが興味を示した!」

梓「ムギ先輩。ジャンプではあり得ないので、同人誌で探してください」



※誌面

律「……部室の前で何してんだ、唯?」

唯「いや、ちょっと、ね。ハハハ……」

紬「君が唯君?」ファサッ

唯「あ、はい」

紬「僕は紬、はじめまして」キラリンッ

唯(なんか仕草がウザイ人だな……)

紬「律から聞いたけど、入部してくれるんだよね。ありがとう」

唯「あ、いやー、その……」

律「唯にはもう一人、紹介しなきゃいけないヤツがいるぜ~」

唯「もう一人って、まさか……」

律「ベース担当の澪だ。左利きの女の子なんだ」

唯(やっぱり!!)

律「さて、澪はもう部室に来てるかな?」

唯「あー、たぶん、いる、と、思うよ?」アハハ

律「……どうしたんだ、お前?」

律「……という訳で、こいつが澪。俺とは小学校から一緒だったんだ」

澪「……よろしく」

唯「よ、よろしく~」アハハ

律「……なんで二人とも、目を合わせないの?」

唯(それにしても……)チラッ

澪(初対面で着替えを見られた相手とバンドなんて……)グスッ

唯(この澪って子、メッチャ可愛い……)ゴクリ

律「中学の時なんか、ファンクラブも作られたしなぁ」

唯「なぁ、律」

律「ん?」

唯「俺、やめるの、やめる事にするわ」

律「……はぁ?」

唯「これからよろしくな、みんな!」

律「いや、よく意味がわからないんだけど」

紬「あははっ、よろしくね唯君!」

澪「よろしく……」ボソッ

こうして、俺は軽音部の一員となった。
高校生活、結構楽しくなるかもしれないなぁ。



※読者

唯「今週はここまでだね」

紬「なんか私のキャラ設定がおかしい気がするわ……」

律「まぁまぁ、いいじゃないか。金髪の美男子だぜ?」

梓「私は一体どんなキャラに……」

唯「和ちゃんと澪ちゃんは、ほとんどそのままだね」

紬「そう言えば、澪ちゃんはなんで今日お休みしてるの?」

律「昨日の夜、コンビニでフライング立ち読みしたら、ショックで寝込んじゃったらしい」

唯「えっ、どういう事?」

律「全国の読者に着替えシーンを晒しちゃったからな……」

紬「そっか、全校生徒の前でさえトラウマになったのに……」

梓「澪先輩、この連載が終わるまでジャンプ読まない方がいいかもしれませんね」



……

唯「早いもので、次号のジャンプの発売日です!」

律「今週はセンターカラーか、すごいじゃないか」

梓「連載2回目だから当然ですよ、律先輩……」

紬「今週はどんな話になるのかしら。腐展開なら切るわ」

澪「やっぱり気になるよな……」

唯「あっ、澪ちゃん。読んでも平気なの?」

澪「先週号のサービスカットでうっかり練炭自殺しそうになったけど、もう大丈夫だよ」

梓「それはあまり大丈夫じゃない気が……」

律「澪、今週号はまだ読んでないんだよな。一緒に見ようぜ」



※誌面

唯「ところで」

律「ん?」

唯「俺は何の楽器をやればいいんだ?」

律「今いないのはギターだけど、唯は弾ける?」

唯「弾けない」

律「そもそもギター持ってる?」

唯「持ってない」

律「……」

唯「……」

律「ダメじゃん!」

紬「まぁまぁ。とりあえず楽器屋に行ってみようじゃないか」キラリンッ

唯「あっ、このギターが欲しい」

澪「……それ、ギブソンじゃない」

唯「ギブソン?」

律「たぶん、すげぇ高いぞ」

唯「どれどれ……、うわ本当だ!」

律「どうするんだよ?」

唯「んー、でもやっぱりこれが一番かっこいいしなぁ。バイトでもするか……」

律「どうしてもギブソンが欲しいって言うなら、俺たちも一緒にバイトしてやるよ」

紬「あぁ、いいね。なんだか同じ部活の仲間って感じがして」ファサッ

律「そうそう。仲間のために頑張って稼ごうな、澪!」

澪「……えぇっ、私も!?」



唯「澪ちゃんが、俺のために、稼ぐ……」モンモン



おっさん「君が澪ちゃんだね?」

澪「はい……」

おっさん「じゃあ早速ホテルに行こうか」

澪「……///」トコトコ

おっさん「5万円で最後まで、で良かったね?」

澪「……///」コクリ

おっさん「じゃあ制服を脱いでもらおうか」

澪「はい……」プチプチ

おっさん「スカートは脱ぐ前にたくし上げてごらん」

澪(こ、これも唯のためなんだ……!)ススッ



唯「いやいやいや、澪ちゃんにそんな事はさせられないよ!」

律「……男らしい発言だが、なんか汚れた発想に基づいてないか?」



※読者

律「まさかの澪サービスカット再び」

梓「唯先輩の妄想シーンで来るとは、予想外でしたね」

紬「うーん、澪ちゃんの表情は良かったけど、私のセンサーが反応しないわ」

唯「あれ、澪ちゃんはどこに行ったの?」

律「さっき泣きながら帰って行ったぞ。明日はまた休むかもな」

梓「だから読まない方がいいって言ったのに……」



※誌面

律「結局、交通量調査をみんなでやる事になったな」

唯「ありがとうな、俺のために……」

律「気にするなって。唯がギター買えないと、俺たちのバンドが始まらないからな」

紬「それに、なんだか楽しいじゃないか。僕はこういうのが夢だったんだ」キラリンッ

澪「……」カチッカチッ

唯(澪ちゃん、あんまり喋らないなぁ。心を開いてくれてないような……)



律「……」カチッカチッ

紬「……」カチッカチッ

澪「……」カチッカチッ

唯「……暇だな、このバイト」

律「退屈だな……」

紬「ちょっと眠くなってしまうな」ファサッ

唯「そう言えば、さ」

律「ん?」

唯「バンドやるのはいいけど、何をするのさ。文化祭でライブでもやるの?」

紬「ダメだよ、唯君。目標はもっと大きく持たないと」チッチッ

唯「大きく、って?」

律「武道館」

唯「……はい?」

律「日本武道館で、ライブをやってみたいんだ」

唯「……いやいやいや!」

律「何だよ?」

唯「いくら何でも大きすぎるっしょ、目標! 俺なんてギターに触った事もないし」

澪「私もそうだったよ」

唯「……澪ちゃん?」

澪「私も律に誘われるまで、楽器なんてリコーダーくらいしか弾いたことなかった」

律「中学の頃、俺がドラムにハマっちゃってさ。無理矢理、澪にベースを始めさせたんだ」

澪「最初は、いい迷惑だと思ってた。弦の押さえ方どころか、持ち方も知らなかったし。でも……」

澪「家で練習したり、スタジオで合わせたり、ライブの映像を見たり……」

澪「そんなこんなで私もハマっちゃって、気が付けば技術もちょっとは上手になってた」

唯(澪ちゃんが、こんなに饒舌に……)

澪「きっと、このまま行けば、いつか手が届く気がするんだ。……武道館に!」

唯「……」

澪「……あっ、私ってば、つい///」

紬「素晴らしいね、澪ちゃん!」パチパチ

律「おーおー、よく語るわ」

澪「うぅっ、やめろぉ……///」

紬「澪ちゃんの熱いハートに打たれて、僕も武道館を目指してみたくなったよ」ファサッ

律「おっ、いいねいいね!」

唯「……」ポカ-ン

律「……唯は?」

唯「へっ?」

律「今の話を聞いて、素直な気持ちをどうぞ」

唯(……律、紬、澪ちゃん)

唯(俺のために一緒にバイトまでしてくれる、軽音部のみんな)

唯(手が届くかどうかは、わからないけど……)

唯(このみんなと、バカみたいに高い目標を目指すのも面白いかもしれない)

唯「……わかった」

律「ん?」

唯「俺も目指してやる、みんなと一緒に武道館だ!」


2
最終更新:2010年07月16日 22:21