阿良々木「一応アニメ本編は全部見たけど、それがどうかしたか?」

八九寺「いえいえ、さすがは阿良々木さん。
知っていなければ、話が進まないところでしたよ」

阿良々木「それで? けいおん!がどうかしたのか?」

八九寺「阿良々木さんは私が以前、エンディングでダンスを踊りたいって話したのを覚えてますか?」

阿良々木「そういやそんな話もしたかもな。
なんだっけ?ブレイクダンスか阿波踊りをするとか話してたよな」

八九寺「そう、それです」

阿良々木「僕、思ったんだけどさ。
阿波踊りも斬新だけどポッピンダンスもなかなか斬新だと思わないか?」

八九寺「あのクネクネするやつですか?」

阿良々木「そうそう、それそれ」

八九寺「あー、それは残念ながら無理だと思います」

阿良々木「なんでだよ?」

八九寺「いえ、うちの製作会社にまかせたら多分、クネクネというよりカクカクしちゃうんで。
やめておいたほうが無難ですよ」

阿良々木「カクカク?」

八九寺「はい、クネクネじゃなくてカクカクです。
うちの製作会社はとにかく多忙なんです」

八九寺「去年の夏に始まったアニメが今年の夏にようやく終わるくらいには」

阿良々木「相変わらずメタな発言が多いな」

八九寺「私の特権ですから。
それはそうと阿良々木さん。
私としてはやっぱりエンディングはダンスより楽器を弾くべきだと最近、思いはじめたんですよ」

阿良々木「けいおん!みたいにか?」

八九寺「はい。そもそもダンスってぶっちゃけ旨味がないんですよ」

阿良々木「旨味?」

八九寺「だって考えてもみてください。
大きいお友達が寄ってたかって路上でダンスしたっていったい誰が得するんですか?」

阿良々木「もっともな意見だな」

阿良々木「だが、それでもあえてフォローするなら
ダンスをすると話題になるし、そのアニメだって話題になるぞ」

八九寺「話題になって、オタクが道端でノリノリで踊っているのが、朝のお茶の間に流れるわけですね」

八九寺「気持ち悪いことこの上無いです」

阿良々木「たしかにぞっとしないな」

八九寺「その点、私たちが演奏するならダンスと違って、オタクの方々も路上で
演奏しだすこともいないでしょうし、楽器も買ってくれるしで、万々歳ですよ」

阿良々木「……なあ、八九寺。僕はもっとアニメっていうのはテキトーに楽しむもんだと思うんだが」

八九寺「でも、お金がなきゃアニメも作られませんよ?」

阿良々木「いや、そうだけどさ。
大事なものって金だけじゃないだろ?」

八九寺「あのですね、阿良々木さん。

八九寺「そもそも阿良々木さんだって御両親が働いて稼いだお金があるからこそ、生きていけるんですよ」

八九寺「お金より大切なものがあるとか言う前に、まず、阿良々木さんはお金の大切さをもっと知るべきです」

阿良々木「ごもっともな意見だが小学生のお前に言われたくねえ!」

八九寺「だいたい、阿良久木さん、高校三年生にもなってバイト経験もないんでしょう?」

阿良々木「いや、それは……ほら、ここら辺、あんま働くとこないから……」

八九寺「言い訳ですね。探せばいくらでも見つかるでしょうに」

阿良々木「うん、まあ……確かに」

八九寺「まあでも、三年生になるまで高校でお友達のいなかったコミュニケーション能力
ゼロの阿良々木さんに、バイトしろって言うほうが、そもそもの間違いですかね」

阿良々木「なあ、八九寺。僕、お前になにか酷いことしたか?」

八九寺「どうしてそんな質問をするんですか?」

阿良々木「いや、だって……」

八九寺「まるで私が阿良々木さん暴言を吐いてるかのような言い方はやめてください」

阿良々木「……はい」

八九寺「ところで、ペロロギさん」

阿良々木「どう頑張ってもツッコミが無理そうな擬音で僕を呼ぶな。
僕の名前は阿良々木だ」

八九寺「失礼。噛みました」

阿良々木「違う、わざとだ……」

八九寺「噛みまみた」

阿良々木「わざとじゃないっ!?」

八九寺「カビハイター」

阿良々木「ツンとこないやさしい香りが特徴!?」

八九寺「それは強力カビハイターです。
ツッコミのくせにツッコミををミスらないでください」

阿良々木「ボケに駄目だしされた!」


八九寺「それはそうと阿良々木さん」


阿良々木「なんだよ?」

八九寺「さっきまで楽器の話してましたけど、けいおん!と言えばやっぱり楽器ですよ」

阿良々木「そういえばけいおん!の話をしてたんだったな」

阿良々木「で、楽器がどうしたんだ?」

八九寺「ほら、主人公である平沢さんとその後輩の中野さんっているでしょう」

阿良々木「いるな」

八九寺「で、二人とも扱ってる楽器はギター。
これって実はかなり重要なことだと思うんですよ」

阿良々木「というと?」

八九寺「少しは自分で考えてくださいよ。
これだから頭の中が羽川さんのおっぱいでいっぱいの人は困るんですよ」

阿良々木「……なんか今日のお前、いつにもまして……」

八九寺「いつでも揉ませて?」

阿良々木「言ってねえよ!
いつにもまして、って言ったんだよ!
僕は、いつにもまして厳しいなって言おうとしたんだよ!」

八九寺「阿良々木さんになら構いませんよ?」

阿良々木「え?マジ?いつでも揉ませてくれるの?」

八九寺「肩だったら」

阿良々木「……」

八九寺「話を戻しましょうか」

阿良々木「なんの話してたっけ?」

八九寺「平沢さんと中野さんの楽器についての話です」

阿良々木「そうだったな。それで?二人が扱ってる楽器がどう重要なんだ?」

八九寺「仮に、ですよ」

八九寺「もし二人のうちのどちらかの楽器がギターじゃなかったら、
果たして二人はあれほど親密になったでしょうか?」

阿良々木「む……意外とディープな話だな」

八九寺「二人が同じ楽器を扱ってるからこそ、
一期の合宿の練習シーンや、二期の期末試験の話が存在したわけです」

八九寺「なるほど、深いな」

八九寺「これは、阿良々木さんと戦場ケ原さんの関係にも言えますよね」

阿良々木「そうか?」

八九寺「はい。ドSな戦場ケ原さんと、ドMな阿良々木さんのかけあいなんて、まさにいい例でしょう」

阿良々木「いやな例だな……」

八九寺「或いは私と阿良々木さんにも言えることです」

阿良々木「僕と八九寺?」

八九寺「ロリな私とロリコンの阿良々木さん。
相性抜群ですね」

阿良々木「毎度、言ってるが僕はロリコンじゃない!
僕の恋人の戦場ケ原を見れば分かるだろうが」

八九寺「だから、それはフェイクで本命は私なんでしょう?」

阿良々木「違う!本命は羽川だ!」

八九寺「極端にオツムの足りない阿良々木さんと
極端に頭が切れる羽川さんの組み合わせも、なかなか乙ですね」

阿良々木「だろ?……じゃなくて!
僕の本命は戦場ケ原だ!将来僕は戦場ケ原と結婚するんだ!」

八九寺「そういえば、阿良々木さんは楽器の経験はないんですか?」

阿良々木「全然ないな。小学生の頃とかは授業で鍵盤ハーモニカやってたけど」

八九寺「やってみたい楽器とかないんですか?」

阿良々木「ああ、やっぱギターかな?」

八九寺「……」

阿良々木「な、なんだよ?その沈黙は」

八九寺「はあ……少しは面白いこと言ってくれると期待してたのに、ありふれた解答でガッカリです」

阿良々木「うっ……」

八九寺「まあ、でも考えてみれば阿良々木さんがつまらないのは、当たり前の話かもしれませんね」

八九寺「高校生活の半分以上を友達ゼロで過ごすなんてことは、
つまらない人間の阿良々木さんにしかできませんよね」

阿良々木「ぐはっ……」

八九寺「いやー、私もいささか以上に阿良々木さんのことを過大評価していたみたいです」

阿良々木「ちょ、ちょっと待ってくれ、八九寺……」

八九寺「触らないでください。
早漏がうつったら将来困るんで」

阿良々木「ツッコむ気力すらない……」

八九寺「まあ、ロリコンの阿良々木さんからしたらロリな私に罵られるのはこの上なくキツイですよね」

阿良々木「くそっ」

阿良々木「否定したいのに……できない!
戦場ケ原に罵倒される以上に八九寺に罵倒されるほうが辛い!」

阿良々木「今、僕はそう感じている!」

阿良々木「いや、ここでくじけたら駄目だ!八九寺!」

八九寺「ほう、まだ立ち上がるとは……流石は苦労不死にして吸血鬼の阿良々木さん」

阿良々木「なんだよ苦労不死って!?」

八九寺「阿良々木さんは永遠に苦労し続けるってことです」

阿良々木「つくづく嫌なことしか言わねえな!」

八九寺「それで、阿良々木さんは何を言おうとしたんです?」

阿良々木「急に話題を戻すんだな……僕はもうひとつやりたい楽器があるんだ」

八九寺「ほほう、お聞きしましょう」

阿良々木「それは……」

八九寺「はい」

阿良々木「トロンボーンだ」

八九寺「はい……はい?」

阿良々木「だから、トロンボーンだって」

八九寺「そうですか」

阿良々木「……」

八九寺「……」

阿良々木「何か言ってくれ、八九寺」

八九寺「いえ、コメントに困っている最中です」

阿良々木「おいおい……色々とツッコミどころがあるだろ?
なんで、けいおん!の話から楽器の話になって、それで……」

八九寺「自分のボケを解説することほど虚しいことってないと思います」

阿良々木「ぼ、僕をそんな目で見るな」

八九寺「まして、自分のボケに対してのツッコミまで解説するとか、
もう人間としてすら終わってると思います」

阿良々木「………………………………………………………………………………………そうだな」

八九寺「だいたい、阿良々木さんにはトロンボーンは吹けない気がします」

阿良々木「なんでだ?」

八九寺「だってあの楽器って腕のリーチがそれなりに必要でしょう」

八九寺「阿良々木の腕の短ささでは、届かないのでは?」

阿良々木「いや、お前は僕をどんなに腕の短いやつだと思ってるんだ!?」

八九寺「失礼。短いのは腕だけじゃなく、身長も足も気も全てが短かったですね」

阿良々木「もういい!お前とは絶交だ!
二度と顔も見たくない!」


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最終更新:2010年07月17日 01:35