夏休みのとある日
その日は部活もなく私はいつも通りだらだらとしていた
「そしてこの蒸し暑さのせいで私こと
平沢唯は力尽きようとしていたのだった」
憂「お姉ちゃん誰と喋ってるの!?」
唯「ぅ………憂…いま……までありが………とう」バタッ
憂「えーっ!?お姉ちゃーーーん!!」
憂「あ、そういえばアイス食べる?」
唯「食べる!」ムクッ
憂「今持って来るね!」
この世界は平和そのものであり、私には毎日が幸せであったのだ
だけど現実はそうも甘くはなくて、今は高校生3年生の夏休みで、こうもだらだらとはなかなかしていられないのだった
唯「もう最後か…」
ミーンミンミン
来年の今頃なにやってるんだろーなあ…
唯「さてと」
私はムクッと立ち上がり、窓を開け空を見上げた
夏の空ってどうしてこんなに青いんだろう
そういえば和ちゃんが反射がどうのこうのって…まあいいや
そんでもって今日は絶好のお出かけ日和
こんな日に1日中勉強なんてしてられますかって話だよね
憂「お姉ちゃんアイス…………」
唯「私の夏はまだ終わってないのさ!」
憂「お、お姉ちゃん?」
唯「ん?」
憂「カレンダー…」
唯「そんな……」
始まったばかりだったの私の夏は
唯「は…8月31日…………?」
すでに終わろうとしていた
唯「えーーーーーっ!?」
「おい、唯!」
「唯ちゃーん」
唯「はっ」
夢か…
律「ったく…せっかく図書館まで来て勉強してるんだから寝るなよー」
唯「り、りっちゃん今日何日?」
律「今日?今日は8月2日だけど?」
唯「ぁふーーー」
律「どうした?」
唯「いや夢でね『今日は8月31日だった』って感じの夢見ちゃってさ」
澪「嫌な夢だな」
紬「私も最近ね、変な夢を見るの」
唯「どんなどんなー?」
紬「受験に失敗しちゃう夢!」
律「やめろぉ!」
律「ってそんなことはいいからさっさと勉強しようぜ」
澪「せめて机の上になんかそれらしいもの出してから言えよ」
律「頭の中で勉強してるんですー」
唯「りっちゃんスゴい!」
律「えへん!」フンス
その時の自分にとっては1つの日常の風景でしかないのに、ある時それをふと思い出すとなんでかそれがすごく懐かしくなる
思い出はすごくせつないんだ
そして私はこんな日がずっとずーっと続けばいいなーなんて考える
律「ゆ、唯、なに1人で笑ってんだ?」
唯「な、なんでもないよぉ」
それが無理なことはわかってるんだけどね
でもまあ今が楽しければそれでいいのかな
時間は午後6時
律「疲れたー」グテー
唯「本当本当~」
澪「久しぶりにお前らちゃんと勉強してたな」
律「やるときはやりますよ、りっちゃんだって!」
唯「おー!さすがだねりっちゃん!」
紬「ねーみんな!今日近くで花火大会やってるから行こうよ!」
律「おっいいねー!」
澪「まあたまにはいいか…」
唯「さーんせー!」
律「そうと決まれば!」
会場
ガヤガヤ
律「うわー、人多いなー」
紬「でもこっちの方が花火大会って感じがするわぁ!」
律「こっち?」
紬「私花火をこんな大勢と見るの初めてなのー」
律「へー」
澪(なんという極楽…)
澪「…にしても暑いな」
唯「本当……もう溶けちゃ…溶けてる!私溶け始めちゃったよりっちゃん!」
律「お前はアイスクリームか」
澪「お」
ヒュルルルルルルル
パーン
紬「綺麗ね…」
澪「夏って感じするな」
律「本当だな…」
みんなの瞳にはどういう風に写ってるのかな
パーン
この一瞬も、あの一瞬もいつかは思い出になっちゃうんだろうな
私たちの高校生活はあの打ち上げ花火みたいに
ヒュルルルルルルル
パーン
儚いのかな
唯「ねえりっちゃん?」
律「ん?」
唯「私たちの高校生活ってさ、あの花火と似てるよね」
律「どうした急に」
唯「え?いや、な、なんでもないよ!あはは……」
私がそう言うのをりっちゃんは不思議そうに見ていたが、また視線は花火へと戻った
律「それはちょっと違うかな…」
唯「え?」
パーン
りっちゃんが言いたいことはよくわからなかったけど、その日見た花火は多分私の心で輝き続けるのだろう
梓家
梓「先輩達ちゃんと勉強してるかな…」
憂「大丈夫だよ、お姉ちゃん達すごく頑張ってるみたいだから!」
梓「ふーん」
純「私たちも来年受験だ…」
純「嫌だーーー!」
憂「しょうがないよ、こればっかしは…」
純「行かないで私の楽しい時間ーー!」
梓「純も今からちゃんと勉強しておいた方がいいんじゃない?」
純「夏休みくらい遊んだっていいじゃん」
梓「まあそれはそうだけどさ」
純「ていうか軽音部って夏休み練習ないの?」
梓「みんな受験勉強忙しいからね…」
純「そうなんだ…」
梓「………」
憂「な、なんか眠くなってきちゃったな」
純「えー、まだ10時だよー?」
憂「あ、まだそんな時間かあ…あははごめんごめん」
梓「………」
憂(梓ちゃん…)
……
律「いやぁ綺麗だったなー!」
澪「本当だな」
紬「本当ねー」
最近になってふと感じるんだけど、やけに時間が早く感じるんだよね
なんでだろう
澪「ゆーいー?」
唯「あ、え?なに?」
澪「いやボーッとしてるからどうしたのかなって」
唯「ごめんごめん、ちょっと……そう!花火に感動しちゃって」
澪「言葉が出ないほど感動するなんてことあるんだな…」
唯「いやー、あはは」
でもそれはきっと私だけじゃないはずなんだ
みんな顔に出さないだけで心の中ではきっと私と同じことを考えてるんだろうな
いつかこんな毎日が、あたりまえの毎日がすっごく懐かしく感じる日が来るんだろうなって
帰り道、私はふと空を見上げる
唯「きれい…」
その日の空はとても綺麗な夜空だった
ガチャ
唯「ただい……って今日憂お泊まり会だっけ」
いいなー
高校二年生なんて羨ましいなあ
戻れるなら戻りたいよ
だけどダメだ、前に進まなきゃ!
後ろばっかり見ててもしょうがないよ!
そう自分に言い聞かせても、どこか毎日が名残惜しいんだ
卒業式なんかきっと、
唯「きっと私……泣いちゃうんだろうな」
大人になったらまた高校生に戻りたいって思うんだろうな
唯「いやだよ…そんなの…」
その日私はそのまま眠りについた
翌日
唯「何時…?」
朝の9時24分
まだ憂帰ってきてないんだ
外からは雨の音が聴こえた
案の定窓を開けると昨日の天気が嘘のようにどしゃ降りだった
唯「今日は1日家かな…」
1人だとついゴロゴロしちゃうんだよね
だから勉強なんてやりませーん、なんて言ってもいられないんだけど
こうやって1日1日が過ぎていって気がつけばもう文化祭、そして卒業
想像するとヤバいんだよねー
唯「ふわぁ…」
あくびを1つ
さて、ギターでも弾こうかな
その日雨は止むことはなかった
8月16日
もう夏休みも残り二週間ほどで終わってしまう
早い…
だから久しぶりに部活をやることになった
音楽室
「やっぱりあずにゃんは早いねー」
梓「唯先輩が二番…」
唯「あーずにゃーーーん」ムギュ
梓「ひいぃ」
唯「お利口さんだねーあずにゃんは」ナデナデ
梓「うー」
ガチャ
唯「あ!」
律「朝っぱらから何やってんだよ…」
澪「さー今日は目一杯練習するからな!」
紬「もちろんケーキ持ってきたわよ」
梓「皆さん……!」
ジャカジャカ♪
やっぱりこうやってみんなと演奏するのは楽しいな
それはみんな思ってることなんだよね、きっと
ジャーーーーン♪
唯「もう一回やろ!ね?もう一回!」
律「しょうがないなーじゃーいくぞー!」
むぎちゃんには悪いけどティータイムなんてもったいないよ
やっと今になってあずにゃんの気持ちがわかった
その後悔したくないって気持ちに
その日私たちはずっとずっと演奏を続けた
8月31日
とうとう夏休みも最終日を迎えた
そう、いつか夢で見たこの日が
唯「うぅ~終わってしまうのですね~」ポロポロ
この日は夏休み最後に軽音部のみんなで集まろうと私の家にみんなを呼んだ
澪「今年の夏もなんだかんだ結構遊んじゃったなー…」
紬「でもみんな受験終わったらいっぱい遊べるわよ!」
律「笑って終えられたらの話だけどな……」
梓「でも先輩達頑張ってたって澪先輩が言っていましたよ?」
澪「ちょ、梓…!!」
唯「澪ちゃんやっぱりちゃんと見てくれてるねー」
律「澪……」
澪「え…?」
律「みーーーおーーー!!!!」
澪「う、うわぁ!こっち来るなー!」
そんな風景を見ながらあずにゃんは笑ってた
いつもの変わらない笑顔
梓「?」
あずにゃんとつい目が合ってしまったので私は目を反らしてしまった
最終更新:2010年07月20日 22:15