そう本当に最後の曲

唯「ついに…ついに私たち最後の曲です」


律(本当に終わっちゃうんだ…)


唯「だけど、」

ああダメだ

いやいや泣くな私!

今までの思い出が…



律『唯ー!』

澪『こらー唯!』

紬『唯ちゃんったらもう………ウフフ』
梓『先輩やめてくださいよー』


唯「私たちの演奏はこれで終わりです………」

唯「だけど…」


こらえろ私…!



唯「だけど本当はぁ……ヒグッ…………もっと……もっとみんなと一緒…にぃ…バンドやってたかった……!」

紬「………」ポロポロ

澪(……泣かないとか言ってたくせに……お前が泣いてどうすんだよ)ポロポロ


律(ったく…)

律「唯!」

唯「へ?」

律「お前が泣いてたら誰が歌うんだ?」

唯「……ごめん…ヒグッ」


律「そんなんじゃ最後気持ち良く終わらせられないぜ?」

唯「うぅ……」ポロポロ

梓「先輩!」

唯「あずにゃ……ヒグッ」

梓「そんな先輩嫌です!私に最後まで心配かけないでください!」

梓「最後くらい……私を泣かせるような演奏してみせてくださいよ!」


そうだ…まだ終わってないんだ

『唯ー!頑張れー!』

『唯ー』

結局泣いちゃったけど、見ててねあずにゃん、みんな!

私もう泣かないから!

唯「ふー…」

律「頑張れ唯」

澪「唯!」

紬「大丈夫よ唯ちゃんなら」



そうだ

どんな思い出にもそこにはみんながいる

どんな楽しい思い出も辛い思い出もみんながいたから楽しかったし乗り越えてこれたんだ


結局私はまた今も助けられてるし

でも逆に私は何をしてあげられたのかな


でもまあそれは今からでも恩返ししていけばいいのかな

梓「先輩!」


ありがとう、みんな

唯「この曲は私たちの思い出の曲……そして始まりの曲……!」

唯「ふわふわ時間!」


悲しむなんてことはない

だってこれは終わりなんかじゃない

私たちの始まりなんだから



これからだってそう

どんなことでも乗り越えていける気がする

みんなと一緒なら――――――――――――……



『卒業証書授与』


ついに私たちは卒業式を迎えた

あの文化祭以降、私たちは軽音部を引退(?)し、受験勉強に勤しんだ

結果はみんな第1志望に合格

でも最後まで助けてもらっちゃったけどね


平沢唯

唯「はい!」


この学校ともお別れか

楽しかったな




卒業式後、音楽室


律「いやあ、ついに卒業かー!」

紬「もうここでこうやってお茶をすることもないわね」

梓「たまには来てくださいよ?待ってますから」

澪「そんなのあたりまえだ!いつでも来ていいように心構えしとけよ?」


梓「唯先輩?」

唯「え?あ、私もちゃんと行くからね!ケーキ食べに!」

律「ここは喫茶店か」


唯「あずにゃんも寂しくなったらいつでも呼んでね!」

梓「はい!もちろんです!」

梓「先輩達よりもすごいバンドにするんですから!」

律「ほー、そりゃー楽しみだな!」

梓「笑っていられるのも今だけですよ?」

その後私たちは夜まで音楽室で話した




帰り道

律「春休み中遊ぼうなー」

澪「梓を頼むぞー唯ー!」

紬「またいつか別荘にお泊まり会しようねー!」

唯「おー!」

梓「あはは…」


あずにゃんと二人だけの帰り道


何回も何回も一緒に帰ってきたのに

最後の一回ってなるとすごい寂しい

それはあずにゃんも一緒なのかな


梓「先輩…」ギュッ

突然私はあずにゃんに抱きつかれた

唯「え、ど、どうしたの?」

私はちょっとびっくりして焦ってしまった

梓「………グスン」

唯「泣いてるの?」

そっか…今まであずにゃん泣かなかったけど本当はずっと我慢してたんだね

梓「本当は怖いんです…心配なんです…」ポロポロ

梓「不安で眠れないこともあるんです!」
唯「あずにゃん…」


梓「私ひとりぼっちで…何ができるのか、何をしたらいいかわからないんです………」

唯「大丈夫だよ、あずにゃんなら」

梓「………グスン」

唯「それにあずにゃんはひとりぼっちなんかじゃないよ?」
唯「私たちだっていつでも相談のってあげるし、それに憂や純ちゃんだっているし」

梓「そうですよね………すいません」


そしてついに私たちにも"別れ"がきた

家も近いし会いたい時いつでも会えるのになんでこんな気持ちになるんだろう



梓「先輩!」

唯「あずにゃん…」

私はこぼれ落ちそうな涙をぐっと堪えた

梓「三年間お疲れ様でした!」

とびっきりのあずにゃんの笑顔の瞳にはまだうっすら涙が浮かんでいた

唯「頑張ってね!」

梓「はい!」



そして私たちはそれぞれの道へと一歩を踏み出した


その時、


「せーーーんぱーーーい!!!」


後ろを振り返るとあずにゃんが私を大声で呼んでいた

「本当にありがとうございましたーーー!!!」


そう言ってあずにゃんは私に向かって大きく手を振り自分の家の方角に走っていった


それはこっちのセリフだよあずにゃん


本当に、


本当にありがとう





……

律家

聡「あ、姉ちゃんおかえ――――」

律「うわあああああああん!」

律母「どうしたの?」
聡「いやそれがよくわからいんだよ」



紬家

執事「お帰りなさいませ紬様」

紬「う………」ポロポロ

執事「だ、大丈夫ですか?」

紬「いいの…これは悲しい涙じゃないから」



澪家

澪母「お帰り」

澪「ただいま」

澪母「卒業おめでとう」

澪「ありがとう」

澪母「ご飯は?」

澪「今日はいい」

澪母「そう…」

澪「ごめん…もう寝る」

澪母「今までお疲れ様」


バタン


澪「……ヒグッ」

澪「うう……」ポロポロ



唯家

憂「お姉ちゃんお帰り!今までお疲れ様!」

唯「うっ…」ポロポロ

唯「うーーーいーーー!!!」

唯「うああああああん」

憂「良く頑張りました」ナデナデ

唯「えへへ…」


こうして私達の高校生活は終わった


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最終更新:2010年07月20日 22:17