‐‐‐みおへや!
澪「うーん…いい歌詞が浮かばないなぁ…」
カサッ
澪「……ん? なんだろうこの紙…」
『まきますか? まきませんか?』
澪「……まぁどうせ律が置いていったとかなんだろうな。はいはい『まきます』っと…」キュッ
澪「で、引き出しの2段目に入れる、と……おまじないか何かかな?」
澪「さて、歌詞の続き続き…」
カタンッ
澪「えっ」
澪(今のカタンッてまさか…)カタカタカタ
澪「……」
澪「……」
しーん
澪「……あれ?」
澪「そ、そうだよな! ただの気のせいだ! ははははっ」
澪「よしっ、トイレ行ってこよう!」スクッ
澪「……あれ?」
鞄「……」
澪「……」
澪「……スゥ」
澪「ヒィイイイイイイイ!!!」
ガチャッ
澪母「うるさい!」
澪「ごめんママ!」
澪(ど、どうしてあんな鞄が!?)
澪(でもちょっとかわいい……じゃなくて! なんで…さっきまで確かになかったのに!)
澪「り、律を呼んで開けて貰おう…って律は家族で出かけてるんだったぁ!」
澪「うぅ…開けるの怖い…でも気になる」
澪(だってだって…もし開けようとしたら噛み付いてきたりするかも)
澪(もしくは中に呪いの人形とか入ってたりして…!)
澪「いやぁあああああ!!!」
ガチャッ
澪母「うるさいっつってんでしょうがあああ!!」
澪「ごめんなさいママ!!」
澪「そーっと開ければ大丈夫…そーっと開ければ大丈夫…」
澪「うぅ、りつぅ…」
澪「う、うりゃああっ!!!」ガバッ
澪「~~っ」サッ
しーん
澪「……ぶ、無事だった…のか?」
澪「あ、お人形…? なんだ、ただのお人形で良かったぁ」
澪「しかもかわいい…凄い、人間みたいだな」
澪「でも、どうしてお人形が私の部屋に…? かわいいから怖くないけど」
澪「……ん? 螺旋が入ってる。巻いたら動くかな」
澪「よっと、よっと」
カチリ カチリ
澪「よしっと…」
澪「あれ、動かない。やっぱり動かないタイプとか…」
カタッ
澪「えっ」
ギシ… カクッ カカカカッ…カタンッ
タタッ… カタ…
ガクッ… カタン…
カタ… カタン…
澪「 」
カタン… ピタッ
翠星石「…お、お前が螺旋を巻いたんですか? 人間」
澪「……」
澪「はふぅ…」ドサッ
翠星石「えっ!?」
‐‐‐
澪「う、うぅん…」
翠星石「……人間」
澪「えっ」
翠星石「……」
澪「……」
澪「……スゥ」
澪「ひええええええ!!!」
ガチャッ
澪母「うるさいんだよ…ウゥルサイんだよォォ!!」
澪「本当に申し訳ないよママ!!」
澪「あれ…お人形がいなくなってる」
澪「は、ははっ! なんだ、夢だったんだな!」
翠星石「…現実逃避はやめるですぅ」
澪「夢じゃなかった!」
翠星石「……」ササッ
澪(あ…隠れちゃった)
翠星石「……」
澪「あのー…その、何者ですか?」
翠星石「……」ピョコッ
澪「あの、な、名前は…?」
翠星石「普通、自分から名乗るのが礼儀ってもんです」
翠星石「…私は誇り高きーゼンメイデン第3ドール、翠星石ですぅ」
澪「ローゼ……? 翠星石、でいいんだよな?」
翠星石「です」
澪「その、ローゼンメイデンっていうのは一体なんなんだ?」
翠星石「ローゼンメイデンというのは…」
‐‐‐
‐‐‐むぎへや!
ダッテホントウハークレイジー♪
紬「はい、もしもし」
???『まきますか? まきませんか?』
紬「へっ? あの、どちら様でしょうか」
???『まきますか? まきませんか?』
紬「あの…」
???『まきますか? まきませんか?』
紬「!」ピーン
紬(多分唯ちゃん達だわ。きっとこういう遊びなのね!)
紬「はい、『まきます』~♪」
プツッ ツーツー
紬「……?」
紬「あら? あんなところに鞄が…」
カチャッ
紬「わぁ…! 綺麗なお人形」
紬「あ、きっとこの螺旋で巻くのね。んしょ、んしょ…」
カチリ カチリ
紬「よしっと…」
カタッ
紬「ん?」
カタン カチチチッ
カクッ… カタン
カタンッ カタンッ
紬「!」
雛苺「うゆ…ヒナの螺旋を巻いたのは、あなた?」
紬「あ、あなたは…?」
雛苺「ヒナは雛苺…ローゼンメイデン第6ドールの雛苺なのよ」
紬「ローゼンメイデン…、聞いた事があるわ。あの伝説の人形師ローゼンが作ったという…?」
雛苺「うぃ…その人形師ローゼンはヒナ達のお父様なの」
紬「やっぱり…! 凄いわっ 私は寿吹紬って言うの。仲良くしましょう、雛苺ちゃん」
雛苺「うん! 仲良くするの、ツムギー!」
‐‐‐
翠星石「…つーことです」
澪「へぇ…アリスゲームかぁ…」
澪「翠星石は、アリスゲームに賛成なのか?」
翠星石「アリスゲームに乗り気の奴も姉妹の中にいますが、翠星石は反対ですぅ。姉妹を傷つける位なら、お父様に会えなくたって構わねぇです」
澪「そっか…そうだよな」
翠星石「……それはそうとデカ人間」
澪「で、デカ!?」
翠星石「あ、これじゃあ前の金糸雀のマスターと被っちまうです……やい臆病人間!」
澪「なにも言い直さなくても、澪でいいのに…」
翠星石「この家には、もう1つ鞄はねぇですか?」
澪「鞄?」
翠星石「かわいいかわいい翠星石にはかわいいかわいい双子の妹がいるですけど…もしかしたらこの家にいないかと…」
澪「今のかわいい4回もいらなかったんじゃ?」
翠星石「お前、まきますかって2回聞かれたり、紙が2枚あったりしてねーですか?」
澪「うーん、2枚はなかったような…」
翠星石「よ、よーく探すです!」
澪「んと…うーん……あ、歌詞を書いた紙の下に何か…」
『まきますか? まきませんか?』
澪「あった!」
翠星石「はやく、はやく丸付けるですぅ!」
澪「はいはい」キュッ
澪「それで引き出しに入れて…よし」
カタンッ
澪「あ、きた」
翠星石「!」
トテテ ガチャッ
蒼星石「……」
翠星石「そ、蒼星石ぃ!」
澪「この子がその双子の妹さん? なかなか似てるな」
翠星石「ですぅ! さぁ、さっさと巻けです」
澪「うん」
カチリ カチリ
蒼星石「…僕の螺旋をm」
翠星石「蒼星石ぃいい!!!」
ガバッ
蒼星石「わぁっ! す、翠星石!? 目覚めてたんだね」
翠星石「ですぅ。ああ蒼星石ぃい…」スリスリ
蒼星石「はいはい……あなたが僕の螺旋を巻いてくれたんですね?」
澪「あ、はいっ」
蒼星石「僕はローゼンメイデン第4ドール、蒼星石………翠星石わかったから離れてよ…恥ずかしいよ」
澪「私は秋山澪。澪でいいよ」
翠星石「いやですぅ。意地でも離れねーですよー」
蒼星石「えいっ」ベリッ
翠星石「な"ー!」
澪(どっちがお姉さんだかわかんないな…唯と憂ちゃんみたい)
‐‐‐
雛苺「ツムギ登りなのー!」
紬「うふふ♪」
雛苺「うっ…」
紬「ヒナちゃんどうしたの?」
雛苺「お腹へっちゃったの…」
紬「そう? じゃあ何が食べたい?」
雛苺「うにゅー! うにゅーが食べたいわっ」
紬「うにゅー?」
雛苺「うゆ。白くて、赤くて、甘くて、うにゅーってしてるの!」
紬「白くて…赤くて…甘くて…うにゅー?」
雛苺「うにゅー」
紬「うにゅー!」
雛苺「うにゅー!」
紬(困ったわ…うにゅーって何のことかわからない…)
紬「斎藤!」
斎藤「なんですか、紬お嬢様」
紬「少し小腹が減ったから、白くて赤くて甘くてうにゅーってしてるもの持ってきてほしいの」
斎藤「うにゅ…?」
紬「お願いね、斎藤」
斎藤「うにゅー…?」
‐‐‐
紬「じゃあこの苺のショートケーキは?」
雛苺「うゅ…美味しそうだけどうにゅーじゃないの」
紬「じゃあ苺のスフレは?」
雛苺「うに…」フルフル
紬「じゃあこの苺とミルクのババロア?」
雛苺「うぃ…」フルフル
紬「じゃあこの苺大福?」
雛苺「! それ! うにゅーなのっ」
紬「ああ、苺大福だったのね? じゃあヒナちゃん、はいどうぞ」
雛苺「ありがとうなのよ、ツムギ!」
紬「いいの、ヒナちゃんが嬉しいなら私も嬉しいわー」
雛苺「うい!」
‐‐‐
翠星石「んー、やっぱり蒼星石の煎れたお茶は美味しいですねぇ」
澪「うん、本当に凄く美味しいぞ」
蒼星石「お口に合ったみたいで良かったです」
澪(翠星石、蒼星石がきて嬉しそうだな…最初は警戒されてたし、良かったよ)
翠星石「おかわりですぅ!」
蒼星石「はいはい…」
パリーンッ
澪「えっ!?」
翠星石「…来やがったみたいです」
蒼星石「…だね」
澪「な、なにが?」
スタッ
水銀燈「はぁい…ごきげんよう、翠星石。蒼星石」
蒼星石「水銀燈…!」
水銀燈「くすくす…そんな顔で睨まないで頂戴? 怖いわぁ…」
翠星石「何しに来たですか…!」
水銀燈「決まってるじゃぁない…アリスゲームよ」
水銀燈「…と言いたいところだけど、今日はやめておいてあげるわ。今はあの不細工な妹のところに行かなくちゃいけないからぁ…♪」
水銀燈「それじゃあ、近いうちにまた会いましょうねぇ…」スッ
蒼星石「! 水銀燈!」
くすくす…ふふふふふ…
澪「鏡の中に…消えた?」
翠星石「あれは…Nのフィールドですぅ」
澪「エヌのフィールド?」
翠星石「Nのフィールドってのはこうかくかくしかじかですですぅ」
澪「ふむふむ」
蒼星石「……澪さん」
澪「ん、なんだ?」
蒼星石「今みたいに、また水銀燈…アリスゲームに賛成派がまた僕達を襲ってくるかもしれない。でも今のままじゃ澪さんの事も守れない」
蒼星石「だから…僕と契約してくれませんか?」
澪「……うん、わかった。私でいいなら、出来るだけ力になるよ」
翠星石「人間…」
蒼星石「では、ここに口付けを…」
澪「ん…」
チュッ
澪「わ、わあっ!」
パアアァ
蒼星石「これで、僕のミーディアムです。これからよろしく、マスター」
澪「うん、よろしくな」
澪(マスターかぁ…えへへ//)
翠星石「ふあぁ…翠星石はもう寝るです」
蒼星石「僕も…」
澪「あれ、なんで鞄に入るんだ?」
翠星石「鞄で眠るのは、ローゼンメイデンにとって大切な眠りの儀式なんですぅ」
蒼星石「それじゃあおやすみ翠星石、マスター」
翠星石「ですー」
パタン
澪「おやすみ…」
澪(一緒に寝ようと思ったのに…)
最終更新:2010年07月22日 22:21